ユニクロ」タグアーカイブ

0メイシーズのディスプレイ

壁と天井のディスプレイ演出の仕方

1.はじめに

今回は少し変わったテーマにしました。
壁と天井をどう演出するか?

これを施工会社の仕事だと思わないでください。
VMD担当の役目です。
物販店というハコである店内は、あなたのブランド空間で待たされていなければいけません。
アルマーニが体育館で売っていないように、アルマーニを売るふさわしいハコを作らなければいけないのです。

具体的には、ハコは床・壁・天井でできています。
VMD担当は商品棚だけでなく、これら大道具の演出も抜かりなくやらなければいけません。
そのために、下記のポイントをVMD担当は押さえて店舗デザイナーや施工会社にオリエンするのです。

  • 素材
  • 装飾
  • サイン
  • POP
  • 照明

さて、今回は「演出」をテーマにしているので内装の話はしません。
壁と天井のディスプレイについて話します。
視線より上、170cm以上の壁や天井をどう処理するかにフォーカスします。

2.PPによる演出

1ノードストロームのディスプレイ

視線より上の位置にあるディスプレイ演出で代表的なのはPPです。
PPはポイントプレゼンテーション(会社によってはポイントオブプレゼンテーション)といい、商品の見本展示のことです。
詳しくは下記参照ください。VP,PP,IPセットで覚えてください。

●VP,PP,IPとは

商品の見本展示といっても目線より上のPPは、商品に触れたりできません。
手が届かないし、届いても取りにくく戻しにくいです。
また天井近くのPPにおいて、展示品に商品説明POPを置くことは少ないです。
それは、POP位置がお客様よりも遠いからです。
大きなキャッチフレーズ程度の文字なら読めますが、小さい文字だと読めないからです。

つい最近も水族館の土産店で、高さ2.4m程のPP固定棚に商品説明POPや紹介ビデオ・モニタが設置されていました。
大丈夫、誰も見る人はいません、と売り場担当者に伝えときました。(笑)

PPはどちらかというと、展示商品の詳細を伝えるというよりも、上写真のように遠くのお客様をPPのある壁面に誘導する目的で設置します。
だからPP部分で細かい商品説明はせず、IPの商品陳列部分に置いたPOPを通じてお客様に商品内容を伝える事が多いです。
これなら、商品が手に取れるし、説明もじっくり読むことができます。

アパレル、雑貨、玩具、キャラクター、化粧品などの専門店・専門フロアには、PP固定棚が設けられていて、そこにPPを配置しています。

無印良品、ユニクロ、アフタヌーンティー、フランフランなどの雑貨・アパレル専門店、伊勢丹や大丸、東武百貨店、高島屋など多くの百貨店は各フロアにPP固定棚があります。

これらの企業には専任、兼任のVMD担当がいて常に天井近くのPP固定棚をコントロールしています。
PP設置作業はVMD担当が行う場合もありますが、大半はフロアスタッフが行います。
当然、PPは直下のIPの商品を展示しなければいけないので、それをガイドラインに謳っています。
VMDインストラクターが、IP・PP研修をスタッフ向けに頻繁に行うのもそのためです。

3.インテリアディスプレイによる演出

アパレル・雑貨店の壁面はこうしたPP固定棚方式が一般的ですが、インテリアディスプレイ固定棚方式を採用している店舗も多いです。

インテリアディスプレイとは、下記の定義です。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚
2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚
3.演出POPをディスプレイしている棚
4.造作物を展示している棚

ひとつひとつ説明します。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚

目的は世界観やテーマの演出です。
ブランドの世界観、季節をテーマにした演出、バレンタインというモチベーションをテーマにした演出などを指します。

ロイズの店舗

例えば、上写真は新千歳空港のロイズの店舗ですが、奥壁面上部はインテリアディスプレイで飾られています。
お城や花、人形のオブジェがリピート展示され、そのはるか下にIPがあります。(下写真)

3.ロイズのディスプレイ拡大

2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚

商品の世界観を重視したディスプレイ演出です。
商品を使うシーンや環境、対象を強調するディスプレイ展示で、商品自体は強調されるどころか、ディスプレイの小道具と化します。

4.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP

例えば、上写真はワイン売場で壁面最上段は、ワインと食器を使ったインテリアディスプレイになっています。
写真を拡大しましょう。

5.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP 

ワイン銘柄はまったく分からず、ただのワイン瓶ですが、お酒を楽しむシーンは感じることができます。

3.演出POPをディスプレイしている棚

このタイプはポスターを掲示している事が多いです。
セール時は「セール」「バーゲン」という告知ポスターを掲示しています。
平常時は商品に関連するイメージ写真を天井近くに掲示しています

ゴディバ

例えば、上写真はゴディバの演出ポスター。
シズルと言って、チョコレートのおいしそうな拡大写真を掲示しています。
チョコレートやジュエリーのような服以外の商品は小さいので、ポスターなら拡大写真を掲示します。

もちろん、服でもモデルや風景の写真は演出POPになります。
バナリパやGAPも天井近くに演出ポスターをフレーム入りで掲示しています。

7.バナリパのポスター

ポスターだけでなく、小物を使った演出POPもあります。
例えば、プラザの天井近くの棚は立体POPの展示スペースとなっており、シーズンに合わせた演出POPを展示しています。

