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実用客と快楽客の対処方法

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART3 2タイプの今後の行方

このテーマ論文もPART3になりました。
今回で最終章となります。

PART1では、お客様は実用客と快楽客の2タイプいる、ということをお話ししました。
PART2では、実用客型店舗、快楽客型店舗の2つのタイプに対するVMD施策を伝授しました。

まだPART1と2、読んでいない方は下記をクリックしてください。
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART1
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART2

これからの問題は実用型店舗の方でした。それをこれからお話しします。

1.実用客型店舗はしだいに快楽客型店舗になっていく

このブログを読んで皆さん、うすうす気が付いていると思います。
そう、実用型店舗はインターネットにシフトしていくということを。

サッと入ってサッと出る、用を足すだけの店舗は、リアルでなくてもよくなりました。
アマゾン、楽天、ヤフーというポータルを筆頭に、文具だったらアスクル、飲み物だったらカクヤス、化粧品だったらアットコスメ・・・といつもの買物ならネットで済むようになりました。
ましてや米やビールなどという重たいものは、届けてくれた方が主婦にとってありがたいです。
コーヒーやプロテインは店に行かなくてもサブスク会員になれば、切れそうな時に宅配便で補充してくれます。
今後は、冷蔵庫の調味料が切れたら自動的に発注し補充してくれる、スマート冷蔵庫も普及することでしょう。

そんなわけで、切れたら買うような商品は、わざわざコンビニやスーパーに行かなくても済んできています。

では、実用型店舗はどう生き残らなければならないか?
それは快楽客型店舗の要素を併せ持つということです。
リアル客にとってのベネフィットをプラスしていきましょう。

  1. そこに行かなければ買えない商品を売る。
  2. 商品そのものでなく、体験も売る。
  3. 店内をいこごちの良いものにする。

一つ一つ説明します。

対策その1. そこに行かなければ買えない商品を売る

ネット社会でも、歩いている時、宅配を待てない時などの不急不要購買できる店舗は重宝されます。
それと、ネットで買えずにそこにしかない商品はやはり店舗に行かなければなりません。
例えば、金のナントカで有名なセブンプレミアムは、ネットで買うことはできません。

対策その2. 商品そのものでなく、体験も売る

商品を買うだけなら、ネットでもできます。
そこに行かなければ得られない体験サービスを売るのです。
キーワードは下記です。

  • 集い
  • 知見
  • 遊び

集いとは、仲間と出会えること。
趣味やライフスタイルなど界隈の人と交わえる時と場所を提供する店舗を目指しください。

知見とは、そこに行っていろいろなものを知り知識の糧になること。
それを与えてくれる店舗になってください。

遊びとは、ワークショップやロールプレイング、ゲームやスポーツなどのことです。
それで来店客を楽しませてください。

このような機能は昨今のスーパーでも取り入れています。
詳しくは下記をご覧ください。
●買い物体験のつくり方

対策その3. 店内をいこごちの良いものにする

店に入るだけで、気分がのる、リラックスできる、興奮できるものにします。
これは五感の仕掛けをいかに店内につくるかにあります。
まずは、MDP、すなわちディスプレイです。
見て楽しい、ワクワクするようなディスプレイをつくれたらよいです。
ドン・キホーテUNY、カルディ、ロピア、ハローディなどのスーパーは入店客をエンタメ気分にしてくれるディスプレイでいっぱいです。

のこりの耳・手・鼻・舌に関しては、このPART1でお話しした通りです。

2.まとめ

えー、そんなのコストかかってできないよ、と経営者は思うかもしれません。
確かに、実用型店舗はローコストで店舗を運営しなければいけません。

しかし、今はOMOの時代。オンラインと融合させればコストは浮きますし、レジや接客など自動化する技術もできています。

セブンイレブンが「なにがあるかな、セブン‐イレブン」とCMで謳っています。、ワクワクして入店できる快楽型コンビニを目指しているのがわかります。

もともとの快楽型店舗もうかうかしていられません。
コロナ禍以降、お客様のリアル店舗に対する目も厳しくなっています。
より構えてワクワクを期待するようになっています。
せっかく来てくれたお客様をガッカリさせないように、もっともっとワクワクを盛り上げてください。
VMDの力で乗り切りましょう~。

ということで、この話の続き聴きたい!という方は、銀座のリアルセミナーに来てください。
体験ツアーに参加して、快楽型の銀座店舗を実際に見てみましょう。
どなた様もお気軽にお越しください。

