今回は、個性的なディスプレイをつくるための法則、その2演出性です。
個性的なディスプレイをつくる法則は3つあります。
●個性的なディスプレイ制作の3つの法則
1.審美性
2.演出生
3.創造性
その1の「審美性」については下記をクリックして復習してください。
●ディスプレイの審美性は美的形式原理から成り立つ
https://www.vmd-i.net/vmd-uriba/pisplay-7principles/
今回も、カフェテーブルと売場写真を交えてわかりやすくお話しします。
それでは行ってみましょう~。
1.ディスプレイの演出は、映画や舞台の演出と同じ
演出家という言葉を知っていると思います。
映画や舞台で言う監督のことです。
「スターウォーズ」の壮大な宇宙の物語を演出しているジョージルーカス。
「酒と涙とジキルとハイド」のクラシカルな研究室を舞台として、物語を演出している、三谷幸喜。
いずれも監督です。
監督は舞台だけでなく、役者はもちろんのこと、大道具・小道具、照明、効果、音楽、脚本などすべてを演出しているプロということになります。

上の写真を見てください。
美しい女性の写真です。
ただ、背景が白く、女性のファッションもわかりません。
これに演出を加えてみましょう。

しい。まるで森の中の妖精ですね。
美しい田舎娘がシャボン玉を吹かしていて、手にカゴを持っています。
これから木の実を取りにいくのでしょうか?
そこで出会うのは、白馬の王子か、はたまた魔女か?
そんな予感がしてしまいます。
そうなんです。
演出というのはディスプレイに物語を感じさせることなんです。
ディスプレイは静的ですが、演出性を加えると、映画のフィルムの1コマのようなディスプレイになります。
つまり、物語から切り取られたような動的な存在に変わるんです。
2.演出性のあるディスプレイ カフェテーブル

演出性のあるディスプレイとはなにか。
例えば、上写真はコーヒーを飲んでいるシーンです。
リラックスして飲んでいる雰囲気は伝わりますが、演出性はありません。

こちらはどうですか。
なにか物語性を感じませんか。
そう、可憐な乙女が恋しいあの人を想って、バラの花びらょ一枚一枚ちぎっているような・・・。
そんなストーリーを感じます。
この後、彼女はどうするのでしょう?
思い切って恋を打ち明けるか、それとも勇気がなくそのままなのか?
あるいは、その恋人もう死んでいるかもしれないですね・・・。
もうひとつ行きましょう。
こちらは黒猫ケーキをディスプレイしたカフェテーブル。

これにオカルト映画みたいな演出性を表現してみましょうか。
こんな感じ。

なんか怖いですよね。
蛾は飛んでいるし、芋虫はいるし、ぬるぬるのお化けもいます。
3.演出性のあるディスプレイ 街のディスプレイ

これは新宿伊勢丹のウインドウ。
かなり前の写真で、いいなと思って撮影したものです。
これはもう、「不思議の国のアリス」って感じですね。
うさぎの穴から異世界に落ちしてしまい、バラ園にたどり着くシーンのようです。

これはハワイのバカンスで楽しんでいるようなシーン。
ワイキキのデパートのVPです。
ホテル「ハレクラニ」のプルーサイドでバカンスしているご婦人のようです。
こんな感じで、マネキンに服をコーディネートするだけでなく、商品の周りを演出すると、そこは舞台や映画の一コマに昇華します。
それがディスプレイの「演出性」というものです。
4 演出性を取り入れるにはどうすればよいか
ディスプレイに演出性を取り入れるためには、どうしたらよいのでしょうか?
それには下記の4要素が必要です。
●シーン設定
●プロップス
●シーナリー
●演出POP
●しぐさ
ひとつひとつ解説します。
●シーン設定
ディスプレイには、必ずテーマというものが必要です。
ドラマチックな演出をディスプレイに取り入れるには、「シチュエーション」というテーマが必要です。
アパレルでよく使うオケージョンと似ていますが、映画のシーン設定と考えてください。
例えば先ほどの例ですと、
・気が付いたら秘密の花園にいたアリス
・リゾートのプールサイドでカフェしている婦人
というような感じです。
通常のアパレル・オケージョンだと、「通勤」「花見」「アフターファイブ」みたいな言い方になると思いますが、具体的にどんなシチュエーションなのか、深く落とし込みます。
「通勤」→「今日から丸の内通勤ではりきる私」
「花見」→「女子会花見はスイーツ持ち込み会」
「アフターファイブ」→「アフターファイブのジム通い」
このくらい深く設定しないと、シーンに行きつかないからです。
シーン設定は、商品のコーディネートだけでなく、プロップスやPOPといったディスプレイ用品にも深くかかわります。
●プロップス
Propsは元々舞台用語で、小道具のことです。
舞台セットなどの大道具と違い、ランプや本、花瓶や時計など小物を指します。
ただし、舞台では椅子やテーブル、冷蔵庫やキャビネットなどの大きなものも小道具です。
それより大きな神輿や自動車やもすべて小道具と心得てください。
例えば、下の写真を見てください。
マネキンの服とテーブルの上の商品以外はすべて小道具になります。
クリスマスツリーやヒツジ、テーブルや雪(みたいな綿)も小道具です。

