ショッピングモール」タグアーカイブ

英会話学校のブース

VMDでイベントブース・販促ブースに客を集める

0.イベント・販促ブースにも役に立つVMD

皆さんは、VMDというとお店の集客をアップさせるノウハウと思っていませんか。
VMD、実はイベントブースや販促ブースにも役に立つんです。

ショッピングモールや駅ビルでよく見る勧誘ブース、例えば

  • クレジットカードのデモブース
  • 酒メーカーの試飲ブース
  • プロバイダーの勧誘ブース
  • スクールの勧誘ブース
  • ケータイショップのデモブース

などなど、イベント販促ブースのVMDは、道行く人を捉える貴重な技術となるんです。
「なかなかお客様がブースに寄ってくれない」とお困りの販促関係の方は、ぜひVMDによる集客のコツを掴んでください。

そのコツは下記の4つです。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

ひとつひとつ解説していきます。

1.見通しとブランドサイン

駅ビルやショッピングモールのコンコースに設けられたところに必ずあるのが販促ブース。

よく見るものに商業施設のクレジットカードがあります。
ルミネカードやイオンカードなどよくやっていますよね。
単独のクレジット会社だとVISAやアメックスなどもよくやっています。

また、施設にオープンする料理教室や英会話学校の勧誘ブースなどもよくあります。
家電店のフロア・メイン通路にはプロバイダーやケータイキャリアのブースもお目見えしています。

ブースの形態はパラペット型の展示会ブースや机を並べただけのブースなどさまざまあります。
これらのブース、15m離れて見てください。
何をやっているブースかわからないですよね。

次に10m、5mとだんだんブースに近づいてください。
それでも何やっているのかわからないですよね。

なぜかというと、ブースの見通しが悪いから。
ブースの見通しが悪い原因は下記です。

a. 商品ブランドサインが小さすぎるか、掲示されていない。
b. 取り扱い商品やサービスが書いていない。
c. ブースサインがパラペットに貼られているだけなので、横から来たお客様には見えない。
d. ブース前にスタッフが集まっているので、ブース自体がよく見えない。
e. のぼりが多数ブース前に立っていてブースの中が見えない。
f. 宣伝のポスターやPOPが小さすぎるて何が書いてあるのかわからない。

まずa.b.cについて解説します。

たとえブースが有名なクレジット会社やケータイキャリアでも、15m先の客が認識できるくらいに大きくロゴサインを掲示しないと遠目から何屋か分からないです。
ガソリンスタンド並みに遠くの客に大きく見えるように掲示しましょう。

ただ、ロゴサインがみんなに馴染みがない場合は、いくら大きく掲示しても何屋かわかりません。
例えば、和菓子の「雫」という商品ロゴをすごく大きく掲示したとします。
しかし、「雫」が地域で有名でないと何の商品か分からないでしょう。
線香かもしれないし、墓石販売かもしれません。
この場合は、商品ブランドロゴよりも、「あげまんじゅう」というアイテム名を大きく掲示した方が何屋かわかるんです。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く Before

しかも、掲示位置はコンコースに対して直角です。(上図) これではいけません。
コンコースに平行に掲示してしまうと、あちらから来る客に見えません。
T字路にあるブースならよいのですが、殆どの客はブースの左右から来ます。
なので、左右の客に向かって垂直にサインを置かなければいけません。
下図のようにします。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く After

dについては下図をイメージしてください。

客はどんどんブースに近づいてきます。
しかも、スタッフの人だかりでブース奥が見えにくくなっています。

図3 ブース前の人だかり

客らしき人が集まっているならにぎやかな雰囲気はしますが、販促スタッフだけが集まっていると、なんだか勧誘されそうな雰囲気まで感じられます。

そうならないために、販促スタッフだけでブース正面を固めないで、適度にブース周りに散って気軽に客に寄ってもらうようにしなければいけません。
数人が客のフリをしてブース内外をウロウロという形にしてもよいです。