●売場づくりのディスプレイセミナー 11/20(木)10:00開催


(VMDインストラクター協会事務局)

快楽客に対するVMD

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART2 VMD攻略の仕方

PART1の続きです。
お客様は2タイプあり、それぞれ実用客と快楽客と言います。
タイプによって、商品の買い方やお店の業種・業態があることもだいたい分かったと思います。

※PART1まだ読んでいない方は、下記をクリックしてください。
●お客様は実用客?それとも快楽客?PART1

今回はPART2、それぞれのタイプのお客様に対してどうやって店づくり・売場づくりをしなければならないかをお話しします。
まずは実用客型店舗のVMD施策について論じます。

1.実用客型店舗のVMD対応

そもそもVMDはディスプレイの技術だ、と思われてきました。
VMDに携わる人は装飾のギミックに囚われ、実用客主体の店舗でも華美な装飾をして満足。
「VMD、ここにあり」みたいな感じで業務を行ってきた方もいるかもしれません。

私もVMD会社創業時は、とにかく目立つディスプレイをつくればクライアントである小売店は満足する、そんな感覚になっていた時もありました。

しかし、それでは展示物や造作物、装飾をすることがVMDの目的になってしまいます。
売場を活性化するという本来の目的を達成することができません。

特に実用型店舗は、サッと入ってサッと出て時間をかけない、目的の商品に早く達することができることが求められています。
VMDはここに焦点をあてるべきです。
展示・造作・装飾よりも以下の施策が優先されます。

●実用客向けのVMD

  1. 入店してどこに何があるかわかりやすい。
  2. 最短距離で目的の売場に行ける。
  3. 商品名・価格・容量がすぐにわかる。
  4. 棚の前でいくつかの競合商品を比べられる。
  5. セルフで買える。
  6. レジ清算がスムーズ。

1と2についての施策は下記のフレームになるでしょう。
●分類サインを設置する
スーパーやホームセンターのように、「生鮮」「鮮魚」「コーヒー」「お酒」といった分類サインを目立つように配置する。
●直線通路を配備したフロアレイアウトにする。
直接通路はメイン通路・サブ通路の区別ができるようにレイアウトする。
●什器はストアフロントは低く、奥は高くする。
入口から入って、どこに何があるか見通しをよくするため。

3.4,5に関しての施策は、下記のフレームワークになるでしょう。
●VMD分類とくくりを明確にする。
食品なら、メーカ別・味別・サイズ別など棚割りの際のくくりをわかりやすく設計する。
●POPを画一的に設置する。
商品説明POP、演出POPなどのデザインと設置場所を明確に決め、POP用具も統一する。
●サッと読める短文からなるPOPコピー。
サッと10秒くらいで読める文字数を設定する。
スーパー北野や成城石井のプライスショーカードをイメージするとわかりやすい。
●商品特徴がわかりやすいフェイスづくり。
陳列した商品を手に持にもって確認すると時間がかかる。
棚に目を流すだけで、商品特徴が判明するようなフェイスづくりをする。

6に関しての施策は下記になります。
●レジのレーンを多角的にする。
通常レジに加え、エクスプレス、セルフなど、その時の客の希望でレーンを選べるようにする。
●サッカースペースを取る。
サッカー場を広く取り、快適に袋詰めができるようにする。
●自然な客の流れになるようゾーンや通路を整備する。
レジをフロア内から視覚的に分かる位置にし、サインもフロア四方から見えるようにする。
買い物客のフロア内導線に沿った、目当ての商品を短距離に導くルートで位置決めする。

こんなところです。

2.快楽客型店舗のVMD対応

快楽客対応のVMDは従来、百貨店やアパレルショップ、バラエティショップが行ってきた施策を続ければよいです。
ただし、テーマパークのような世界観をストアデザインで表現したり、華美で大がかりなウインドウディスプレイをつくったりするのが、それら業態のVMDだと思わないでください。

それらはハコの中の演出にすぎません。
VMDはMDというワードが入ってるように、品揃えを媒介させてショッピングを楽しむ場=快場をつくる技術です。

快楽客は何といっても、来店前に「構える」のが特徴です。
実用客型店舗はほとんど構えません。
目的のものをサッと買って行くので、店舗に入る心構えはいらないです。
トレーナー姿で入れるし、サンダルでも入れます。

ところが、快楽客は入店するシーンを想像します。
そこに行く服装を決めたり、いっしょに行く人とどんな過ごし方をするか考えたりします。
そしてワクワクときめきくのです。

