VMDの学校、売場塾メソッド、「フレームワーキング」とは何かについて、マンガを書いてみました。
まずは4コママンガをお見せします。




1コマ1コマ解説します。
1.売場をカメラアイで見る

人間の目の視野角って左右200度以上になるんです。
左右真横で180゜になるので、後ろも見えているということです。
ただし、有効視野角は60゜なので、60゜から200゜は、はっきり見えているのではなく、ぼんやりなんです。
さらに60゜ははっきり見えていると言っても、人間の目はスコープではありませんので、60゜より外の画像も多分に視覚的な影響を受けます。
例えば、ハンサムな男子があなたの目の前に立っているとします。
あなたの目は、ハンサムな男子をはっきりと捉えますが、男子の背景や側面も同時に捉えています。
ハンサムの背景が洞窟の中だったり、檻の中だったら「この人不気味だな」とか「ワルなのかな」と感じます。
反対に、背景がお花畑や遊園地だったら、「まあ、きれいな人」とか「楽しそうな彼氏」と思うでしょう。
これは感情の錯覚で、周りがキレイだとその人も潔癖だと感じ、周りがおどろおどろしいと「アブナい人」と感じてしまうということです。
たとえそのハンサムが本当に潔癖で礼儀正しく、やさしい人でも周りの風景によって真実は間違って受け取られてしまうんです。
これは売場に例えると、キレイなショッピングモールにテナントで入っているお店は、たとえその店がVMD的にダメな店でもキレイに見えてしまうことです。
私たちVMDインストラクターは店舗診断をする際に、この周りの景色をシャットアウトしたお店の真実を探り当てなければいけません。
なので、目をあえてカメラのファインダーにすることで、周りの風景をシャットアウトするんです。

例えば、パンダが好きなあなたは、パンダぬいぐるみ売場を見て「かわいいー」と、ついついVMDの花まるを付けていませんか。
パンダ売場を見る目をカメラアイにしてみましょう。
すると、「下のパンダのフェイスアウトがないな」と気づきます。
つまり、大きなパンダまくらの顔がないことに気づきます。(下写真)

こんな感じで他の風景をシャットアウトすれば、快場の水準に達していないマイナス要因が簡単に発見できるんです。
VMD担当だけでなく、店舗スタッフも同様にカメラアイで自分の売場を見ることをおススメします。
前述の通り、46時中お店にいるスタッフはキレイな商業施設のフロアにいるので、自分たちの店もキレイと勘違いしています。
そこで、カメラアイで売場を見ると、あら不思議、悪いところが浮き出てくるんではありませんか。
まずは売場を正しく見るために、あなたの目をカメラアイにしましょう。
2.カメラアイの写真と似た画像を思い描く

カメラアイの捉える画像は、フロア全体から、ゾーン、グループ、棚の陳列、POP、そしてディスプレイと多岐に渡ります。
次々と見る売場は必ずカメラのファインダーを覗くように見てください。
すると、「おや」という被写体がファインダーに映ります。
この「おや」というのは明らかに違和感です。
それは「こんなはずではなかった」という素直な感情です。
「おや」と感じたのは、頭の中に過去の「おや」の画像が反応しているから。
例えば、先ほどのパンダの売場を見て「おや」と思ったのは、過去に映画館の怪獣ぬいぐるみ売場で見たあの違和感と同じでした。
そして「あの時とフェイスは同じになっている」というマッチングが突如起こります。
そう、ウルトラマンを見に映画館に行ったときに見たガボラと同じ状態になっているパンダに気がついたんです。

「そういえば、あの怪獣売場、フェイスがひどかったな」
そう思う反面、こんな売場画像とのマッチングも起こります。
ディズニーランドのぷーさんの売場、しぶちかのコロッケの売場・・・。


その他にもマッチング画像は続々出てきます。
過去に記憶したよいフェイシングも、悪いフェイシングの画像も、頭の引き出しから出てきます。

※ちなみに、この中でマイナスの写真は三角形の写真です。
フェイシングの事例を画像として頭の引き出しに入れているVMDインストラクターは、こんな感じで瞬時に感じた違和感を、引き出しの画像とマッチングすることによって「フェイシングが悪い」ことがわかるんです。
このマッチング時間は慣れるとたったの5秒で行われます。
3.フレームワーク用語を想起する