8.プラザのディスプレイ

4.造作物を展示している棚

9.東京駅のディスプレイ

これはほとんど店舗デザインに組み込まれているディスプレイです。

私たちが造作物と呼んでいるのは、社内スタッフでなく、外部のクリエイターがつくるようなディスプレイです。
デコレーターや工芸作家、小道具スタジオ、マネキンメーカーなどが造作物をつくります。
アート的な要素を持つものが多く、空中に浮かんでいるオブジェ、壁から突起しているオブジェなどがそうです。

10.ロフトのマスキング売場

例えば、上写真はロフトのマスキングテープの売り場。
天井近くにマスキングテープを材料にしたオブジェが林立しています。
カラフルで楽しいですね。

11.ロフトのマスキング売場拡大

4.ウオーターフォールによる壁面演出

12.東急プラザのTWG

ウォーターフォールとは、滝のような壁ということです。
無印良品やユニクロでお馴染みの、IPをー天井近くまで積み上げる演出方法です。

例えば、上写真は銀座東急プラザTWGの壁面。
天井まで紅茶の缶が陳列されています。

13.東急プラザのハンカチ売場

こちらは東急プラザのハンカチ売場。
上までハンカチが連なっています。

TWGの壁の缶はこれは売り物ではなくオブジェのようなもの。
ハンカチ売場は下に同じ商品が陳列されているので壁を埋めるための商品と考えてください。
つまりダブル陳列なんです。

もともとウォーターフォール陳列は売場塾が考えた言葉ではなく、アパレルVMDの受講生が考えた言葉でした。
その受講生のブランド売場はワイシャツが天井から下までズラリと陳列されていました。
これが彼の作ったガイドラインにも示されていましたので、まさにそのブランドの売場の顔となっていたわけです。

5.壁が白いとどうなるか

14.セブンイレブンの白い壁

壁に何も演出を施さなかったらどうなるでしょう。
実のところ、壁を演出していない店は多いです。

  • コンビニエンスストア
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • スーパーマーケット

こういう目的買いの多い、時間かけずに用を済ましたい店の多くは壁は白いままです。

※これに関しては他のブログで詳しく解説しているので下記クリックしてください。
●白壁を直して来店客を増加させよう

15軽井沢銀座のはちみつ店

例えば、これは軽井沢銀座のはちみつ店。
お土産を買いに来たお客様は玄関入ってガッカリしますよね。
白い壁が出迎えているからです。
これではまるで倉庫。
ウキウキ感が半減してしまいます。

壁を埋める努力は、みなさんいろいろ工夫しています。
例えば無印良品は壁を埋めるためにヤーン糸を計画的に使っています。

16.無印良品のヤーン

無印良品は近年、有機綿を使用した服が多いです。
その素材の良さを感じさせるためにこうした演出物を各店に支給しています。

17.ユニクロの圧倒的な陳列

ユニクロのウォーターフォール、いわゆる「圧倒的な陳列」は、天井まで同品番の商品を積み上げていく方式です。
2000年前後のフリース全盛時代に原宿店で開発した手法で、中国店を出した時の現地責任者が大成させた手法です。

6.壁を埋めるための問題点

ただ、コロナ禍後、小売企業は下記の点で店舗運営の合理化・コストダウンを図っています。

1.セルフレジ、ロボット導入による人件費の削減
2.DXによる店舗運営のデジタル化・自動化
3.省スペース、可動式什器による店舗レイアウトの可変化

2.がVMDと密接にかかわっているポイントは、何といってもデジタルサイネージでしょう。
PPやPOPを毎期付け替えるよりも、PP部分をサイネージ化してしまえば、店舗ごとでディスプレイを作る必要はなくなるし、POPを付け替える必要はありません。
動画もオンエアできます。
ABCマート銀座店やマツキヨ池袋店の店舗を見ると、サイネージの活用はハンパないです。

18.ABCマート サイネージ

3.に関してはユニクロ・GU、ライフが可変什器、移動什器を標準装備して店内レイアウトを機動的にできるようにしています。

ユニクロのダミーIP

ユニクロで特に面白いのが、ダミーIPですね。
上写真を見てください。
天井近くのシェルビングしている服はダミーパックです。
在庫を上まで積む必要はなく、パックを棚に積むだけでOK。
これは在庫対策にも、人件費削減にもってこいでしょう。

白ボール紙に生地を巻きつけて7枚を1パックにしているのではないかな、と思います。

20無印良品のオーケストレーション

また、無印良品は前述のヤーンだけでなく、自店の関連商品そのものを壁埋め商品として使用していて、その行為が全店で普通に行われています。
とても素晴らしいです。

例えば、上写真。
紳士服売場の上段PPの中に収納用品(ハコ)がシンメトリーに並んでいます。
先ほどの売場もそうでしたが、店で売っている関連商品を置く分には、プロップスを調達する必要はなく、すべて店で賄えますし、在庫置き場としても一石二鳥になるのではないかと思います。

その点ではカルディもそうですね。
店内上部に在庫商品を置く棚が設置されて、そこに商品を置いています
無印良品と同じで、商品で壁が埋まっている状態になり、とてもボリューミーでよいです。

