以前、ディスプレイの構成は下記3つをベースに考えると、個性的で美しいディスプレイができると簡単に解説しました。
●個性的なディスプレイ制作の法則
- 審美性
- 演出生
- 創造性
上記ブログはコップで簡単に説明しましたが、今度はカフェテーブル・ディスプレイと実際の売場写真を使って詳しく説明します。
今回は、1.審美性についてお話しします。
0.審美性とは

審美性とは、美しさそのものという解釈です。
つまり、このモデルの顔のように均整の取れている状態と思ってください。
一般的に目、鼻、口などのパーツが左右対称(シンメトリー)に配置され、黄金比と呼ばれるバランスが整っている端正な顔が美しいです。

美ボディに関しては、八頭身という、頭から足元まで8つに体のパーツが分割できている比率になっていると美しいと言われています。
これをプロポーションがいいと言います。
左右対称にしても、プロポーションにしても下記の美的形式原理に当てはまります。
美的形式原理は7つです。
- 調和 ハーモニー harmony
- 均衡 バランス balance
- 対称 シンメトリー symmetry
- 比例 プロポーション proportion
- 対比 コントラスト contrast
- 律動 リズム rhythm
- 階調 グラデーション gradation
この7つの原理を活用すれば、あなたのディスプレイはたちまち美人になります。
以下、カフェテーブルと売場のディスプレイ例を使って解説します。
1.調和 ハーモニー

ハーモニーとは、音楽用語では、2つ以上の音が同時に鳴って美しく響くことをいいます。
ディスプレイ用語では、いくつもの商品でテンポよくきれいに陳列または展示されることをいいます。
例えば、上写真は「アースディ」というテーマでつくったカフェテーブルです。
水に浮いているゴミを模しましたが、美しい風景だと思いませんか?
それは、下記を理由にハーモニーを感じるからです。
・等間隔にゴミが浮いている
・すべてのゴミは斜めに浮かんでいる
・向きがあちこちにまんべんなく向いている
・コーヒーカップとゴミと玉は違和感なく存在している
売場の事例を見てみましょう。

米国のキャンディ屋さん、シュガーフィナの売場です。
キャンディが3つのカタマリでとびとびに並んでいます。
下段の箱も3つ4つ固まっておかれているけれども、バラバラ観はありません。
なぜなら上段のキャンディと同じく、隙間を入れて等間隔に並んでいるからです。
売っている商品はいろいろな種類があるけれど、バラバラに見えない。
それは調和、ハーモニーが感じられるからです。
2.均衡 バランス

バランスとは、気持ち的な重量感が取れているということです。
やじろべえみたいなものです。
例えば、上写真は「スマートボール」というテーマでつくったカフェテーブルです。
ネスプレッソの空き箱でつくりました。
一見、ボールが動いているように見えると思います。
しかし、動いているからといって、左右どちらかに偏っているようには見えないと思います。
全体のバランスがよいからです。
その理由は下記です。
- テーブル全体に重量感が均一に行くようにモノを配置
- ボールは動いているように見えるが、方向に偏りなく配置
- コーヒーカップとケーキ、ミルクピッチャーも偏りなく配置
売場事例で言うと下記です。
デトロイトのブランド「シャイノラ」のノート売場です。
棚が互い違いになっているにも関わらず、壁全体のディスプレイは均衡がとれています。

3.対称 シンメトリー

美心の顔は左右対称です。
目や鼻、口が左右対称に配置されています。
美人なディスプレイも左右対称です。
ただ、美的形式原理の対称は、左右対称でなくても、斜め対象でも、上下対称でも構いません。
重心が中心にあり、見た目にも感覚的にもバランスが取れている状態ならOKです。
例えば、上写真は「公園の花時計」というテーマのディスプレイです。
またもや、ネスプレッソの空箱で作成しました。
花時計を中心に斜め対称になっているのがわかります。

上はブルーミングデールスのチョコレート売場ですが、左右対称にギフト箱が並んでいるのがわかります。
重量感も左右で均衡がとれています。
4.比例 プロポーション

比例とは別名マスターパターンのことです。
マスターパターンとは、等分割、黄金分割、ルート2分割、ルート3分割などがあり、ディスプレイを四角く分割した場合のバランスがよいことをいいます。
詳しくは下記ご覧ください。
例えば、上写真は「夕日の海原」というテーマのディスプレイです。
ランチョンマットの境に注目してください。
上部分が空で、下部分が海です。
空の高さを1とすると、海の高さは0.618になっています。
つまり、黄金比率になっています。
今度は下記を見てください。
テーマは「入道雲の海原」です。
上部分が空で、下部分が海です。

空の高さを1とすると、海の高さは1になっています。
つまり、等分割になっています。
このように、マスターパータンをディスプレイに取り入れれば、プロポーションのよいモデルのように美しく見えるのです。
売場事例を見てみましょう。

これは紳士服のVPですが、右の小物とマネキン2体の配置を見てみましょう。
ラインを引くと上下・左右に等分割されていて、その範囲内に各々が収まっているのがわかります。
この場合の比率は、上下左右が1:1です。

ちなみに身の回りのもの、それがスマホでもドアでもポスターでも、外形はすべてマスターパターン内に収まります。
商品デザイン、建築デザイン、広告デザインの別なく、美しいデザインはすべてマスターパターンを応用しています。
5.対比 コントラスト