でないと危険を察知しそのまま客はスタスタ歩いて通過してしまいます。

eとfは、4.POP編集のところで詳しく論じます。

例えば、私が広告会社に勤めていた時に英会話学校をクライアントに持っていました。
その学校は、書店店頭や駅前で数人の販促スタッフが道行く人をキャッチして入学いただくというプロモーションを展開していました。

英語の勉強をしていたものの、海外に行ったらなかなか英語が通じなくてがっくりとした経験が私にありました。
そこで8月の末に、海外に行ったが英語が通じなくてガッカリして帰った客向けに、下記のようなキャンペーンを提案しました。

「海外で英語が通じなかったあなたに朗報」
というキャッチフレーズをブースにでかでか掲示し、7回レッスン7,000円という格安の企画名を打ち出しました。

この学校、通常は高い授業料をとるのですが、このような魅力的なコピーをつくって、学校サインの下に掲示したのです。
遠くから来る人に見えるように、なるべく目立つように掲示しました。
結果はまずまずでした。
後で夏休み後よりも前の方が効果があるというのがわかったのですが、単に「英会話しませんか」みたいなキャッチよりも、こちらの方がインパクトある!」とクライアントも喜んでくれました。

従いまして、ブースの見通しがよいということは、文字がよく見えるということでした。
しかも文字が客にインパクトを与えるものならばなおさら近寄ってくれます。

具体的には下記のように文字を配置しましょう。(4.POP編集で詳細解説)

  1. 何屋かわかるようにサインを掲示する ・・・新聞の大見出しに相当
  2. 取り扱いサービスを掲示する ・・・新聞の中見出しに相当
  3. 何が客にとって得かベネフィットを掲示する ・・・新聞の小見出しに相当

2.GP(グランドプレゼンテーション)

グランドプレゼンテーションとは、遠くからブースがひとつのカタマリに見えるようにするデザイン的な技術です。

このGP、詳しくはこちらにも書いてあります。
メーカーのショップインショップによく使う手法です。

●メーカーの売場自体を広告にする方法

例えば、下の雪肌精とバーミキュラの売場を見てください。
ブランドコーナーとして一体化していますよね。
それは柱や壁といったコーナーを陳列、展示、サイン、POPを色で一体化しているからなんです。

写真1 雪肌精の売場GP

写真2 バーミキュラの売場GP

図に書くと下記のような感じになります。

図4 柱周りのブース

あなたのブースがせっかく柱ぐるりを獲得しているのに、左のPOP配置になるだけで、客はあなたの催事ブースがあること自体わからなくなるのです。
右のようにタテヨコのグリッドラインを合わせて、統一されたPOP配置にしてください。

例えば、下の写真はショッピングモールのハワイ土産売場。

写真3 ハワイ土産売場

什器上部分が赤い帯POPがレールのように敷かれていて、このゾーン全体がハワイ土産売りだとわかります。
丸いタイトル「the aloha shop」という売り場名も見えます。

3.ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ

ランディングゾーンとは、客が店前に気軽に寄ることができるゾーンを言います。

例えば、下の写真のドール売場例を見てください。
DFS内にあるドールのショップインショップです。

写真4 ドール売場とランディングゾーン

店頭左部分がマルシェのようになっていて、パイナップのぬいぐるみやパインチップスが積まれているのがわかります。
このマルシェぐるりをランディングゾーンと言って、客を立ち止まらせる地帯になっています。
「なんかやってんな」という雰囲気を持たせるゾーンで、左右、正面どちらからでもランディングできるようにつくってあります。

上の写真左側を拡大したのが下の写真です。
このマルシェの部分は「ウエルカムディスプレイ」といい、客の目に留まり集客するきっかけとなるディスプレイです。

写真4-1 ドールのウエルカムディスプレイ

実はショッピングモールのテナントで入りやすい店というのは、ランディングゾーンがつくってあり、そこにテーブルがVPとして置かれているケースが多いです。
下の化粧品ブースの売場を見てください。
矢印がウエルカムディスプレイになっていて、周りランディングゾーンになっているのがわかります。
文字通りウエルカムディスプレイは鳥が留まってくれる止まり木になってくれるんです。