私たちもこうした在庫で壁を埋める提案はよくしており、在庫の積み方をアート的に積んだり、在庫の箱でオブジェをつくったりしています。

ただ問題は、それを行う時間と人が確保されていなければ、いつかは崩れてしまうということです。

21カルディ 2005

例えば、これは2005年のカルディ店内。
けっこう上まで商品が詰まっていますよね。

カルディ PP

これは最近のカルディの店内。
けっこう上棚の空間、空いてますよね。

23無印良品 拡大

こちらも2018年の無印良品。
やっぱり上棚、空いています。

2013年に撮影した時は、下記写真のように充足していました。

24無印良品

最初はウォーターフォールとして、売場商品の豊富感や宝さがしのような売場演出でスタートしたと思いますが、持続がなかなか難しいようです。(もしかしたら地震対策かもしれませんが)
ひとつは、前述した人件費の削減で、こうしたルーティーンは後回しになっているのでしょう。そういう意味だと、ドン・キホーテの熱帯雨林演出は持続力すごくありますよね。
いまだに壁が空いているドンキ見たことないです。(^^)

先ほどのユニクロのPPパックの例のように、人が割けない場合はこうした施策に切り替えるのも手です。
サイネージや永久的に演出展示できるような工夫をするといいでしょう。
例えば、コンビニのナチュラルローソン、壁や天井は額縁の演出POPやインテリアディスプレイで演出されていて、数年見ているけれど変わっていないです。

25ナチュラルローソン インテリアディスプレイ2

VMDインストラクターの皆さん、ぜひ壁と天井の演出キープしてくださいね。
店舗運営コスト削減の今、工夫とアイデアで店内の佇まい、持続させていきましょう。

ということで、今度の8月20日、銀座のいろいろなお店の壁見学、やりますよ~。
VP,PP,IPもいっしょに見てみましょう。
●銀座VMDフィールドワーク

(VMDインストラクター協会事務局)

POPの法則「オンスクの法則」

POPで売場に客を集める「オンスクの法則」

1.オンスクの法則 プロローグ

今回は「オンスクの法則」についてお話しします。

POPを使って自社売場に来店客を導く法則と言っていいでしょう。
特にショップインショップを作っているメーカーコーナーにうってつけの法則です。

では、どんな状況でこの法則が使えるか解説しましょう。
あなたが駅ビルのフロア内通路を歩いているとします。
スリーコインズという雑貨屋さんにさしかかりました。

スリーコインズ 3-coins

遠くの壁に何か書いてあります。(上写真)
12m先だからよくわかりません。

スリーコインズ 3-coins

でも8mくらいに近づいたら、「FASHION」の字が見えます。(上写真)

スリーコインズ 3-coinsの売場

もう少し近づいてみます。
2m手前に来ました。(上写真)
すると、「FASHION」のPOPの下に「SPRING COLLECTION 2024」の文字が見えました。

スリーコインズ 3-coinsのポーチ

30cm手前。(上写真)
もう棚の商品の手前です。
「ファッショナブルなポーチがたくさんあるわね」と思うあなたはパッグのタグを手に取って商品説明を読みます。

オンスクの法則、なんとなくイメージはわきましたか?
そう、あなたが興味を持った売場に近づくにつれ、その売場の情報がPOPを伝わって分かってくるんです。

POPとは最初は「FASHION」、次は「SPRING COLLECTION 2024」、そして最後はポーチのタグでした。

2.オンスクの法則とは

オンスクの法則のイメージがわかったら、今度は図でわかりやすく説明します。
今度は、スーパーマーケット店内の壁「HAWAIIAN CAFE」のコーナーと仮定します。

あなたはスーパーフロア内通路を歩いています。

 

遠くの売場が見える

●おや (上図)
「おや、あそこになにか茶色の売場があるな、なんだろう」
壁の10m手前なので「、色がまとまった壁だな」としか思えません。
でも少し興味を引きます。

 

少し近づいた売場

●ほう (上図)
8m手前に来ます。
すると、壁の上に大きく「HAWAIIAN CAFE」の文字が見えてきます。
「ほう、ハワイコーヒーの売場かあるのか」
とコーヒー好きなあなたきとても気になります。

 

だいぶ近づいた売場

●なるほど (上図)
5m手前に来ました。
「HAWAIIAN CAFE」のPOPの下に
「ビターエスプレッソ」
「バター風味」
「チョコレート風味」
「赤ワイン風味」
というPOPがあるのが分かりました。

「なるほど、いろいろな味のハワイコーヒーが売っているんだな」
と感心します。

 

すぐ手前の売場

●そーか (上図)
2m手前に来ました。
ここまでくると、先ほどの味別のPOPの下に

「ボトルタイプ」
「顆粒タイプ」
「粉末ステックタイプ」
と書かれているPOPがあるのがわかります。

「そーか、コーヒー豆が液体や粉末などで売っているんだな」
とかなり商品を理解してくれています。

 

30cm手前の売場

●買おう!(上図)
もう壁に30cm手前です。
商品もプライスカードもよく見えます。
赤ワイン風味のコナ地区の顆粒タイプの商品を手に持ったあなたはこう言います。

「買おう!こりゃ週末飲むのにいい」


これがオンスクの法則なんです。
図にまとめるとこうなります。

オンスクの法則

ということで、遠くからお客様が来る視点で売場を描いてみました。
「ハワイアン カフェ」売場にお客様がだんだん近づいてくる様子が分かったと思います。
お客様の動向をオンスクの視点で解説します。