コントラストはモノの強弱がはっきりついていて、メリハリがあることを言います。
メリハリがないと、全体がぼんやりとした霞かがったディスプレイになってしまいます。
上写真は、「コルクタイムズ」というテーマでつくったディスプレイです。
コルクボードの上に、それと似た質感・色のバッチャン焼き陶器を置いています。
全体的に薄茶色のぼやーっとした空気感が漂っています。
一方、下写真を見てください。

「ブラックアンドホワイト」というテーマでつくったディスプレイです。
先ほどの「コルクタイムズ」と比べると文字通り白黒はっきりついたコントラストになっています。
対比はこのような「色の対比」の他に下記の要素があります。
- 大きさの対比・・・大きい・小さい
- 形の対比・・・四角と丸
- 質感の対比・・・つるつるとざらざら
- 密度の対比・・・多い・少ない
- 光の対比・・・明るい・暗い

アメリカのスーパー、セイフウエイの生鮮売場です。
中央のパブリカを見てください。
下記3つのコントラストがあります。
色・・・そこだけ鮮やか
形・・・そこだけ棚がカーブしている
密度・・そこだけモノが密集している
コントラストが効いている売場は、お客様の注目度が高く、「おやっ」ということで売場に立ち寄る可能性を大にしてくれます。
6.律動 リズム

朝起きてすがすがしいのは、外で鳴く鳥の音がリズミカルだからです。
工事現場の雑音とは違います。
同じように、リズミカルな陳列は売場を見る人に心地よさを感じさせます。
商品がバラバラに陳列されていると、廃品置き場と化してしまうでしょう。
上写真を見てください。
テーマは「踊るマカロン」ということで、CD上に色とりどりのマカロンを、まるでダンスしているように置きました。
リズミカルに感じる理由は下記の4点です。
・CDの配置がクネクネしていること
・クネクネのラインが二つ平行して走っていること
・マカロンを立ててディスプレイしていること
・マカロンの向きをあちこち向けていること
それでいて、他の食器は一様に左下を向いています。
マカロン、アンドゥトロワみたいにワルツ踊っていますね。(^^)

売場事例を見てみましょう。
上はアメリカのレゴブロックの売場です。
まずは棚を見てください。
棚が横一線ではなくて、上下に揺れていますね。
まるでゆらゆら波に揺れているようです。
そして、商品である箱を見てください。
平置きしたものと縦置きした商品が交互に並んでいます。
商品が「寝ている」シェルビング、「起きている」フェイスアウトを繰り返しています。
そのくせ、最上段の商品の高さは真横一線に整っています。
壁の上部分は白くきれいに保たれていて、その下の商品群はゆらゆらしています。
この寄せては返す波のようなリズミカルな壁面ディスプレイは、アクティブに遊ぶ玩具、レゴブロックにピッタリでした。
7.階調 グラデーション

沈む夕日、雨が止んだ後の虹、近づいて来る黒雲、自然界にはグラデーションがいっぱいです。
ディスプレイもこのようになっていると、自然界で見慣れている状態なので、なんだか心が落ち着きます。
上写真は、中央のオブジェに向かって水色から濃紺へとグラデーションしていくディスプレですイ。
テーマは「深海の生物」です。
海の底の生物を探査するようなブルーグラデにしました。
グラデーションはこのように色を使うことが多いのですが、下記もグラデになります。
- 大きさ・・・小さい→大きい
- 光・・・暗い→明るい
- 数量・・・少ない→多い
- 形・・・丸→楕円→長円
売場例を見てみましょう。
下は紳士の売場ですが、ネクタイが虹色にグラデーションしています。
気持ちいいですね。

今度はワイシャツに注目してください。
こちらも虹色配色しています。
なんだかワクワクしますね。(^^)

8.まとめ
美的形式原理、だいたい分かったと思います。
この原理、ドイツのバウハウスが体型化したのが始まりのようです。
よくできています。
ただ、7つの項目ひとつひとつで独立して使うものではなく、複数組み合わせて使います。

例えば、このディスプレイは下記の要素を使っています。
テーマは「ブラックアンドホワイトの置き物」。
- 調和 ハーモニー harmony
- 均衡 バランス balance
- 対称 シンメトリー symmetry
- 比例 プロポーション proportion
- 対比 コントラスト contrast

このディスプレイは下記です。
テーマは「花見の団子」。
- 調和 ハーモニー harmony
- 均衡 バランス balance
- 対称 シンメトリー symmetry
- 階調 グラデーション gradation

このディスプレイは下記です。
テーマは「ジャズ」。
- 均衡 バランス balance
- 対称 シンメトリー symmetry
- 比例 プロポーション proportion
- 対比 コントラスト contrast
ディスプレイにいそしんでいる皆さん、ぜひ美的形式原理を活用して、審美性を追及して「美人なディスプレイ」つくってくださいね。
そして次回のブログは、「個性的なディスプレイ制作の法則」その2.演出性に進みます。
お楽しみに!!
●個性的なディスプレイ制作の法則
1.審美性
2.演出性
3.創造性
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毎月開催しています。
次回は3/26(木)です。
(VMDインストラクター協会事務局)


