写真5 ラリンのウエルカムディスプレイ

まとめとしてランディングゾーンの作り方を下図にしました。
ランディングゾーンにディスプレイを置きます。
物販なら商品を使ったディスプレイができますが、英会話学校やクレジット会社はモノはではなく無形サービスが商品になりますので、差別化された特徴をきちんと明記したPOPを置いてください。

図5 ランディングゾーンの作り方

英会話学校などは教科書がありますので、それらを置くのもいいし、生徒のTOEIC点数の伸び率グラフ、就職先外資系企業をPOPに掲示すると効果的でしょう。

ダメな例は、店頭に受付を置き、ブース奥のみに展示物やPOPを置くこと。
繰り返しになりますが、下記のように店頭にたくさんの販促スタッフが待ち構えていると、客は寄り付きません。

図3 ブース前の人だかり

VMDでいうところのVPをウエルカムディスプレイとしてテーブル展開し、受付はブースの奥に配置し、販促スタッフはブースから離れて待機すれば、客がブースに寄りやすい環境になります。

4.POP編集

POP編集とはPOPの位置を正しい位置に直すルールのことです。
先ほど話したGPと連動しています。
のぼりと壁面POPの直し方を例に挙げます。

a.のぼりの配置

図6 のぼり配置のコツ Before


上図を見てください、
ブースの前にのぼりが密集しています。
これでは遠くからブースの中が見えません。
ウエルカムディスプレイも見えなくなっています。

しかも、Aの商品とBの商品とでのぼりのデザインが違い、A,B入り乱れて置かれています。
これでは客にA,B両方の商品とも認識させることができません。

図7 のぼり配置のコツ After

今度はPOP配置を直しました。上図を見てください。
のぼりが通路沿いに等間隔で平行に置かれているのがわかります。
しかも、右からくる客にはB商品ののぼり、左から来る客にはA商品ののぼりがリピートしています。

こうすると右から来る客にはB商品、左から来る客はA商品を印象付けさせることができます。
しかもブースの見通しはよくなり、ウエルカムディスプレイも認識することができます。
のぼりは最低同じ商品のものを3連続で等間隔に置くようにしてください。

b.壁面POPの配置

図8 ブース集客のコツ POP Before

次は壁面POPの位置です。
上図を見てください。

ブース奥の壁面はこんな感じになっていませんか。
先ほどの柱周りのブースと同じような感じです。
チラシやポスターをただ貼っただけになっています。
これでは何も訴求することはできません。

先ほど述べたように、壁面を新聞の表紙と考えてください。
新聞には大見出しがあって中見出しがあって小見出しがあります。
それと同じようにPOPを配置します。
すると、ブースに入った人は奥に何があるのか一目瞭然になります。

例えば、英会話学校の勧誘ブースという感じで下記のように作ります。

図9 ブース集客のコツ POP After

5.まとめ

だいたいわかりましたか。販促ブースの集客の仕方。
下記4つを念頭に置いてプランしてください。
メーカーや施設販促部だけでなく、広告代理店や販促会社の方にも役に立ちます。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

VMDに興味がわいた販促関係の方は、ぜひ銀座のVMDセミナーにお越しください。
3か月に一度行っています。(^^)

●VMD売場づくりの基礎セミナー
●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

サービス店舗にもVMDを教えていきましょう

ショッピングセンター、ショッピングモールに関しての基本知識をまずはお教えしましょう。
ここ数年で勢いがあるテナント種目は、食品、飲食、サービスです。
特にサービスの比率が高く、出店数から退店数を引いた店舗数は500~600テナント数で、種目中では断トツです。
サービス店舗と言うのは、物販ではなくサービスを売り物にしている店舗のことです。
クリーニング、カフェ・レストラン、エステ、マッサージ、ヘアサロンなどです。
一方、ファッションは-800~-1000テナント数で、激減しているといっていいでしょう。
それほどファッションに勢いがなくなっています。

