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アートドリブンvmd

店舗ブランディングその2/ アートドリブンVMDとは

1.ドリブンって何?

今回は、アートドリブンとカテゴリードリブンの話をします。
外資系ブランドのガイドラインによく出てくる言葉なので詳しく解説します。

ドリブンってよくマーケティングで使いますよね。
データドリブンとかカスタマードリブンとか。
博報堂などは生活者ドリブン・マーケティングと言って、「生活者はいま何を感じ、どんな生活をしているのか」を起点としたマーケティング手法を唱えています。

博報堂の「消費者ではなくて生活者」って考え方、昭和時代から感心していました。
いい言葉だと思います。
ものがなかった時代、人々は消費者だったけど、ものが溢れて豊かな暮らしになった今、よりよい生活を送る段階、つまり生活者にステップアップしました。

少し英語の話をします。
drivenとはdriveの過去分詞です。
この場合は形容詞的な働きをしていて、data-drivenとか customer-drivenのように使い、名詞を修飾します。
・data-driven marketinf (データを起点にしたマーケティング)
・customer-driven strategy (顧客を起点にした戦略)

そもそもdriveは「運転する」の他動詞ですが、その他に「駆り立てる」「を推進する」「を鼓舞する」などの意味があり、

●The campaign was driven by consumer insights.
そのキャンペーンは消費者インサイトを軸に推進されました。
●Our growth is driven by digital marketing.
私たちの成長はデジタルマーケティングによって鼓舞されています。

などと使います。

英会話の授業終わりです。
これに懲りてブログを離れないでくださいね。(^^)

要はドリブンとはビジネス流行り言葉で、「○○を基軸に考える」というマーケティング用語だと捉えてください。

私的には、driven の代わりにorientedとかbasedという言葉を使ってもいいと思います。
私も売場塾の授業では、
「売場塾のVMDは、「コンセプト・オリエンテッド」なんです」とよく言っています。
これは「売場塾のVMDはショップコンセプトを土台にしている」という意味です。

詳しくは下記をご覧ください。

●自店の店舗デザインはどうあるべきか

2.アートドリブンとカテゴリードリブンとは

本題に行きます。
下記二つを解説します。

●アートドリブン ・・・アートを基軸とした考え方
●カテゴリードリブン ・・・カテゴリーを基軸とした考え方

これをVMD戦略として置き換えます。

アートドリブンVMD ・・・アートを基軸としたVMD
●カテゴリードリブンVMD ・・・カテゴリーを基軸としたVMD

アートドリブンVMDから説明します。
アートとは芸術のことであり、芸術を基軸としてVMDを考える、つまり、芸術で来店客を楽しませるVMD・・・という意味です。
まるで博物館や美術館に入ったように、アートを感じる・体験できる店舗です。
表参道や銀座にズラリ並んだ欧米ブランドショップがそれです。

銀座のティファニー本店

対してカテゴリードリブンVMDとは、カテゴリーを基軸としてVMDを考えるということです。
カテゴリーとは、フロアを分類する用語で、商品展開分類と考えてください。
スーパーマーケットのカテゴリー分類なら、生鮮・鮮魚・精肉・加工食品の下、つまり、野菜、果物、牛肉、豚肉、麺類、調味料、乳製品ということになります。

スーパー ジュピター

アートドリブンVMDを採用した店舗は、五感に訴える芸術的な買い物空間を提供します。
客が目・耳・鼻・触感・味を堪能できる空間です。

カテゴリードリブンVMDを採用した店舗は、商品分類がわかりやすく、自分に合った売場をすぐに探して求めている商品を選択できる空間です。

日本には88万店舗の小売りがありますが、いずれの店舗もアートドリブン、カテゴリードリブン、そしてその中間の店舗に分けられます。

3.アートドリブンVMDの店舗

アートドリブン店舗は、銀座で行っているわが売場塾の周りに多いです。(^^)
国内外いろんなブランドの旗艦店が密集しています。
銀座で主だったアートドリブンな店舗を紹介します。

  • ・・アートドリブンな海外ブランド店舗・・・
  • ティファニー
  • カルティエ
  • モンブラン
  • アップルストア
  • ジェントルモンスター etc
  • ・・アートドリブンな日本ブランド店舗・・・
  • 茅乃舎
  • JINS
  • 蔦屋書店
  • Maison KOSE
  • Refa  etc

