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カフェテーブルのディスプレイ

客の目を引く4次元ディスプレイとは

今回は次元ディスプレイの話をします。
ディスプレイは次元で捉えることができ、店の商品を陳列したり展示したりするときの表現方法として活用できます。
すなわち、お客様から見たディスプレイ空間の感じ方を変化させることができます。

わかりやすくお教えするために、リビングのカフェテーブルを題材にお話しします。
まずは1次元から初めて、2次元→3次元→4次元と続けていきます。
それではいってみましょう。

1. 点は1次元のディスプレイ

1.1次元のイラスト

1次元は点です。
広い空間にぽつーん、と1点あるディスフレイです。
上のイラストだと、白い空間にぽつーんと黄色い点がる状態です。

点だけなので、表現としてはカフェテーブルにぼつーんと1客のコーヒーカップを置いただけの状態です。

食器棚の中のカップたち。これも1次元なんです。
私は毎朝、ここから好きなカップを選んでいます。
順番待ちのカップというわけですね。
この状態は、店のバックヤードに置いてある在庫商品と同じです。
店の棚に置かれる前の商品のディスプレイというわけです。

見ると、カップが棚ごと横一線に並んでいます。
線のように見えますが、点であるカップが横にズラッと並んでいるので線に見えるんです。

線は点の集合。線も同じく1次元のディスプレイです。

2. 絵は2次元のディスプレイ

3.2次元のイラスト

上のイラストは2次元を表しています。
赤い線は、あなたが立って見ている、水平視野角35度の線です。
まるで絵を見ている様ですね。
1次元の点が板の上にちりばめられた表現です。
黄色い点がエアブラシで噴かれたように四角い板を埋めています。

このように、2次元のディスプレイは絵のようなものです。
油絵絵や水彩画、写真と同じです。
これらは正面から見てこそ価値があります。

例えば、美術本や写真本は斜めに撮影した絵の写真を掲示してないですね。
どの本も正面から見た絵や写真を掲示しています。
モナリザは正面から見ることにより、よさがわかるものです。

上の写真を見てください。
先ほどの食器棚のカップをいくつか使って、「絵」をつくってみました。
ランチョンマットやプロップスも使用しています。
テーマは「パンデミックファミリー」。

この「絵」を見ると、感じるものがあるはずです。
そう、驚いている人の顔が感じられます。
テーブル上に広がっている不安で不気味な世界は、実は真正面からでないと恩恵を受けないんです。

試しに斜めから見てみましょう。

正面から見たものと違って、「パンデミックファミリー」というテーマがわかりにくいですよね。
30秒くらい見てやっと人の顔だと分かると思います。

やっぱり正面から見ないと、大きい二つの丸はマスクをかけた両親で、小さい二つの丸は子供ということも感じられないと思います。
これはコロナ禍で動物園に行った家族が、動物がコロナで死んでいるのに驚いている「絵」だったんです。

これが2次元のディスプレイの特徴です。
2次元のディスプレイは立体的でないので、正面から見た時しか本領は発揮できないんです。

3. 展示は3次元のディスプレイ

6.3次元のイラスト

3次元のイラストは展示物そのもの。
上のイラストを見てください。
四角いオブジェが置かれています。

奥行きが感じられると思います。
四角いオブジェを真正面から見た図は先ほどの2次元のイラストですが、斜めに見ると、パース線が左右に終点に向かって伸びています。
建築用語でいうと2点透視の状態です。

2次元のパースラインはどこまで行っても平行のままで、終点で交わることはないのですが、3次元のディスプレイは2点または1点で交わるのです。
奥行きがあるのでモノは立体的に見えます。

これは美術館で彫刻を見ているようなものです。
絵は壁に掲示されていますが、彫刻は壁から離れて置かれています。

これはどの位置からも彫刻を観賞できるようにしているからです。
正面→斜め→横→後・・・と位置を変えて彫刻を眺めると、像の表情や情報が変わり楽しいですよね。
発見もあると思います。

そこが3次元のいいところです。

7.クリスマスの絵のようなディスプレイ 正面

カフェテーブルで「クリスマス」というテーマで2次元のディスプレイをつくってみました。
やっぱり平面的。絵の様です。
下の写真のように、斜めから見ると気持ち、クリスマスのテーマは薄れてしまいます。

8.クリスマスの絵のようなディスプレイ 斜め

今度は立体的な3次元のクリスマスにしました。
オーッて感じ。
高々そびえたっています。

正面上斜めから見ると、その恩恵を受けます。

9.クリスマスの立体ディスプレイ 斜め正面

でも、真上から見た「絵」にすると、ツリーとわかりません。
平面的で味気ないと思うでしょう。

9.クリスマスの立体ディスプレイ 正面

あなたが店で商品展示を行っている時、遠くから奥行きが感じられるか、客目線で見て確認してください。
平面的にべたっと見えたら、それは「絵」と変わらないです。

4. ワフティングは4次元のディスプレイ

10.ワフティングしている4次元のディスプレイ

4次元のディスプレイは、展示物が空中に浮かんでいるような感じになります。
上のイラストを見てください。

赤い線はあなたが立って展示物を見ている水平の視線です。
展示物が視線の上に下に配置されています。

上にある展示物は見上げる。
下にある展示物は見下ろす。
先ほどの3次元は左右の奥行きを感じたのですが、今度は上下の奥行きも感じます。

11.銀座シックスのパンのディスプレイ

上の写真を見てください。
ギンザシックスのパン屋です。
グワーッとパンがワフティング(ライザーや棚で商品を空中に浮かすこと)されています。
最上段の棚はすごく高い位置にあるので、見上げなければいけません。
インパクトがありますね!!
ボリューミーでもあります。