シャープペンの芯を買いにコンビニに行くとき、ときめきはないでしょう。
でも壊れたシャープペンを新しいものに代えようと文具専門店に行くときは、ときめくかもしれません。
そこにはいろいろなメーカーのシャープペンがあり、試し書きもできる。
POPが自動押し出しできるクルトガみたいなペンをおススメしているかもしれません。
ちいかわやハローキティのシャープペンが、キレイな什器に入って売っているかもしれません。

文具店でも、伊東屋やロフトやハンズの文具売場のような店は、お客様はワクワクしながら入るということです。
1人で行っても楽しいし、友達と行っても楽しい。
彼氏が店の外でつまらなそうに待つ、ということはないでしょう。
例え、買うものがなくても店内を歩けば、誰でも楽しい売場に出会えます。

私たちがやることは、ワクワクしてきた客をガッカリさせない、連れまで楽しませることができるVMD構築です。
その対策を下記に紐解きます。

●快楽客向けのVMD

  1. ワクワク「構えて来る」客を満足させる商品がある。
  2. 回遊通路をそぞろ歩きできる。
  3. 魅力的なマグネット売場がそこかしこにあり飽きない。
  4. 商品そのものだけでなく、商品を取り巻く情報を与えてくれる。
  5. 専門の店員による接客がフォローしてくれる。
  6. ディスプレイを始め、においやBG、照明など五感に訴える演出がある

1に関しての施策は下記になるでしょう。
●MD分類・VMD分類を快楽客に合わせる
お客様の嗜好にあった分類の切り口に合わせて商品を仕入れる。
服だったら、色・柄・サイズの他に、TPOやモチベーション、テイストや季節などがあります。
食品でしたら、製法やアイテムの他に、単品かコースか、産地やオケージョン、人的構成(ファミリー、シングル、カップルetc)などがあります。
これらを踏まえた上で商品を仕入れます。
VMD分類は仕入れた商品を店内でどうやって展開するかの技法です。

2と3に関してはフロアレイアウトになります。
●楽しんで歩ける通路と什器レイアウトにする
そぞろ歩きとは、池泉回遊式の公園をぶらぶらするようなイメージです。
石庭あり、池あり、島あり、竹林ありの、回って四季を楽しめる散歩のことです。
フロアも一直線の通路ではなくて、角があったり島があったり、通りがあったりと、池泉回遊式の什器レイアウトにするということです。

詳しいフロアレイアウトの仕方は下記リンク参照ください。
●什器レイアウトの考え方 PART2;什器配置の型

マグネット売場とは、お客様を引き付ける売場ということです。
倉庫のような、モノがたくさんあるだけのフロアでは、お客様はどこを見ていいのか分からず、最終的に歩き疲れてしまいます。
フロアのそこかしこに視覚的な「寄りどころ」をつくります。
これも詳しくは下記ご覧ください。

●マグネット売場で店内回遊率を上げよう


4に関しては下記になります。
●演出POP、ナーチャーリングPOPを多用する。
価格やサイズ、性能や効能というスペックだけではなく、どんな生活ができるか?とか、どんな自分が表現できるか?と行った付加価値情報が得られる売場をつくるということです。
具体的には、商品を消費するときの気分を醸し出してくれる演出POPや、知識を与えてくれるナーチャーリングPOPなどがおススメです。
演出POPとは、食品ならシズル感あふれる料理の盛り付け例、服ならモデルの着用シーン、車なら友達同士グランピングしているシーンのPOPになります。

ナーチャーリングPOPとは顧客育成という意味の言葉で、お客様に知恵を授けるPOPのことです。
例えば、美容家電ではナノバブルのシャワーがどのように美肌を作ってくれるかのレクチャーを簡潔にPOPがしてくれます。
POPは専門家の代わりになります。

演出POPに関しては下記をご覧ください。
●演出POPでブランド空間を演出する


5に関しては、家電店店員または化粧品店の美容部員をイメージするとわかるでしょう。
押しつけではない、お客様の心に寄り添った接客をしてくれるので、買わなくても大丈夫。
会話が楽しいひと時を与えてくれます。


6に関しては、下記が大事です。
●ショップデザインの明確な設定
●テーマ設定のカレンダーづくり

ショップデザインとは、いわば床・壁・天井・什器という大道具で囲まれた舞台のデザインです。
お客様は観客です。
舞台は、照明や音楽、においで満ち溢れています。
つまりショップデザインは、5感で訴える舞台装置をつくるようなものだと考えてください。
このプランをしっかりやらないと、何の演劇が始まるのかお客様はわからなくなります。

