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POPの法則「オンスクの法則」

POPで売場に客を集める「オンスクの法則」

1.オンスクの法則 プロローグ

今回は「オンスクの法則」についてお話しします。

POPを使って自社売場に来店客を導く法則と言っていいでしょう。
特にショップインショップを作っているメーカーコーナーにうってつけの法則です。

では、どんな状況でこの法則が使えるか解説しましょう。
あなたが駅ビルのフロア内通路を歩いているとします。
スリーコインズという雑貨屋さんにさしかかりました。

スリーコインズ 3-coins

遠くの壁に何か書いてあります。(上写真)
12m先だからよくわかりません。

スリーコインズ 3-coins

でも8mくらいに近づいたら、「FASHION」の字が見えます。(上写真)

スリーコインズ 3-coinsの売場

もう少し近づいてみます。
2m手前に来ました。(上写真)
すると、「FASHION」のPOPの下に「SPRING COLLECTION 2024」の文字が見えました。

スリーコインズ 3-coinsのポーチ

30cm手前。(上写真)
もう棚の商品の手前です。
「ファッショナブルなポーチがたくさんあるわね」と思うあなたはパッグのタグを手に取って商品説明を読みます。

オンスクの法則、なんとなくイメージはわきましたか?
そう、あなたが興味を持った売場に近づくにつれ、その売場の情報がPOPを伝わって分かってくるんです。

POPとは最初は「FASHION」、次は「SPRING COLLECTION 2024」、そして最後はポーチのタグでした。

2.オンスクの法則とは

オンスクの法則のイメージがわかったら、今度は図でわかりやすく説明します。
今度は、スーパーマーケット店内の壁「HAWAIIAN CAFE」のコーナーと仮定します。

あなたはスーパーフロア内通路を歩いています。

 

遠くの売場が見える

●おや (上図)
「おや、あそこになにか茶色の売場があるな、なんだろう」
壁の10m手前なので「、色がまとまった壁だな」としか思えません。
でも少し興味を引きます。

 

少し近づいた売場

●ほう (上図)
8m手前に来ます。
すると、壁の上に大きく「HAWAIIAN CAFE」の文字が見えてきます。
「ほう、ハワイコーヒーの売場かあるのか」
とコーヒー好きなあなたきとても気になります。

 

だいぶ近づいた売場

●なるほど (上図)
5m手前に来ました。
「HAWAIIAN CAFE」のPOPの下に
「ビターエスプレッソ」
「バター風味」
「チョコレート風味」
「赤ワイン風味」
というPOPがあるのが分かりました。

「なるほど、いろいろな味のハワイコーヒーが売っているんだな」
と感心します。

 

すぐ手前の売場

●そーか (上図)
2m手前に来ました。
ここまでくると、先ほどの味別のPOPの下に

「ボトルタイプ」
「顆粒タイプ」
「粉末ステックタイプ」
と書かれているPOPがあるのがわかります。

「そーか、コーヒー豆が液体や粉末などで売っているんだな」
とかなり商品を理解してくれています。

 

30cm手前の売場

●買おう!(上図)
もう壁に30cm手前です。
商品もプライスカードもよく見えます。
赤ワイン風味のコナ地区の顆粒タイプの商品を手に持ったあなたはこう言います。

「買おう!こりゃ週末飲むのにいい」


これがオンスクの法則なんです。
図にまとめるとこうなります。

オンスクの法則

ということで、遠くからお客様が来る視点で売場を描いてみました。
「ハワイアン カフェ」売場にお客様がだんだん近づいてくる様子が分かったと思います。
お客様の動向をオンスクの視点で解説します。

●おや →ハワイアンカフェの壁面全体に気がつく (壁面全体)

●ほう →ハワイアンカフェの売場だと気づく (大見出しPOP)

●なるほど →味別のコーヒー売場になっていることに気づく (中見出しPOP)

●そーか →飲み方別パッケージになっていることに気づく (小見出しPOP)

●買おう! →コナ地区のワイン味のコーヒーパッケージをつかむ (プライスショーカード)

これを壁面だけの図にするとこうなります。

 

オンスクの法則

3.オンスクの法則は新聞の編集と同じ

大谷翔平の記事

オンスクの法則を生かしたPOPによる売場集客の組み立て方がわかったと思います。
それは新聞の表紙の編集の仕方と同じなんです。

上の写真は12月15日(火)の夕刊の表紙です。大谷翔平がドジャーズ入団が決まった日の夕刊です。
これをオンスクの法則と同じように説明します。

●「朝日新聞」題字は店名と同じ

●大見出し「ドジャーズ大谷 勝つために」は大見出しPOPと同じ

●大谷の写真は店のショーウインドウと同じ、つまりVP

●中見出し「この10年成功と思っていない」は中見出しPOPと同じ

●小見出し「入団会見」は小見出しPOPと同じ

●本文はプライスショーカードと同じ

●愛犬デコピンの写真は店内ディスプレイと同じ、つまりPP

どうですか。
改めて両者を見比べてください。

売場と大谷翔平の記事

オンスクの法則と新聞って構造的に同じことがわかります。
「売場づくりは編集と同じ」と、私たちVMDインストラクターがよく言うことがよくわかったと思います。

そんな法則で売場を見ると、オンスク法則があちこちにあることがわかります。
例えばこれ。

スリーコインズ

「KITCHEN」が大見出しで、「食べる」が中見出しということがわかります。

そんな目でオンスクの法則を使って売場をいろいろ見てください。
すると、ああユニクロはオンスクの法則がしっかり生きているな、とか
ヨドバシカメラもPOPがある程度大見出しや小見出しが固定されているな、とか
セリアはPOPが見やすいな、と感じるはずです。