12.銀座シックスのケーキのディスプレイ

他方、このケーキ屋さんは先ほどのパンみたいにドサッとディスプレイされていませんが、Gケースの中でケーキが浮いているように見えます。

このように、空中に浮いているディスプレイはオドロキを与えてくれます。
地球上に住んでいると、引力の関係で殆どのものは地面に佇んでいますが、それが空中に浮いているのはオドロキです。

美術館にある彫像でさえも真下から見ることはできません。
なぜなら床にピッタリと足が張り付いているからです。

彫刻を宙に浮かせれば、4次元のディスプレイは可能です。
そのためには、彫像の足の裏さえもしっかり表現を刻まなくてはいけません。

オカルト映画「エクソシスト」で何がオドロキかというと、ベッドで寝ているはずのリンダブレアが宙に浮かぶところです。
アワワワッて感じですよね。

このように、4次元のディスプレイは宙に浮いて人にオドロキを与えてくれます。

13.浮いているカフェテーブル

上の写真は、4次元のカフェテーブルです。
この写真をある時、LINEにポストしました。
すると、これを見た人は「不思議ーっ」と次々にコメントしてくれました。

なんてことない、ライザーがランチョンマットの下に置かれているだけです。
しかし、一瞬見ると浮いている気がするので思わず見入ってしまいます。
これが4次元ディスプレイの効果です。
これが店の中にできていると、お客様は思わず立ち止まって見入ってくれます。

実験してみましょう。
下の写真を見てください。

14.浮いていない菓子箱のディスプレイ

家の中の菓子箱をディスプレイしてみました。
まあ、普通の3次元のディスプレイですね。

これを4次元にしてみましょう。

15.浮いている菓子箱のディスプレイ

オワーッ、浮いている!!
思わず目を止めてしまいますよすね。

どうやって作ったんだろう?
とあなたは思い、まじまじと見てしまうでしょう。

しかし何のことはない、これもやっぱりライザーで浮いているように見せているだけなんです。

下の写真を見てください。
チョコレートを浮かしたディスプレイをつくってみました。
やっばり4次元のディスフレイはパワーがありますね。

カファレルのディスプレイ

5. まとめ

17.まとめのスライド

話をまとめます。
上のスライドを見てください。
ディスプレイは2次元、3次元、4次元の順に注目度が増します。
ディスプレイをつくるときは、なるべくパースライン(奥行き)とワフティング(ふわりと浮いた感じ)を意識すること。
これが大事です。

ぜひ、日ごろのディスプレイづくりで4次元のディスプレイに挑戦してください。
ディスプレイを宙に浮かせることにより、フロアを歩いているお客様の足を止めることができます。

なお、ワフティングに関しては下記を参考にしてください。
●ディスプレイをふわっと浮かせる2つのテクニック

そして、次元ディスプレイの実習に参加してみたい!という方は、1月29日のオンラインセミナーに参加してみよう。
●センスアップセミナー「ディスプレイ構成 PART3」


(VMDインストラクター協会事務局)

実用客と快楽客の対処方法

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART3 2タイプの今後の行方

このテーマ論文もPART3になりました。
今回で最終章となります。

PART1では、お客様は実用客と快楽客の2タイプいる、ということをお話ししました。
PART2では、実用客型店舗、快楽客型店舗の2つのタイプに対するVMD施策を伝授しました。

まだPART1と2、読んでいない方は下記をクリックしてください。
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART1
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART2

これからの問題は実用型店舗の方でした。それをこれからお話しします。

1.実用客型店舗はしだいに快楽客型店舗になっていく

このブログを読んで皆さん、うすうす気が付いていると思います。
そう、実用型店舗はインターネットにシフトしていくということを。

サッと入ってサッと出る、用を足すだけの店舗は、リアルでなくてもよくなりました。
アマゾン、楽天、ヤフーというポータルを筆頭に、文具だったらアスクル、飲み物だったらカクヤス、化粧品だったらアットコスメ・・・といつもの買物ならネットで済むようになりました。
ましてや米やビールなどという重たいものは、届けてくれた方が主婦にとってありがたいです。
コーヒーやプロテインは店に行かなくてもサブスク会員になれば、切れそうな時に宅配便で補充してくれます。
今後は、冷蔵庫の調味料が切れたら自動的に発注し補充してくれる、スマート冷蔵庫も普及することでしょう。

そんなわけで、切れたら買うような商品は、わざわざコンビニやスーパーに行かなくても済んできています。

では、実用型店舗はどう生き残らなければならないか?
それは快楽客型店舗の要素を併せ持つということです。
リアル客にとってのベネフィットをプラスしていきましょう。

  1. そこに行かなければ買えない商品を売る。
  2. 商品そのものでなく、体験も売る。
  3. 店内をいこごちの良いものにする。

一つ一つ説明します。

対策その1. そこに行かなければ買えない商品を売る

ネット社会でも、歩いている時、宅配を待てない時などの不急不要購買できる店舗は重宝されます。
それと、ネットで買えずにそこにしかない商品はやはり店舗に行かなければなりません。
例えば、金のナントカで有名なセブンプレミアムは、ネットで買うことはできません。