もっと詳しく知りたい方は下記をどうぞ。

●自店の店舗デザインはどうあるべきか


テーマ設定のカレンダー作りとは、時系列でディスプレイのテーマをつくるということです。
こよみをつくるように、店内ディスプレイは毎月毎期1つのテーマに沿って動いていかなくてはいけません。
1月になったらバレンタイン、6月になったら夏休み、というテーマに沿ってフロア内ディスプレイを切り替えていきます。

テーマには打ち出し商品というものがあり、ディスプレイの主役である商品は、テーマに即したものでないといけません。
例えば靴店が夏休みというテーマだったら、アウトドアシューズが来ますよね。
革靴は来ません。

だいたいわかりましたか。
買い物客は2タイプあり、VMDもそれに則してプランしなければいけません。
引き続き、PART3では、二つのタイプの今後を占いましょう。
下記をクリックしてください。

●お客様は実用客?それとも快楽客?PART3

(VMDインストラクター協会事務局)

コンビニで買い物をする客

お客様は実用客?それとも快楽客?/ PART1 買い方が違う2タイプ

今回は、実用的な客と快楽的な客の違いを論じたいと思います。
少し長いお話しになりますので、PART1~3に分けてお読みください。
まずはPART1からです。

海外のVMD理論では、utilitarian shoppersとhedonic shoppersとタイプ分けされていますが、日本語だと下記のように定義されます。

実用客:目的重視の買い物をする客
快楽客:体験・感情重視の買い物をする客

実用的な客の多い店舗と、快楽的な客の多い店舗では、売場づくりが自然と異なります。
店舗デザイン、品揃え、ディスプレイ、体験販促といった、VMDの4分野においてまるで違うアウトプットが構築されます。

1.実用客とは

実用客は下記のような特徴があります。

・生活消耗品購入客
シャンプーやトイレットペーパー、電池や鉛筆、オイルやワイパー、コーヒーや水などの消耗品を買いに来る客です。
など、毎日・毎週・毎月使用する商品を買いに来ます。
多くはインターネット購入でも代用可能です。

実用客は下記のような特徴があります。

・生活消耗品購入客
シャンプーやトイレットペーパー、電池や鉛筆、オイルやワイパー、コーヒーや水などの消耗品を買いに来る客です。
など、毎日・毎週・毎月使用する商品を買いに来ます。
多くはインターネット購入でも代用可能です。

・生活必需品購入客
下着、ワイシャツ、靴下、惣菜、ビール、DVD、メモリー、花、洗濯ばさみ、ボンド、トンカチなど、日々の暮らしに欠かせない、衣・食・住・情報に基づく商品を買いに来る客です。

・緊急購入客
チャッカマンのような防災品、お年玉袋や熨斗のような祭事品、絆創膏や風邪薬なとの医薬品、ビニル傘やサングラスなどの便利品など、急に必要な商品を買いに来る客。

これらの客に適したキーワードは下記です。


・生活必需品購入客
下着、ワイシャツ、靴下、惣菜、ビール、DVD、メモリー、花、洗濯ばさみ、ボンド、トンカチなど、日々の暮らしに欠かせない、衣・食・住・情報に基づく商品を買いに来る客です。

・緊急購入客
チャッカマンのような防災品、お年玉袋や熨斗のような祭事品、絆創膏や風邪薬なとの医薬品、ビニル傘やサングラスなどの便利品など、急に必要な商品を買いに来る客。

これらの客に適したキーワードは下記です。

  • タイパ:買い物に時間をかけない
  • 目的買い:目的の売場に一直線
  • 計画買い:消耗期間を見越して買い足す
  • 1人買い:1人で買い物に行くことが多い
  • 最寄り品:近くのお店で買い物を済ませたい

これらの小売チャンネルは下記のようなものがあげられます。

  • コンビニ
  • キヨスク
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • スーパーマーケット
  • 専門店
  • サービス業の物販部門

2.快楽客とは

快楽客は下記のような特徴があります。


・空間体験客
空間を探索したい客を言います。
ジャングルのような空間を模したキャラクターショップ、暗い店内にあって展示されている食器が燦然と輝く高級店、迷路のように通路がくねくねと曲がり壁にはたくさんの商品が陳列されている食品店などがそうです。

・社交体験客
人とショッピングを通じて交わりたい客です。
カフェを併設しているブティックは、お茶を楽しみながら仲間とダベリングできます。
バイク好きが集まるバイク店は、商品を売る場ですが顧客同士の社交場としての機能があります。
ショッピングモールは、買物・映画・食事とエンターテインメントを通じて家族や友達の社交を促進しています。