ヨドバシカメラの洗濯機売場

あなたはPOPを店内に適当に貼っていませんか。
そしてデザインもバラバラに組んでいませんか。

オンスクの法則を使ってPOPをデザインし設置しましょう。
すると、あなたの集客したいショップインショップやコーナーにお客様は集まってきてくれます。

POPについて詳しく学習したい方は、ぜひセンスアップセミナー「POP活用体系」にお越しください。
7月開催です。

●センスアップセミナー「POP活用体系」

また、セミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」の12章でも詳しくPOPの活用の仕方を教えています。
この機会にぜひ勉強してください。

●VMDセミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」

今回は、オンスクの法則でした。

(VMDインストラクター協会事務局)

英会話学校のブース

VMDでイベントブース・販促ブースに客を集める

0.イベント・販促ブースにも役に立つVMD

皆さんは、VMDというとお店の集客をアップさせるノウハウと思っていませんか。
VMD、実はイベントブースや販促ブースにも役に立つんです。

ショッピングモールや駅ビルでよく見る勧誘ブース、例えば

  • クレジットカードのデモブース
  • 酒メーカーの試飲ブース
  • プロバイダーの勧誘ブース
  • スクールの勧誘ブース
  • ケータイショップのデモブース

などなど、イベント販促ブースのVMDは、道行く人を捉える貴重な技術となるんです。
「なかなかお客様がブースに寄ってくれない」とお困りの販促関係の方は、ぜひVMDによる集客のコツを掴んでください。

そのコツは下記の4つです。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

ひとつひとつ解説していきます。

1.見通しとブランドサイン

駅ビルやショッピングモールのコンコースに設けられたところに必ずあるのが販促ブース。

よく見るものに商業施設のクレジットカードがあります。
ルミネカードやイオンカードなどよくやっていますよね。
単独のクレジット会社だとVISAやアメックスなどもよくやっています。

また、施設にオープンする料理教室や英会話学校の勧誘ブースなどもよくあります。
家電店のフロア・メイン通路にはプロバイダーやケータイキャリアのブースもお目見えしています。

ブースの形態はパラペット型の展示会ブースや机を並べただけのブースなどさまざまあります。
これらのブース、15m離れて見てください。
何をやっているブースかわからないですよね。

次に10m、5mとだんだんブースに近づいてください。
それでも何やっているのかわからないですよね。

なぜかというと、ブースの見通しが悪いから。
ブースの見通しが悪い原因は下記です。

a. 商品ブランドサインが小さすぎるか、掲示されていない。
b. 取り扱い商品やサービスが書いていない。
c. ブースサインがパラペットに貼られているだけなので、横から来たお客様には見えない。
d. ブース前にスタッフが集まっているので、ブース自体がよく見えない。
e. のぼりが多数ブース前に立っていてブースの中が見えない。
f. 宣伝のポスターやPOPが小さすぎるて何が書いてあるのかわからない。

まずa.b.cについて解説します。

たとえブースが有名なクレジット会社やケータイキャリアでも、15m先の客が認識できるくらいに大きくロゴサインを掲示しないと遠目から何屋か分からないです。
ガソリンスタンド並みに遠くの客に大きく見えるように掲示しましょう。

ただ、ロゴサインがみんなに馴染みがない場合は、いくら大きく掲示しても何屋かわかりません。
例えば、和菓子の「雫」という商品ロゴをすごく大きく掲示したとします。
しかし、「雫」が地域で有名でないと何の商品か分からないでしょう。
線香かもしれないし、墓石販売かもしれません。
この場合は、商品ブランドロゴよりも、「あげまんじゅう」というアイテム名を大きく掲示した方が何屋かわかるんです。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く Before

しかも、掲示位置はコンコースに対して直角です。(上図) これではいけません。
コンコースに平行に掲示してしまうと、あちらから来る客に見えません。
T字路にあるブースならよいのですが、殆どの客はブースの左右から来ます。
なので、左右の客に向かって垂直にサインを置かなければいけません。
下図のようにします。

図1 サインはコンコースに対して垂直に置く After

dについては下図をイメージしてください。

客はどんどんブースに近づいてきます。
しかも、スタッフの人だかりでブース奥が見えにくくなっています。

図3 ブース前の人だかり

客らしき人が集まっているならにぎやかな雰囲気はしますが、販促スタッフだけが集まっていると、なんだか勧誘されそうな雰囲気まで感じられます。

そうならないために、販促スタッフだけでブース正面を固めないで、適度にブース周りに散って気軽に客に寄ってもらうようにしなければいけません。
数人が客のフリをしてブース内外をウロウロという形にしてもよいです。

でないと危険を察知しそのまま客はスタスタ歩いて通過してしまいます。

eとfは、4.POP編集のところで詳しく論じます。

例えば、私が広告会社に勤めていた時に英会話学校をクライアントに持っていました。
その学校は、書店店頭や駅前で数人の販促スタッフが道行く人をキャッチして入学いただくというプロモーションを展開していました。

