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キレイキレイ

スタイリングで店頭品質を守ろう

1.店頭品質の3つの課目

今日は、店頭品質についての第2弾「スタイリング」について話します。
店頭品質とは、そのブランドらしい心地よさをを保つ上で必要なルールです。
店舗スタッフがその要で、常に店頭品質をキープする役割を担っています。

ちなみに、店頭品質は、

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ

の3つの課題と8つの細則に分かれています。
2.クリンリネスについては、年末にアップしたブログを読んでください。

●クリンリネス

それではスタイリングについてお話しします。

2.スタイリング「整然さ」

スタイリングの細則「整然さ」とは店内のインテリアである什器や家具、照明やオブジェが、ブランド空間に支障をきたしていないか?ということです。
下記のようなケースが考えられます。

●余分なものが見えている

代表格が段ボール箱。
入荷したままの段ボール箱がそのままカウンター前や通路に置きっぱなし。
これは店を倉庫と化してしまう要因になります。
確かに売場、特に棚の足元に段ボールを置けば商品補充は楽ですし、いちいちバックヤードに行く手間も省けます。
しかし、それは店舗の都合でお客様と関係ありません。。
お客様にとっての段ボールは見苦しい以外の何物でもありません。
歩く邪魔になるし、せっかくラグジュアリーなブランド商品が棚に並べられても、その下に段ボールが転がっていてはガッカリしてしまいます。

段ボールの他にも、脚立、掃除用具、使わないのぼりなどのPOP類、ティッシュなどのノベルティ類などが売場に露出していませんか。
これらも段ボール箱同様、お客様にとって余分なものなんです。

スタッフは楽かもしれないけど、お客様にとって迷惑。
すぐにお客様の目に触れないところに収納します。


●ものが倒れていないか、傾いていないか、よれていないか

このタイトルの要素が売場にあると、お客様は不安になります。
なぜかというと危ない、または見苦しいからです。

  • のぼりが倒れている
  • モニタ台が傾いている
  • キャビネットの引き出しのしまりが悪く飛び出ている
  • ライトが切れている
  • ジャバラの窓シェードの2.3本が曲がっている

などなど、店内に配置されている小道具がグラグラ・ガタガタでは、お客様の心理もグラグラ・ガタガタになってしまいます。

店内備品は整然と配置し、老朽化しているものは修理するか新品に換えましょう。

3.スタイリング「ブランドテイスト」

チェーン店というものは、本部が決めたショップ・ブランドコンセプトによって佇まいに規律を与えています。

ルイ・ヴィトンはルイ・ブィトンらしさ、ユニクロはユニクロらしさ、レクサスはレクサスらしさが、ブランドガイドラインを通して守られています。

ところがブランドガイドラインにも落とし穴があります。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)といって、サイン看板やロゴの設置について細かく規定はしていますが、店内備品・消耗品に関しては規定していない例が多いです。

例えば、あなたの勤めるラグジュアリーなブランドショップは下記になっていませんか?

●カウンターのペンは、100円ショップのペン
商品購入が決まるとお客様が宅配を頼むこともあります。
そんな時にカウンターであなたが差し出すペンは100円のボールペンになっていませんか?
3万円の高級皿を買ったのに、カウンターに置いてあるのは100円のペン。
せめて1,000円の見栄えのよいボールペンに換えましょう。
ペン立ても忘れないで揃えましょう。

●なぜか招き猫や七福神がいる
これは自動車ディーラーに多いんですが、ショールームのカウンターに招き猫がいたり、七福神がいたりします。
インテリアオブジェとして飾っているのですが、社長の趣味なんでしょうか。
トレンディなRVや高級セダンを展示しているのになんだか場違いですね。
店のテイストにあったオブジェに換えましょう。

●ゴルフコンペの立てが置かれている
営業所も兼用している不動産屋のような店に行くと、ゴルフコンペの立てが置かれ、「優勝・葛城営業所」などと書かれていたりします。
これは取りましょう~。
お客様に見せるものでもないです!

●信用金庫からもらったカレンダーが置かれている
店のカウンターや商談コーナーに置かれているカレンダーには○○信用金庫と書かれています。
明らかにノベルティとわかるカレンダー。
これも厳禁です。
カレンダーは無印良品やフランフラン、ハンズやロフトなどでデザインがよいものを買ってください。
会社名が書かれていない、お店のテイストに合ったものを選びましょう。

●消毒液が「キレイキレイ」になっている
これはたとえです。キレイキレイにするな、というわけではありません。
私もオフィスでキレイキレイ使っています。(^^)

ラグジュアリー専門店のトイレを拝借したときのこと。
なんとキレイキレイのパッケージそのままが置かれていました。
その横には「クリネッシュティシュ」そのものの箱が・・・。

これでは高級ブランドを買ったお客様はげんなりしてしまいます。
液体ソープは無地のボトルに入れ替え、ティッシュ箱も雑貨店でよいものを購入し入れ替えましょう。
リッツカールトンがトイレでこんなこと、しないですよね。

4.スタイリングってどうやって考えればいいの?