アートとは芸術を意味し、五感で来店客を魅了します。

  • 目でアートを感じる/外観、内観、絵画、写真、彫刻、ディスプレイ、サイネージ 、照明 etc
  • 耳でアートを感じる/BGM、DJ、レコード、効果音、即興ライブ、ピア、雑踏 etc
  • 鼻でアートを感じる/食品のにおい、アロマ、化粧品、ドライアイス、エアコン etc
  • 口でアートを感じる/試飲、試食、グローサラント、バー、カフェ、ノベルティ etc
  • 触れてアートを感じる/内装・外装の質感、アート作品、商品そのもの、試用品(マッサージ器・カメラ・服・車)
銀座シックス ヤノベケンジ作品

事例で解説しましょう。

銀座シックスは「Life At Its Best 最高に満たされた暮らし」というコンセプトの商業施設でラグジュアリーなブランドで満ちています。

その空間は美術館そのもの。
写真のように、著名なアーチストの作品で空間が満たされています。
今年のアートテーマであるイギリスのジュリアンオピーの作品、いいですね。
吹き抜け空間、エンタランスに大きく展開、詳しいパンフレットや絵葉書も無料で入手できます。

銀座シックス ジュリアンオピー1
銀座シックス ジュリアンオピー2

さらに、フロア回廊でもいろいろな作品を展示。
工芸作品ですが、そのままベンチとして提供している作品もあります。

小林リオさんの作品

例えば、これは小林リオさんの作品。
銀座シックスが展開している「A TREE」というアートプロジェクトに参画している作品で商品的には椅子です。
買えるのかな?という客も多いんじゃないかな、と思いますがあくまでプロジェクトの作品展示ということで、アーチストを変えて昨年から展開しているアート展です。

ドーバーストリートマーケットVP

あと、アートドリブンVMDが手っ取り早くてわかりやすいのが、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」
コム デ ギャルソンが運営しているセレクトショップの集まりですが、1階から7階まであります。
●ドーバー ストリート マーケット ギンザ

コム デ ギャルソンだけでなく、Louis Vuitton、Prada、Loewe、Maison Margiela、Rick Owens、Supreme、sacai、Nikeなど、価格帯もテイストも異なるブランドが一つの建物に共存しています。
百貨店や銀座シックスと違い、ひとつひとつのテナントは面積が小さいのですが、デザインが異なったポップアップショップが集まっている感じです。

  • 公園の滑り台がある店
  • ドーリア式の柱が林立する店
  • 大きな木がどっしり構えている店舗

などアートと一体化した店が来店客を出迎えてくれます。

上写真は1階のVP。
マネキンはなにもなく、像の彫刻一体。
アート作品そのものですよね。

この像、いろいろなフロアにリンクしていました。
黄色いバッグも上層階で売っていました。
最上階は開放的なカフェになっています。

4.アートを取り入れるメリット

なぜ銀座はブランドの旗艦店が多く、アートドリブンを取り入れているケースが多いのでしょうか。

理由の一つにブランディングがあります。
銀座というと、東京都内の中で高級ブランドが集まっている街というイメージが強いです。
国内外のブランドが軒を並べているので、その中の1軒になるということは、ブランド店舗の仲間入り、というポジションをアピールできます。

ルイ・ヴィトンやグッチの並びに自店舗があるということです。
丸井やルミネが、銀座に店を出すのが悲願だった過去の例もうなづけます。
また、都道府県のアンテナショップが多数あるのはやっぱり、県の産物をブランド品として訴求したいからです。
下記は福井県のアンテナショップ、食の國291という店舗です。
地元のデザイン集団TSUGIが店舗全体のブランド表現・アートディレクションを担っています。

福井県のアンテナショップ291

しかしながらブランディングというよりも、社内向けに「銀座に初出店した」というインターナルマーケティングを主として銀座を活用するブランドも多いです。
かつてのユニクロに始まりワークマン、セリア、ダイソーなどはそうでしょう。
他のチェーン店と佇まいは変わりません。

JINS銀座

今年の夏、銀座中央通りにオープンした、JINSはブランディング目的でしょう。

JINSは外観が膨らんだような店を出し、銀座店だけのオリジナルな高級フレームを入り口に展開しています。
店内はゆったり、地下1階には大型のオブジェもあり、そこはメガネ制作の待合フロアになっています。