英語の勉強をしていたものの、海外に行ったらなかなか英語が通じなくてがっくりとした経験が私にありました。
そこで8月の末に、海外に行ったが英語が通じなくてガッカリして帰った客向けに、下記のようなキャンペーンを提案しました。

「海外で英語が通じなかったあなたに朗報」
というキャッチフレーズをブースにでかでか掲示し、7回レッスン7,000円という格安の企画名を打ち出しました。

この学校、通常は高い授業料をとるのですが、このような魅力的なコピーをつくって、学校サインの下に掲示したのです。
遠くから来る人に見えるように、なるべく目立つように掲示しました。
結果はまずまずでした。
後で夏休み後よりも前の方が効果があるというのがわかったのですが、単に「英会話しませんか」みたいなキャッチよりも、こちらの方がインパクトある!」とクライアントも喜んでくれました。

従いまして、ブースの見通しがよいということは、文字がよく見えるということでした。
しかも文字が客にインパクトを与えるものならばなおさら近寄ってくれます。

具体的には下記のように文字を配置しましょう。(4.POP編集で詳細解説)

  1. 何屋かわかるようにサインを掲示する ・・・新聞の大見出しに相当
  2. 取り扱いサービスを掲示する ・・・新聞の中見出しに相当
  3. 何が客にとって得かベネフィットを掲示する ・・・新聞の小見出しに相当

2.GP(グランドプレゼンテーション)

グランドプレゼンテーションとは、遠くからブースがひとつのカタマリに見えるようにするデザイン的な技術です。

このGP、詳しくはこちらにも書いてあります。
メーカーのショップインショップによく使う手法です。

●メーカーの売場自体を広告にする方法

例えば、下の雪肌精とバーミキュラの売場を見てください。
ブランドコーナーとして一体化していますよね。
それは柱や壁といったコーナーを陳列、展示、サイン、POPを色で一体化しているからなんです。

写真1 雪肌精の売場GP

写真2 バーミキュラの売場GP

図に書くと下記のような感じになります。

図4 柱周りのブース

あなたのブースがせっかく柱ぐるりを獲得しているのに、左のPOP配置になるだけで、客はあなたの催事ブースがあること自体わからなくなるのです。
右のようにタテヨコのグリッドラインを合わせて、統一されたPOP配置にしてください。

例えば、下の写真はショッピングモールのハワイ土産売場。

写真3 ハワイ土産売場

什器上部分が赤い帯POPがレールのように敷かれていて、このゾーン全体がハワイ土産売りだとわかります。
丸いタイトル「the aloha shop」という売り場名も見えます。

3.ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ

ランディングゾーンとは、客が店前に気軽に寄ることができるゾーンを言います。

例えば、下の写真のドール売場例を見てください。
DFS内にあるドールのショップインショップです。

写真4 ドール売場とランディングゾーン

店頭左部分がマルシェのようになっていて、パイナップのぬいぐるみやパインチップスが積まれているのがわかります。
このマルシェぐるりをランディングゾーンと言って、客を立ち止まらせる地帯になっています。
「なんかやってんな」という雰囲気を持たせるゾーンで、左右、正面どちらからでもランディングできるようにつくってあります。

上の写真左側を拡大したのが下の写真です。
このマルシェの部分は「ウエルカムディスプレイ」といい、客の目に留まり集客するきっかけとなるディスプレイです。

写真4-1 ドールのウエルカムディスプレイ

実はショッピングモールのテナントで入りやすい店というのは、ランディングゾーンがつくってあり、そこにテーブルがVPとして置かれているケースが多いです。
下の化粧品ブースの売場を見てください。
矢印がウエルカムディスプレイになっていて、周りランディングゾーンになっているのがわかります。
文字通りウエルカムディスプレイは鳥が留まってくれる止まり木になってくれるんです。

写真5 ラリンのウエルカムディスプレイ

まとめとしてランディングゾーンの作り方を下図にしました。
ランディングゾーンにディスプレイを置きます。
物販なら商品を使ったディスプレイができますが、英会話学校やクレジット会社はモノはではなく無形サービスが商品になりますので、差別化された特徴をきちんと明記したPOPを置いてください。

図5 ランディングゾーンの作り方

英会話学校などは教科書がありますので、それらを置くのもいいし、生徒のTOEIC点数の伸び率グラフ、就職先外資系企業をPOPに掲示すると効果的でしょう。

ダメな例は、店頭に受付を置き、ブース奥のみに展示物やPOPを置くこと。
繰り返しになりますが、下記のように店頭にたくさんの販促スタッフが待ち構えていると、客は寄り付きません。

図3 ブース前の人だかり

VMDでいうところのVPをウエルカムディスプレイとしてテーブル展開し、受付はブースの奥に配置し、販促スタッフはブースから離れて待機すれば、客がブースに寄りやすい環境になります。