上記のように、店内備品やインテリア小物は店舗のデザインテイストに合わないものは換えるか、排除します。
では、我が店のデザインテイストはどうあるべきか、どうやって考えたらいいの?ということですが、答えは簡単。
あなたがおうちのリビングルームのデザインを考えるのと同じようにすればいいんです。

例えば、あなたが「うちのリビング、ハワイのホテルみたいにしたいなー」とテイストを考えるとします。
テイストとは、住居人であるあなたの感じる感じ方を言います。
そしてテイストは人によって違います。
「ナチュラルで北欧調」とか「ガーリーなカジュアル」とか「シンプルでクール」とかテイストの表現はいろいろです。
例えば、我が家のリビングは「ナチュラルでシンプル」です。
だから、時計やフレーム、家具や家電に至るまで「ナチュラルでシンプル」なものを選んで設置しています。

 

我が家のスタイリング

家具屋や雑貨屋に行ったとき、ネットで何かを買う時、まずこのテイストが頭の中にあるので、数種類いいのがあって迷ったときは「テイストに合うかどうか」で選んでいます。
これをトーンアンドマナーといいます。

トーンアンドマナーとは文字通り、家具や備品を置く時のマナー(ガイドラインみたいなもの)なんです。
だから、我が家では、赤や黄色のべたべたのインテリアや、刺繍模様や幾何学模様の華美な備品は買わないんです。

同じようにあなたの所属するブランドショップは、本部で決めたテイストとトーンアンドマナーがあるかもしれません。
店の備品を買う時にまずそれを確認しましょう。

これはフランフランのトーンアンドマナーのガイドライン。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/

例えば、フランフラン店内に写真をPOPとして設置するにも、このようなガイドラインを守らなければいけません。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/design-system/essence-of-basic-design/image

なるほど、これだと招き猫は完全にペケですね。(^^)
バラの花が好きだから~と言ってバラの写真を飾ってもいけません。

VMDは文字通り、視覚的にブランドらしさを感じさせるしくみです。
にわかインテリアコーディネーターになったつもりで、備品やインテリア小物を選んでください。
テイストやトーンアンドマナーについては下記で詳しく解説していますので参考にしてください。

●トーンアンドマナーのフィルターで売場デザインを決めよう

5.スタイリングはクリンリネスと快適性とリンクする

ということで、スタイリングの細則「整然さ」「ブランドテイスト」をお話ししてきました。
スタイリングの考え方と活かし方、わかったと思います。

さて、このスタイリングは「クリンリネス」と「快適性」にリンクしているのです。
冒頭で言った様に「店頭品質」は下記の3つの課題で構成されているからです。

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ


スタイリング能力がスタッフに備わってくると、いっしょにクリンリネスと快適性もキープしようとする姿勢が芽生えます。
理想の店舗や売場に近づけるために、自分で率先してクリンリネスも快適性も守るようになるんです。

これも、我が家と同じと考えていいでしょう。
私の家は先ほど言ったように、「シンプルでナチュラル」というトンマナを大切にしているんですが、自然とクリンリネスを気を付けるようになっています。

  • 洗面ルームは雫ひとつ落とさない
  • ティッシュは惜しまず使って、常に机や棚の汚れをふき取る
  • 食器類を置いたテーブルは、食器の跡がつかないようにランチョンマットを敷く
  • テーブルや机の上は最低限のモノしか置かない
  • 衣類や文具など使ったものはすぐ片付ける

などなどして、ショールームのように佇まいをキープしています。
たまーに来る人が「これ本当に人が住んでいるの?」というほど、シンプルになっているんです。

同じように、あなたの店はクリンリネスを保つことによって、いつものブランドテイストの空間を作ることができるんです。
そう、チリ一つ落ちていないディズニーランドのように。

クリンリネスはスタッフの心がけそのものと言えるでしょう。

ということで、ブランドショップに勤務している皆さん、VMDの皆さん、お店のスタイリングぜひキープしてくださいね。
まだスタイリング決まっていないという店は早急にコンセプトづくりから始めてください。
詳しくは下記に書かれています。

●店舗コンセプトのつくり方

(vmd-i協会事務局)