対策その2. 商品そのものでなく、体験も売る

商品を買うだけなら、ネットでもできます。
そこに行かなければ得られない体験サービスを売るのです。
キーワードは下記です。

  • 集い
  • 知見
  • 遊び

集いとは、仲間と出会えること。
趣味やライフスタイルなど界隈の人と交わえる時と場所を提供する店舗を目指しください。

知見とは、そこに行っていろいろなものを知り知識の糧になること。
それを与えてくれる店舗になってください。

遊びとは、ワークショップやロールプレイング、ゲームやスポーツなどのことです。
それで来店客を楽しませてください。

このような機能は昨今のスーパーでも取り入れています。
詳しくは下記をご覧ください。
●買い物体験のつくり方

対策その3. 店内をいこごちの良いものにする

店に入るだけで、気分がのる、リラックスできる、興奮できるものにします。
これは五感の仕掛けをいかに店内につくるかにあります。
まずは目です。MDP、すなわちディスプレイを充実させましょう。
見て楽しい、ワクワクするようなディスプレイをつくれたらよいです。
ドン・キホーテUNY、カルディ、ロピア、ハローディなどのスーパーは入店客をエンタメ気分にしてくれるディスプレイでいっぱいです。

耳に関しては、音楽を流しましょう。
心地よいリラックスできるGBMだったら、ギターやピアノソロ、フルートなどの軽い音の管楽器が合います。
フュージョンや環境音楽がよいでしょう。
ムーディなBGMだったら、サックスやベースの効いたジャズがよいでしょう。
アップテンポの心弾むGBMだったら、ボサノバやサンバ、フラメンコやハワイアンなどがよいでしょう。

手に関しては手触りを指します。
気軽に商品に手を触れられる機会をたくさん作りましょう。
服はもちろん、枕やクッションなど触感が大事な商品は積極的に、サンプルを売場に置いて触ることができるようにします。

鼻に関してはアロマがおススメ。
販売目的のアロマではなくて、ショップ用のアロマを用意しましょう。
駅ビルやホテルなどは常時、アロマディフューザーを使用して香りを流しています。
アロマ専門家に頼むと、来店客に合うアロマを調合してくれるので便利です。
チョコレートや赤ワインの香りなど、食欲をそそるアロマを放つこともできます。

舌に関しては、試食・試飲できる場を設けましょう。
お菓子や日本酒の試食・試飲はもちろんのこと、店内にカフェサロンを設けて、お客様をもてなす工夫も必要です。
いつものコーヒーや紅茶でなく、パブティーや梅昆布茶、アップルティーやノンアルワインなど、意外な飲み物でも喜ばれます。

五感に関しては、センサリーマーケティングという考え方があります。
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感を刺激することで、消費者の感情や行動に影響を与え、ブランドや製品の印象を深めるマーケティング手法です。
VMDとの相性がとてもよいので、研究してみるとよいでしょう。

2.まとめ

えー、そんなのコストかかってできないよ、と経営者は思うかもしれません。
確かに、実用型店舗はローコストで店舗を運営しなければいけません。

しかし、今はOMOの時代。オンラインと融合させればコストは浮きますし、レジや接客など自動化する技術もできています。

セブンイレブンが「なにがあるかな、セブン‐イレブン」とCMで謳っています。、ワクワクして入店できる快楽型コンビニを目指しているのがわかります。

また、ファミリーマートが2023年ころからコンビニファッションをやり始め、ファミマソックスなどは累計3000足売れています。
ついでではなく、わざわざアパレルをファミマに買いに来るヤングも相当数いるとのリサーチもありました。
先月も「あそべるコンビニ」と称し、エンタメコンテンツとコラボした品やサービスを続々と仕掛けると発表しています。

もともとの快楽型店舗もうかうかしていられません。
コロナ禍以降、お客様のリアル店舗に対する目も厳しくなっています。
より構えてワクワクを期待するようになっています。
せっかく来てくれたお客様をガッカリさせないように、もっともっとワクワクを盛り上げてください。
VMDの力で乗り切りましょう~。

ということで、この話の続き聴きたい!という方は、銀座のリアルセミナーに来てください。
体験ツアーに参加して、快楽型の銀座店舗を実際に見てみましょう。
どなた様もお気軽にお越しください。

●売場づくりのディスプレイセミナー 11/20(木)10:00開催


(VMDインストラクター協会事務局)

快楽客に対するVMD

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART2 VMD攻略の仕方

PART1の続きです。
お客様は2タイプあり、それぞれ実用客と快楽客と言います。
タイプによって、商品の買い方やお店の業種・業態があることもだいたい分かったと思います。

※PART1まだ読んでいない方は、下記をクリックしてください。
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART1

今回はPART2、それぞれのタイプのお客様に対してどうやって店づくり・売場づくりをしなければならないかをお話しします。
まずは実用客型店舗のVMD施策について論じます。

1.実用客型店舗のVMD対応

そもそもVMDはディスプレイの技術だ、と思われてきました。
VMDに携わる人は装飾のギミックに囚われ、実用客主体の店舗でも華美な装飾をして満足。
「VMD、ここにあり」みたいな感じで業務を行ってきた方もいるかもしれません。