4.POP編集

POP編集とはPOPの位置を正しい位置に直すルールのことです。
先ほど話したGPと連動しています。
のぼりと壁面POPの直し方を例に挙げます。

a.のぼりの配置

図6 のぼり配置のコツ Before


上図を見てください、
ブースの前にのぼりが密集しています。
これでは遠くからブースの中が見えません。
ウエルカムディスプレイも見えなくなっています。

しかも、Aの商品とBの商品とでのぼりのデザインが違い、A,B入り乱れて置かれています。
これでは客にA,B両方の商品とも認識させることができません。

図7 のぼり配置のコツ After

今度はPOP配置を直しました。上図を見てください。
のぼりが通路沿いに等間隔で平行に置かれているのがわかります。
しかも、右からくる客にはB商品ののぼり、左から来る客にはA商品ののぼりがリピートしています。

こうすると右から来る客にはB商品、左から来る客はA商品を印象付けさせることができます。
しかもブースの見通しはよくなり、ウエルカムディスプレイも認識することができます。
のぼりは最低同じ商品のものを3連続で等間隔に置くようにしてください。

b.壁面POPの配置

図8 ブース集客のコツ POP Before

次は壁面POPの位置です。
上図を見てください。

ブース奥の壁面はこんな感じになっていませんか。
先ほどの柱周りのブースと同じような感じです。
チラシやポスターをただ貼っただけになっています。
これでは何も訴求することはできません。

先ほど述べたように、壁面を新聞の表紙と考えてください。
新聞には大見出しがあって中見出しがあって小見出しがあります。
それと同じようにPOPを配置します。
すると、ブースに入った人は奥に何があるのか一目瞭然になります。

例えば、英会話学校の勧誘ブースという感じで下記のように作ります。

図9 ブース集客のコツ POP After

5.まとめ

だいたいわかりましたか。販促ブースの集客の仕方。
下記4つを念頭に置いてプランしてください。
メーカーや施設販促部だけでなく、広告代理店や販促会社の方にも役に立ちます。

  1. 見通しとブランドサイン
  2. GP(グランドプレゼンテーション)
  3. ランディングゾーンとウエルカムディスプレイ
  4. POP編集

VMDに興味がわいた販促関係の方は、ぜひ銀座のVMDセミナーにお越しください。
3か月に一度行っています。(^^)

●VMD売場づくりの基礎セミナー
●VMD売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ニューヨークヤンキースのグッズ売場

阪神タイガースのアレはどうなっている?

1.阪神タイガーズのグッズ売場のアレ

阪神タイガース、リーグ優勝しましたね。
おめでとうございます。
岡田監督のアレが実現しました。
アレは、今年の流行語候補に完全に入ったと思います

今週土曜日からの日本シリーズも阪神のアレ、期待したいです。

ところで阪神タイガーズのグッズ売場のアレはどうなんでしょうか。
アレとは、グッズ売場のVMDです。
全国各地に阪神グッズ売場があって、百貨店やスポーツ店もコーナーをつくっています。
ネットで調べると少なくとも前年対比50%は売れているみたいで、10倍の売上になったところも。
全体的な経済効果も1000億近くなるみたいです。すごいですね。

今年から売場塾は銀座で行っていて、野球チームのグッズ売場も店舗診断ルートになっています。
なぜなら、東京オリンピック、WBC、ワールドカップラグビー、バスケ、パレーとスポーツチームのキャラクターグッズ売場はここ数年かなり注目されている売場だからです。
コンサートやスポーツなどのエンタメ企業にとってグッズ販売は命綱。
ディズニーランドの物販売上が全体売上の40%というのは周知だと思います。

2.ジャイアンツとヤンキーズのアレを比べてみよう

手元に阪神タイガーズの売場写真はなかったので、羽田空港で撮影した読売ジャイアンツの売場を紹介します。
上記がそうです。

次に紹介するのは、ニューヨーク空港のニューヨークヤンキーズのグッズショップ。
上の写真をじっと見てください。

次に先ほどのジャイアンツの売場をじっと見てください。


次に、左右の写真を見比べてください。
日米のプロ野球チームのVMDを比較してみましょう。違いがわかりますか。

違いは一目瞭然。
鉛直面にありました。

鉛直面とは、建築用語で、垂直面のことをいいます。
VMD用語では、バーチカルマーチャンダイジングといいます。

人は立って店内を歩いています。
視野角といって、人の目は前方を上下50度の視野角の中に収めています。
その視野角の中には売場があります。

このジャイアンツの店を見る私の目の視野角も50度で、水平に切ると上30度、下20度で売場を見ています。
つまり、売場の上の方が目に入る範囲が広いということになります。

 

すると、手前の什器を飛び越して壁も見えています。
天井までは詳しく見えませんが、壁の上部の額もよく見えています。
上の図でわかるように、視野角に入る鉛直面の売場が見えています。

両社の違いは鉛直面、壁と什器の鉛直面の商品のたたずまいが違うんです。

そのたたずまいは、

A.フェイシング
B.ハーモニゼーション
C.ポイントプレゼンテーション

に違いがありました。

 

3.日米野球チームのたたずまいの違い

日米野球グッズ売場

さあ、日米野球対決です。
たたずまいが違って見える理由の一つ、壁面のフェイシングから詳しく見てみましょう。

 

A.フェイシング

ジャイアンツはバスタオルやぬいぐるみ、ポシェットなどが置かれていますが、そのたたずまいは、積み上げられているという感じ。

片や、ヤンキーズの壁面は、カットソーがハンギングされていて服のシルエットやデザインがよく見えます。
また、マグカップやキャップのデザインも見やすく、色も統一されています。
白いマグカップで固めたり、黒いマグカップで固めたりしています。

