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流通ネットワーキングのVMD論文

VMD担当者が身に着けたいリテラシーとは

0.リテラシーとは

リテラシーとは、読み書き能力のことです。
学力と思ってもいいです。世界の国々の国民の教育程度の指標でもあります。
近年の日本は、読解力や数学的リテラシー、科学的リテラシーが低くなっているみたいですね。
ゆとり教育の弊害や、スマホやゲーム、SNSの影響が多分にあるみたいです。

さて、今回はビジネスリテラシーについてお話しします。
特にVMD担当者やVMDインストラクターの方、よく聞いてくださいね。

VMDという仕事はディスプレイがうまければいい、そう思っていませんか。
皆さんは、VMDプロである前に、サラリーマンだったりOLですよね。
つまり会社員としてどこかの企業に所属していると思います。

またフリーランスの方は起業して業務を行っていると思います。
でも、クライアントはどこかの企業の方で、相対する方はやはりサラリーマンかOLです。

(OLって言い方、もうハラスメントになってしまうかもしれないですね、すいません)

ビジネスマン、ビジネスウーマンとして身につけなければいけないリテラシーの話を4つします。
まずはITリテラシーから。

1.ITリテラシー

これはプログラマーやSEレベルのスキルを持て、ということではありません。
下記のことを言います。

  • パワーポイントが使えない
  • エクセルが使えない
  • ワードが書けない

また

・パワーポイントがPCにインストールされていない

こともあります。

実際、「パワーポイントでPOPを書いてみよう」という研修をした時。
社員の方にノートパソコンをセミナールームに持参いただき、POPを書いていただきました。

すると参加者の半分以上の方は、パワーポイントができない・・・。
コピペもできないし、罫線も引けない。
ほとんどその日は、POP作成ではなくパワーポイントの授業になってしまいました。

また、ある看板業社の営業に簡単な企画書をパワーポイントでメールしました。
すると、「パワポ、うちはインストールしてないんですよ」と返事がありました。

あるデコレーターの方に棚割りをパワポで送った時も、パワポソフト自体がない、ということでした。

マウスの資格を取ってくれ、とは言わないまでも、ウインドウズのオフィス主要3つのこれらソフトは使いこなしてほしいです。
企画書も開くことができません。

今日足立区の広報チラシが自宅に入っていて、そこにはたくさんの生涯学習の講座が掲載されていました。
パワポ講座、エクセル講座、イラストレーター講座、フォトショップ講座 etc。

オフィス使えない皆さん~、週末利用してぜひ受講してください~。
たぶんどの市町村でもこんな講座開講していると思います。
1万円と安いで、ぜひよろしくお願いします。

2.企画書リテラシー

オーバルリンクを起業したとき、企画書が書けない人って本当にいるんだな、と思いました。

異業種交流会などいろいろなフリーランスの方と出会う機会がありました。
私はパワポで当社会社案内やサービスメニューなどをつくり、配っていました。

すると、いろいろな方から「非常によくできている」「深沢さんは企画書が書ける」という評価をいただきました。

企画書が書ける???

ビジネスマンだったら企画書書くのが普通だと思っていたし、フリーランスで起業した人ならプレゼンに企画書は必須だと思っていました。

しかしながら、VMDのこの業界、パース画や立面図が書けても企画書が書けない人が多い、ということに気がつきました。

売場塾卒業生でも、ときどきプレゼンの相談をフリーランスの方から受けます。
アドバイスした後、「プレゼント通りました!」と朗報をいただくことがあります。

「どれどれ企画書を見せて」と尋ねて見せてもらうと、あれあれ。
ただの見積書じゃん、ということがありました。
「これでよくプレゼン通ったね~」と感心してしまいました。(^^)

後は、ポートフォリオ。
私は、今まで100人以上のVMDフリーランスの面談を受けました。

「私はこのようなことをしています」

と言って見せてもらうのは、ほぼ100%、ディスプレイの写真が多い。
つまり、プレゼンになっていないんです。

ディスプレイがうまいのはわかったけど、他の方と比べてどう違うのか、わからないんです。
何が得意で、どんなことが頼めるのか。
他のVMDプロと比べてどこが違うのか。

ディスプレイの写真だけだとそれがわからないんです。

例えば、下記の様なプレゼンが必要です。

・私は空中ものが得意です。どんな商品でも空中に浮かせることによって通行客の目を射止めます。
・その効果はこうこうこうで、これだけの集客がありました。

または、

・私はコストを掛けないディスプレイ制作が得意です。
クライアントの商品パッケージを使って、こんな風に造形物をつくってしまうし、造形物自体を動物キャラクターにできるので、お子様連れの客にとても喜ばれています。

みたいな下りが1ページの企画シートでもいいからほしいです。

とはいえ、VMD業界以外でも企画書書けない方がいるのは事実。
私も広告代理店に20年勤務していましたが、実に企画書書けない、書かない方は多かったです。
特に年配の人。
これでよく広告やっているな~と感心していました。(笑)

では、企画書の達人になるコツを教えます。それは簡単!