モデルの写真

演出POPでブランド空間を演出する

以前、このブログでPOPの種類は6つあるといいました。
商品・演出・告知・誘導・注意・案内の6つですが、今回はそのうちの「演出POP」について講義します。

※参考/POP6つの種類

1.演出POPとは

演出POPとは、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記の様なものが演出POPです。一つ一つ解説します。

●タレントのポスター 

タレントのポスター
  • 雪肌精の新垣結衣や大谷翔平
  • SKⅡの綾瀬はるか
  • CWXのイチロー
  • スカイナーの浅田真央
  • ソフトバンクの「お父さん」 etc

これらはテレビや新聞の広告と連動してることが多いです。
タレントをアイキャッチに、商品写真は小さめにレイアウトしています。
タレントが商品やブランドの推奨役になっています。
タレントのキャラクター性を商品やブランドに刷り込んでいます。

●モデルのポスター

モデルのポスター

下記の店内に掲示されているモデルのポスターがこれに当たります。

  • ユニクロのようなSPA
  • ルイ・ヴィトンのようなブランドショップ
  • ゼビオのようなスポーツ用品店
  • ヤマダ電機のような家電量販店
  • テンピュールのような寝具店 etc

これらの店ではモデルが商品を使用しているシーンが多いです。
服を着てゆったりした生活を送っているシーン、アスリートがランニングしているシーン、キャンバスでケータイを使っているシーンなど。
ライフスタイル、ステイタス、テイスト、トレンド、エイジなどを商品やブランドにスライドさせています。

●絵画・風景写真ポスター

絵画・風景写真ポスター

これはファッション店でよく見ると思います。
服と直接関係ない、海や山の風景、鳥や動物、都会の街並み、部屋のインテリアなど、風景を切り取った写真がフレームに入れて飾られています。
これは、服を着たシーンを切り取った一コマの場合もありますが、多くはブランドや商品の世界観を表している抽象的な写真です。
例えば、サーファーの店なら、ビーチや波のうねり、海の家、駐車場のオープンカーといった風景写真になります。

また、インテリアディスプレイと呼ばれるもので、スターバックスにあるような絵画フレームも演出POPです。

  • コーヒー店、レストランなどの額縁
  • 保険ショップ、ブライダルショップなどの壁面の額縁
  • ヘアサロン、マッサージ店などの壁面の額縁
  • 百貨店、ショッピングモールの待合いスペースの額縁
  • 歯医者や耳鼻科などクリニックの待合いスペースの額縁 etc

●商品ポスター

商品ポスター

これは商品を説明する説明POPではなく、商品を拡大してドラマチックに見せるためのPOPです。

  • ケータイショップにおけるiPhoneのポスター
  • カーディーラーにおける車のポスター
  • ジュエリーショップにおける結婚指輪のポスター
  • 食器店におけるワイングラスのポスター
  • ハンバーガー店や回転ずし店におけるメニューポスター
  • 家電店における家電品のポスター
  • 旅行代理店による旅行先の風景ポスター etc

2.演出POPの注意点

演出POPは文字通り、商品やブランドを演出するPOPなので、貼り方を間違えると、ブランド台無しになってしまいます。
注意点を述べましょう。

  • 空いているからといって貼らない
  • フレームに入れる
  • 商品の近くに置く
  • グリッドラインを揃える
  • アートになるように貼る

などです。
ひとつひとつ解説していきましょう。

●空いているからといって貼らない

POPの貼り方悪い例

ドラッグストアやスーパー、家電店のタレントポスターはほとんどメーカーの持ち込みです。
そのため、商品陳列の空いたスペースに演出POPを張るのが常になっています。

  • 棚の空いたところ
  • 壁の空いたところ
  • 天井近くの空いたところ
  • カウンターの下
  • トイレの入り口
  • ドアのガラス面
  • 商品陳列の後ろ

などなど、売場が商品とPOPでごちゃまぜになっているケースが多いです。
これだと、モデルやタレントがかわいそう。
シャンプーに押しつぶされている美人のポスター見たくないですよね。
「赤札市!!」のPOPに押し切られそうになっている野球選手のポスターも見たくないですよね。
トイレりサインの横に貼られているハリウッドモデルも見たくないはず。

演出POPは家のインテリアと同じ。
優雅に貼られることによってその価値を発揮できます。
お客様が見やすいところに、そのためのスペースを取って、きちんと貼りましょう。
一度、ラルフローレンやユニクロ、無印良品のお店を見に行くといいです。