ヤンキーズの方が断然、デザインやシルエットが見やすく、わかりやすいです。
巨人はバスタオルに選手の名前があるみたいですが、積んであるバスタオルが邪魔してそれが読めません。

 

B.ハーモニゼーション

日米野球グッズ売場

次に壁面のハーモニゼーションを見てみましょう。
ハーモニゼーションとは、「商品をリズミカルに陳列するテクラック」のことです。
そう、陳列には魅力的に見せるテクニックがあるんです。

ジャイアンツの陳列は、どさっと積んであるんでリズミカルではないですね。
バスタオルもそうですし、ポシェットも真横一線にひな壇に並んでいます。
倉庫っぽい感じです。

ヤンキーズの方を見ると、マグカップや帽子が左右対称に陳列されているのがわかります。
しかも、真横一線ではなく波型に見えるように陳列されています。
陳列に凹凸があるんです。
くねくね波型に陳列されていて、アクティブな陳列。
しかもシンメトリーに並んでいるので、とてもきれいなたたずまいに見えます。

波型の陳列ってリズミカル。なんかワルツのようです。
アンドゥトロワみたいな感じの陳列、いいですね。

 

C.ポイント・プレゼンテーション

日米野球グッズ売場

3つ目の理由はポイント・プレゼンテーション。
これもVMD用語です。展示ディスプレイと訳してください。

VMDでは陳列のことをIP、展示のことをPPというんです。
詳しくは下記を一読ください。

●PPとは

島什器の陳列と展示を見てみましょう。
まずはジャイアンツ。

展示物であるPPは、エンドのPOP上部にある二つのバスタオルのようです。
キティとのコラボバスタオルですね。
後はすべて陳列で展示物がありません。片やヤンキーズの島什器の展示物はトルソ。
トルソとは半身のボディマネキンのことです。

I LOVO NYのTシャツがかわいいですね。
マグカップも三角形に積まれています。

確かにTシャツはたたんで積んでいるけれど、そこかしこに展示物があります。
ボディ2つに三角形に展示しているマグカップが2つ。
つまり、ヤンキースの方がジャイアンツよりも展示物が2倍多いんです。

3.オーケストレーションが歩行者の興味を引く

まとめです。

下記の3つの要素とは、オーケストレーションを構成する要素だったんです。

A.フェイシング
B.ハーモニゼーション
C.ポイントプレゼンテーション

オーケストレーションとは、壁面全体のディスプレイのことで、これを魅力的にすればするほど、店舗イメージもよくなります。
そのためには、ぜひ上のA,B,Cをしっかりつくってください。

 

お菓子売場日米対決

今度は、日米お土産売場対決行ってみましょうか。
上の写真右がハワイのお菓子売場、左は羽田空港のお菓子売場です。
どう違いますか。3つの要素で分析してみましょう。
詳しくは解説しませんが違いは判ると思います。

日米で特徴的なことは、アメリカの売場は商品は立てておいてあるけど、日本は寝かせて置いているんです。
ここが大きな日米の違いなんです。

オーケストレーションについてもっと知りたい方は、下記のブログもご覧になってください。
写真で詳しく解説しています。

●オーケストレーションとは


今年のWBCは日本が勝ったけれど、野球グッズ売場VMDでは日米どちらが上かというと、アメリカかもしれません。
巨人ファンの皆さん、ごめんなさい。
私はほとんど野球は見ないのですが、聞かれれば巨人ファンなので、ぜひ巨人グッズ売場よくしてほしいです。

全国のスポーツチームグッズ売場の皆さん、ぜひVMDを活用して魅力的な売場にしてくださいね。(^^)


(VMDインストラクター協会事務局)

スーパーマーケツト

オシャレな店には演出がある

1.PP,VPでディスプレイ演出

VP,PP,IPというディスプレイ用語があります。
VMDを業務としている人には必須の用語です。

VPは店頭の大きなディスプレイで、店全体を代表します。
PPは店内のディスプレイで、売場を代表します。
IPは陳列のことで、見やすく買いやすい売場をつくります。

この用語、詳しくは下記をご覧ください。
●ディスプレイの定義をつくろう

VPやPPはアパレルショップや雑貨店で堅調です。

・ユニクロ
・無印良品
・ZARA
その他の多くのアパレルショップ

・フランフラン
・アフタヌーンティ
・ディズニーストア
その他の多くの雑貨店・バラエティショップ

このような店には展示棚があり、そこにPPを設置するようになっています。
主に壁面の上やテーブルの上にあります。
PPやVPなどの展示ディスプレイは商品や店を演出できるツールとして重宝できます。

なぜなら、商品を使った生活スタイルを訴えることでき、お客様はワンランク上の自分や、楽しい生活シーンを想像できるからです。
ここが展示演出ツールの効能です。

しかし、下記の量販・コンビニ業態の店舗ではPP,VPのような展示ツールはあまり見られません。

  • スーパーマーケット
  • コンビニエンスストア
  • ホームセンター
  • 書店
  • ドラッグストア
  • キヨスク
  • 家電店

このような店はIP、つまり陳列だけでできている売場が多いです。
日用品、食品、文具など繰り返し買う頻度の高い生活必需品店舗は、サッと入ってサッと買う目的買いの店、またはワンストップで効率よく買い物できる店です。
よい品をたくさん揃え選べることによって、買い物客に失敗しない買い方を促しています。
シャンプーやトレぺ、ボールペンやのこぎりのように種類の豊富さと自分の欲しい商品が選択購入できるIPが主軸となるのです。