私もVMD会社創業時は、とにかく目立つディスプレイをつくればクライアントである小売店は満足する、そんな感覚になっていた時もありました。

しかし、それでは展示物や造作物、装飾をすることがVMDの目的になってしまいます。
売場を活性化するという本来の目的を達成することができません。

特に実用型店舗は、サッと入ってサッと出て時間をかけない、目的の商品に早く達することができることが求められています。
VMDはここに焦点をあてるべきです。
展示・造作・装飾よりも以下の施策が優先されます。

●実用客向けのVMD

  1. 入店してどこに何があるかわかりやすい。
  2. 最短距離で目的の売場に行ける。
  3. 商品名・価格・容量がすぐにわかる。
  4. 棚の前でいくつかの競合商品を比べられる。
  5. セルフで買える。
  6. レジ清算がスムーズ。

1と2についての施策は下記のフレームになるでしょう。
●分類サインを設置する
スーパーやホームセンターのように、「生鮮」「鮮魚」「コーヒー」「お酒」といった分類サインを目立つように配置する。
●直線通路を配備したフロアレイアウトにする。
直接通路はメイン通路・サブ通路の区別ができるようにレイアウトする。
●什器はストアフロントは低く、奥は高くする。
入口から入って、どこに何があるか見通しをよくするため。

3.4,5に関しての施策は、下記のフレームワークになるでしょう。
●VMD分類とくくりを明確にする。
食品なら、メーカ別・味別・サイズ別など棚割りの際のくくりをわかりやすく設計する。
●POPを画一的に設置する。
商品説明POP、演出POPなどのデザインと設置場所を明確に決め、POP用具も統一する。
●サッと読める短文からなるPOPコピー。
サッと10秒くらいで読める文字数を設定する。
スーパー北野や成城石井のプライスショーカードをイメージするとわかりやすい。
●商品特徴がわかりやすいフェイスづくり。
陳列した商品をいちいち手に持って確認すると時間がかかる。
棚に目を流すだけで、商品特徴が判明するようなフェイスづくりをする。

6に関しての施策は下記になります。
●レジのレーンを多角的にする。
通常レジに加え、エクスプレス、セルフなど、その時の客の希望でレーンを選べるようにする。
●サッカースペースを取る。
サッカー場を広く取り、快適に袋詰めができるようにする。
●自然な客の流れになるようゾーンや通路を整備する。
レジをフロア内から視覚的に分かる位置にし、サインもフロア四方から見えるようにする。
買い物客のフロア内導線に沿った、目当ての商品を短距離に導くルートで位置決めする。

こんなところです。

2.快楽客型店舗のVMD対応

快楽客対応のVMDは従来、百貨店やアパレルショップ、バラエティショップが行ってきた施策を続ければよいです。
ただし、テーマパークのような世界観をストアデザインで表現したり、華美で大がかりなウインドウディスプレイをつくったりするのが、それら業態のVMDだと思わないでください。

それらはハコの中の演出にすぎません。
VMDはMDというワードが入ってるように、品揃えを媒介させてショッピングを楽しむ場=快場をつくる技術です。

快楽客は何といっても、来店前に「構える」のが特徴です。
実用客型店舗はほとんど構えません。
目的のものをサッと買って行くので、店舗に入る心構えはいらないです。
トレーナー姿で入れるし、サンダルでも入れます。

ところが、快楽客は入店するシーンを想像します。
そこに行く服装を決めたり、いっしょに行く人とどんな過ごし方をするか考えたりします。
そしてワクワクときめきくのです。

シャープペンの芯を買いにコンビニに行くとき、ときめきはないでしょう。
でも壊れたシャープペンを新しいものに代えようと文具専門店に行くときは、ときめくかもしれません。
そこにはいろいろなメーカーのシャープペンがあり、試し書きもできる。
POPが自動押し出しできるクルトガみたいなペンをおススメしているかもしれません。
ちいかわやハローキティのシャープペンが、キレイな什器に入って売っているかもしれません。

文具店でも、伊東屋やロフトやハンズの文具売場のような店は、お客様はワクワクしながら入るということです。
1人で行っても楽しいし、友達と行っても楽しい。
彼氏が店の外でつまらなそうに待つ、ということはないでしょう。
例え、買うものがなくても店内を歩けば、誰でも楽しい売場に出会えます。

私たちがやることは、ワクワクしてきた客をガッカリさせない、連れまで楽しませることができるVMD構築です。
その対策を下記に紐解きます。

●快楽客向けのVMD

  1. ワクワク「構えて来る」客を満足させる商品がある。
  2. 回遊通路をそぞろ歩きできる。
  3. 魅力的なマグネット売場がそこかしこにあり飽きない。
  4. 商品そのものだけでなく、商品を取り巻く情報を与えてくれる。
  5. 専門の店員による接客がフォローしてくれる。
  6. ディスプレイを始め、においやBG、照明など五感に訴える演出がある

1に関しての施策は下記になるでしょう。
●MD分類・VMD分類を快楽客に合わせる
お客様の嗜好にあった分類の切り口に合わせて商品を仕入れる。
服だったら、色・柄・サイズの他に、TPOやモチベーション、テイストや季節などがあります。
食品でしたら、製法やアイテムの他に、単品かコースか、産地やオケージョン、人的構成(ファミリー、シングル、カップルetc)などがあります。
これらを踏まえた上で商品を仕入れます。
VMD分類は仕入れた商品を店内でどうやって展開するかの技法です。