●フレームに入れる

フレームPOP

演出POPはフレームに入れましょう。
額縁にいれることによって価値が高まります。

セロテープや画鋲、ホチキスで貼ると、ビラのように見えてしまいます
大きい演出POPは額に入れると様になります。
額といっても、おおげさに考える必要はありません。
モナリザを飾るわけではないので、プラスチックの薄いフレームでよいのです。
ほとんどのポスター用額縁はネットやディスプレイ用品店、ホームセンターで買えてしまいます。

例えば、マクドナルドやケンタッキー、ガストやミスタードーナツの壁面のポスターを見てください。
「月見バーカー」や「ガーリックホットチキン」のポスターはポスター用フレームに入っています。
壁面に等間隔で並んでいて、とてもきれいです。
これらが、カウンターの下やレジの仕切り、ドアのガラスにセロテープで貼られていないですよね。

大きなものは額、小さなものはアクリルスタンドに入れて掲示することを心がけましょう。

●商品の近くに置く

ウイリアムソノマのPOP

演出POPは商品を演出することが多いです。
商品の持つ世界観を醸し出すことができます。
例えば、ウイスキーのディスプレイ背後に、富士山の雄大なポスターを設置するとします。
すると、お客様は「このウイスキー、富士山の恵みでできているんだな」「このウイスキー、おいしい富士山の水でできているんだな」と感心してくれます。

ところが、この富士山のポスターがウイスキーから1m離れた場所に置いてあると、お客様はもう富士山とウイスキーを結びつけることができません。

演出POPは商品の近くに置くことを心がけましょう。

●グリッドラインを揃える

ホノルルクッキーのPOP

演出POPは家の額みたいなものです。
グリッドラインを揃える、等間隔展示にするのが基本です。

JTBのお店にあるハワイの写真のように展開しましょう。
これはフレームのサイズが違っていも同じです。

等間隔、グリッドラインフィックスが基本です。
写真上は額の底のラインにグリッドを合わせています。
写真下は、額の中央にグリッドを合わせています。

線を取ってみましょう。
ほら、きれいに壁に展開しているのがわかりますよね。

●アートになるように貼る

DFSのPOP

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画をお店を家と見立てて文字通り、額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、センスよくアート的にPOPを掲示します。

これ、下記のブログで詳しく写真入りで解説していますので参考にしてください。

●演出POPでアートな売場をつくろう

3.まとめ

わかりましたでしょうか。演出POPの種類と注意点。
演出POPがあると、売場にブランド空間を作ることができ、商品も魅力的に見えます。
ぜひあなたのお店に演出POPを掲示してみてください。

なお、POPの活用方法に関しましては、センスアップセミナー「POP活用体系」で詳しく講義しています。
●センスアップセミナー「POP活用体系」
7月に行う予定ですのでその時はぜひご参加ください。

(VMDインストラクター協会事務局)

ドラッグストアの化粧品売り場

ドラッグストア・化粧品店の売場づくりのコツ

ドラッグストア業界、このところますます勢いづいていますね。
コンビニやスーパーマーケットの機能を付加させ、流通の覇権争いの中心業態になっています。

一方、化粧品店はメーカー別チャネルの整理が進んでいて、お店や売場のブランディングが進んでいます。
特に自然派化粧品、高級化粧品のブランドVMDが盛んです。

VMDの学校{売場塾」では化粧品メーカーの受講率が高く、売場自体をブランド化する目的で勉強されている方も多いです。

●ハリウッド化粧品のVMD

そんなドラッグストアと化粧品店のVMDについて今回はお話しします。
化粧品店やドラッグストアでよく使う売場づくりのフレームワークは、下記です。

・POP編集・制作
・フェイシング
・リレーション(売場のつながりのこと)
・くくり
・テーマ設定
・PP・IPの配置方法
・マグネット売場

それでは個々の直し方を説明しましょう。

●POP編集

化粧品店の店内にはたくさんのPOPがあふれています。
メーカーの販促物としてのPOP、お店の制作したPOP、卸会社の持ち込みPOP・・・。
これらが入り乱れている売場が多いんです。

基礎化粧品売場を見てください。

メイベリン、マキアージュ、KATE、雪肌精、SK-Ⅱ、コスメデコルテ・・・。
こういったブランドサインが売場のあちこちにありますが、ほとんどPOPで隠れていると思います。

目薬売場を見てください。

スマイル40、サンテPC、マイティアCL、アイボン・・・。
薬のパッケージの商品名が見えない、効能のキャッチフレーズが読めないと思います。
それはPOPがパッケージに覆いかぶさっているからです。