2.PP,VPはなくても演出はできる

ここで演出という意味を考えてみましょう。
Wikiで調べてみると、「演出とは、物事を表現するときに、それを効果的に見せること」とあります。
まさに、店舗演出とは「個性的に洗練された商業空間を醸し出すための重要なツール」と言えるでしょう。

「店舗演出はうちはいらないよ」「モノが売れればそれでいい」店は、倉庫や体育館でモノを売ってもよいでしょう。
でも、来店客に快場、つまり楽しんで買い物できる空間を提供するブランドショップは体育館や倉庫でモノを売るわけにはいきません。

では、量販店・コンビニはどうやって演出空間をつくったらよいのか?
「買ってください、買ってください」とたくさんの商品をぎゅうぎゅうに棚に詰める量販店はともすれば、ゆとりがなく必死さは感じられるものの、値段のみが購入のバロメーターになってしまいます。

そんなお店でも演出ツールを用いれば、空間を足さなくてもワンランク上の洗練された店舗を築けます。
それには、今からお話しする3つの事例がヒントになります。

3.ローソンとナチュラルローソン

ナチュラルローソン

ローソンとナチュラルローソンの店舗空間を比べてみましょう。
ローソンには演出はあまりないのですが、ナチュラルローソンにはあります。
ナチュラルローソンの演出ツールとは、まず演出POPです。

  • 大きなデザートが食卓に載っている写真POP
  • 香り立つコーヒーカップの拡大写真POP
  • 焼き立てのパンの拡大写真POP
  • オーガニックワインをアピールする黒板POP

これらは壁や店頭に大きく掲示されています。
また、カウンターやワゴンエンドにはいろいろなプロップス(装飾品)が展示されています。

  • ツディやモンステラなどのグリーン
  • ブドウやポトスのツル
  • テーブルクロスとかご
  • 花と花瓶
  • じょうろや風見鶏のオブジェ

このような演出POPやプロップスは、ローソンにはありません。
ローソンは整然と商品が陳列されているものの、壁は白いままです。

なぜローソンは演出がなく、ナチュラルローソンにはあるのでしょう。
その理由はショップコンセプトにありました。

下記のナチュラルローソンのショップコンセプトを読んでください。
●ナチュラルローソンのショップコンセプト

ここには

「プレミアム感とくつろぎの演出をテーマに、お店そのものをナチュラルに。居心地のよい快適な買い物の時間を過ごせる空間を提供しています」

とあります。
そう、POPやプロップスなどを使って、ローソンより洗練された空間をつくる必要があったんです。
演出はPOPやプロップスだけでなく、什器のフレームが黒く棚が木目だったり、イートインスペースも木のテーブルと椅子を使うなど、店内全体の雰囲気をナチュラルでリラクシングしているんです。

4.セリアとセリア・カラー・ザ・デイズ

セリア

今度は100円ショップのセリアとセリア・カラー・ザ・デイズを比較してみましょう。
セリア・カラー・ザ・デイズにあってセリアにないもの。
それはやはり演出です。

セリアの都市型店舗は、「カラー・ザ・デイズ」とサブネームがついており、ショップコンセプトが普通のセリアと違います。

それはこのQ&Aを読むとわかります。
●ふたつのセリアの違い

これによると、セリア・カラー・ザ・デイズのコンセプトは概して下記になります。

セリア・カラー・ザ・デイズの店舗は、「日常を彩る」をコンセプトに、店内照明、内装、手作りコーナーの設置など、提案型の店作りを目指した新タイプの店舗です。
これまでの100円ショップにはない、オシャレで洗練された雰囲気を感じ取って頂けます。

どの辺が「オシャレで洗練された雰囲気」の演出でしょうか?
それは下記です。

  • 店頭の食器売場の什器は木目調で棚ライトがついている
  • 柱周りと壁面にはスポットライトがついている
  • 食器什器の最上段に展示棚がある(下の写真)
  • ところどころに演出POPが掲示されている
  • 壁面に緑色の彩色が施されている
  • ショップコンセプトが大きく壁面に描かれている
セリアの什器

上記があまりないのが、普通のセリアと言えます。
まさに演出ある店舗は、洗練された空間を演出していると言えます。

5.ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツ

ダイソースタンダードプロダクツ

今度は、ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツの2業態を見てみましょう。
この二つの店舗は銀座のユニクロTOKYOの上層階に隣通しであるので、そこに行くと一目瞭然にわかります。
上の写真はダイソー・スタンダード・プロダクツです。

ダイソー・スタンダード・プロダクツは、「ちょっといいのがずっといい」というショップコンセプトです。
●ダイソー・スタンダード・プロダクツのショップコンセプト

なのでこれも下記のように、セリア・カラー・ザ・デイズやナチュラルローソンと同じような演出ツールが豊富にあるんです。

  • 演出POPがテーブル・壁面・柱などに多数ある
  • 木目調のナチュラルな什器デザインになっている
  • テーブルプレゼンテーション(卓上ディスプレイのこと)を設置している
  • 展示棚を多く設けていて、そこにPPをディスプレイしている