2と3に関してはフロアレイアウトになります。
●楽しんで歩ける通路と什器レイアウトにする
そぞろ歩きとは、池泉回遊式の公園をぶらぶらするようなイメージです。
石庭あり、池あり、島あり、竹林ありの、回って四季を楽しめる散歩のことです。
フロアも一直線の通路ではなくて、角があったり島があったり、通りがあったりと、池泉回遊式の什器レイアウトにするということです。

詳しいフロアレイアウトの仕方は下記リンク参照ください。
●什器レイアウトの考え方 PART2;什器配置の型

マグネット売場とは、お客様を引き付ける売場ということです。
倉庫のような、モノがたくさんあるだけのフロアでは、お客様はどこを見ていいのか分からず、最終的に歩き疲れてしまいます。
フロアのそこかしこに視覚的な「寄りどころ」をつくります。
これも詳しくは下記ご覧ください。

●マグネット売場で店内回遊率を上げよう


4に関しては下記になります。
●演出POP、ナーチャーリングPOPを多用する。
価格やサイズ、性能や効能というスペックだけではなく、どんな生活ができるか?とか、どんな自分が表現できるか?と行った付加価値情報が得られる売場をつくるということです。
具体的には、商品を消費するときの気分を醸し出してくれる演出POPや、知識を与えてくれるナーチャーリングPOPなどがおススメです。
演出POPとは、食品ならシズル感あふれる料理の盛り付け例、服ならモデルの着用シーン、車なら友達同士グランピングしているシーンのPOPになります。

ナーチャーリングPOPとは顧客育成という意味の言葉で、お客様に知恵を授けるPOPのことです。
例えば、美容家電ではナノバブルのシャワーがどのように美肌を作ってくれるかのレクチャーを簡潔にPOPがしてくれます。
POPは専門家の代わりになります。

演出POPに関しては下記をご覧ください。
●演出POPでブランド空間を演出する


5に関しては、家電店店員または化粧品店の美容部員をイメージするとわかるでしょう。
押しつけではない、お客様の心に寄り添った接客をしてくれるので、買わなくても大丈夫。
会話が楽しいひと時を与えてくれます。


6に関しては、下記が大事です。
●ショップデザインの明確な設定
●テーマ設定のカレンダーづくり

ショップデザインとは、いわば床・壁・天井・什器という大道具で囲まれた舞台のデザインです。
お客様は観客です。
舞台は、照明や音楽、においで満ち溢れています。
つまりショップデザインは、5感で訴える舞台装置をつくるようなものだと考えてください。
このプランをしっかりやらないと、何の演劇が始まるのかお客様はわからなくなります。

もっと詳しく知りたい方は下記をどうぞ。

●自店の店舗デザインはどうあるべきか


テーマ設定のカレンダー作りとは、時系列でディスプレイのテーマをつくるということです。
こよみをつくるように、店内ディスプレイは毎月毎期1つのテーマに沿って動いていかなくてはいけません。
1月になったらバレンタイン、6月になったら夏休み、というテーマに沿ってフロア内ディスプレイを切り替えていきます。

テーマには打ち出し商品というものがあり、ディスプレイの主役である商品は、テーマに即したものでないといけません。
例えば靴店が夏休みというテーマだったら、アウトドアシューズが来ますよね。
革靴は来ません。

だいたいわかりましたか。
買い物客は2タイプあり、VMDもそれに則してプランしなければいけません。
引き続き、PART3では、二つのタイプの今後を占いましょう。
下記をクリックしてください。

●お客様は実用客?それとも快楽客?PART3

(VMDインストラクター協会事務局)

コンビニで買い物をする客

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART1 買い方が違う2タイプ

今回は、実用的な客と快楽的な客の違いを論じたいと思います。
少し長いお話しになりますので、PART1~3に分けてお読みください。
まずはPART1からです。

海外のVMD理論では、utilitarian shoppersとhedonic shoppersとタイプ分けされていますが、日本語だと下記のように定義されます。

実用客:目的重視の買い物をする客
快楽客:体験・感情重視の買い物をする客

実用的な客の多い店舗と、快楽的な客の多い店舗では、売場づくりが自然と異なります。
店舗デザイン、品揃え、ディスプレイ、体験販促といった、VMDの4分野においてまるで違うアウトプットが構築されます。

1.実用客とは

実用客は下記のような特徴があります。

・生活消耗品購入客
シャンプーやトイレットペーパー、電池や鉛筆、オイルやワイパー、コーヒーや水など、毎日・毎週・毎月使用する商品を買いに来ます。
多くはインターネット購入でも代用可能です。

・生活必需品購入客
下着、ワイシャツ、靴下、惣菜、ビール、DVD、メモリー、花、洗濯ばさみ、ボンド、トンカチなど、日々の暮らしに欠かせない、衣・食・住・情報に基づく商品を買いに来る客です。

・緊急購入客
チャッカマンのような防災品、お年玉袋や熨斗のような祭事品、絆創膏や風邪薬なとの医薬品、ビニル傘やサングラスなどの便利品など、急に必要な商品を買いに来る客。

これらの客に適したキーワードは下記です。

  • タイパ:買い物に時間をかけない
  • 目的買い:目的の売場に一直線
  • 計画買い:消耗期間を見越して買い足す
  • 1人買い:1人で買い物に行くことが多い
  • 最寄り品:近くのお店で買い物を済ませたい