まだあります。

有名なタレントのPOPが化粧瓶を隠しています。
POSレールは4.5cm幅なのに、8cmくらいの大きなPOPがニョッキっと出ていて、シャンプーのラベルが隠れている売場があります。
格安表示の大きなプライスカードは、商品説明POPの上に覆いかぶさっています。

結論から言いましょう。
POPは読めなければ意味がありません。商品は見えなければ意味がありません。
POPがきちんと読めて、商品がきちんと見えるように陳列してください。

それにはまず、POPと商品陳列を含めた棚割りを考えることです。
棚の空いた隙間にPOPを貼る・・・こんな考えではいけません。

●フェイシング

ブランド商品はパッケージ自体もブランド。
お客様が棚をパッと見てブランドらしさがすぐわかるようにフェイスをつくってください。

ネピアの鼻セレブは、ちゃんとペンギンの顔が見えていますか。
キンチョーの蚊取り線香は、鶏のマークが見えていますか。

Agプラスは、ニオイ鑑定人のオバさんシールが見えていないとCM想起はされません。
ユンケルはやっぱり、イチローの顔が隠れていてはブランド感が減退します。

化粧品や薬は、パッケージそのものがPOP。
商品名はもとより商品の特徴を表しているコピー、テレビCMのタレント、商品のシェイプ・・・それらがきちんと見えるように陳列してください。
それをフェイシングといいます。

●くくり

いろいろなメーカーの商品が並んでいる売場はにぎやかさがありますが、探しやすくないとお客様のためになりません。
メーカー別に陳列商品をくくっていると思っても、アメーバのようにくくっていては探しにくいです。
つまり、タテヨコの商品のグリッドラインを揃えて陳列しないと、どんな種類の商品がカタまっているのか、お客様にはさっぱりわからないのです。

エッセンシャル、TSUBAKI、いち髪、パントーン、キュレル・・・。
こうした商品が、ブランド別にくくられて、さらに香り別にくくられて、さらにシャンプーとリンスとにくくられて、さらに詰め替えとボトルにくくらなければいけません。
フェイスはまっすぐ列数もそ揃えて、くくりもタテヨコにグリッドラインを揃えましょう。

●テーマ設定

「赤ちゃんのようなつるつるお肌」「夏の紫外線を撃破」「雨の日でもサラサラいい気分・・・」。
ワゴンエンドにその週のMDテーマ展示をしているお店は多いのですが、テーマに見合わない商品が棚にまぎれていないか、チェックしましょう。

「赤ちゃんのようなつるつるお肌」の棚に肌をつるつるにする入浴剤を集めたのに、「温泉の素」がまぎれている。
「夏の紫外線を撃破」のエンドに日焼け止めや乳液などを置いたのに、カラフルマニキュアがまぎれている。

こんなことがないように、テーマに沿った商品が展示・陳列されているかチェックしましょう。
ワゴンエンドは、ひとつのテーマに絞り込むとわかりやすいです。

●PP・IPの配置方法

PPは展示のこと、IPは陳列のことですが、これが同じ棚にバラバラに置かれていませんか。
PPはポイント・プレゼンテーションといい、IPはアイテムプレゼンテーションといいます。

※IPとPPは当社ホームページ「VMDのディスプレイ」参照

SK-Ⅱの棚、コスメデコルテの棚、トワニーの棚、クレ・ド・ポーの棚・・・。
こうした高級化粧品は、POPと展示物と展示台を一体化させた「展示」が必要なんです。

もちろん、テスターやカタログ・パンフも「展示」の中に入ります。
そして、隣接して「陳列」を置き、そこで商品を買い上げてもらうようにします。
つまり、展示は商品をアピールする場所、陳列を商品を買う場所と、メリハリをつけてディスプレイするんです。

ところが、展示と陳列をごっちゃにして「空いた棚に適当に置いている」店は、展示と陳列がバラバラになり、在庫置き場のように見えてしまいます。
これでは高級化粧品のブランドは瓦解してしまいます。

そうならないように、たとえひと棚のディスプレイでも、ひとつのブランドに限定し、展示と陳列のメリハリをつけたものにすることです。

化粧品の売場って、とくにクリスマス時期になったら大変。
美容部員さんがツリーやリースを自社売場に展示するのはいいのですが、先ほど言ったように、展示と陳列の区別をつけないで適当に置いた場合は、あわれなブランド空間になります。
ツリーのようなプロップスを含めたすべてのディスプレイ用品をどう配置するか、ディスプレイ構成を考えてディスプレイしてください。

●リレーション

ドラックストアは、ラックを単調に並べてその中に商品を入れ込みます。
ラックは、アイテムごとに並べられており、店内は大きく、化粧品、薬、エチケット用品、健康器具、健康食品、・・・などと大分類されています。