今度は、ダイソーとダイソー・スタンダード・プロダクツの2業態を見てみましょう。
この二つの店舗は銀座のユニクロTOKYOの上層階に隣通しであるので、そこに行くと一目瞭然にわかります。

ダイソー・スタンダード・プロダクツは、「ちょっといいのがずっといい」というショップコンセプトです。
●ダイソー・スタンダード・プロダクツのショップコンセプト

なのでこれも下記のように、セリア・カラー・ザ・デイズやナチュラルローソンと同じような演出ツールが豊富にあるんです。

この演出空間は普通のダイソーよりもちょっといいどころか、だいぶいいですね。(^^)

価格帯も、100円よりもその上のプライスラインが多く、多少値が張るがよいものを扱っています。
MDクオリティの違いはナチュラルローソンやセリア・カラー・ザ・デイズでも顕著でした。

6.陳列を展示にする方法

実は店頭演出は、IPだけでもできます。
いつもの並べ方ではなくは、ちょっとした工夫で、陳列をまるで展示のように演出することができます。

ダイソースタンダードプロダクツIP

例えば、ダイソー・スタンダード・プロダクツのアロマオイルの売場を見てみましょう。(上の写真)
普通の100円ショップだと、単純に商品を棚に押し込んでいますが、この陳列は三角形になっています。
形がおもしろいですよね。
たったこれだけのことで、「なんか楽しい」雰囲気になってしまいます。
いつもよりちょっと違う空間のオシャレ感を得ることができます。

このような一風変わった陳列テクニックを、売場塾では「ハーモニゼーション・テクニック」と呼んでいます。
並べ方のテクでして陳列にハーモニーを加えます。
陳列を音楽のように奏でることができます。

ダイソースタンダードプロダクツ店頭

例えば、上記写真にあるフローティング・テク。
がごが空間にゆらゆら浮いてますよね。
これだけで、なんか楽しい、ゆったり浮かぶ雲のように見ることができます。

メイシーズの皿のIP

これはタイト陳列・テク。
皿が揃っているだけで心地よさが感じます。
皿と皿の間をネガティブスペースといい、ぎゅっと詰め込む陳列でなく、適度に間隔を開けるだけで演出空間を広げることができます。

ハーモニゼーションのコツはハワイの土産店「ホノルルクッキーカンパニー」のコラムでもお話ししています。ぜひご覧ください。
●土産店VMDはホノルルクッキーカンパニーに学ぼう

7.まとめ

だいたいわかりましたでしょうか。
オシャレなお店には演出ツールがあるんです。

必要はものはインターネットで買えば十分な時代、わざわざお店に来てくれたお客様に対しては、店舗演出で心地よく買い物をしていただきましょう。
たとえばそれが量販店でもコンビニでも、商店でもキヨスクでも、工夫すればワンランク上の洗練されたお店になります。
それは同じ商品を扱っても、です。

今あるお店や売場をオシャレに演出したい方は、ぜひ下記セミナーにお越しください。
変身の術~を授けます。(^^)

●銀座リアルセミナー(3か月毎に開催)

●オンラインセミナー(毎月開催)

(VMDインストラクター協会事務局)

モデルの写真

演出POPでブランド空間を演出する

以前、このブログでPOPの種類は6つあるといいました。
商品・演出・告知・誘導・注意・案内の6つですが、今回はそのうちの「演出POP」について講義します。

※参考/POP6つの種類

1.演出POPとは

演出POPとは、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記の様なものが演出POPです。一つ一つ解説します。

●タレントのポスター 

タレントのポスター
  • 雪肌精の新垣結衣や大谷翔平
  • SKⅡの綾瀬はるか
  • CWXのイチロー
  • スカイナーの浅田真央
  • ソフトバンクの「お父さん」 etc

これらはテレビや新聞の広告と連動してることが多いです。
タレントをアイキャッチに、商品写真は小さめにレイアウトしています。
タレントが商品やブランドの推奨役になっています。
タレントのキャラクター性を商品やブランドに刷り込んでいます。

●モデルのポスター

モデルのポスター

下記の店内に掲示されているモデルのポスターがこれに当たります。

  • ユニクロのようなSPA
  • ルイ・ヴィトンのようなブランドショップ
  • ゼビオのようなスポーツ用品店
  • ヤマダ電機のような家電量販店
  • テンピュールのような寝具店 etc

これらの店ではモデルが商品を使用しているシーンが多いです。
服を着てゆったりした生活を送っているシーン、アスリートがランニングしているシーン、キャンバスでケータイを使っているシーンなど。
ライフスタイル、ステイタス、テイスト、トレンド、エイジなどを商品やブランドにスライドさせています。

●絵画・風景写真ポスター

絵画・風景写真ポスター

これはファッション店でよく見ると思います。
服と直接関係ない、海や山の風景、鳥や動物、都会の街並み、部屋のインテリアなど、風景を切り取った写真がフレームに入れて飾られています。
これは、服を着たシーンを切り取った一コマの場合もありますが、多くはブランドや商品の世界観を表している抽象的な写真です。
例えば、サーファーの店なら、ビーチや波のうねり、海の家、駐車場のオープンカーといった風景写真になります。