建築家の藤本壮介氏はJINS銀座店のコンセプトを「やわらかな和」と定めたそうです。
確かに外は白くて、窓から注ぐ外光は室内を明るくし、地下にある巨大な白鹿を照らしています。
光の取り入れ方がいいですね。
ちょっとした美術館に入ったような印象です。

茅乃舎銀座店外観

茅乃舎銀座店も外観は隈研吾氏がデザインしたもので、とてもシック。
隈研吾はこの店を「日本の森を五感で体験できる」空間として設計し、木だけでなく、和紙・石など日本の自然素材を内装に使用しています。

店内に入ると2階建てになっていて、2階はミュージアムスペースになっており、主な展開は下記です。

  • 日本の食にまつわる美しい「道具」
  • 職人による伝統工芸品
  • 器など、食文化と結びついた工芸
  • 美術品
  • それらと調和する銀座店限定の上質なギフト

2階に上がった時、店員さんが案内してくれて商品説明も丁寧にしてくれました。
確かに通販でも同じ買い物ができますが、銀座の店舗で買い物をすることはそれだけで体験になり、アートが加わるといっそう体験の質が高まります。

このことは下記ブログを読むと分かります。(^^)
●エルメスのコーヒーカップ

アルマーニの服、業社の即売会で体育館で買える時期もありました。
しかし、銀座の本店で買うアルマーニは、質的意味的において雲泥の差があることはいうまでもありません。

アートドリブンVMD、だいたいわかりましたか?
次回はカテゴリードリブンVMDについて見ていきます。

●カテゴリードリブンVMDとは

(VMDインストラクター協会事務局)

店舗ブランディングとは

店舗ブランディングその1/ 店舗形態を知ろう

1.店舗ブランドとは

小売店の方はどんな人も、どこかのブランドに所属していると思います。
今日は店舗ブランドの話をします。

店舗ブランドとはなんでしょう。
みなさんが思いつくのは、グッチやルイ・ヴィトンといった、百貨店や銀座通りにある、欧米の有名なブランド店舗だと思います。

確かにそうですが、高くて高価なものを売っている店がブランドというわけではありません。
セブンイレブン」もブランドですし、マツキヨもブランドです。
「おかしのまちおか」もブランドだし、「はせがわ酒店」もブランドです。

もっと言うと、私の故郷富士宮市にある「ハトヤ」もブランドだし、「芙蓉堂(ふようどう)」もブランドです。
ハトヤは玩具店で、芙蓉堂は文具店です。
(残念ながら、ハトヤは昨年閉店してしまいました)

店舗ブランドは、店構えが豪華ということでもありません。
倉庫のような雑多な店もありますし、段ボールを積み上げただけの店もあります。
ディーンアンドデルーカでさえ、什器はエレクターのような、物置に使うようなデザインのものを使っている店舗もあります。

店舗ブランドを定義すると、下記になります。

●生活者の心の中に定着した店舗の特定イメージ

「マツモトキヨシ」
「ABCマート」
「伊勢丹」
「セブンイレブン」
「カインズ」

みんなが知っている上記店舗をイメージしてみてください。
心の中に何かが沸き起こったと思います。

店内所せましと並べられた商品群かもしれません。
ウインドウにずらりと並べられたマネキンかもしれません。
靴の調子を見てくれた店員の笑顔かもしれません。

それが店舗ブランドイメージというものです。
特にチェーン展開している店は、詳しい店舗デザインや接客のトーンアンドマナーが確立されているので、基本的には全国津々浦々どこの店舗に行っても、同様のイメージを受けると思います。

北海道のユニクロはいいけど、沖縄はダメ、ということはないと思います。
(VMD専門家としてのミクロの視点では東京のMDPはどこよりもいいとは思いますが)

さらに具体的に言うと、ブランドイメージは店舗コンセプトを土台にしています。
店舗コンセプトとは「どんな店なのか」を表す言葉なのです。
これを話すと長くなるので、別の機会にお教えします。