書くしかない。

この一言に尽きます。
書いて書いて書きまくって、覚えること。
これしかないと思っています。

オススメは、高橋憲行さんの本。
私も広告代理店ビギナーのころは、高橋憲行さんの本で勉強しました。
今でも人気の高橋さんの本、100冊は出ていると思いますので、本屋かアマゾンで買って読みましょう~。
とてもためになります。

3.日本語リテラシー

これは、ITリテラシー、企画書リテラシー以前の問題だと思ってください。
ズバリ言うと下記です。

日本語を書けない人が多い。

これを特に感じるのは、テストをした時。
売場塾のテストって記述式が多いです。

売場の写真を見て、どのように改善すればいいのか、コメントを書いていただいています。
そこで感じるのは、下記です。

  • 何を言っているのかわからない
  • てにおはがおかしい
  • 漢字が間違っている
  • 句読点がない

企業のVMD担当やフリーランスは、相手があって仕事をしています。
相手に下記の媒体を使ってコミュニケーションしていますよね。

  • メール
  • 企画書
  • 報告書
  • 会議資料

などなど、テスト以外でも文章を書くことが多いです。
みんなSNSで文章を書くのは慣れているのに不思議。

特に、POP制作担当者は、文章を書かなければいけません。
なのに出来上がったポスターの文章は・・・日本語になっていない!!
そういう例が多いです。

そこでおススメするのが下記の本。

「言葉ダイエット」 宣伝会議刊

電通コピーライター、橋口幸生さんが書いた本です。
ぜひ本屋かアマゾンで買って、文章の正しい書き方を会得してください~。
とてもためになりますよ。(^^)

4.流通リテラシー

これは、VMD担当、またはフリーランスの方に必要なリテラシーです。
その業界の流通構造や商習慣がどうなっているか知らないと、仕事がうまく進みません。

例えば、ケータイ業界。

ドコモショップにはたくさんのNTTドコモの社員が働いている。

このように思うなあなたはかなり危険です。
どこのドコモショップにも、NTTドコモの社員はいません。働いていません。

ドコモショップはNTTドコモというキャリアの代理店だからです。
なので、NTTドコモにいる方は、ITX、コスモネット、兼松コミュニケーションズという代理店のスタッフです。
もっと詳しく言うと、ドコモショップの受付にいる人は代理店の社員ではありません。
人材派遣会社ドコモCSから派遣されている派遣スタッフかもしれません。

例えば、家電業界。

ヤマダ電機で接客している人はすべてヤマダ電機の社員ではありません。
家電メーカーや販社から派遣されているヘルパーと呼ばれているスタッフが行っていることが多いです。
ヤマダ電機の社員よりヘルパーの数が多いフロアもあります。

  • スターバックスはほとんど直営だけど、ドトールコーヒーはほとんどフランチャイズ
  • ミスドはダスキンがフランチャイザーとして運営しているドーナッツ店。
  • BOOK OFFとHARD OFFは全く違う会社の運営。

などなど、業界では常識になっていることは知っていた方がよいです。

皆さん~、新聞やビジネス誌を読みましょう。
特に「日経MJ」を定期購読すると、流通の常識がわかります。

私の執筆している「流通ネットワーキング」もぜひ読んでください~。(^^)

(vmd-i協会事務局)

美的センスを取り入れよう

美意識を鍛えよう、という動きがビジネス界で唱えられています。
元来、ビジネスとアートは交わることがありませんでしたが、それを取り入れるようとしている会社が多くなっています。
代表的なのがアップル社でしょう。
言うまでもなく創業者のスティーブジョブスは究極なまでにアートを追求し、製品や広告、店舗だけでなく、建物や社風にもそれを表現しました。

片やウインドウズはどうでしょうか。
青い透明なiMacが話題になった時、同社は青く塗った自社製品でそれを揶揄しました。
「パソコンを青くしただけ」という評価でした。
その後アップルは時価総額でウインドウズを追い越しました。
今になっては、ウインドウズはアップルストアに似たデザインの店舗を展開しています。