●おや →ハワイアンカフェの壁面全体に気がつく (壁面全体)

●ほう →ハワイアンカフェの売場だと気づく (大見出しPOP)

●なるほど →味別のコーヒー売場になっていることに気づく (中見出しPOP)

●そーか →飲み方別パッケージになっていることに気づく (小見出しPOP)

●買おう! →コナ地区のワイン味のコーヒーパッケージをつかむ (プライスショーカード)

これを壁面だけの図にするとこうなります。

 

オンスクの法則

3.オンスクの法則は新聞の編集と同じ

大谷翔平の記事

オンスクの法則を生かしたPOPによる売場集客の組み立て方がわかったと思います。
それは新聞の表紙の編集の仕方と同じなんです。

上の写真は12月15日(火)の夕刊の表紙です。大谷翔平がドジャーズ入団が決まった日の夕刊です。
これをオンスクの法則と同じように説明します。

●「朝日新聞」題字は店名と同じ

●大見出し「ドジャーズ大谷 勝つために」は大見出しPOPと同じ

●大谷の写真は店のショーウインドウと同じ、つまりVP

●中見出し「この10年成功と思っていない」は中見出しPOPと同じ

●小見出し「入団会見」は小見出しPOPと同じ

●本文はプライスショーカードと同じ

●愛犬デコピンの写真は店内ディスプレイと同じ、つまりPP

どうですか。
改めて両者を見比べてください。

売場と大谷翔平の記事

オンスクの法則と新聞って構造的に同じことがわかります。
「売場づくりは編集と同じ」と、私たちVMDインストラクターがよく言うことがよくわかったと思います。

そんな法則で売場を見ると、オンスク法則があちこちにあることがわかります。
例えばこれ。

スリーコインズ

「KITCHEN」が大見出しで、「食べる」が中見出しということがわかります。

そんな目でオンスクの法則を使って売場をいろいろ見てください。
すると、ああユニクロはオンスクの法則がしっかり生きているな、とか
ヨドバシカメラもPOPがある程度大見出しや小見出しが固定されているな、とか
セリアはPOPが見やすいな、と感じるはずです。

ヨドバシカメラの洗濯機売場

あなたはPOPを店内に適当に貼っていませんか。
そしてデザインもバラバラに組んでいませんか。

オンスクの法則を使ってPOPをデザインし設置しましょう。
すると、あなたの集客したいショップインショップやコーナーにお客様は集まってきてくれます。

POPについて詳しく学習したい方は、ぜひセンスアップセミナー「POP活用体系」にお越しください。
7月開催です。

●センスアップセミナー「POP活用体系」

また、セミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」の12章でも詳しくPOPの活用の仕方を教えています。
この機会にぜひ勉強してください。

●VMDセミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」

今回は、オンスクの法則でした。

(VMDインストラクター協会事務局)

アパレルのPPとIP

VP,PP,IPとは

1.VP,PP,IPとは

VP,PP,IPとは、ディスプレイの種類のことです。
ディスプレイの種類は3つあり、種類ごとにタイプ・場所・役割・構成が違います

それぞれ、下記の様に要約します。

●VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 店舗の入り口、ゾーンの入り口、インショップの入り口
役 割/ 通行人もしくは来店客に、店や商品に関心を持たせ、立ち止まらせる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●PP(ポイント・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 商品グループの売場上部、売場手前、売場横
役 割/ 店内を歩いている来店客に、商品に関心を持たせ、引き寄せる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●IP(アイテム・プレゼンテーション)
タイプ/ 陳列
場 所/ 什器の中・上、テーブルの上、冷蔵庫・車など大きな商品は床に直置き
役 割/ 店内にいる来店客に、商品を選択・購入させる
構 成/ 等間隔、タイト、リピート、シンメトリー他

次にVP,PP,IPについて個別に述べるとしましょう。

2.VPについて

一番わかりやすいのが、ショーウインドウです。
すなわち百貨店やアパレルショップのウインドウがVPとなります。

通行人の目を留め立ち止まらせるのに有効な手段と言えるのがこのVPです。
若い女性がウインドウのウエディングドレスに見入ったり、子供が楽器店のトランペットを凝視したりするシーンをイメージできると思います。

VPは、ウインドウでなくてもOKです。
路面店よりもショッピングモールやGMSにテナントとして入居している店は、そもそもドアがなくウインドウもありません。
なので、店頭の展示台にマネキンを置いてVPにしている店はたくさんあります。(下記写真)

アパレルテナントのVP

VPのディスプレイは、店内で販売している商品を展示するのが最低条件です。
なので、単なる花のブーケやクリスマスツリーを置いてもそれはVPになりません。
販売する商品を置かないとVPの意はありません。
また、店内商品をただ置くだけではなく、テーマ性を持って展示するのが原則です。

テーマとは、「お客様が感じること」を言います。
Tシャツ3枚とGパンを置けばよい、というものではありません。
それを見ても、ただTシャツ3枚とGパンがあることがわかるだけです。

  • どこでどんなシーンで着るとよいのか?
  • どんな人が着ると様になるのか?
  • どんなテイストを醸し出してくれるのか?