そして化粧品が、メイク、基礎化粧品、ヘアケアなど。
薬が頭、目、口、体、皮膚、胃腸など。
エチケットが、アロマ、バス、ボディ、オーラル、マスクなど。
健康器具が、ボディ、フェイス、家庭用品、服飾など。

と中分類に分かれています。
その下に、小分類、小々分類と細かく棚が分かれています。

各々の大分類・中分類・小分類・・・の隣通しの分類群や商品群がリレーション、つまり関連性がないと、お客様にとって不便極まりない売場になってしまいます。
それどころか、ついで買いが誘発されないため、買い上げ率が少なくなってしまいます。

中分類では、メイクのヨコに目薬が来る、健康器具のヨコにエチケットが来る。
基礎化粧品のヨコにマスクが来る。
こういう並び方では、ついで買いも誘発されず、お客様は買いにくいままです。

メイクのヨコがたとえ薬ゾーンだとしても、皮膚関連薬にすべきですし、基礎化粧品のヨコがたとえエチケットゾーンだとしても、バス・ボディなどのリラックス商品にすべきでしょう。

●マグネット売場

マグネット売場とは、目立つ売場のことです。
あなたのお店は、とにかく棚に商品を詰め込んでしまい、倉庫のようなお店になっていませんか。

倉庫のようなお店だと、すべての売場が同じように見えてしまい、踵が動きません。
つまり、「あっちの売場、おもしろそうだから行ってみようかな」という視覚的に魅力的に見える売場がないと、お客様は店内を回遊してくれないのです。

店内回遊時間が少ないと、買い上げ率も少なくなり、1人当たり買い上げ単価も少なくなります。
なので、魅力的に見える売場をそこかしこにつくりましょう。

商品的には、大量にCM打っている商品、特売商品、梅雨対策などを一カタマリにしてマグネットにしましょう。

展示的には、タレントの等身大ポスター、大きなマスクをつけたヘッドマネキン、すだれなどの風物的なプロップスを使用して飾りつけをしましょう。

店舗デザイン的には、木製什器とナチュラルな壁紙を使って「ナチュラルダイエット」というコーナーをつくりましょう。

体験販促的には、酵素の試飲コーナーをつくったり、梅雨の洗濯対策プロモーションを行って人を引き付けましょう。

このようなマグネット売場をフロアのそこかしこにつくることによって、お客様の回遊率をアップさせ、店内滞在時間を長くできるんです。

だいたいわかりましたか。
化粧品店・ドラッグストアの売場改善の仕方。

以上お話ししたフレームワークは、売場づくりの基礎セミナーもしくは、売場の改装・改善セミナーで具体的にお話ししています。

興味ある方はぜひお越しください。

●売場づくりの基礎セミナー

●売場の改装・改善セミナー

お越しをお待ちしております!!

(vmd-i協会事務局)

美的形式原理をディスプレイに応用しよう

なぜ、みなさんはこのディスプレイはきれいだ。
このディスプレイは美しい、と思うのでしょうか。

きれいなものには法則がありました。
それが美的原理というものです。

美的形式原理は下記の7つの法則があります。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

どの言葉もなじみがあると思います。
そう、売場塾の授業でよく出てくる言葉だからです。

ハーモニーは、ハーモニゼーションのところで出てくる等間隔陳列、ウエーブ陳列が思い起こされます。

バランスは、オーケストレーション自体がそうです。
壁面の集合ディスプレイのバランス加減でよくも悪くもなります。

プロポーションとは、黄金比、三分割比、ラバットメントパターンなどかあり、絵画でよく使われている法則ですが、ディスプレイでも使えます。

コントラストとグラデーションは、色の授業で出てきました。
リズムに関してはリピテーションがその代表と言えましょう。

美的形式原理はディスプレイだけでなく、店舗デザインやPOPでも使えます。
一度、美術の本を紐解いてこの原理を深く学ぶのもよいですね。
または当社ディスプレイ指導講座でみっちり鍛えています~。

●売場塾 ディスプレイ指導講座

(vmd-i協会事務局)

自店の店舗デザインはどうあるべきか

デザインとは何でしょう。ウィキペディアでは次のように定義しています。
「ある物事について、それを真に理解し、ふさわしい姿を与える。そのとき顕れた美しみを、人々はdesignと称する。」

これを、A店を新装する場合に置き換えてみましょう。
「新装するA店舗において、それを真に理解し、ふさわしい姿を考える。その結果、新しくできたA店舗表現を、人々は店舗designと称する。」
こんな感じだと思います