今回は、店舗ブランド業態を見ていきます。

2.メーカーブランドと小売ブランド

店舗ブランドに関しては、店を構え、いろいろなメーカー・卸から商品を仕入れ、店頭に並べる小売ブランドがあります。
代表的な小売りチェーン店ブランドは下記です。

  • ドラッグストア・・・マツキヨ、スギ薬局、アインズ&トルペ
  • 百貨店・・・三越、伊勢丹、高島屋、阪急
  • ホームセンター・・・カインズ、島忠、DCM、ジョイフル本田
  • 書店・・・蔦屋書店、丸善書店、三省堂、ジュンク堂
  • コンビニ・・・セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート
  • 家電店・・・ヤマダ電機、ビックカメラ、ケーズデンキ、ヨドバシカメラ

しかし、日本には古くからメーカー系列店というものがありました。
これはメーカーが確立した小売店チェーン形態で、直接メーカーが経営していないものの、VMDを含めた、販促支援、販売支援、経営支援、商品ケアを行っていました。
電気店でいうと、下記のような店舗ブランドになります。

  • 松下電器・・・ナショナルショップ
  • 日立・・・日立チェーンストール
  • 東芝・・・東芝ストアー
  • 三洋電機・・・サンヨー薔薇チェーン
  • ソニー・・・ソニーショップ/ソニー特約店

昭和時代から続くこのブランド店舗、サンヨー薔薇チェーン以外は生き残っています。
ものづくり立国の日本のメーカーが小売業界で強い地位を占め、売場づくりまでを主導するという、メーカー系列店方式はまだ健在でした。

「あなたの街の電気屋さん」なるメーカー系列店において、顧客は以下のメリットがあります。

  • 購入相談
  • 配送
  • 設置
  • 使い方説明
  • 修理
  • 買い替え
  • 住宅設備相談
深沢泰秀電気商会

街の電気屋さんは、ほとんど地域の商店が経営している個店です。
しかし深沢電気店、奥田電気店という個人店のブランド店舗なく、写真のようにほとんどかメーカーブランドに依拠していました。
店の「看板」は文字通りメーカーが握っていたのです。

カメラ店などがわかりやすいと思います。
今でもある街のカメラ屋さんは昭和レトロたっぷりの下記のような店が存在しています。
「イワモトカメラ」と看板は掲げているものの、ほとんどフジカラーのお店ですね。

イワモトカメラ外観

同じように、昭和当時の小売店は、スポーツ店もパン店も個人ブランドではなくて、ブランディングはメーカーに大いに頼っていたのです。
詳しくはスポーツメーカー、ミズノのVMDインストラクターに取材した記事を参考にどうぞ。
●メーカーのブランディング戦略

実は売場塾を受講する生徒は、今でもこうした系列店・特約店向きのVMD指南をしているメーカーの方は多いです。
私が広告代理店に勤務していたころは、このような小売店支援を「ディーラーヘルプ」と言ってました。
メーカーのVMDインストラクターは、下記のディーラーヘルプ業務をしています。

  • 店舗コンセプト設定
  • 店舗デザイン
  • 什器デザイン
  • 展示・陳列指導
  • ゾーニング・導線
  • 店内体験の企画
  • POP等店内ツール作成
  • 広告トーンアンドマナー設定

こうしたメーカーの小売店向けVMD活動は、下記も参考になります。
直接売場塾卒業生に取材しています。

●カシオ計算機VMDの小売店VMD支援と直営店
●シャルマンVMDのメガネ店VMD支援
●クロバーVMDの手芸店支援

いかがですか?
昭和時代のメーカーVMDは系列店に看板やPOPを取り付けるのが主な業務でしたが、令和時代のメーカーVMDの業務は店舗ブランディングまで多岐に渡ることがわかります。
メーカー系列店で有名な店舗ブランドは下記です。
今後はさらに進んで、メーカー・小売り協業型の店舗が増えていくことでしょう。

  • アヴェダ →ヘアサロンは「店名+AVEDA」ブランドに統一
  • 山崎製パン →パン店は「ヤマザキショップ」「ディリーヤマザキ」ブランドに統一
  • アルビオン →化粧品店を「ALBION DRESSER」「ATELIER ALBION」ブランドに統一

3.時代はインショップブランドに

そんなわけで、商店街のイワモトカメラ店も高田化粧品店もメーカーからブランディング支援を受けながら、ともに成長してきたのです。

ところが、現在は専門店・量販店の群雄割拠時代です。
メーカー系列の電気店というよりも、ヤマダ電機、ビックカメラといった家電量販店が、メーカー系列の化粧品店というよりも、マツモトキヨシ、ウエルシアといったドラッグストアが業界を席巻するようになりました。