・接客おもてなし客
高級ブランド店はほとんど接客サロンがあって、スタッフと話しながら時計やジュエリーを選ぶことができます。
ワインやスイーツなどの嗜好品も試飲・試食スペースがあり、接客を受けながら商品を試すことができます。
車のディーラーも試乗という体験を提供しています。
また、化粧品店にはテスターバーというものがあり、そこでメイク用品を試すことができます。

・情報収集客
商品にまつわる情報を集めながら、買物する客です。
博物館のガイドを聴くように、店内POPや店員の説明を聞きながら勉強し、最後に納得して買物する客です。
家電量販店の調理家電の売場にはたくさんの商品説明POPがあり、クッキングコーナーではスタッフがその家電を使用した料理のつくり方を教えています。
単なるTシャツに見える服も、実はゴミからできたリメイク品、ということがコーナー展示パネルからわかります。
うんちく好き・意味消費客とも言えます。

・ギフト購入客
他人に贈るギフトを購入する客のことです。
年始・バレンタイン・母の日・父の日・ハロウイン・クリスマスとたくさんのギフト交換の日がありますよね。
個人の誕生日や昇進日、引っ越し祝いや快気祝いもそうです。
親族、恋人、友達、同僚などが喜びそうなギフトを、選ぶ客自身も楽しんで買物をします。

・お得注目客
バーゲンハンターは、セール品売場に好んで行きます。
バーゲン期の商品でなくても、中古品、アウトレット品などお得な商品、青空市・バザーなどの掘り出し物イベント、POPアップショップや催事売場なども好んで買物します。

これらの小売チャンネルは下記のようなものがあげられます。

  • 百貨店
  • 総合スーパー
  • ショッピングモール
  • テーマパーク内店舗
  • 駅ビル
  • 専門店

これらの客に適したキーワードは下記です。

  • 逆タイパ:比較的時間をかけて店内を回る
  • 衝動買い:いいと思ったら即購入する
  • いっしょ買い:家族や友達といっしょに買物する
  • セット買い:ライフスタイルや趣味に合う商品をまとめて購入
  • 買い回り:いろいろなお店を回って商品を吟味する
  • リラックス買い:ゆっくり楽しみながら買う

つまり、購入そのものよりも店内滞在を楽しむ客のことを言います。
ディスプレイを見たり、BGMを楽しんだり、店員と会話したりしながら、リラックスしながら過ごす客です。

3.まとめ

お客様には2タイプがある事がわかったと思います。
ただし、買い物客が真っ二つに分かれるのではなく、1人の人間がスイッチするということです。

例えば社会人でしたら、平日の忙しい日はコンビニでサッと用を済ませ、土日は家族でゆっくりとショッピングモールで買物をする、というように1人の人間がスイッチするということです。

民族や宗教のように固定化された分類ではないということは注意してください。

それでは、PART2に行きましょう。
2タイプ別ビジュアルマーチャンダイジング攻略法をお教えします。
下記をクリックしてください。

●お客様は実用客?それとも快楽客?PART2


(VMDインストラクター協会事務局)

陳列「ヨコからタテの法則」

商品陳列「ヨコからタテの法則」

1.商品陳列はヨコからタテの動きをもとに設計する

今回は、コンビニやスーパー、ホームセンターなどの一般消費費材をたくさん棚に陳列している量販店のVMDについて語ります。

スーパーマーケットは、図のように逆時計回り、つまり左回りに買い物客が歩いていきます。
矢印のようにお客様は歩いていきます。

お酒売り場に差し掛かりました。
あなたは6パック入りのビールを買おうとしています。
どのような棚割りだったら買いやすいですか。
AとBを比べてください。

そう、Aですよね。

なぜなら、Bだとアイテムが決まっているお客様は買いにくいからです。
6パック入りのビールを買おうとしているのに、5スパン(5つの什器)を横に歩いて探さなければいけないからです。

Aだと、横にスススーと歩いて行って、ビールスパンを見つけ、そこでメーカー銘柄をタテに探せばよいです。(下図)

買う優先順位がメーカー銘柄ではなくて、350mlというサイズでしたら下記の図の棚割りの方がお客様は選びやすくなります。(下図)