現在、世界の優秀な企業の経営陣は美的センスを社内に取り入れることに余念がありません
日本で言うと、(株)良品生活がそうです。
「無印良品」を経営してる同社はアドバイザリーボードという各業界のデザイナーからなる委員会を設置し、そこから製品デザインや店舗デザインの方向性を見出し、時には軌道修正もしていきます。
(株)スープストックトーキョーはスープ店「Soup Stock Tokyo」を経営している会社ですが、会長は商社出身だがアートに造詣があることで有名です。
仮想ペルソナ「秋野つゆ」の好むお店になっているか?というユニークなデザインルールが商品にも店舗デザインも敷かれ、スタッフの共通言語にもなっています。

VMDインストラクターは、チェーン店舗のブランディングや店舗スタッフの教育をしています。
VMDと言う言葉は直訳すると、売場における総合的視覚演出体系です。
たくさんの商品を販売している店舗に美的センスを与えるのがVMDインストラクターの使命だと言えます
なんだか、カッコいいですね。
今回は、一般の人がVMDインストラクターのように、いかにして自分や自分の会社に美的センスを取り入れるかについて教授します。

センスのあるなしは「基準」で決まる

●センスのありなし

センスがない、センスがある。

この線引きはどうやって決められるのでしょうか。
上図を見てください。
「私はセンスがない」という人は、その人の中に基準というものがないということです
基準を0ゼロと仮定すると、プラスはいい方向、マイナスは悪い方向になります。
当然、センスがあるというのはプラス、センスがないというのはマイナスです

だから歌のセンスがないというのは、歌を歌う基準に到達していません。
少なくともマイナスということになります。
料理のセンスがないというのは、料理をおいしく作る基準に達していません。
少なくともマイナスということになります。

私の仕事で言うと、「ディスプレイのセンスがない」というのは、上手なディスプレイをつくる基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

例えば、子供に「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」というテーマでディスプレイをつくらせたとします。
家にある雑貨で食卓につくらせてみるのです。
男の子は喜んでディスプレイをつくるでしょう。
でも出来上がったディスプレイはこんな感じになったとしたら。
うーん、センスがいいとは言えません。

●センスのない「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのいい子供なら、「できた!!」と言ってこんな感じに作るでしょう。
コーヒーカップ軍艦から、一斉砲撃している感じがとてもダイナミックです。
そう、この子供はセンスがあるんです。

●センスのある「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのある人は型を知っている

この、センスある「ゴジラを一斉砲撃」とセンスのない「ゴジラを一斉砲撃」の差はなんでしょうか。
それは、センスのある子供は「上手なディスプレイとは何か。その基準を知っていた」ということです。
その基準とは下記です。

●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っていた
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構造線を知っていた
→だから、「食器の軍艦」と「丸い砲弾」を放射状にゴジラに向けて置いた。

もうわかったと思います。
この子供は「マスターパターン」と「リニアスキーム」というディスプレイの型を知っていたのです。
型を実行すれば基準以上に到達することがわかっていたのでした。

型はいろいろな分野に存在します。
料理の型、ヨガの型、歩く型、プレゼンの型等々。
例えば「今までウォーキングしてきたけど、なんか歩き方センスないなあ」と嘆くあなたは、本を読んでもいいし、ウォーキングの先生についてもいいでしょう。
とにかく歩く型を学ぶことが先決です。

型がわかって、毎日型に沿った歩き方をまじめに重ねていくと、3か月経てば上手に歩くことができます。
そこで、他人からも「なんか最近カッコよくなったね、スタイルもよくなったよ」と言われるはず。
あなたは、歩く型を身に着けることで、歩くセンス以上のものを得たのです。

うわべだけのマネはいけない

VMDの世界でも、ビジネスの世界でも、今までは「私のようになりなさい」という指導がはびこってきました。
すし店の店主は「私の後についてこい」と言うだけで数年助手をやらせるし、あなたの上司は時あるごとに武勇伝を語って「俺のマネをしろ」と言うでしょう。

残念ながら「本質」がわからないで、ただマネをするだけでは部下はいつまで経っても上達しません。

以前「もちクリーム」という大福を販売しているチェーン店があり、三越デパ地下で毎週100万円売るほどの優良店でした。
ガラスケースに展示された色とりどりの大福はファッション感覚抜群で、フルーティな味を食べ比べられる和菓子でした。