など、客がVPを見ただけで服を着た情景が浮かぶようにしなければいけません。
例えば、ナチュラルなTシャツとショーパンのデニムをマネキンに着せて、リュックサックを掛けて駆け出すようなしぐさをマネキンに持たせます。
すると、アウトドアというテーマをお客様が感じるのです。

VPは通年計画としてローテーションするのが常で、1週間から1か月単位で変えていきます。商品は時間とともに変わるからです。
通常は、VPに店の打ち出し商品を出すケースが多いです。
アパレルショップなら、店側がその時強力に推し進めたい商品や色、素材、デザイン、シルエットをテーマ設定に基づいてVPとしてディスプレイすることになります。
基本的には、VPは店やゾーン全体を代表するディスプレイと捉えるとよいでしょう。

参考)
●テーマとは

3.PPについて

PPもVPと同じ展示の仲間ですが、VPよりも即興性の強いディスプレイと言えます。
店舗の代表的なディスプレイであるVPに対して、PPは売場の代表的なディスプレイであるため、カセットまたはコーナーと呼ばれる商品グループに連動して決めます。

こちらも展示のため、陳列棚と分けてディスプレイする必要があります。
商品見本展示の意味合いが濃いため、商品グループ直上に置いたり、突き出しテーブルの上に置いたりします。
服の場合はハンガーやマネキンを使うことが多いので分かりやすいと思います。
下記写真の什器上部、壁面上部にあるのがPPです。

PPもVPと同じくテーマ性が必要です。単純に什器の上に商品を一つ置いてもPPとは言えず、「在庫が置いてある」としか見えません。
VP程入念なプランは要りませんが、先ほどの審美性のセンスはほしいものです。
服だったらどんなテイストを発進するか、キッチン用品だったらどんな料理がつくれそうか、おもちゃだったらどんな子供向けにぴったりか、などのテーマを考えてつくります。

なお、PPについてはVPとあいまいな場合が多いので、あなたの店に合った定義が必要です。
それにつきましては下記参照ください。

●ディスプレイの定義をつくろう

4.IPについて

ドラッグストアやコンビニは、店舗デザインやオペレーションの都合上、VPやPPがない場合が多いのですが、最低IPはあります。
IPこそが、客が時間をかけずに

・商品を理解し
・ほしいものを選択でき
・掴んでかごに入れられる

便利なディスプレイです。
下記はスニーカーのIPです。

流通業界では「棚割りをする」という言い方がありますが、これは什器の棚に商品を置く位置決めをするということで、IPもこの働きをするものと考えてください。
ただし、IP=棚割りではありません。
フェイシングと言い、商品がよく映える置き方を考えたり、ハーモニゼーションと言ってリズミカルな並べ方をしたり、と棚割り以上のスキルが求められます。

このIP、難しいのは流動性があることです。
VPやPPはある程度の時間そのまま放っておけますが、IPは忙しい棚のため、欠品や補充が常です。
朝の始業時はきれいな棚だったのに、時間がたつにつれ、崩れていきます
お客様が商品を出し入れ、店側が商品を出し入れするからです。
現場のスタッフのメンテナンスが行き届いている棚はいつもきれいで、歯抜けがありません。
それは棚が乱れたらどのように対処するか、のIPコントロールのスキルが現場にあるからです。無印良品の棚がいつ行ってもはきれいなのは、現場教育がしっかりしているからでしょう。

また、客は商品をひとつひとつ眺めて店内を歩くわけではありません。
商品のカタマリである売場全体をサーッと眺めて歩きます。

売場という大きいくくりは商品で構成されていますが、IPが美しくないと売場全体のたたずまいは汚く見えます
商品を突っ込んただけの棚では、倉庫のようなたたずまいと化すだけです。
美しい売場のたたずまいは、それが壁であれ、島什器であれ、Gケースであれ、IPの総合力がモノを言います。
商品の量、色、置き方、並べ方など、什器1台~5台位を一つの売場単位としてIPを組み立て、たたずまいが美しく見えるようにしましょう。

VP,PP,IPをもっと勉強したいという方のために、毎月ディスプレイセミナーを行っています。
下記で日程とタイトルを確認ください。
●オンライン・センスアップセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

買い物客の手2

VMDとは何か?

VMDとは、当社ホームページに定義してありますが、今回はさらに掘り下げて解説します。
●VMDとは
それでは行ってみましょう~。

1.売場づくりには手法がある

VMDとはビジュアル・マーチャンダイジングの略で、売場づくりのノウハウを言います。
一般の人にとっては、売場づくりには手法がある、というと何それ?という人も多いと思います。

お店のこと?それとも商品が棚に収まっている陳列のこと?
いろいろな解釈があるでしょう。

端的に言うと、売場は「売る場」です。
だから店員さんがいる空間で、店員さんがモノを売っている空間、と解釈できます。

売場に手法なんているの?
仕入れた商品をただ棚に置けばいいんじゃないの?
そんな風に思っている人も多いと思います。
事実、流通業以外にいる方に「VMDって知ってる?」と聞くと、ほとんど「知らない」と言います。
自分たちが普段行くコンビニやドラッグストアは、仕入れた商品を単純に棚に置いている、と思っています。