もちろんメーカーは、そんな量販店に商品を卸していますが、系列店と同じようなアプローチではありません。
ヤマダ電機の袖看板に「パナソニック」と謳うことはできません。
ヨドバシカメラにしても外観にある多数の広告看板の一部としか自らのブランドを謳えないのです。

ヨドバシカメラアキバ店

では現在、メーカはどのように自社ブランディングを店舗で行っているのか?
結果はショップインショップ・ブランディングでした。

ビックカメラやヨドバシカメラに行ってみてください。
ライカ、アップル、BOZE、ReFa、ダイソンの売場は、競合他社と違うことがわかります。
それは店内店、つまりショップインショップとなっていて、家電店フロアの中に自社店舗があるように、売場をブランド化しているんです。

典型的なのが、アップルの売場でしょう。
写真のように、家電フロアの中にアップストアがすっぽりはまっています。

アップルストア インショップ

狭いフロアの売場でも、下記のように什器と背面パネルで、同業他社の売場と差別化しています。

アップルの売場 ノジマ

このような売場表現をグランドプレゼンテーションと名付けています。
差別化できる、メーカー店内店の空間デザインをいいます。
詳しくは下記を参照ください。

●VMDでイベントブース・販促ブースに客を集める


ではなぜ、メーカーは自社売場をインショップ化した方がいいのか?
それは量販店内での他メーカーとのポジションを1ランク上に設定できるからです。

上図を見てください。
あなたはオーバルノートというパソコンメーカーです。
家電フロアには、「パソコン」というゾーンがあり、「ノートパソコン」というカテゴリーがあります。

ノートパソコンを買うお客様は、「ノートパソコン」というカテゴリー売場にきて、AからGのブランドから好みの商品を選びます。
あなたの商品は他社と同じ土俵に置かれていて、ブランド認知、価格、デザイン、機能、用途、あるいは接客を通じて吟味されながら、選ばれます。
つまり、カテゴリー内競争にさらされています。

ところが、一たびカテゴリーから抜け出して、ショップインショップとして売場をつくれば、あなたのブランドはポジションが一気にカテゴリーと同等かそれ以上に抜きん出ます。
それが図の右側です。

図左側では「ノートパソコン」というカテゴリーから「Oval NOTE」というブランドを選択することになっていて、あなたは常に競合にさらされているレッドオーシャン状態です。

しかし図右側では、競合に対して1ランク優位にブルーオーシャン状態になっています。
当然、あなたのブランドがマーケティング戦略において優位なら、「Oval NOTE」インショップがさらに人を集めることができますし、ブランド認知がそれほどなくても、客は興味を引き、売場に近づいてくれます。
インショップブランドになれば、カテゴリーと同等かそれ以上の地位をフロア内で占めているのが、お客様の見た目でわかるからです。
しかも、その売場には、貴社製品しかないのです。

後は、ここに来てくれたお客様をがっかりさせなければOK。
VMDを活用をすれば最大限の買い上げ率を確保してくれます。

同じように、GMSの玩具フロアで有利に立ちたいタカラトミーは、「プラレール」や「トミカ」のショップインショップを立ち上げています。
電車の玩具ブランド、自動車の玩具ブランドとして他社をさらに引き離しています。

プラレール売場
トミカ売場

ということで、街の個店自体をメーカーブランドにする時代から、量販店・専門店内にメーカーブランド店舗をつくる時代に移行してきたのです。

4.商店の店舗ブランドディングのこれから

主戦場が量販店・専門店に移った昨今、地域のお店はどのようにブランド展開をしなければいけないのか?

わかりやすくカメラ店の例でお話しします。
前述したように、カメラ店はカメラやフィルムメーカーのブランディングの代理になっていました。

メーカーにあまり頼らない時代の個店店舗ブランディングは、コンセプトから見直さなければいけません。
つまり「どんな店を目指すか」の問いから始めなければいけません。

参考になるのが、自由が丘のポパイカメラです。
従来の「カメラ店」ではなく「写真を楽しむ店」というポジションになっており、木製什器、写真、フォトフレーム、アルバム、雑貨などを組み合わせ、ライフスタイルショップに近い空間をつくっています。
●ポパイカメラ

街のカメラ店というと、親切丁寧に接してくれて、写真の撮り方やスポットを教えてくれる、いつでも相談にのってくれるイメージがあります。
これをディープにしたのがポパイカメラということでしょう。