これをマネする会社がいて、ある日私の住居近くのデパ地下に売場を設けました。
確かにもちクリームと同じような商品でしたが、売場に賑わいはなく半年で消えました。

このようにうわべだけマネするだけではビジネスはうまくいきません。
もちクリームの下記の本質はマネされていないからです。

●大福の中身は特殊なゼリーと生クリームがミックスされている。このクリームは同社の特許製法でつくられている。
●職人の手でなく工場で大量生産されており、冷凍保存でき冷凍のまま販売している。日持ちがよいため、催事でも販売可能。
●価格は1個150円で種類は24種類あり1個から選べる。バナナ・オレンジ・りんごなどの柑橘系、カフェオレ・チーズ・赤ワインなどの嗜好系に分けられ、食べ比べできるのが楽しい。

このように、内装やディスプレイをマネて、単にあんこにいちごジャムをまぜて販売しても売れないのです。
上記の本質を見抜いて取り入れないと、スタート地点にも立てません。
ただし、製法も売り方も独自のものがあるため、本質をマネしようとしてもできないのがオチでしょう。

原理原則を知って社内に広めよう

当社は売場塾というVMDの学校を開催しています。
文字通り、売場づくりの型を教えている学校です。

卒業生は900名以上(21年5月現在)ですが、日本の企業のみならず欧米の有名ブランドのVMD担当も多数受講しています。
きっちりVMDを会得しているはずなのに、どうして売場塾に来るのか?彼ら彼女たちはこう言いいます。
「本部からは、どうしてこのディスプレイになるのか、理由を教えてくれないんです」。

ディスプレイ指示書というものがあります。
欧米本部から日本のVMD担当に送られてくる売場づくりの指示書です。
商品のフェイスのつくり方や陳列の仕方が細かく書かれています。
しかし、「このようにやれ」とはあるものの、「なぜそのようにするのか」理由が書かれていないのだ。なんとなく売場をつくっているものの、腑に落ちないことが多く、売場塾に学びに来るのでした。

売場塾では、55の売場づくりの型を教えて、型の店舗スタッフへの教え方も教えています。
図6のように、売場塾卒業生はVMDインストラクターとなって、頭の中の引き出しに入っている型を引っ張り出して、明確な言語で指導するスキルが備わっています。

店舗スタッフでさえ、「この売場はなんとなくいい」「なんとなく悪い」と肌でわかっていても、どこがよくてどう悪いのか、知る術はないのでした。
55の型を知ることによって、VMDインストラクター・店員ともに売場づくりが腑に落ち、ディスプレイのセンスもよくなっていくのが売場塾なのです。

型は更新し、新しくしていく

センスは、基準や型を身に着けるだけではいけません。
センスに独創性を加える必要があります
センスのよい人は、オリジナルな型をいくつも持って、常時更新または新たにつくっています。
センスはあなたやあなたの会社オリジナルの基準になってこそ、真のブランドとなりえるからです。

「型を知る」→「型を実行する」→「型を自分らしくする」

これが大事です。
この概念は、守破離やPLAN DO SEEといっしょです。
当社で言えば、「フレームワーキング」ですね。

●フレームワーキング

型はいつでも知ることができますが、そこから「型を実行する」「型を自分らしくする」に進まないと、センスも上向かないし、自分らしくなれないのです。
例えば、ファッショナブルになりたいあなたは、今までは妻のアドバイス、ファッション本、You Tubeでなんとか型を学習してセンスをよくしてきました。
今度は、あなたオリジナルの型をつくる段階です。
それには本やYou Tubeだけでなく視野を広げるとよいです。

●百貨店に行ってみる
●話題のカフェに入ってみる
●美術館に行ってみる
●野球観戦に行ってみる
●映画を見る etc

こういう何気ないことにもアンテナを張ると、ファッションセンスを上げるヒントがピピッと来ます。
それは第六感、あるいはセレンディピティというやつです。
そんな出会いがあったらすかさず、メモをとりましょう。スマホで写真を撮りましょう。パンフレットをもらいましょう。店員さんと会話しましょう。

すると、ムクムクと自分の型が出来上がってきます。
「今度はこんなスタイルで会社に行ってみるかな」「これは冒険だけど、一度この色合いの服でプレゼンしてみるかな」
というように。
自分の型を創り出して実行してみるのです。

しばらくして、周りの人が「なんか●●さん変わったね」「格好よくなったね」と言い始めたら、しめたもの。
あなたの作った型は当たっているのです。

私は、気に入ったディスプレイをスマホやデジカメで撮影して、常時キーワードを写真のキャプションに入れて保存しています。
キーワードとは、三角構成、コントラスト配色、什器レイアウトなど、型を表す用語です。
こうしておくと、「三角構成の新しい型をつくりたい」場合は、ホルダーの検索に「三角構成」と打つと瞬時にして三角構成が素敵な写真がピックアップできます。

