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テスラのショールーム

カーディーラーVMDのコツ

カーディーラーの売場づくりのコツを解説します。

意外とVMDを学ぶ方は自動車関係の方が多く、売場塾にたくさんのカーディーラーやメーカーの方が来られていますし、実際に訪問コンサルもよく行っています。

●ディーラーVMD改善事例

今回は、カーディーラーで働いているショールームレディの方を特に意識しました。
彼女たちが実際にショールーム内のたたずまいをつくっているからです。
ズバリ、ショールームで改善しなければいけないフレームワークは下記の通り。
ケースが多そうな順に並べます。

  1. フェイシング
  2. テーマ設定
  3. サイン編集・制作
  4. IPワーク
  5. くくり
  6. POP編集
  7. スタリング
  8. 什器デザイン
  9. フロアレイアウト

では順に解説していきましょう。

1.フェイシング

これは商品の置き方のことです。
客としてショールームに入ると、「ノベルティ在庫棚」が多数存在するのを見かけます。
夏キャンペーンのバスタオル、Tシャツ、トートバック、etc。
これらが箱や袋に入ったまま、会議室机の上に積んであるのをよく見ます。
ノベルティの顔がほとんどわからない上に山積みになっているので、どう見ても箱が積んであるとしか見れません。
しかも、キャンペーンPOPも置かれていないので、お客様には、ただの在庫棚としか見えないのです。
箱出し、袋出しフェイシングをして、商品を魅力的にディスプレイしましょう。

2.テーマ設定

ショールームのテイストにおよそ合わない会議机の上に黒い布を敷き、その上にカーアクセサリーをたくさん置いていませんか。
こういう状態を「物置きになっている」と言います。
車内アロマグッズ、エンジン潤滑剤、高性能オイル、キーホルダー・・・と、テーマなしに適当に置いたその状態は、やっぱり物置きにしか見えません。
ディスプレイテーマ設定をきちんとしましょう。
「長距離ドライブに最適な快適グッズ」「エンジンの性能をよくするベストバイ」などとテーマを設定して展示商品を絞り込み、先ほど言ったフェイシングをきっちりやれば、ようやっと物置き状態から解放されます。

3.サイン編集

TOYOTA、HONDA、NISSAN、MITSUBISHIなどブランドサインは店内外に掲示されています。
困ったことに、これらサインは、クリスマス、ハロウイン、七夕、夏休みなどの時期になると、たちまち姿がわからなくなります。
特にカウンタ後ろのサインは気を付けてください。
ハロウインのカボチャがロゴやマークにぶら下がっていたり、七夕札がくっついていたりするのです。
ブランドマークやロゴは汚すことのできない神聖なもの・・・と考えてください。

4.IP
5.くくり

IPとは陳列のこと。
くくりとは分類整理された状態をいいます。

これ、セットで悪くなっている売場があります。
それが顕著なのはカタログコーナー。

車は、排気量、車種、用途、乗車人数などにより分類は様々。
これらがバラバラに置かれていませんか。
ひどいところになると、保険商品やメンテカタログまで入り乱れて陳列されています。
よくできた旅行代理店のパンフコーナーのように、タテ列は車種、ヨコ列は価格別・・・などと、見やすくわかりやすく陳列し直しましょう。

6.POP編集

公道を車で走っていると、ディーラーのショールームを通り過ぎることがあります。
その際、のぼりとポスターでショールームの中が見えないお店に出くわします。

そのお店は、POPが主役になっているんですね。
商品である車はわき役になっています。
これでは本末転倒です。
ショールーム内の展示車が見えるように、POPを設置しましょう。

7.スタイリング

車は物販の中では住宅の次に高価なもの。
なのに、カウンタ周りを見渡すと、100円のボールペンが転がっていませんか。
店の人が好きで置いた招き猫や七福神。
神田信用金庫のカレンダー。
ゴルフコンペの優勝盾。

これらはディーラーのブランドテイストに合わないのではないでしょうか。
カウンタ周りはすっきりさせ、カレンダー市販のものに変え、ボールペンは最低1,000円位のものを使いましょう。

8.什器デザイン

先ほど話した会議室の机。
近くのホームセンターで買ってきたラック。
通販カタログで安売りしているスチールワゴン。

これらをカタログコーナー、ノベルティ置き、雑誌・新聞ラックにしていませんか。
売場がデコボコになる上に、どう見ても、物置・在庫置き場にしか見えません。

インテリアコーディネーターを雇うほどではないけれど、服と同じように、什器もテイストを統一するということを覚えましょう。

9.フロアレイアウト

展示車、受付、グッズコーナー、キッズの遊び場、商談、メンテ待ち、カタログなどなど、ショールームにもゾーンがあります。
各ゾーンは、導線を考えてフロアレイアウトしていますか。
カタログコーナーがショールームの奥にあったり、グッズコーナーがフロアにバラバラに点在していませんか。