プロップの種類は、と言うと下記になります。
・ツリーとひつじ・・・オブジェ
・雪の綿・・・マテリアル
●シーナリー
Sceneryといい、背景美術のことです。
オペラや宝塚の舞台背景と同じです。
前述の「リゾートのプールサイドでカフェしている婦人」のVPをもう一度見てください。
背景はオーキッド模様になっていて、トロピカルな世界観を演出していました。
シーナリーがないとどうなるでしょうか。
試しに、ディスプレイ後ろの壁を取ってみます。

どうですか。背面あるなしを比べてみてください。
Afterはリゾート感がまったくなくなりました。
それもそのはず、背面にデパートのフロアが広がっているからです。
ハレクラニのプルーサイドの世界観は消滅しました。
改めて図で解説すると下記になります。
シーナリーは背面、つまり壁があってこそ成り立つということがわかります。

これを閉合の法則といい、壁が多くなればなるほど閉ざされた空間になり、世界観は広がります。
なぜなら、閉ざされた空間は、お客様の目線360度に世界を訴えることができるからです。
閉合の法則、詳しくは下記をご覧ください。
○閉合の法則
https://vmd-blog.oval-link.co.jp/?p=1439
●演出POP
演出POPとは売場における、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記がそうです。
- モデルやタレントのポスター
- 自然の風景写真
- 祭りやパーティなどのオケージョン写真
- 木やメタル、布などの素材写真
- まんがやアニメのキャラクター
- イラスト・アートデザイン
例えば、下記の写真が演出POPです。

恰好いいですね~。
3人ともミリタリー柄をまとっているのに、アウトドアっぽくないです。
なぜなら背面POPパネルがリッチなレジデンスを映しているからです。
ワイルドだけど、ノーブルな世界観を醸し出しているのは、演出POPのおかげでした。

ユニクロの銀座のウインドウも演出POPバリバリです。
「Life Wear」のコンセプト通り、普段着のウェルビーイングな生活感を醸し出していました。

レスポートサックのウインドウ。
秋のドライブにレスポのバッグ持っていくなんて素敵ですね~。
車から、クラシックテイストが感じられます。
ウインドウVPに、何も予算掛けられない場合は、ぜひ演出POPを背面に設置してください。
タペストリーみたいに垂らすのもいいし、パネル立てを利用してもよいです。
商品の持つ世界観を発信することができます。
●しぐさ
マネキンを使って演出している人は、ぜひマネキンにしぐさをつけてください。
立っているだけのマネキン、手足がないマネキンでもある程度は演出できますが、やはり手足・首が動いている「しぐさ」があれば、情景がわかるというもの。

これは立っているだけのマネキンです。
シーンはあまり感じられないです。

これはダンスをしているシーン。
仲睦まじい二人のデートシーンのような一コマ。
ダンス終わったら、どこにいくのでしょうか。
男性がささやいているようです。

これは昨日撮影した銀座のウインドウ。
ものすごくシュールなディスプレイでした。
右側のしぐさは「忘れ物です」「ちょっとアンタ」「お願い待って」という感じでしょうか。
左側の2体は、噂話、ひそひそ話、ゴシップ話しているみたいな感じ。
明るい会話しているようには見えないですね。(笑)
以前私は、デパートの財布売場のディスプレイにしぐさがつけられないか、アームマネキンで演出してみました。


どうですか。おもしろいでしょう。
手だけでこんなしぐさができるんです。
しぐさがあるだけで、映画のシーンのようにディスプレイに物語が生まれるんです。
なお、しぐさは人間だけではなくて、動物でもかまいません。
ライオンでもカブトムシでもいいです。

4.まとめ
演出性の取り入れ方わかりましたでしょうか。
下記の5つのポイントを押さえてディスプレイをつくると、演出性を加えることがてきます。
●シーン設定
●プロップス
●シーナリー
●演出POP
●しぐさ
すると、あなたのディスプレイは、まるで映画の中のワンシーンのように、見る人の心を揺さぶります。
個性的なディスプレイのつくり方、次回は「3.創造性」について語ります。
楽しみにしてください。
●個性的なディスプレイ制作の法則
1.審美性
2.演出生
3.創造性
なお、センスアップセミナーの7月2日は、「商品展示」についてです。
上記3つの法則もレクチャーの中に含まれています。
ディスプレイを個性的にしたい方は、ぜひご参加ください。
ワークショップ付きのオンライン1時間セミナーとなっています。
○センスアップセミナー「商品展示」
https://www.oval-link.co.jp/seminars/senseup-display8.html
どなた様もお気軽にご参加ください。
(VMDインストラクター協会事務局)