こんな風にして、売場塾で教える107のディスプレイの型は生まれたのです。
107の1/3以上は私の生み出したオリジナルの型です。
スマホが必需品の今日、写真を撮って型のヒントを創り出すことをお勧めします。

ゴジラディスプレイの続き

こんな記事を書いていたら、前日ゴジラディスプレイ写真を親戚の男の子に送ったことを思い出しました。
実はこのディスプレイ、なにか腑に落ちなかったのです。
テーマは「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」だったが、写真を見返してみるとセンスがないのがわかりました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」Before

ただ単にゴジラの上に毛糸を垂らしたからです。
これではゴミがゴジラの上に乗っているだけです。
ディスプレイを作り直しました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」After

マンハッタンのビルが倒壊して、ゴジラがモスラの糸にぐるぐる巻きにしているのがわかると思います。
つまりAfterの写真は下記の型を足したのです。

●フェイシングという型を使って、ゴジラのシェイプをわかりやすくした
→ごみのような毛糸がゴジラに載っているだけなのでゴジラの輪郭がわからなかった。だから、毛糸でゴジラをぐるぐる巻きにして輪郭をはっきり出した
●リニアスキームという型を使って、クモの糸のようにした
●リニアスキームという型を使って、マンハッタンのビルを放射状に倒した

独創性はこんなところです。
●マンハッタンのビルを木の枝と見立てて、蜘蛛の巣状に毛糸を配置した
→モスラは蛾だが、クモの糸に置き換えることにより、ゴジラがいけにえにされている表現ができた。

このように、センスは日常の遊びでも鍛えることができます。
あなたのセンスがよくなることを祈っています。

型を覚えたい方、ぜひ日本橋のVMDセミナーに来てください。~
今度のセミナーはVMDの型を教えています。
●VMDセミナー

(vmd-i協会事務局)

履歴書イメージ

VMDで転職するときの経歴書の書き方

VMDとして転職しようと思っている皆さん、今日は経歴書(ポートフォリオ)の書き方を伝授します。

ポートフォリオに関しては、今までたくさんのVMD経験者が当社に面談に来ていて、山ほど経歴書を見ました。

悲しいことに、ほとんどのVMD経験者のポートフォリオは「作品集」という形式です。
つまり、今までつくったディスプレイの写真を掲載しているだけの方が多いです。

作品集を見せるのはいいんですが、こちら側とすれば、ディスプレイがきれいにできるのはわかった、で、あなたのオリジナリティってなんなの?
といつも思っています。

ディスプレイをきれいに作れる人は多いけれど、「私ディスプレイ、こんなにきれいにデキるんです」だけではあまりにPRが乏しいです。
なぜなら、ディスプレイはできて当たり前、あなたならではのオリジナリティを企業は求めているんです。
ポートフォリオは企業に対するVMDプロのプレゼンボードだと思ってください。
例えば、こんな感じ。

●「私は、予算をほとんどかけずにお菓子の余っているパッケージだけで、素敵なディスプレイができちゃうんです」
と言って、お菓子店の菓子箱のみを使って作った、見事なオブジェ作品をプレゼンする。

●「私は100円ショップで売っているプロップスだけを使って、低予算でディスプレイが作れちゃうんです」
と言って、100円ショップのプロップスを使ったディスプレイ作品をプレゼンします。
「すごい、ほんとにこれ、100円ショップで売っているだけのもので作ったの??」という感嘆を与えるでしょう。

●「私はディスプレイしてもなかなか売れない商品を、POPの文句を変えるだけで、売れるようにしました」
と言って、自ら作ったPOP作品を売上実績といっしょにプレゼンします。
POPの文句を変えたら、いつもなら1か月10万円しか売れない饅頭が50万円売れました、という売上高のグラフをいっしょに見せるんです。

こんな感じで、あなたしかできないものは何か?というのをぜひPRしてください。

ちなみにVMDインストラクターの方は、VMDインストラクターであることを、ぜひ面接の場でPRしてください。
VMDインストラクターは、店舗診断、OJT、研修ができる人ですので、例えば施行会社に自己PRするとき。

●「コンペでクライアントに施工パースをプレゼンするときに、私の店舗診断シートを添付すると、100%プレゼンが通るんです」
とか

●「クライアントには店舗デザインだけではなくて、ディスプレイの直し方もプレゼンできます。つまり施工というハードに、リバイスの仕方というソフトもプレゼンできちゃうんです」