お客様が入ってから展示車を見て、商談に入り、そしてカタログを取って出ていく・・・などと客導線ストーリーをきっちり考えてゾーニングしてください。

ざっとこんな感じです。
まだまだありますが、今日は比較的簡単に改善できるコツを伝授しました。

さらに勉強したい方は、当社ディスプレイセミナーにお越しになると、テーマ設定の仕方やテーブルディスプレイを実際につくることができます。

●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

3か月に1回やっています。
お待ちしております。~(^^)

(vmd-i協会事務局)

演出POPと告知POPをごちゃごちゃにしない

今日は、演出POPと告知POPについて説明します。
いろいろなPOPの種類がありますが、この二つのPOPは、2大POPと言っていいほど、売場で重要なPOPです。
それぞれ使用目的や置く場所、サイズや器具などが違います。

まずは、演出POPからお話します。
演出POPとは、商品や店舗を演出するPOPのことです。
文字ではなく、イラストや写真が中心になっているPOPで、店舗やブランドの世界観を醸成する役目があります。

  • タレントやモデルのポスター
  • 都会や田舎の情景描写
  • 職人の手作業風景、工房の写真
  • 商品を使っている情景描写
  • テレビCMと連動した表現
  • 芸術家のアート作品

などが演出POPです。

ドラッグストアで見かけるエビちゃんやガッキーのポスターがそうです。
GAPやユニクロで見るモデルのポスターがそうです。
ラルフローレンで見る、都会のモノクロイメージ写真がそうです。
吉田カバン売場の皮革製品を作っている工房の写真がそうです。
クルマのショールームで見る、草原を走っている車のポスターがそうです。

これらは下記の特徴があります。

  • サイズは比較的大きく、フレームを使う傾向がある。
  • 壁面に設置することが多い。
  • 商品写真が映っていない場合もある。
  • 商品名や商品説明がない場合も多い。
  • 複数固めて、あるいはリピートで設置される場合が多い。
  • POPと背景の環境、すなわち照明や壁紙・什器などと一体化されることが多い。

掲出注意点としては、下記が上げられます。

  • 設置する場所を選ぶ。棚の空いたところにペタペタ貼るようなPOPではない。
  • ショップデザインと表現テイスト一体化させなければいけない。
    つまり、都会的でモダンな店なのに、田舎の風景写真を演出すると、イメージがちぐはぐになる。
  • 店頭に吊るしたり、テープでチープに貼るようなPOPではない。
  • 名刺大のようなサイズの小さいPOPにしても意味はない。B3以上の大きさはほしい。

演出POPはまさにブランディングなのです。

次は、告知POPです。
これは連呼のPOPと言ってよく、フェアやイベント、キャンペーンを告知するPOPのことです。
今バーゲンシーズンなので、どこの商業施設も告知POPが多く露出していると思います。
告知POPは下記の特徴があります。

  • POPは1枚だけでは意味がなく、3枚以上リピートさせないと告知の効果はない。
  • 高さを揃えないと意味がない。繰り返している様が分からない。
  • 等間隔に並べなくなくてはいけない。
    例えば、フロア通路沿いに5m間隔に置く、棚ごとに左側にグリッドラインを縦に揃えて置くなど。
    リズム感が必要である。
  • 繰り返すPOPのデザインは同じでなくてはいけない。
    不用意に色を変えたりすると、効果は半減する。
  • 文字をたくさん書くと読めない。キャッチフレーズ位の文字でないと、歩いたり車でドライブしている人が読めない。
  • POP器具も統一しなけれ、リピート感はない。

告知POPは「パチンコ店の新台入れ替え」ののぼりと同じです。
繰り返して店頭に設置しないと意味がないのですし、注目率も低くなり、にぎやかさもなくなります。

◆◇◆

さて、本題です。この告知POPと演出POPがゴチャゴチャになっているお店が実に多いです。
告知POPと演出POPは、今まで語ったように、場所と体裁を選ぶのですが、棚や壁に適当に貼るお店が多いです。
例えば、スイーツショップの壁にA4「中元フェア」の告知POPをペタッと1枚だけ壁に貼りつけても意味はないです。
インパクトがないですし、フェアのにぎやかさはみじんもありません。
そのフェアのPOPの横に、お菓子職人の演出ポスターが貼ってあるとしましょう。
その場合は、ブラントの世界観はまったく出ていません。
告知POPが演出POPの荘厳さを汚してからです。

同じように、カーディーラーのショールームに行くと、「ボーナスフェア」のA1POPが1枚だけウインドウに貼られています。
これを唐突POPと呼んでいますが、いきなり清楚なウインドウにペタッとあります。
まさに唐突!
これらのPOPはペナント、のぼり、L字型スタンドPOPにして、連続で店頭に少なくとも5枚は並べないと意味はありません。

その他、車に乗っているタレントの演出POPがトイレのドアに貼ってあったり、カタログスタンドの横にしなれた形で貼ってある風景を見て、ガックリと肩を落としてしまいます。

店は子供部屋ではないですからね。。。。

わかりましたでしょうか。演出POPと告知POPの違い。

POPには種類があり、それぞれ役目と正しい使い方があります。
VMDインストラクターの皆さん、これをしっかり覚えて、POPを管理してください。~

(vmd-i協会事務局)