これらの小売チャンネルは下記のようなものがあげられます。

  • コンビニ
  • キヨスク
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • スーパーマーケット
  • 専門店
  • サービス業の物販部門

2.快楽客とは

快楽客は下記のような特徴があります。


・空間体験客
空間を探索したい客を言います。
ジャングルのような空間を模したキャラクターショップ、暗い店内にあって展示されている食器が燦然と輝く高級店、迷路のように通路がくねくねと曲がり壁にはたくさんの商品が陳列されている食品店などがそうです。

・社交体験客
人とショッピングを通じて交わりたい客です。
カフェを併設しているブティックは、お茶を楽しみながら仲間とダベリングできます。
バイク好きが集まるバイク店は、商品を売る場ですが顧客同士の社交場としての機能があります。
ショッピングモールは、買物・映画・食事とエンターテインメントを通じて家族や友達の社交を促進しています。

・接客おもてなし客
高級ブランド店はほとんど接客サロンがあって、スタッフと話しながら時計やジュエリーを選ぶことができます。
ワインやスイーツなどの嗜好品も試飲・試食スペースがあり、接客を受けながら商品を試すことができます。
車のディーラーも試乗という体験を提供しています。
また、化粧品店にはテスターバーというものがあり、そこでメイク用品を試すことができます。

・情報収集客
商品にまつわる情報を集めながら、買物する客です。
博物館のガイドを聴くように、店内POPや店員の説明を聞きながら勉強し、最後に納得して買物する客です。
家電量販店の調理家電の売場にはたくさんの商品説明POPがあり、クッキングコーナーではスタッフがその家電を使用した料理のつくり方を教えています。
単なるTシャツに見える服も、実はゴミからできたリメイク品、ということがコーナー展示パネルからわかります。
うんちく好き・意味消費客とも言えます。

・ギフト購入客
他人に贈るギフトを購入する客のことです。
年始・バレンタイン・母の日・父の日・ハロウイン・クリスマスとたくさんのギフト交換の日がありますよね。
個人の誕生日や昇進日、引っ越し祝いや快気祝いもそうです。
親族、恋人、友達、同僚などが喜びそうなギフトを、選ぶ客自身も楽しんで買物をします。

・お得注目客
バーゲンハンターは、セール品売場に好んで行きます。
バーゲン期の商品でなくても、中古品、アウトレット品などお得な商品、青空市・バザーなどの掘り出し物イベント、POPアップショップや催事売場なども好んで買物します。

これらの小売チャンネルは下記のようなものがあげられます。

  • 百貨店
  • 総合スーパー
  • ショッピングモール
  • テーマパーク内店舗
  • 駅ビル
  • 専門店

これらの客に適したキーワードは下記です。

  • 逆タイパ:比較的時間をかけて店内を回る
  • 衝動買い:いいと思ったら即購入する
  • いっしょ買い:家族や友達といっしょに買物する
  • セット買い:ライフスタイルや趣味に合う商品をまとめて購入
  • 買い回り:いろいろなお店を回って商品を吟味する
  • リラックス買い:ゆっくり楽しみながら買う

つまり、購入そのものよりも店内滞在を楽しむ客のことを言います。
ディスプレイを見たり、BGMを楽しんだり、店員と会話したりしながら、リラックスしながら過ごす客です。

3.まとめ

お客様には2タイプがある事がわかったと思います。
ただし、買い物客が真っ二つに分かれるのではなく、1人の人間がスイッチするということです。

例えば社会人でしたら、平日の忙しい日はコンビニでサッと用を済ませ、土日は家族でゆっくりとショッピングモールで買物をする、というように1人の人間がスイッチするということです。

民族や宗教のように固定化された分類ではないということは注意してください。

それでは、PART2に行きましょう。
2タイプ別ビジュアルマーチャンダイジング攻略法をお教えします。
下記をクリックしてください。

●お客様は実用客?それとも快楽客?PART2


(VMDインストラクター協会事務局)

0メイシーズのディスプレイ

壁と天井のディスプレイ演出の仕方

1.はじめに

今回は少し変わったテーマにしました。
壁と天井をどう演出するか?

これを施工会社の仕事だと思わないでください。
VMD担当の役目です。
物販店というハコである店内は、あなたのブランド空間で待たされていなければいけません。
アルマーニが体育館で売っていないように、アルマーニを売るふさわしいハコを作らなければいけないのです。

具体的には、ハコは床・壁・天井でできています。
VMD担当は商品棚だけでなく、これら大道具の演出も抜かりなくやらなければいけません。
そのために、下記のポイントをVMD担当は押さえて店舗デザイナーや施工会社にオリエンするのです。

  • 素材
  • 装飾
  • サイン
  • POP
  • 照明

さて、今回は「演出」をテーマにしているので内装の話はしません。
壁と天井のディスプレイについて話します。
視線より上、170cm以上の壁や天井をどう処理するかにフォーカスします。

2.PPによる演出

1ノードストロームのディスプレイ

視線より上の位置にあるディスプレイ演出で代表的なのはPPです。
PPはポイントプレゼンテーション(会社によってはポイントオブプレゼンテーション)といい、商品の見本展示のことです。
詳しくは下記参照ください。VP,PP,IPセットで覚えてください。

●VP,PP,IPとは

商品の見本展示といっても目線より上のPPは、商品に触れたりできません。
手が届かないし、届いても取りにくく戻しにくいです。
また天井近くのPPにおいて、展示品に商品説明POPを置くことは少ないです。
それは、POP位置がお客様よりも遠いからです。
大きなキャッチフレーズ程度の文字なら読めますが、小さい文字だと読めないからです。