以前私がお世話になったコメ兵さんのカメラ部門でも、それに近いようなコンセプトでリモデルを果たしました。
●株式会社コメ兵様VMD導入事例

同様に、釣具チェーン店は上州屋やイシグロなど量販店が跋扈していますが、地域の釣具店は生き残っています。
これも、店が地域の漁場をよく知っていて、スポットに合わせた釣り方や道具の選び方を親身になって教えてくれる、ポパイカメラのような存在になってるからでしょう。
広い品揃えよりも、専門部分をディープに深堀したプロショップみたいな店が生き残っていくのではないかと思います。

手芸店や文具店、酒店なども、商品 + 情報 + 店員の経験 + コミュニティといった具合に、量販店ではできないポジショニングを設定していけば、量販に伍すことができるでしょう。

問題は「快場」
これ、伸びしろがありそうです。
店内の整理整頓から始めた方がいいかな、という店をよく見ます。
予算がなくても、什器移動してのゾーニングや導線の確保、展示や陳列の改善などは予算ゼロでもできますので、すぐに実行した方がよいです。

ぜひ、地域で愛される一番店を維持するために、VMDを学びに来てくださいね。
みっちり地域一番店をキープする「快場づくり」をお教えします。

まずは毎月開催してるオンラインVMDセミナーでお会いしましょう。
今月は、8月27日(木)開催です。
●センスアップセミナー「POP活用体系」

なお、このブログは続きがあります。
「店舗ブランディングその2/ カテゴリードライブとアートドライブ店舗」に続きます。
お楽しみに!!

(VMDインストラクター協会事務局)

VMDコンサルティングに役立つ売場撮影のコツ

VMDインストラクターの皆さん、売場の写真撮っていますか?
売場の写真はVMDコンサルの生命線、たかが写真、されど写真なんです。
売場の写真はどんな時に活用できるかというと下記です。

  • 店舗診断シートをつくるとき
  • セミナーをスライドで行うとき
  • 営業時にクライアントに実績を見せるとき
  • コンサルティングするとき

写真で売場をコンサルする最大のメリットは、診断漏れをなくすることなんです。
現場で立って「あれがダメ、これもダメ」というコンサルするのもいいのですが、それだと、どうしても診断漏れが派生しています。
だから、写真で撮って、会議室の椅子に座ってパソコンを開き、ゆっくりと写真をクライアントに見せながら改善点を説明する必要があります。

写真によるVMDコンサルの仕方は、売場塾のVMD教育指導講座で教えています。
受けた人は実践していて、メキメキ腕を上げていますよ。(^^)

●VMD教育指導講座

私はフリーランスのVMDインストラクターにクライアントのOJTを任すことがよくあります。
その時は改善する売場の写真を撮っていただいているのですが、皆さん意外とケータイで撮っている方が多いです。

中にはiPadで撮影している方もいます。
iPadは私も使っていましたが、広角にならないので苦労しました。
店舗診断の際、広角カメラだと撮影枚数が倍になるので苦労します。
iPadは避けた方がいいでしょう。

私はケータイをカメラとして使ったことがないのですが、なるべくデジカメを使った方が性能がいいし、画面も明るいかなと思います。
ケータイのカメラは躍進目覚ましく、デジカメに引けを取らなくなりましたが、それでもなるべくしっかりしたものを使用したほうがいいでしょう。

今までいろいろなデジカメ試しましたが、キヤノンS120を2台、今まで使ってきました。
28mmレンズと広角な上、レンズが明るいので解像度いいですよ。
富士フイルムやパナソニックは解像度が荒く暗かったりするので、室内向けに適していません。(7年前の話なので今はよくなっているとは思いますが)

ちょうど昨日、PowerShot G9Xを買ったのでS120をこちらに切り替えました。
この新しいカメラの画素数は2010万画素になったので、さらによい写真でコンサルできると思います。
クライアントの皆さん、期待してくださいね。

いいカメラを用意したら、後は撮り方です。
売場の釣り方のコツを下記にまとめました。

●Before Afterの写真は同じ角度から撮る
この当たり前がなかなできていない人、多いです。
例えばBeforeが正面で、Afterが斜めからの写真だと、見た人は違いがよくわかりません。