私は、以前広告会社にいました。
モノを売る前段階の、モノをPRする側にいました。
20年いた広告会社をやめて、オーバルリンクというVMD会社をつくろうとしていました。
「売場づくりの広告会社つくるんですよ」と同僚に行ったところ、「何それ」「売場づくりなんてどうでもいいんじゃないの」と返してきました。不信そうな顔です。

モノを売る、というのはマーケティングといってとても大事な経済活動です。
モノを売る行為があるから広告会社が存在する、と言っても過言ではありません。
広告はマーテケィングの重要なツールです。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌はもとより、SNSなども大事な広告です。

しかし、VMDという新しいマーケティングもあるんです。
売場で商品をPRする、それこそがVMDだと思って起業しました。

でも、皆さんはこう思うでしょう。
マーケティングなのに、なんでマーチャンダイジングなの?

マーケティングとは、モノやサービスを売るための企業・団体や個人の販売活動を言います。
マーチャンダイジングは、品揃えのことを言い、仕入れてモノを売る企業・団体や個人の商業活動をいいます。
マーチャンダイジングは、マーケティングの部分集合と考えてよいでしょう。

2.ビジュアル・マーチャンダイジングとは

なので、広義のビジュアル・マーチャンダイジングは、「どんなモノを売っているのか、目で見てわかるようにしろ」ということになります。
ところが売りモノというのは、季節や場所、売る対象者、トレンドなどによって目まぐるしく変わります。
通常の売場というのは、1年中ずっと同じものを置いているわけではありません。
MDの5適とは、1.その時期に、2.その場所で、3.そのお客様にふさわしい商品を、4.適正量と 5.適正価格で売る ことを言います。
ビジュアルマーチャンダイジングは、この5適を目で見てわかるようにしなければいけないのです。

VMDの最大のメリットは、目的買いでなく衝動的に買わせること。
例えば、タバコはほとんどの方が目的買いです。
衝動的にタバコを買うというよりも、切れたら買う、というものです。

  • 買うつもりがなかったのに買っちゃった。
  • 入るつもりがないのに、お店に入っちゃった。

これが、流通業者が一番求めていることかもしれません。
もともと買うつもりのなかった客に、自社の商品を即買わせるということは、自社の売上に貢献すること大です。
特に食品や化粧品・服を含めた日用品などは価格は比較的安いので、その場その時が勝負です。

高価な時計・家電品・インテリア・自動車・住宅なども同様。
今は買うつもりがないけど将来的に買うといいかも、を演出できるでしょう。
価格の安い日用品と違い、熟考に掛ける時間が必要ですので、その場で買うということはあり得ません。

  • 今の自分、将来の自分にプラスになりそう。
  • いつか買うといいかも。

と、ビジュアル・マーチャンダイジングできっかけを与えることはできます。

こう考えると、VMDは人々の生活を瞬間的にも、将来的にも豊かにできる売場づくりのノウハウと言えます。
生活を快くできる機会を与えてくれる売場、それが「快場」へつながる一歩になります。
本来、快場は「心地よくショッピングできる売場」を意味しましたが、これに加えて上記の意味も含まれるんです。

3.VMDの4大要素

VMDをもう少し掘り下げていきましょう。
VMDには下記の4つの要素があり、それが快場をつくる源になっています。

  1. ショップ空間
  2. 品揃えと展開
  3. ディスプレイ
  4. 体験販促

個々に解説します。

1.ショップ空間

商品は店というハコの中で売られています。
コンビニというハコ、スーパーというハコ、百貨店というハコ。
ハコとは、床・壁・天井で囲まれた空間です。
大概の商品はハコの中に収まっています。

この空間には、ブランドの世界観というものがあり、それぞれ店名というブランドネームがついています。
無印良品、伊勢丹、マツモトキヨシ、カインズなどなど。
ハコの中はショップブランドの世界観で充満しています。

※空間のブランドの考え方は下記を読んでみてください。
●VMDとは空間のブランディング

例えば、無印良品に入ると、白い床に木材でできた背の高い什器、商品が整然とボリューミーに並んだ棚、廃材でできたカウンター、などなどシンプルで自然を重んじる無印良品の世界観が広がっています。
銀座や梅田にあるような旗艦店ほどブランドの世界観を強く打だしています。
インターネットでも同じ商品は買えますが、ブランドの世界観を感受することは、お店に行かなければ得ることはできません。

2.品揃えと展開

品揃えとは、先ほどお話ししたマーチャンダイジングそのものです。
品揃えは売れればなんでもいいかというとそうではありません。
流行っていてみんな買っているから自店の品揃えに追加する、というものでもありません。
商品はショップ空間の中にありますので、ショップの世界観に沿った品揃えが基本です。
先ほどの例ですと、無印良品はハコがナチュラルでシンプルにできていますので、そこで売られてい商品もまたシンプルでナチュラルなんです。
ユニクロのように派手な色のTシャツやパーカーなどないですよね。