問題はどうして画像をすぐにマッチングできるのか?です。
言うまでもなく、画像の蓄積が少ない人は、その分マッチする画像が少ないので、「ひとつ、二つの事例でダメと言っていいのかな」と不安になります。
そう、事例画像が少ないと不安になるんです。
だから経験や実績を積んだり、常日頃から売場を見て訓練しないと、事例画像はアタマに蓄積しないんです。
VMDインストラクターは常日頃から、VMDの仕事中でなくてもいろんな売場をカメラアイで見ているので、経験として引き出しに画像が溜まっています。
だから優秀なVMDインストラクターはアタマの引き出しに事例がたくさん詰まっているんです。
ただし、引き出しに画像を溜める際の注意始点として、引き出しに名前を付けないとランダムな記憶のスクラップになる・・・ということを言っておきます。
写真を丁寧にアルバムに収納するように、頭の中に整理整頓して溜めるんです。
それには、引き出しに「55のフレームワーク用語」を付けるといいでしょう。
VMDインストラクターは、55のVMD専門用語を知っているので、引き出しに下記のような名前が付けられています。
- フェイシング
- リレーション
- POP編集
- ゾーニング
- VMD分類
- くくり
などなど最低55の引き出しが頭の中に入っています。
さらに細かく、
- ネガティブスペース
- キャッピング
- コネクトポイント
- コントラスト配色
- アメーバ
などというような引き出しも持っているでしょう。
まるでAIが世界中のサイトを検索して瞬時に画像を持ってくるように、VMDプロは画像を探して当てます。
流行りのAIにフレームワーキングをなぞらえると、引き出しはタグのようなものです。
実際に、売場の写真を撮影しているVMDプロは、その写真にタグ付けをして保存してますので、フレームワーキングはまさにタグ検索と同じと考えてください。
※ちなみに写真のタグ付けの仕方はこちら。
●タイパ!売場写真整理術
みなさんがスマホで写真を日々撮っても、整理して保存しておかないので、スマホはほとんどデータのゴミ箱と化していることでしょう。
それと同じです。
4.画像に紐づけられたフレームワークを解説する

そして4コマ目は、VMDインストラクターである所作、アドバイスです。
アタマの中から取り出された画像は、あくまで仮想的な画像です。
写真としてプリントアウトできないし、エスパーでもないのでケータイに念写することはできません。
ではどうするか。
それは画像に紐づけられたフレームワーク用語をベースにして解説します。
先ほどのフェイシングかよい画像・・・
- ディズニーランドのプーさんのぬいぐるみ売場
- しぶちかのコロッケ売場
- ビクトリノックスのナイフ売場
- フレッドペリーのポロシャツ売場

それらの共通項である「よいフェイシング」とは何かを語るといいんです。
その画像を想像しながら語るんです。
画像はアタマの中に収納すればするほどVMDインストラクターとしてのコンサル能力が増します。
特に画像は
- 自動車
- 着物
- 家
- 書籍
- オーディオ
- ネズミ捕り
- 風邪薬
- タイヤ
- 冷蔵庫
などなどあらゆるアイテムの売場の画像をアタマの引き出しに収納してしましょう。
つまり、VMDコンサルになるのは食わず嫌いにならないことをおススメします。
でないと、どんな業種・業態・取り扱い商品でも対応できるVMDインストラクターにならないからです。
まとめ
だいたいわかりましたか。
売場塾独自の手法、フレームワーキング(R)。
今回はマンガで書いてみました。
マンガで書くのは、このブログ以来でしたよ。(笑)
●PP,IPと外国で言っても通じない
実のところ、このフレームワーキングという手法は専門的な分野ならどこの分野でもやっていることです。
そもそもフレームワークとは型のことであり、どんな業界でも存在しています。
例えば、
- 医療業界
- 天文学業界
- 薬品業界
- 物流業界
- IT業界
- 広告業界
- 建築業界
といったみんなが関係する業界でも型は存在します。
それどころか、
- 釣り業界
- ペット業界
- スキー・スノボ業界
- 園芸業界
- 飲食業界
- ツアー業界
といった趣味関連でも型は存在するんですね。
例えば、ルアーフィッシングされる方は、
・ジギング
・フローティング
・バンプアンドキック
・マッチザベイト
などなどいろいろな型を知っています。
白鳳が横綱のころ、「型をもっているヤツは強い」と言いましたが、まさにそれ。
スポーツ業界はほとんど型を中心に選手がしのぎを削っています。
基本的な型はもちろんのこと、
・振り子打法
・スイーパー
などオリジナルな型を持っているイチローや大谷翔平みたいな選手もいます。
型を知るだけでなく、あなた独自のオリジナルな型を持つと、もっと強く超人になれるんです。
VMDプロを目指しているみなさん、ぜひフレームワーキング、会得してくださいね。
VMD業界のイチローや大谷翔平になってください。(^^)
フレームワーキングについて詳しくはこちらです。
●フレームワーキング
(vmd-i協会事務局)