とか言ってほしいです。

本当の話、施行会社などといっしょにコンペに参加した場合は、55のフレームワークを使った店舗診断シートを添付すれば、100%の確率で勝てています。

VMDで転職したい皆さん~、ぜひ説明会にお越しください。
転職のコツ、お教えします。(^^)
●売場塾&VMDインストラクター説明会
●売場塾&VMDインストラクター説明会(オンライン)

(vmd-i協会事務局)

理想的なVMD研修とは

VMDインストラクターが行うVMD研修の理想的な形とは何か?についてお話しします。
3つのパートならなります。

  • 現場研修
  • 集合研修
  • ガイドライン

ひとつひとつ解説します。

====== 現場研修 ========

現場研修のパターンは、改善点ガイダンス →チームに分かれてリバイス →発表 →評価・手直し という手順で行います。

●改善点ガイダンス
リバイス(売場の編集作業)に移る前に、VMDインストラクターは売場の写真を使って、どこが悪いのか指摘し、直し方を説明します。
52週26週の売場変更の場合は、インスタレーションのポイントを写真を使って説明します。
この時、ディスプレイ指示書があったりマニュアルやテキストがあると売場スタッフは理解しやすくなります。

●チームに分かれてリバイス
店内が広い場合は、数人のチームに分けてリバイスします。
3.4名で1カセットが作業しやすいでしょう。
デパ地下のお菓子店のような狭いところは、什器ごと、スペースごとに役割分担します。
リバイスの際、VMDインストラクターは監督係としてふるまってください。
チームに加担していっしょにインスタせずに、黙って見守り質問があったら対応します。

●発表
リバイスが修了したら、各チームに発表いただきます。
声を出して売場をどう直したかを言っていただくことが肝です。
そうすることで、売場の改善を理論的に人に伝えられる癖がつきます。

●評価・手直し
VMDインストラクターは、その発表を受けて評価、そして手直しをします。
手直しをする際、どこが悪くてどう直したらよいのかを説明しながら直します。
すると、スタッフは売場のBefore Afterを体感でき、記憶に残りやすくなります。

====== 集合研修 ========

現場研修の次は集合研修です。
これはセミナーをすればいいというものではなく、年間のスケジュールを現場研修と集合研修でどう組んでいくか、学びの仕組みはどうするかという設計から始めなくてはいけません。
VMDセミナー講師に頼んで終わり。
しかも1年に1回のセミナーをしたところでスタッフは記憶のかなたです。

集合研修は55のフレームワークを使ってそれを習得するようにカリキュラムを編成すると効果的です。
売場づくりの型を55覚える!というゴールが明確になり、回が重なるにつれ、「こんなに覚えた!」という感動がスタッフに積み重なっていきます。
モチベーションアップによいです。

現場研修と集合研修の関係は、理論を習得する集合研修、それを実践するのが現場研修です。
また、現場で問題を発掘するのが現場研修、その問題を解決するのが集合研修です。
こういう相互関係がありますので、集合研修のみ、現場研修のみというのはやめたほうがいいです。
双方をやってこそ、効果が出てきます。

VMDインストラクターは単なるセミナー講師ではなく、理論と実践をスタッフにVMDスキルを身につけさせ、売場のブランディングをキープさせるプロジェクトランナーでもある、という自覚をしてください。

====== ガイドライン ========

そしてその研修のゴールは「ブランドガイドライン」成就です。
現場研修で報告書を蓄積していき、それを編纂してガイドラインをつくっていくというスタイルがおススメで、実践的なガイドラインができます。

単にVMDの本を写してガイドラインにする、
広告会社に頼んで1か月でつくってもらう、
というやり方ではなさけないです。

自社オリジナルガイドラインは1年かかると心得、OJTの実践による積み重ねで作っていくという体制で臨んでいただければと思います。

VMD研修を含めたコンサルティングは当社では「VMD導入プログラム」というサービスで行っています。

●VMD導入プログラム

詳しく知りたい方は資料請求してくださいね。(^^)

(vmd-i協会事務局)

自店の店舗デザインはどうあるべきか

デザインとは何でしょう。ウィキペディアでは次のように定義しています。
「ある物事について、それを真に理解し、ふさわしい姿を与える。そのとき顕れた美しみを、人々はdesignと称する。」

これを、A店を新装する場合に置き換えてみましょう。
「新装するA店舗において、それを真に理解し、ふさわしい姿を考える。その結果、新しくできたA店舗表現を、人々は店舗designと称する。」
こんな感じだと思います