ともかく、例外を抜かして棚に何かを陳列する場合は、

●客はヨコに進みながら売場を探し
●立ち止まってタテに商品を探す

ということを思い描いてください。

写真を使って説明します。

例えば、上は外国コンビニのビール売場ですが、タテに銘柄別になっていて、横にサイズ別に展開しているのがわかりますか。

角の目立つところにバドワイザーやコロナビールがタテに陳列しているのがわかります。
で、上はサイズが大きい500ml、下の方は350mlが並んでいます。

これを見れば、お客様はビールの銘柄を探してヨコに歩いてバドワイザーにたどり着き、タテを見て上にある500mlの缶を掴んでかごに入れる、という動作になります。
つまり、メーカー銘柄が優先で次はサイズを探すということになり、先ほどのDの買い方に近くなるわけです。

こんな感じで、量販店の多くはタテからヨコのお客様の目の動きに合わせた棚割り設計になっています。

2.ゴールデンゾーンとは

余談ですが、量販店の棚割りには「ゴールデンゾーン」というものがあり、上図のように、お客様の目に留まりやすく商品を取りやすく戻しやすい棚を指します。
当然、ゴールデンゾーンにある商品は売れ行きがよくなります。

ゴールデンゾーンはメーカーが喉から手が出るほど欲しい棚です。
当然、上や下の棚に行くほどメーカーは不利になります。
理由はゴールデンゾーンでないとお客様の視界に入りにくいから。

お客様がヨコに歩くとき、いちいち1スパンごとに目を上下に動かさないからです。
ゴールデンゾーンをススーッと目で追ってヨコ移動しますので、メーカーとしてはやっぱりお客様の目の先に自社商品があってほしいのです。

3.例外はカセット方式

先ほど、タテからヨコの法則は例外があるといいました。
それはカセット方式を採用した売場の場合です。
Eの図を見てください。

ビール売場が2スパンに拡張されています。
そのビール売場において、各アイテム別のくくりはヨコになっています。

これ、なぜタテくくりにしないかというと、2スパン全体をお客様に見ていただくビール売場設計になっているからです。

カセットは服や雑貨売場でよく採用されている売場のつくり方です。
例えば、このキッチン用品の売場ですが、2スパンになっています。

マグカップやグラス、皿が陳列されていますが、2スパンの棚にそれらがヨコに並んでいるのがわかります。
これが2スパンのカセット方式です。
2スパンで売場全体を見てください、という売場なんです。

もしこの売場で、マグカップやグラス、皿がタテくくりになっていたら、とてもバランスが悪い売場になってしまいます。
カセット方式は、1カセット・1テーマになっていることが多いです。
テーマとはMDテーマのことで、先ほどの例だったら「ビール」、上写真では「食器」というMDテーマになります。

スパンは2から長くて5スパンに及びます。
前述の通りカセット方式の売場はアパレルや雑貨店で顕著です。
ユニクロや無印良品、ラルフローレン、アフタヌーンティーやフランフランなどで普通に見られます。

スーパーやコンビニでカセットにするということは、1テーマで売場を見せたい場合に多いです。
例えば、クラフトビールの特集を酒ゾーンにつくるとか、クリスマスギフトの特集をお菓子ゾーンでつくるとか、お客様を特別コーナーとして強力に誘客したい場合などに使います。

4.デパ地下菓子・惣菜フロアの場合

スーパー・コンビニではなくて、デパ地下の場合はどうでしょうか。
ヨコからタテの法則は通用するのでしょうか。

今はクリスマスシーズン。おいしそうなケーキやお菓子を探しにデパ地下にあなたは訪れているとします。

ここでもあなたは、ススーッとガラスケースの中のお菓子を見ながらヨコに進みます。
ショーケースは高さが1.2m位と低く、お客様は視線を落として「何かいいお菓子しないかな」とススーッとヨコに動いてお菓子を探します。

お菓子店は、A店、B店・・・とブランドごとに分かれていて店舗別にレジ清算するようになっています。
ただ、目を下方向に向けてヨコに移動していくので、店舗ごとにいちいち顔を上げて店名を確認することはしないし、ショーケースのデザインはどの店舗も似ているので、どの店のどのカステラか?なんてお客様は気にしません。

さて、ここで問題です。
A店、B店ともフィナンシェ、マドレーヌ、タルト、パウンドケーキを扱っていました。
各アイテムとも5個入、10個入、20個入などと個数が違う箱がGケース内に陳列されているとします。
FとGの棚割り、どちらがよいと思いますか。

Fでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをヨコに見てどの箱入りを買うか選びます。
Gでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをタテに見てどの箱入りを買うか選びます。

答えは~。

この場合は、どっちもアリというのが正しいです。
Fの場合は、棚がそのままアイテムくくりになり、棚1枚=アイテムという棚割りです。
視覚的にくくりはわかりやすいです。
ケースの中央に立てば、左右に目をやることでフィナンシェの箱どれかを選ぶことができます。