さて、「展開」というのは、入荷した商品をどこに置くか?ということです。
商品は段ボール箱に入って店に入荷されます。
そしてあなたは商品を段ボール箱から出して棚に並べるはずです。
これを「展開」と言います。
展開は、ゾーニングというフロアの区分、展開分類というお客様目線の仕分け、棚に置く数量を調整する定量、などが作業内容になってきます。

回遊しやすくて、どこに何があるのかすぐわかり、商品が比較検討しやすい、歩いて苦にならない。
そういうお店は展開がうまいです。

3.ディスプレイ

ディスプレイとは、商品を展示したり陳列したりすることを指します。
大昔の店は、陳列自体ありませんでした。
客が来ると注文を聞いて奥から商品を持ってきて売りました。
つまり店とは、商品は言わないと出さない、という空間でした。
何年か経ち、人前に商品をズラーと並べて売るようになったのは、イスタンブールのバザールが最初だったそうです。
トルコ旅行の時に学びました。
今でいう青空市のような感じです。什器はほとんどありません。
しかし、自分の買いたいものが目で見ることができる、これこそがディスプレイの効能です。

現代のディスプレイは大きく分けて展示と陳列があります。
展示というのは、商品の見本展示のことです。
アパレルショップのウインドウや壁の上部分に飾られているディスプレイが展示です。
ドラッグストアやスーパーなど陳列主体で棚にぎっしり商品を置いている店舗でも、棚のわずかなスペースに展示をつくり訴求するケースがあります。
例えば、雪肌精やSKⅡ、モエエシャンドンやメルシャンの棚などが展示をしています。

このディスプレイ、テーマというものがあります。
単に商品を置いて見せるだけでなく、どんな時に使用するのか、どんな気分になれるのか、どんな効果があるのかなどが、テーマでわかるようになっています。
それが前述の衝動買いを促進させる力になっています。

陳列に関しては、商品を整理整頓して、わかりやすく選びやすいようにする力があります。
同じ商品でも、メーカー別、味の違い、色の違い、価格の違いなどいろいろあります。
それらが一目でわかり、選択比較でき購入しやすいようにディスプレイしなくてはいけません。
お客様にとってはほしいものがすぐに見つけられますので、時間の節約この上ありません。

4.体験販促

いまは昔と違い、ネットで当たり前に買い物をする時代になりました。
今年は「タイパ」が流行語になりました。
映画鑑賞や読書だけでなく、買い物もタイムパフォーマンスが当たり前になり、ネットでモノを買う「買い物タイパ」が当たり前になりました。
そしてリアルの売場は、客がわざわざ来てくれる場所になりました。
売場は今以上に、客に体験をしていただく場になっています。

商品が試せることはいうまでもなく、店員がアドバイスしてくれる、学習できる、人と集えるなど、リアルだからこそできる体験販促が店にとって必要になりました。

体験販促で古くからあるのは、試飲・試食・試乗・試着などがそう。
イセタンミラーのような誰でも相談できるカウンセリングカウンター、高島屋家具売り場のような、バーチャル3D間取り体験など体験販促の進化は著しいです。

特に今は「売らない売場」が百貨店では流行っていて、モノを試す、店員と話すなどショールーミング化しているのも体験販促の表れです。

今年は、当社も人がいないセルフワインバーでイベントを行いました。
ゲーム感覚でワインが飲めるワイパーは、買い物そのものを楽しむ体験の場になっています。
●wine@EBISU

4.VMDで売場を快場にしよう

売場づくりには手法があると、ということ、分かったと思います。

日本にVMDの考えが伝わったのは1970年代。
前後、マネキンメーカーが米欧に刺激を受け、マネキンとともに日本にやってきたのがVMDです。
その歴史的背景もあって、VMDは百貨店やブティックのウインドウづくりの技術という考え方が長い間席巻していました。
でも今は違います。
日用品を扱っているコンビニ・ドラッグストアはもとより、家電量販店やホームセンターもVMDを導入しています。
そして、カーディーラーやバイクディーラー、住宅展示場などと言ったショールーム型店舗もVMDを活用しています。
さらに、不動産、保険、レストラン、カフェと言った物販ではなく、サービスを提供する店舗もVMDを導入するに至ります。

そして今、VMDはバーチャルVMDの時代へ。
ネットで店舗や商品空間を体験できる、メタバースの時代が到来しました。
VMDをバーチャルに生かす技術をこれからも考えていきたいと思っています。

●バーチャル・マーチャンダイジングとは

VMDを詳しく知りたい方は、当社セミナーへお越しください。
毎月オンラインで開催しています。

●オンラインVMDセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ドン・キホーテ北千住店

VMDとは空間のブランディング

VMDとは空間のブランディング

VMDとは、「買い物空間のブランディングである」と売場塾でよく言っています。
小売店にとっては店舗がブランドですが、小売店という軒下を借りているメーカーにとっては売場がブランドです。

先週、近所に「ドン・キホーテ」がオープンしたので行ってみました。
やっぱり楽しい店舗ですね。
トンネルをくぐるような圧倒的な陳列と過度の装飾、そしてPOPのユニークさ。
この「熱帯雨林陳列」こそがドンキのブランドたるゆえんでしょう。

そして商品もユニークで安い!!
通常5,000円以上はする「モエ・エ・シャンドン」が4,500円で、私の好きな不二家の「LOOKチョコレート」も山積み価格。
こんなわけだから、私を含め北千住に住んでいる人は「またドンキに来よう!」というローヤリティが形成され、ブランディング効果絶大になったのでした。