また、インテリアディスプレイと呼ばれるもので、スターバックスにあるような絵画フレームも演出POPです。

  • コーヒー店、レストランなどの額縁
  • 保険ショップ、ブライダルショップなどの壁面の額縁
  • ヘアサロン、マッサージ店などの壁面の額縁
  • 百貨店、ショッピングモールの待合いスペースの額縁
  • 歯医者や耳鼻科などクリニックの待合いスペースの額縁 etc

●商品ポスター

商品ポスター

これは商品を説明する説明POPではなく、商品を拡大してドラマチックに見せるためのPOPです。

  • ケータイショップにおけるiPhoneのポスター
  • カーディーラーにおける車のポスター
  • ジュエリーショップにおける結婚指輪のポスター
  • 食器店におけるワイングラスのポスター
  • ハンバーガー店や回転ずし店におけるメニューポスター
  • 家電店における家電品のポスター
  • 旅行代理店による旅行先の風景ポスター etc

2.演出POPの注意点

演出POPは文字通り、商品やブランドを演出するPOPなので、貼り方を間違えると、ブランド台無しになってしまいます。
注意点を述べましょう。

  • 空いているからといって貼らない
  • フレームに入れる
  • 商品の近くに置く
  • グリッドラインを揃える
  • アートになるように貼る

などです。
ひとつひとつ解説していきましょう。

●空いているからといって貼らない

POPの貼り方悪い例

ドラッグストアやスーパー、家電店のタレントポスターはほとんどメーカーの持ち込みです。
そのため、商品陳列の空いたスペースに演出POPを張るのが常になっています。

  • 棚の空いたところ
  • 壁の空いたところ
  • 天井近くの空いたところ
  • カウンターの下
  • トイレの入り口
  • ドアのガラス面
  • 商品陳列の後ろ

などなど、売場が商品とPOPでごちゃまぜになっているケースが多いです。
これだと、モデルやタレントがかわいそう。
シャンプーに押しつぶされている美人のポスター見たくないですよね。
「赤札市!!」のPOPに押し切られそうになっている野球選手のポスターも見たくないですよね。
トイレりサインの横に貼られているハリウッドモデルも見たくないはず。

演出POPは家のインテリアと同じ。
優雅に貼られることによってその価値を発揮できます。
お客様が見やすいところに、そのためのスペースを取って、きちんと貼りましょう。
一度、ラルフローレンやユニクロ、無印良品のお店を見に行くといいです。

●フレームに入れる

フレームPOP

演出POPはフレームに入れましょう。
額縁にいれることによって価値が高まります。

セロテープや画鋲、ホチキスで貼ると、ビラのように見えてしまいます
大きい演出POPは額に入れると様になります。
額といっても、おおげさに考える必要はありません。
モナリザを飾るわけではないので、プラスチックの薄いフレームでよいのです。
ほとんどのポスター用額縁はネットやディスプレイ用品店、ホームセンターで買えてしまいます。

例えば、マクドナルドやケンタッキー、ガストやミスタードーナツの壁面のポスターを見てください。
「月見バーカー」や「ガーリックホットチキン」のポスターはポスター用フレームに入っています。
壁面に等間隔で並んでいて、とてもきれいです。
これらが、カウンターの下やレジの仕切り、ドアのガラスにセロテープで貼られていないですよね。

大きなものは額、小さなものはアクリルスタンドに入れて掲示することを心がけましょう。

●商品の近くに置く

ウイリアムソノマのPOP

演出POPは商品を演出することが多いです。
商品の持つ世界観を醸し出すことができます。
例えば、ウイスキーのディスプレイ背後に、富士山の雄大なポスターを設置するとします。
すると、お客様は「このウイスキー、富士山の恵みでできているんだな」「このウイスキー、おいしい富士山の水でできているんだな」と感心してくれます。

ところが、この富士山のポスターがウイスキーから1m離れた場所に置いてあると、お客様はもう富士山とウイスキーを結びつけることができません。

演出POPは商品の近くに置くことを心がけましょう。

●グリッドラインを揃える

ホノルルクッキーのPOP

演出POPは家の額みたいなものです。
グリッドラインを揃える、等間隔展示にするのが基本です。

JTBのお店にあるハワイの写真のように展開しましょう。
これはフレームのサイズが違っていも同じです。

等間隔、グリッドラインフィックスが基本です。
写真上は額の底のラインにグリッドを合わせています。
写真下は、額の中央にグリッドを合わせています。

線を取ってみましょう。
ほら、きれいに壁に展開しているのがわかりますよね。

●アートになるように貼る

DFSのPOP

ブランドショップやセレクトショップのような店は、インテリアディスプレイとしてポスターを掲示しています。
風景ポスターや絵画をお店を家と見立てて文字通り、額として壁に掲示します。
住宅展示場やモデルハウスで見るように、センスよくアート的にPOPを掲示します。

これ、下記のブログで詳しく写真入りで解説していますので参考にしてください。

●演出POPでアートな売場をつくろう

3.まとめ

わかりましたでしょうか。演出POPの種類と注意点。
演出POPがあると、売場にブランド空間を作ることができ、商品も魅力的に見えます。
ぜひあなたのお店に演出POPを掲示してみてください。

なお、POPの活用方法に関しましては、センスアップセミナー「POP活用体系」で詳しく講義しています。
●センスアップセミナー「POP活用体系」
7月に行う予定ですのでその時はぜひご参加ください。

(VMDインストラクター協会事務局)