さて、「A店にふさわしい姿」とは何でしょうか?
ふさわしい店舗の姿というのは、店舗ブランドによって違います。
ユニクロのふさわしい姿は無印良品とは違い、スターバックスのふさわしい姿はドトールコーヒーとは違います。

ユニクロは色とりどりのにぎやかな姿であり、無印良品はシンプルでナチュラルな姿です。
スターバックスはモダンで落ち着く姿ですが、ドトールはさっと入ってさっと出るピットインのような姿です。
だから小売店を営んでいるあなたは、自店のふさわしい姿とは何か?から店舗デザインを考えなければいけないのです。

よく見る有名店舗のデザインを模倣しても仕方がありません。
そのような行為はあなたのお店の顧客を遠ざけるでしょう。
今回は、自店の店舗デザインをどうやって決めるか、お教えします。
それによって、店舗デザインを施工会社に丸投げする常態から脱却できるのです。

さて、VMDとはビジュアルマーチャンダイジングの略で、直訳すると「品揃えを視覚化する」ノウハウです。
実はVMDにおける店舗デザインは、通常思いつく建築デザインよりも定義が広いんです。
店頭・床・壁・天井・什器のデザインだけではない、下記の4分野のデザインを担います。

  1. ショップデザイン分野 →店頭・床・壁・天井・什器・照明など、店の構造物全般
  2. マーチャンダイジング分野 →商品のパッケージデザイン・包装紙・ショッピングバッグ、場合によってはプロダクツデザインそのもの。商品に関わるもの全般
  3. ディスプレイ分野 →マネキンや展示台などのディスプレイ用品、花や壺などの装飾品、ウインドウディスプレイ、商品群の佇まいなど、展示・陳列全般
  4. ロモーション分野 →ポスターや値札などのPOP、ビジョン、テーブルの腰巻・柱巻、バルーンなどの販促ツール全般

早い話が、店舗にやってくるお客様が見るものすべて、と考えていただければ。
したがって店員のユニフォーム、店員そのものも店舗デザインの一部であり、ここではプロモーション分野に入ります。
VMDを知ることによって、店舗デザインの監修ができる。自店にふさわしいデザインを決めることができるのです。

次に、店はコンセプトでできていることをお話しします。

店舗をハコです。
お客様はハコに買い物にやってきます。
そのハコのデザインを買い物しながら体感するのです。
床・壁・天井という構造物ひとつひとつに感心するわけではありません。
ハコの中の雰囲気を体感するのです。
きれいなパッケージの商品がたくさん並んでいる佇まい。
手書きPOPが林立している賑わい。
品のある店員の立ち振る舞いとユニフォーム。
これら目に見えるすべてのデザインが、場の雰囲気としてお客様に感動を与えているのです。

では、自店のハコのデザインをどうやって決めればいいか?
ズバリ店舗コンセプトを決めればよいです。
「わが店舗はどんな店舗なのか」という概念を言葉にしたもの、それが店舗コンセプトです。
あなたが店の経営者、バイヤー、SV、店長、店員、販促担当、商品開発担当という店舗に関わりのある方なら、店舗コンセプトを決めるのは必須です。

例えば、スターバックスは「第三の場所」という店舗コンセプトがあります。
家でも職場でもない第三のリラックスできる場所である、という意味です。
だから、店内は落ち着いたたたずまいになっているはずです。
ダークトーンの木のイスとテーブル、照度を落とした照明、漆喰の壁、そこに掲げられている絵画、そしてバリスタの威勢のいい声。目に見えるものすべてが第三の場所としてふさわしいデザインになっています。

このようにコンセプトは店舗デザインを決める考え方のもとになっているのです。
ほとんどのブランドショップにはコンセプトがあります。

例えば下記です。

  • SHIPS DAYSのコンセプト「眺めのいい日々と、居ごこちのいい服」
  • フランフランのコンセプト「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
  • アフタヌーンティのコンセプト「spice of a day」

このコンセプトをテイスト、そしてトーンアンドマナーに意訳する作業をしましょう。
店舗コンセプトが決まれば、あとはそれをもとに前出の4分野のデザインに落とし込めばよいです。

ですが店舗コンセプトをそのまま業社に言っても伝わりません。
ここでクエスチョン!
例えば、あなたがPOP制作を外注するとします。

どのようにしたらよいか。下記からひとつ選んでみてください。

  1. なるべく優秀なデザイナーにデザインを丸投げする
  2. トーンアンドマナーをしっかりデザイナーに提示し監修する
  3. いつもの施工会社に頼んで店舗デザインに沿ったPOPを作成してもらう