●Before Afterの写真は同じサイズにトリミングする
スライドセミナーや診断シートで見せるBefore Afterの写真は、同じ距離から見たように画面をトリミングします。
画角が同じでも、Beforeが近目でAfterが遠目だと、見た人は違いがわかりにくいです。
Afterの写真をズームした後、Beforeと同じサイズにトリミングすると、同じ距離から見たbefore Afterになるので、受講者は違いが理解しやすくなります。

●オーケストレーションやIPを撮る時は正面から撮る
棚割りがわかりやすい写真は正面です。IPとPPの位置、くくり、グリッドライン、ネガティブスペース、分類などは正面から撮った写真の方がわかりやすいです。
売場が壁面の場合、背の低い人は通路の斜めからしか撮れないということもありますが、その時は上記のイラストのようにして、正面から撮るようにしてください。

●サイズを大きくして撮る
私は6Mの2816×2112サイズで撮影しています。
これはA3のプリントにしたときに、画質に耐えうるサイズです。
このくらいで撮影すれば、スライドレクチャーした時も、きれいな写真を受講者に見せることができます。
ジュエリーを撮影する時などもこのくらいのサイズだと、ビジューの形状がわかりやすく、診断しやすいです。

●大きな容量のSDカードを使う
SDカードも128Gとか512Gとか多くなってきました。
店舗診断の際は1店舗500枚撮影するのもザラなので、なるべく大きいデータ容量のSDカードを使いましょう。

わかりましたでしょうか。
写真撮影はVMDコンサルの生命線。
VMDインストラクターの皆さん、いいカメラを使いましょう。
キレイでわかりやすい写真を店舗診断やセミナーに役立ててくださいね。

ちなみにオーバルリンクの店舗診断サービスは下記です。
●店舗診断

(vmd-i協会事務局)

パン屋のVMD指導の仕方

ベーカリーショップの売場づくり、店づくり、悩んでいる方も多いと思います。
パン屋VMDのポイントをお話します。

●フェイシング
ほとんどのパン屋ではパンがおいしそうに見えていません。
袋売りの場合はシールでパンを隠している店も多いです。
パンの顔をきちんと出すように指導します。

●IP
カゴやおぼんなど陳列用品に入れているケースが多いと思いますが、ショップブランドや商品ブランドのテイストに合わせた用品をきちんと選んでいるか指導します。
紙や布のかけ方なども汚くならないようにします。

●POP、サイン
POP制作とPOP編集のルールが守られているか指導します。
デザインの仕方やPOP器具も教えるといいです。

●店頭品質
特にカウンター周り。調度品や文具、POPで汚くなっているケースが多いです。

●テーブルプレゼンテーション
IPテーブルが多いと思いますが、使用するディスプレイ用品、積み上げ方、フェイシング、くくり、高さなどを指導します。高さがあると立体的になるので、ライザーを勧めるのもいいです。
私の知っている限りでは、ディーンアンドデルーカのパンのディスプレイが日本の中で一番高いと思います。

あと、パンの商品そのものも大事。
私がよくいくパン屋でRベイカーというパン店がありますが、
ここ、パンのシズルがとてもいいです。
シズルとは、食品だけがもっている表現方法で「おいしそうに見える」
ように商品を作るのがポイントです。

パンの表面に野菜と肉をどのように載せていくか。
色やボリューム、ふっくらとした質感などがあれば、思わず手に取ってくれます。
色はビビッドでコントラスト配色がおススメ。
黄色や赤など暖色系の色があれば、さらにいいです。

かごに入れるときなども、かごからはみ出すくらいの量がよく、たわわに見えた方がおいしそーーという感覚になります。

ディーンアンドデルーカ、豆一豆、ル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ、Rベイカーなど行ってみましょう。
パンがきれいに並んでいます。

また売場塾の卒業生もパン屋さんのVMDやっている方が多いです。
●売場塾フェイスブック

パン店、お菓子店のVMDインストラクターのみなさん、売場づくりがんばってください。

(vmd-i協会事務局)

漏れがない店舗診断には想起法が利く

店舗診断はVMDインストラクターだけではなく、中小企業診断士などの経営コンサルタントがよくしているコンサルティング手法です。

店舗診断の方法で、よくあるのがチェックリスト法です。
チェックリストを持って短時間で売場を回り、加点方式や○×式で記入するものです。
チェック項目は、採点範囲により10~40位と幅がありますが、毎回同じ項目をチェックすることによって、項目ごとに改善の進行具合を確かめることができます。