つい最近も水族館の土産店で、高さ2.4m程のPP固定棚に商品説明POPや紹介ビデオ・モニタが設置されていました。
大丈夫、誰も見る人はいません、と売り場担当者に伝えときました。(笑)

PPはどちらかというと、展示商品の詳細を伝えるというよりも、上写真のように遠くのお客様をPPのある壁面に誘導する目的で設置します。
だからPP部分で細かい商品説明はせず、IPの商品陳列部分に置いたPOPを通じてお客様に商品内容を伝える事が多いです。
これなら、商品が手に取れるし、説明もじっくり読むことができます。

アパレル、雑貨、玩具、キャラクター、化粧品などの専門店・専門フロアには、PP固定棚が設けられていて、そこにPPを配置しています。

無印良品、ユニクロ、アフタヌーンティー、フランフランなどの雑貨・アパレル専門店、伊勢丹や大丸、東武百貨店、高島屋など多くの百貨店は各フロアにPP固定棚があります。

これらの企業には専任、兼任のVMD担当がいて常に天井近くのPP固定棚をコントロールしています。
PP設置作業はVMD担当が行う場合もありますが、大半はフロアスタッフが行います。
当然、PPは直下のIPの商品を展示しなければいけないので、それをガイドラインに謳っています。
VMDインストラクターが、IP・PP研修をスタッフ向けに頻繁に行うのもそのためです。

3.インテリアディスプレイによる演出

アパレル・雑貨店の壁面はこうしたPP固定棚方式が一般的ですが、インテリアディスプレイ固定棚方式を採用している店舗も多いです。

インテリアディスプレイとは、下記の定義です。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚
2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚
3.演出POPをディスプレイしている棚
4.造作物を展示している棚

ひとつひとつ説明します。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚

目的は世界観やテーマの演出です。
ブランドの世界観、季節をテーマにした演出、バレンタインというモチベーションをテーマにした演出などを指します。

ロイズの店舗

例えば、上写真は新千歳空港のロイズの店舗ですが、奥壁面上部はインテリアディスプレイで飾られています。
お城や花、人形のオブジェがリピート展示され、そのはるか下にIPがあります。(下写真)

3.ロイズのディスプレイ拡大

2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚

商品の世界観を重視したディスプレイ演出です。
商品を使うシーンや環境、対象を強調するディスプレイ展示で、商品自体は強調されるどころか、ディスプレイの小道具と化します。

4.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP

例えば、上写真はワイン売場で壁面最上段は、ワインと食器を使ったインテリアディスプレイになっています。
写真を拡大しましょう。

5.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP 

ワイン銘柄はまったく分からず、ただのワイン瓶ですが、お酒を楽しむシーンは感じることができます。

3.演出POPをディスプレイしている棚

このタイプはポスターを掲示している事が多いです。
セール時は「セール」「バーゲン」という告知ポスターを掲示しています。
平常時は商品に関連するイメージ写真を天井近くに掲示しています

ゴディバ

例えば、上写真はゴディバの演出ポスター。
シズルと言って、チョコレートのおいしそうな拡大写真を掲示しています。
チョコレートやジュエリーのような服以外の商品は小さいので、ポスターなら拡大写真を掲示します。

もちろん、服でもモデルや風景の写真は演出POPになります。
バナリパやGAPも天井近くに演出ポスターをフレーム入りで掲示しています。

7.バナリパのポスター

ポスターだけでなく、小物を使った演出POPもあります。
例えば、プラザの天井近くの棚は立体POPの展示スペースとなっており、シーズンに合わせた演出POPを展示しています。

8.プラザのディスプレイ

4.造作物を展示している棚

9.東京駅のディスプレイ

これはほとんど店舗デザインに組み込まれているディスプレイです。

私たちが造作物と呼んでいるのは、社内スタッフでなく、外部のクリエイターがつくるようなディスプレイです。
デコレーターや工芸作家、小道具スタジオ、マネキンメーカーなどが造作物をつくります。
アート的な要素を持つものが多く、空中に浮かんでいるオブジェ、壁から突起しているオブジェなどがそうです。

10.ロフトのマスキング売場

例えば、上写真はロフトのマスキングテープの売り場。
天井近くにマスキングテープを材料にしたオブジェが林立しています。
カラフルで楽しいですね。

11.ロフトのマスキング売場拡大

4.ウオーターフォールによる壁面演出

12.東急プラザのTWG

ウォーターフォールとは、滝のような壁ということです。
無印良品やユニクロでお馴染みの、IPをー天井近くまで積み上げる演出方法です。

例えば、上写真は銀座東急プラザTWGの壁面。
天井まで紅茶の缶が陳列されています。

13.東急プラザのハンカチ売場

こちらは東急プラザのハンカチ売場。
上までハンカチが連なっています。

TWGの壁の缶はこれは売り物ではなくオブジェのようなもの。
ハンカチ売場は下に同じ商品が陳列されているので壁を埋めるための商品と考えてください。
つまりダブル陳列なんです。

もともとウォーターフォール陳列は売場塾が考えた言葉ではなく、アパレルVMDの受講生が考えた言葉でした。
その受講生のブランド売場はワイシャツが天井から下までズラリと陳列されていました。
これが彼の作ったガイドラインにも示されていましたので、まさにそのブランドの売場の顔となっていたわけです。