さて、もともとVMDはファッション中心になっていたのですが、以上のことからサービスに対応できるVMD理論に移行する必要があります。
VMDインストラクターは、SCに出向いてVMDセミナーを開くことが多いのですが、200あるSCでもすべてのテナントが出席しているわけではありません。
出席者はアパレル、食品、雑貨などの物販の方中心です。
テナントの半分近くを占めるサービス店舗の方にもぜひVMDセミナーに参加してほしいです。
なぜなら当VMDインストラクター協会のVMD理論は、サービ業にも十分使える理論だからです。

サービス店舗のVMDとはなにか?
特徴として、サービス店舗は、サービスを売っていますので、店内にあまりなく、エステのメニューサービスとか、マッサージの料金表とか、写真の仕上がりプリントとか、ポスター等POPとかが、ビジュアル物になります。
また商品を陳列することはできないので、イメージ展示をしなければいけません。例えば、レストランならテーブルに食品サンプルと食器を展示するとか、旅行代理店ならハワイのビーチサイドの雰囲気の展示をつくるとか・・・になります。

このように、空気を売っているようなサービス店舗に対して、通常の物販店舗のVMDをそのまま教授しても、あまり役には立ちません。
モノはないりので当然です。サービス店舗に即したVMDを教えなければいけないです。
それはどんなVMDでしょうか、ズバリお教えします。

  • MDカレンダーとそれに付随した展示ローテーション
  • 展示のテーマと演出方法
  • POPの種類とコンテンツのつくり方
  • 販促ツールの企画とつくり方
  • 体験プロモーションの企画方法

各々をもう少し深堀してみます。

・MDカレンダーとそれに付随した展示ローテーション

サービス店舗は、季節や社会行事の変化によって、通年サービスを強調しなければいけません。
カフェだったら、いつものコーヒーを宣伝してもしょうがありません。春夏秋冬とは打ち出し方を変えるべきですし、オフィス、アウトドア、ホームというようなオケージョンをベースにして考えても、打ち出し商品は違いますし、パーティやギフトというモチベーションによっても訴求方法が違います。
それを考え見て、時系列による打ち出しのメリハリを教えていかなくてはいけません。

・展示のテーマと演出方法
サービスを打ち出すコーナーをつくり、そこに上記MDカレンダーに合わせた展示を入れていきます。
展示形態は、テーブルディスプレイにするのか、入隅什器のコーナーをつくるのか、柱周りぐるりにするのかなどの、環境づくりが必要です。
次にそこにどんなテーマでどんなディスプレイをつくっていくのかを教えます。

・POPの種類とコンテンツのつくり方
POPには告知POPや演出POPなどの種類がありますので、どんな種類のPOPをどのようにデザインし、どのような器具でどこに配置するのか教える必要があります。

・販促ツールの企画と実施
POPの他に、パンフレットやチラシなどの補助ツールが必要な場合、それらも作らなくてはいけません。
特にメーカーの場合は、テレビや新聞、ネットなどと連携したツールが必要です。
これらのツールのつくり方を教えるとよいでしょう。

・体験プロモーション
来店したお客様にどのように体験させるかの企画が必要です。エステならお試しや肌の悩み相談など。カメラプリントだったら、短時間のスクラップブッキング教室を開くとかの施策になります。
これらのプロモーションの組み立て方を教えるとよいでしょう。

サービス店舗のVMDの教え方を言うと、ざっとこんなところです。
ちなみに、売場塾では、POP指導講座やディスプレイ指導講座などでこれらの要素を入れた授業を行っています。

VMDインストラクターの皆さん、これからのVMDは、モノを売っていないサービス店舗にも適応できるスタイルを築いてくださいね。
SCの半分を占めるようになってきたサービス店舗にもVMD広げていきましょう。

(vmd-i協会事務局)