VMDを初めて導入した会社や、VMDコンサルタントとして独立したばかりの方にとって、チェック法は採用しやすく、ミステリーショッパーなどの調査会社でもなじみがあります。
私が教鞭をとっている売場塾でももちろん、基本講座でチェックリスト演習をしています。フィールドワークではチェックリストをもとにお店をオリエンテーリングしています。

ただ、このチェックリスト方式、実は漏れがたくさんあるんです。
例えば、下記のチェックリストをつくったとしましょう。

  1. 店内見通しはいいか。
  2. 店頭VPのテーマはわかりやすいか。
  3. 店頭から見て、売場の区切りは明確にわかるか。
  4. 陳列は正しく分類され、くくられているか。
  5. 商品のフェイスは見やすくなっているか。
  6. 店内PPのテーマはわかりやすいか。
  7. マグネット売場は店内に設置されているか。
  8. 通路幅は来店客に適した広さになっているか。
  9. POPは規則正しく売場に設置されているか。
  10. お店のクリンリネスは保たれているか。

と、とりあえず10項目書きましたが、じゃあこれをすべて守れば、うちのお店のVMDはパーフェクトかというと、そんなことはありません。
漏れがやたらあるんです。

例えば、

  • 照明が暗い個所があるが、それはチェック項目にない。
  • 字が読めないPOPがたくさんあるが、それはチェック項目にない。
  • そのブランドらしからぬ什器のデザインだが、それはチェック項目にない。
  • ディスプレイ構成がバラバラな箇所があるが、それはチェック項目にない。
  • トイレットペーパーの横に高級化粧品が来ていて売場のつながりが変だが、それはチェック項目にない。

などと、数え上げればキリがありません。

じゃあ、チェック項目を100位にしてそれを毎回チェックすればいいんじゃない?ということになるとします。
それでは1週間しか持たないでしょう。
毎回、チェックに時間がかかりすぎ、継続的ないからです。

そこで、想起法の登場です。
想起法とは一言でいえば、VMDの六法全書の中からルールに違反している項目を抜き取り、「この売場はここがルール違反になっていますよ」と、改善点を指摘する方法です。
VMDのプロであるVMDインストラクターは、頭の中に売場づくりの六法全書が入っているので、売場を見ただけで「ここが悪い」というのがわかります。
この六法全書、どのくらいのルールが入っているかというと、基本55のルールが入っています。
さらに基本の進化系として、追加したルールがあり、その数は100位。
しかも項目は毎年更新・追加しています。

なんだ、結局100じゃん、と思うかもしれませんが、想起法というのは、売場を見て、頭の中の100項目のうち、必要と思うものを取り出しさえすればいいのですから無駄がありません。
100のうち、20だけ改善項目が必要かもしれないし、50あるかもしれない。
毎年、いろいろな店舗診断を遂行していて、「これは項目に入れたほうがいいな」という新しいルールを作り続けているので、今のところ、漏れはないようにできています。

例えば、最近照明の問題に関しては、下記のルールを設定しました。

・全体照明
→明るさ
→色
→照明器具
→健康・安全性
・部分照明
→明るさ
→色
→照明器具
→健康・安全性
・店外照明
→照度・輝度
→意匠
→健康・安全性

売場塾では、改善項目のことをフレームといい、別名「売場づくりの型」と言っています。
余談ですが、最近は「きれいさ」もフレームに入れました。
以前は売場をきれいにしておくのは当たり前のこと、で改善項目に入れなかったのですが、けっこう汚いお店も多いことから、スタイリング・クリンリネス・快適性という型を追加しました。

話をまとめると、想起法とは下記です。

  • 売場づくりの六法全書を頭の中の引き出しに入れておいて、それから売場を見る。
  • 売場の悪いところを頭の中の六法全書の該当項目から取り出す。
  • それをスタッフなり、クライアントに、わかりやすくまとめて指摘する

こんな感じです。
すると漏れはありません。
このしくみを当社は「フレームワーキング」と呼び、商標も取っています。

最後にひとこと。
売場づくりの六法全書のことをガイドラインといい、ブランドごとにガイドラインは違う、つまり売場づくりのルールは違う・・・ということを念頭においてください。

(vmd-i協会事務局)