5.壁が白いとどうなるか

14.セブンイレブンの白い壁

壁に何も演出を施さなかったらどうなるでしょう。
実のところ、壁を演出していない店は多いです。

  • コンビニエンスストア
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • スーパーマーケット

こういう目的買いの多い、時間かけずに用を済ましたい店の多くは壁は白いままです。

※これに関しては他のブログで詳しく解説しているので下記クリックしてください。
●白壁を直して来店客を増加させよう

15軽井沢銀座のはちみつ店

例えば、これは軽井沢銀座のはちみつ店。
お土産を買いに来たお客様は玄関入ってガッカリしますよね。
白い壁が出迎えているからです。
これではまるで倉庫。
ウキウキ感が半減してしまいます。

壁を埋める努力は、みなさんいろいろ工夫しています。
例えば無印良品は壁を埋めるためにヤーン糸を計画的に使っています。

16.無印良品のヤーン

無印良品は近年、有機綿を使用した服が多いです。
その素材の良さを感じさせるためにこうした演出物を各店に支給しています。

17.ユニクロの圧倒的な陳列

ユニクロのウォーターフォール、いわゆる「圧倒的な陳列」は、天井まで同品番の商品を積み上げていく方式です。
2000年前後のフリース全盛時代に原宿店で開発した手法で、中国店を出した時の現地責任者が大成させた手法です。

6.壁を埋めるための問題点

ただ、コロナ禍後、小売企業は下記の点で店舗運営の合理化・コストダウンを図っています。

1.セルフレジ、ロボット導入による人件費の削減
2.DXによる店舗運営のデジタル化・自動化
3.省スペース、可動式什器による店舗レイアウトの可変化

2.がVMDと密接にかかわっているポイントは、何といってもデジタルサイネージでしょう。
PPやPOPを毎期付け替えるよりも、PP部分をサイネージ化してしまえば、店舗ごとでディスプレイを作る必要はなくなるし、POPを付け替える必要はありません。
動画もオンエアできます。
ABCマート銀座店やマツキヨ池袋店の店舗を見ると、サイネージの活用はハンパないです。

18.ABCマート サイネージ

3.に関してはユニクロ・GU、ライフが可変什器、移動什器を標準装備して店内レイアウトを機動的にできるようにしています。

ユニクロのダミーIP

ユニクロで特に面白いのが、ダミーIPですね。
上写真を見てください。
天井近くのシェルビングしている服はダミーパックです。
在庫を上まで積む必要はなく、パックを棚に積むだけでOK。
これは在庫対策にも、人件費削減にもってこいでしょう。

白ボール紙に生地を巻きつけて7枚を1パックにしているのではないかな、と思います。

20無印良品のオーケストレーション

また、無印良品は前述のヤーンだけでなく、自店の関連商品そのものを壁埋め商品として使用していて、その行為が全店で普通に行われています。
とても素晴らしいです。

例えば、上写真。
紳士服売場の上段PPの中に収納用品(ハコ)がシンメトリーに並んでいます。
先ほどの売場もそうでしたが、店で売っている関連商品を置く分には、プロップスを調達する必要はなく、すべて店で賄えますし、在庫置き場としても一石二鳥になるのではないかと思います。

その点ではカルディもそうですね。
店内上部に在庫商品を置く棚が設置されて、そこに商品を置いています
無印良品と同じで、商品で壁が埋まっている状態になり、とてもボリューミーでよいです。

私たちもこうした在庫で壁を埋める提案はよくしており、在庫の積み方をアート的に積んだり、在庫の箱でオブジェをつくったりしています。

ただ問題は、それを行う時間と人が確保されていなければ、いつかは崩れてしまうということです。

21カルディ 2005

例えば、これは2005年のカルディ店内。
けっこう上まで商品が詰まっていますよね。

カルディ PP

これは最近のカルディの店内。
けっこう上棚の空間、空いてますよね。

23無印良品 拡大

こちらも2018年の無印良品。
やっぱり上棚、空いています。

2013年に撮影した時は、下記写真のように充足していました。

24無印良品

最初はウォーターフォールとして、売場商品の豊富感や宝さがしのような売場演出でスタートしたと思いますが、持続がなかなか難しいようです。(もしかしたら地震対策かもしれませんが)
ひとつは、前述した人件費の削減で、こうしたルーティーンは後回しになっているのでしょう。そういう意味だと、ドン・キホーテの熱帯雨林演出は持続力すごくありますよね。
いまだに壁が空いているドンキ見たことないです。(^^)

先ほどのユニクロのPPパックの例のように、人が割けない場合はこうした施策に切り替えるのも手です。
サイネージや永久的に演出展示できるような工夫をするといいでしょう。
例えば、コンビニのナチュラルローソン、壁や天井は額縁の演出POPやインテリアディスプレイで演出されていて、数年見ているけれど変わっていないです。

25ナチュラルローソン インテリアディスプレイ2

VMDインストラクターの皆さん、ぜひ壁と天井の演出キープしてくださいね。
店舗運営コスト削減の今、工夫とアイデアで店内の佇まい、持続させていきましょう。

ということで、今度の8月20日、銀座のいろいろなお店の壁見学、やりますよ~。
VP,PP,IPもいっしょに見てみましょう。
●銀座VMDフィールドワーク

(VMDインストラクター協会事務局)