Gはタテに目をやってフィナンシェの箱のどれかを探すことになります。
Fよりも左右に目をやったり体を移動せずに済むので、こちらの方が使うエネルギーは少なくて済みそうです。

ただし、それほどFとGではお客様の労力は変わりません。

Gがよいとよるケースば、バレンタインやクリスマスの当日か催事フロアに出店している時でしょう。
ショーケースの前は常に人だかりになります。
その場合、お客様は各アイテムを一堂に見ることはできません。

ショーケースの左右がよく見えないので、どれを選ぶか一苦労します。
そんな時、Gの棚割りになっていれば、買うアイテムさえ決めていれば、人だかりでもタテに目をやって箱を選べばよいので、こちらの棚割りの方が有利なはずです。

ただ、Gの場合はくくりを明確にした方がよいです。
フィナンシェとマドレーヌ、タルトとパウンドケーキの間に隙間を入れて各アイテムのくくりを分かりやすくするのです。
くくりはアメーバにせずになるべく四角にしましょう。
その方がくくりは鮮明になります。

くくりに関し詳しくはこちらをご覧ください。

●陳列の整理整頓は get thigs square

5.リレーションの考え方

ところで、リレーションという言葉をご存じですか。
売場と売場のつながりのことです。

同じようなアイテム、同じようなMDテーマ、同じようなブランドなど、似ている商品を隣通しに置くことによってお客様の買い上げ率を上げるやり方をいいます。

例えば、図HのA店とB店の境に注目してください。
パウンドケーキが隣通しになっていますよね。
これがリレーションです。

●リレーションとは「売場と売場のつながり、商品と商品のつながり」

お客様はケースを見ながらススーッとヨコに歩いていくので、パウンドケーキが好きなら、パウンドケーキが固まっている方がありがたいのです。
お客様は店名を見ずにヨコに進むので、店が違っても違和感はありません。

あなたがデパ地下のお菓子店ならば左右の店舗、向かいの店舗が何を販売しているか観察しましょう。
向かいがチョコを売っていたならあなたのお店もチョコ(売っていれば)、右がクッキーを売っていたら、左側にクッキー売場を持って行きましょう。
リレーションがよくなり、買い上げ率は上がります。

また、リレーションは先ほどのお酒ゾーンにも適用できます。
上図を見てください。
焼酎→ウイスキー→カクテル→ビール→ワインというのもリレーションなんです。
焼酎、ウイスキー、カクテルは「水や炭酸をミックスして楽しめる飲み物」ということでリレーションがよいです。
カクテルはハイボールみたいなものもありますので、ウイスキーと相性いいですし、ビールもビアカクテルという飲み方があるので、カクテルと相性いいです。

リレーションは、ショーケースだけではなく壁面ラック、島ワゴンなど、あらゆる売場に適用できるフレームワークですので、ぜひご活用ください。

6.まとめ

スーパーにしても百貨店にしても、お客様はススーッとヨコに動いて商品を探し、目的の売場に着いたら今度はタテに目を動かして商品を探します。
これが「ヨコからタテの法則」です。

  1. 客はヨコに歩いて該当売場を探す。
  2. その時、ゴールデンゾーンである目の高さから腰の高さの棚を見る。
  3. メーカーはゴールデンゾーンを確保した方が売上は上がりやすい。
  4. 客は該当売場に着いたら、今度はタテに商品を探す。
  5. その場合、「くくり」で商品を探すので、ビール売場なら銘柄でくくるか、サイズでくくるか考えて陳列する。
  6. 銘柄を重視する客が多ければ、一番搾り、ドライなどとメーカー銘柄でくくる。
  7. サイズを重視する客が多ければ、350ml、500mlというサイズでくくる。
  8. リレーションを重視する。なるべく似たような商品、関連商品を隣同士に置く。

「ヨコからタテの法則」「くくり」「リレーション」などわかりましたでしょうか。
毎月恒例のオンラインセミナー「センスアップセミナー」では、これらの法則がさらに理解できます。
機会ありましたら、ぜひご参加下さい。

●センスアップセミナー「商品陳列」5月開催

(VMDインストラクター協会事務局)