ブランドは多階層になっている

さてここまでブランドがいろいろ出てきました。
「ドン・キホーテ」は店のブランド、「熱帯雨林陳列」は売場形態のブランド、「モエ・エ・シャンドン」や「LOOKチョコレート」は商品ブランドですね。
さらに、「ドン・キホーテ」は会社のブランドでもあります。

なんだか、ブランドってたくさんあってわかりにくいですね。
ちょっと下記に整理してみました。
ブランドって実は多階層になっていて、冒頭言った「買い物空間のブランディング」はおおよそ、緑色の層に属します。
下に行くほど、メーカーが関わる部分が多くなってきます。

上記ブランド階層図をドンキに当てはめてみましょう。
ドンキの親会社は、「株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」という会社グループの組織がブランドになっています。
その下に事業ブランドがいろいろあって、そのひとつが株式会社ドン・キホーテになるわけです。

ユニクロで言うと、ファーストリテーリングが会社グループブランドで、株式会社ユニクロや株式会社ジーユーが事業ブランドということになります。

ここまでは会社ですが、これから下は店舗名ということになり、まずマスターブランドがあります。
マスターブランドとは核となる店舗チェーンのことで、事業名がそのまま店舗になるのがほとんどです
店舗の知名度やイメージは、「ブランドエクイティ」(知識資産のこと)として既に確立しているので、会社名と店舗名が一緒の方が大衆になじみやすい、ということです。

マスター店舗をさらに「ライン」店舗として、商品や対象顧客に合わせた店のバリエーションをつくっていくのが、ラインブランドです。
ドン・キホーテだと、「MEGAドン・キホーテ」や「ドン・キホーテUNY」になりますし、イオンだと、下記の様に「イオンスタイル」「イオンリカー」がラインブランドになります。

ラインのブランディングは、大きなフロア空間をどうデザインしていくかというVMDが中心になり、ゾーニングや導線、什器レイアウトやそのデザインなども関わってきます。

これから先の細かい売場施策に関わってくるブランドは、カテゴリーや商品といったブランドで、ドンキの場合は、「情熱価格」や「ありえ値え!」といったプライベートブランドや、「昆虫食のTAKEO」といったメーカーブランドになってきます。

イオンで言うとPB「トップバリュ」や、下着ブランド「BODY SWICH」「PEACE FIT」あたりになります。
ここでのVMDは、これらのPBブランド売場、商品ブランド売場をどうするか?というコーナー対策的なブランディングになります。
ABCマートで言うと、ナイキやプーマのインショップ売場ブランディングになり、メーカーと小売店が協業でVMDを行っていくことになります。

ライン・ブランドを成長させるのは超大変!

実は、ライン・ブランドは浮き沈みが激しいです。
私はもう18年VMDの仕事をしていますが、一世風靡をして消えてしまったライン・ブランドは多いです。

例えば、伊勢丹の「エムアイプラザ」。
これは、伊勢丹の小規模専門店ブランドで、郊外SC中心にかなり展開していましたが、今はほぼ終了間際になりました。

フランフランの原宿的なミステリアスな雑貨店「フランフランUFO」は、一昨年かなり話題を集めましたが、意外と持たず1年で閉店しました。

Zoffの女性業態店舗「コンソメ」は、スイーツショップをベースにした店舗デザインとMDPで一世風靡しましたが、こちらも数年で撤退。

そんな中、「ワークマン女子」や「ジーユー」などは、数少ない成功ライン・ブランドと言えるでしょう。

いずれにしろ、「百貨店」や「GMS(総合スーパー)」という業態ブランド自体が縮小していく昨今、マスター・ブランドのみの運営では、企業として心もとなくなりました。
なので、みんな必死でライン・ブランドを開発しています。
ましてや、特約店、FC店、代理店形態で直接ライン・ブランドを運営できない事業ブランドも多いので、本部として四苦八苦してVMDしているお得意先も多いです。
そんなブランドをやりくりしているクライアントの皆様、売場塾卒業生の皆さん、がんばりましょう!!

階層どうしのブランドのせめぎあい

ブランドの階層構造、だいたい分かったと思います。
この階層構造、いつも同じではなくて時代によりトレンドにより、せめぎあいが続いています。

特にマスターブランドの中に、インショップブランドが入る場合
家電業界で言うと、ビックカメラ。
昔は、ソニーやパナソニックなどのインショップメーカーとしてのブランド色が強く打ち出されていましたが、今はビックカメラのブランドが強く打ち出されていると思います。
今のビックを見ると、メーカーのPOPがほとんどありません。
フロアの見え方が均一になって白く、すっきりしています。
バーミキュラやダイソンのような強力な差別化ブランドでなければ、カテゴリーの中に包括されてしまうメーカーも多くなってきました。

「どこのメーカーの商品も同じ」時代に、マスターブランドである小売店が今一度店舗ブランドを見直しているのではないかと思います。
でないと、生き残っていけないからでしょう。

コロナ禍の後に、どんな風にブランド階層が変化していくか。
これからも推測していきたいと思います。

(vmd-i協会事務局)