さて、「A店にふさわしい姿」とは何でしょうか?
ふさわしい店舗の姿というのは、店舗ブランドによって違います。
ユニクロのふさわしい姿は無印良品とは違い、スターバックスのふさわしい姿はドトールコーヒーとは違います。

ユニクロは色とりどりのにぎやかな姿であり、無印良品はシンプルでナチュラルな姿です。
スターバックスはモダンで落ち着く姿ですが、ドトールはさっと入ってさっと出るピットインのような姿です。
だから小売店を営んでいるあなたは、自店のふさわしい姿とは何か?から店舗デザインを考えなければいけないのです。

よく見る有名店舗のデザインを模倣しても仕方がありません。
そのような行為はあなたのお店の顧客を遠ざけるでしょう。
今回は、自店の店舗デザインをどうやって決めるか、お教えします。
それによって、店舗デザインを施工会社に丸投げする常態から脱却できるのです。

さて、VMDとはビジュアルマーチャンダイジングの略で、直訳すると「品揃えを視覚化する」ノウハウです。
実はVMDにおける店舗デザインは、通常思いつく建築デザインよりも定義が広いんです。
店頭・床・壁・天井・什器のデザインだけではない、下記の4分野のデザインを担います。

  1. ショップデザイン分野 →店頭・床・壁・天井・什器・照明など、店の構造物全般
  2. マーチャンダイジング分野 →商品のパッケージデザイン・包装紙・ショッピングバッグ、場合によってはプロダクツデザインそのもの。商品に関わるもの全般
  3. ディスプレイ分野 →マネキンや展示台などのディスプレイ用品、花や壺などの装飾品、ウインドウディスプレイ、商品群の佇まいなど、展示・陳列全般
  4. ロモーション分野 →ポスターや値札などのPOP、ビジョン、テーブルの腰巻・柱巻、バルーンなどの販促ツール全般

早い話が、店舗にやってくるお客様が見るものすべて、と考えていただければ。
したがって店員のユニフォーム、店員そのものも店舗デザインの一部であり、ここではプロモーション分野に入ります。
VMDを知ることによって、店舗デザインの監修ができる。自店にふさわしいデザインを決めることができるのです。

次に、店はコンセプトでできていることをお話しします。

店舗をハコです。
お客様はハコに買い物にやってきます。
そのハコのデザインを買い物しながら体感するのです。
床・壁・天井という構造物ひとつひとつに感心するわけではありません。
ハコの中の雰囲気を体感するのです。
きれいなパッケージの商品がたくさん並んでいる佇まい。
手書きPOPが林立している賑わい。
品のある店員の立ち振る舞いとユニフォーム。
これら目に見えるすべてのデザインが、場の雰囲気としてお客様に感動を与えているのです。

では、自店のハコのデザインをどうやって決めればいいか?
ズバリ店舗コンセプトを決めればよいです。
「わが店舗はどんな店舗なのか」という概念を言葉にしたもの、それが店舗コンセプトです。
あなたが店の経営者、バイヤー、SV、店長、店員、販促担当、商品開発担当という店舗に関わりのある方なら、店舗コンセプトを決めるのは必須です。

例えば、スターバックスは「第三の場所」という店舗コンセプトがあります。
家でも職場でもない第三のリラックスできる場所である、という意味です。
だから、店内は落ち着いたたたずまいになっているはずです。
ダークトーンの木のイスとテーブル、照度を落とした照明、漆喰の壁、そこに掲げられている絵画、そしてバリスタの威勢のいい声。目に見えるものすべてが第三の場所としてふさわしいデザインになっています。

このようにコンセプトは店舗デザインを決める考え方のもとになっているのです。
ほとんどのブランドショップにはコンセプトがあります。

例えば下記です。

  • SHIPS DAYSのコンセプト「眺めのいい日々と、居ごこちのいい服」
  • フランフランのコンセプト「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
  • アフタヌーンティのコンセプト「spice of a day」

このコンセプトをテイスト、そしてトーンアンドマナーに意訳する作業をしましょう。
店舗コンセプトが決まれば、あとはそれをもとに前出の4分野のデザインに落とし込めばよいです。

ですが店舗コンセプトをそのまま業社に言っても伝わりません。
ここでクエスチョン!
例えば、あなたがPOP制作を外注するとします。

どのようにしたらよいか。下記からひとつ選んでみてください。

  1. なるべく優秀なデザイナーにデザインを丸投げする
  2. トーンアンドマナーをしっかりデザイナーに提示し監修する
  3. いつもの施工会社に頼んで店舗デザインに沿ったPOPを作成してもらう