セブンイレブン

わかりやすいVMD分類の考え方

1.コンビニの水のMD分類

VMD分類、なかなか理解できない人多いですよね。
売場塾のテストでも間違える方多いです。

VMD分類とは、お店で物を買う時にお客様の選ぶ基準になる分類です。
今回はわかりやすく、ストーリー仕立てにします。

あなたはコンビニに水を買いに行きます。
棚にはたくさんの水(ペットボトル)が並んでいます。

水は一種類だけでないですよね。
商品ブランドでいうと

  • セブンプレミアム天然水
  • いろはす
  • アルプスの天然水
  • クリスタルガイザー
  • エビアン

などがあります。

サイズで言うと

  • 220ml
  • 280ml
  • 350ml
  • 500ml
  • 1l
  • 2l


などがあります。

成分で言うと

・ガス入り
・ガスなし
・香り付き

などがあります。

値段で言うと、税込みで

  • 97円
  • 108円
  • 112円
  • 173円

などがあります。

これらひとつひとつの分類を品揃えの分類と言います。
略してMD分類です。
VMD分類のもととなる分類と思ってください。

2.コンビニの水のVMD分類

コンビニの棚割り

さてこの図を見てください。

  • いろはす
  • アルプスの天然水
  • クリスタルガイザー
  • エビアン
  • セブンプレミアム天然水

が並んでいます。

上から250ml、500ml、2lになっています。
この場合、どんな分類で並んでいると思いますか。

まず大きな分類を見てみましょう。
大きな「くくり」を見るんです。

コンビニの棚割り

上図を見てください。
もうわかりましたね。
大きなくくり、それはサイズです。

くくりって、群化の法則でもお馴染み、人がモノを区別するのに大事な視覚要素なんです。
バラバラに置いたところで、とても選びにくいです。

●群化の法則とは

何かの分類でくくってあると、商品って選びやすいですよね。
この場合はサイズです。

くくりをつくるためにしなくてはならないのは、仕分けです。
まずは陳列する前に作業台でサイズ別に仕分けしてください。
ペットボトルを下図のように大・中・小に仕分けしてください。

コンビニの棚割り

まだここで終わりではないです。
サイズ分けにするだけでしたら、上図のような陳列になってしまいます。
まだバラバラですよね。

そこでサイズ別分類仕分けをさらに、商品ブランド別にくくります。
この場合は下図のようにラベル別にくくるといっていいでしょう。

コンビニの棚割り

ここで終わったと思う人、まだまだ甘いです。
もう一回仕分けします。
それは外国ブランドと日本ブランドです。

  • いろはす
  • アルプスの天然水
  • クリスタルガイザー
  • エビアン
  • セブンプレミアム天然水

これを

  • いろはす
  • アルプスの天然水
  • セブンプレミアム天然水
  • クリスタルガイザー
  • エビアン

とに分けます。
これでOKです。下記をご覧ください。

コンビニの棚割り

3.まとめ

コンビニの棚割り

まとめましょう。
上図が大分類。
サイズ別にくくっています。

コンビニの棚割り

上図が中分類。
日本ブランドと外国ブランドにくくっています。

コンビニの棚割り

これが小分類。
各種ブランド別にくくっています。

4.仕上げクイズ

わかりましたか、VMD分類。
じゃあ、問題を出します。

ペットボトルを

大分類 = 日本ブランドまたは外国ブランド
中分類 = 各種ブランド
小分類 = サイズ

に陳列して見てください。

答えは~

これです。

コンビニの棚割り

解説します。
まず
大分類 = 日本ブランドまたは外国ブランド
に仕分けします。
下記を見てください。

コンビニの棚割り クイズ

次に、
中分類 = 各種ブランド
に仕分けします。
下記を見てください。

コンビニの棚割り クイズ

最後は
小分類 = サイズ
に仕分けします。
下記を見てください。

コンビニの棚割り クイズ

すると棚割りはこれになります。

コンビニの棚割り クイズ解答

まあ、コンビニに水を買いに来る人はブランド優先よりも、まずサイズですので
下記の陳列の方がいいですね。

コンビニの棚割り VMD分類

VMD分類ってお客様の買い方の利便性の上にあるんです。
お客様がコンビニに水を買いに来る場合、サイズ→日本ブランド・外国ブランド→各種ブランド に陳列されている方が買いやすいんです。

VMD勉強したいみなさん、ぜひコンビニやスーパーに行ったら、いろいろな食べ物の分類を考えください。まずはくくりから見るようにしてくださいね。(^^)

昨日今日はVMD分類についてでした。
くくりについてはこちらの文献もご覧ください。
●土産店・キャラクターショップの売場づくりのコツ
お土産店とおもちゃ店でくくりを解説しています。

(vmd-i協会事務局)