答えは2です。

そう、トーンアンドマナーをデザイナーに提示しなくてはいけないのです。
トーンアンドマナーとはデザインのルールのことです。

「うちのコンセプトは「第三の場所」だからそのようなデザインにしてほしい」とPOPデザイナーに言っても伝わりません。
トーンアンドマナーを伝えないと店にふさわしい姿のPOPにはならないのです。

一番上の図を見てください。
これは店舗(ハコ)の構成要素です。
まずハコの左外の「デザインテイスト」に注目してください。
デザインテイストとは次のようなものです。

お客様は買い物をして出るまで店内で短時間を過ごします。
店内で目にするものはPOPだけでなく、商品だったり什器だったり壁紙だったりします。
スタッフも目にするし、テーブルのディスプレイも目にします。
この時、テイストというお客様の感じ方があり、「自然でナチュラル」「クールでモダン」「元気でにぎやか」「フレッシュでみずみずしい」などお店によっていろいろな感じをお客様は受けています。
これを司っているのがデザインテイストであり、デザインテイストはお客様の目に見えるすべてのものが発している感じや気持ちのことです。
その「感じ」をお客様は五感でハッシ!と受け止めるわけなのです。

チェーン展開しているあなたのブランド店舗もテイストを決めなければいけません。
それが空間ブランディングという行為で、同じ店なのに一方は都会的で一方は田舎っぽいとなると、妙な感じになります。
ブランドの世界観はないに等しいです。
無印良品やユニクロはどこに行っても世界観は一緒であるように、あなたのお店のデザインテイストは規格化しなければいけないのです。

VMDインストラクターはブランド空間の監修役なので、チェーン店全体のデザインテイストを統一して保つ役目を担っています。
チェーン店においては、POPはPOPデザイナー、商品はプロダクツデザイナー、床・壁・天井は店舗デザイナーなどと役割分担されています。
ところがデザインにルールがなくて、各デザイナーが好きなようにそれぞれ作ってしまったら、店内はいろいろなデザインでごった煮になるのです。
そうなると、お客様にとってどの店に行ってもテイストが違うため、店のブランド感はなくなり、よろず屋で買い物している感覚になってしまいます。
そうならないために、VMDの専門家はデザイナーにきちんとオリエンしなければいけないし、監修しなければいけません。
まずはあなたの店舗のデザインテイストを設定し、トーンアンドマナーを決めましょう。

最後に、トーンアンドマナー事例についておはなしします。
「屋根裏部屋のような秘密基地」とか「離島の人のいない自然観」とか「重厚で伝統的だがモダン」のような表現と模写でストーリーボードをつくり、デザインテイストをデザイナーに提示できるようにすします。
その上で、下記をチェックする。

「離島の人のいない自然観」の場合では、

  • 「離島の人のいない自然観」テイストが什器デザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがPOPデザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストが定数・定量に表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがディスプレイに表れているかどうか。

POPひとつとっても、「離島の人のいない自然観」テイストの下、書体はどうあるべきか、レイアウトはどうあるべきか、POP用具はどんなものがよいのか、考える必要があります。

POPデザイナーにデザイン発注してできたデザインを校正する場合は、デザインがトーンアンドマナーに沿っているかチェックします。

施工会社の設計士と改装について打ち合わせするときは、壁紙の柄、照明の明るさ、什器のデザイン、床のパターンがトーンアンドマナーに即しているのか監修しなければいけません。
これを「トーンアンドマナーのフィルターを通してデザインを見る」といい、店内デザイン物を精査する際、このフィルターを通します。

だいたいわかりましたでしょうか、あなたの店のデザインの決め方。
「どんなお店にするか」明確化するコンセプトが決まらないと、デザインテイストも決まらず、トーンアンドマナーもつくることができないのです。

もしあなたの店舗にコンセプトがなかったら、まずはとりあえずでいいのでコンセプトを決めましょう。
でないと、「私はモダンなデザインが好きだから、こんな什器にする」みたいに経営者の好みで決めることになりかねません。

もしあなたの会社にVMD担当がいないのならば、担当を育成しましょう。
店のデザインの指南役をつくるのです。
担当はVMD知識に加えてデザインセンスを身につけ、設計図面を読めたり、コピーを書けたり、色のコーディネート術を身に着けたりと、デザインについての知識やスキルは磨いた方がよいです。
でないとデザイナーや設計者と会話できないどころか、デザイン丸投げになってしまうからです。
またそのような人材育成の余裕がない場合は、VMDインストラクターという職業人がいるので利用してほしいです。
文字通り、あなたのお店のデザインを教えてくれます。

(vmd-i協会事務局)