答えは2です。

そう、トーンアンドマナーをデザイナーに提示しなくてはいけないのです。
トーンアンドマナーとはデザインのルールのことです。

「うちのコンセプトは「第三の場所」だからそのようなデザインにしてほしい」とPOPデザイナーに言っても伝わりません。
トーンアンドマナーを伝えないと店にふさわしい姿のPOPにはならないのです。

一番上の図を見てください。
これは店舗(ハコ)の構成要素です。
まずハコの左外の「デザインテイスト」に注目してください。
デザインテイストとは次のようなものです。

お客様は買い物をして出るまで店内で短時間を過ごします。
店内で目にするものはPOPだけでなく、商品だったり什器だったり壁紙だったりします。
スタッフも目にするし、テーブルのディスプレイも目にします。
この時、テイストというお客様の感じ方があり、「自然でナチュラル」「クールでモダン」「元気でにぎやか」「フレッシュでみずみずしい」などお店によっていろいろな感じをお客様は受けています。
これを司っているのがデザインテイストであり、デザインテイストはお客様の目に見えるすべてのものが発している感じや気持ちのことです。
その「感じ」をお客様は五感でハッシ!と受け止めるわけなのです。

チェーン展開しているあなたのブランド店舗もテイストを決めなければいけません。
それが空間ブランディングという行為で、同じ店なのに一方は都会的で一方は田舎っぽいとなると、妙な感じになります。
ブランドの世界観はないに等しいです。
無印良品やユニクロはどこに行っても世界観は一緒であるように、あなたのお店のデザインテイストは規格化しなければいけないのです。

VMDインストラクターはブランド空間の監修役なので、チェーン店全体のデザインテイストを統一して保つ役目を担っています。
チェーン店においては、POPはPOPデザイナー、商品はプロダクツデザイナー、床・壁・天井は店舗デザイナーなどと役割分担されています。
ところがデザインにルールがなくて、各デザイナーが好きなようにそれぞれ作ってしまったら、店内はいろいろなデザインでごった煮になるのです。
そうなると、お客様にとってどの店に行ってもテイストが違うため、店のブランド感はなくなり、よろず屋で買い物している感覚になってしまいます。
そうならないために、VMDの専門家はデザイナーにきちんとオリエンしなければいけないし、監修しなければいけません。
まずはあなたの店舗のデザインテイストを設定し、トーンアンドマナーを決めましょう。

最後に、トーンアンドマナー事例についておはなしします。
「屋根裏部屋のような秘密基地」とか「離島の人のいない自然観」とか「重厚で伝統的だがモダン」のような表現と模写でストーリーボードをつくり、デザインテイストをデザイナーに提示できるようにすします。
その上で、下記をチェックする。

「離島の人のいない自然観」の場合では、

  • 「離島の人のいない自然観」テイストが什器デザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがPOPデザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストが定数・定量に表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがディスプレイに表れているかどうか。

POPひとつとっても、「離島の人のいない自然観」テイストの下、書体はどうあるべきか、レイアウトはどうあるべきか、POP用具はどんなものがよいのか、考える必要があります。

POPデザイナーにデザイン発注してできたデザインを校正する場合は、デザインがトーンアンドマナーに沿っているかチェックします。

施工会社の設計士と改装について打ち合わせするときは、壁紙の柄、照明の明るさ、什器のデザイン、床のパターンがトーンアンドマナーに即しているのか監修しなければいけません。
これを「トーンアンドマナーのフィルターを通してデザインを見る」といい、店内デザイン物を精査する際、このフィルターを通します。

だいたいわかりましたでしょうか、あなたの店のデザインの決め方。
「どんなお店にするか」明確化するコンセプトが決まらないと、デザインテイストも決まらず、トーンアンドマナーもつくることができないのです。

もしあなたの店舗にコンセプトがなかったら、まずはとりあえずでいいのでコンセプトを決めましょう。
でないと、「私はモダンなデザインが好きだから、こんな什器にする」みたいに経営者の好みで決めることになりかねません。

もしあなたの会社にVMD担当がいないのならば、担当を育成しましょう。
店のデザインの指南役をつくるのです。
担当はVMD知識に加えてデザインセンスを身につけ、設計図面を読めたり、コピーを書けたり、色のコーディネート術を身に着けたりと、デザインについての知識やスキルは磨いた方がよいです。
でないとデザイナーや設計者と会話できないどころか、デザイン丸投げになってしまうからです。
またそのような人材育成の余裕がない場合は、VMDインストラクターという職業人がいるので利用してほしいです。
文字通り、あなたのお店のデザインを教えてくれます。

(vmd-i協会事務局)