JINS」タグアーカイブ

アートドリブンvmd

店舗ブランディングその2/ アートドリブンVMDとは

1.ドリブンって何?

今回は、アートドリブンとカテゴリードリブンの話をします。
外資系ブランドのガイドラインによく出てくる言葉なので詳しく解説します。

ドリブンってよくマーケティングで使いますよね。
データドリブンとかカスタマードリブンとか。
博報堂などは生活者ドリブン・マーケティングと言って、「生活者はいま何を感じ、どんな生活をしているのか」を起点としたマーケティング手法を唱えています。

博報堂の「消費者ではなくて生活者」って考え方、昭和時代から感心していました。
いい言葉だと思います。
ものがなかった時代、人々は消費者だったけど、ものが溢れて豊かな暮らしになった今、よりよい生活を送る段階、つまり生活者にステップアップしました。

少し英語の話をします。
drivenとはdriveの過去分詞です。
この場合は形容詞的な働きをしていて、data-drivenとか customer-drivenのように使い、名詞を修飾します。
・data-driven marketinf (データを起点にしたマーケティング)
・customer-driven strategy (顧客を起点にした戦略)

そもそもdriveは「運転する」の他動詞ですが、その他に「駆り立てる」「を推進する」「を鼓舞する」などの意味があり、

●The campaign was driven by consumer insights.
そのキャンペーンは消費者インサイトを軸に推進されました。
●Our growth is driven by digital marketing.
私たちの成長はデジタルマーケティングによって鼓舞されています。

などと使います。

英会話の授業終わりです。
これに懲りてブログを離れないでくださいね。(^^)

要はドリブンとはビジネス流行り言葉で、「○○を基軸に考える」というマーケティング用語だと捉えてください。

私的には、driven の代わりにorientedとかbasedという言葉を使ってもいいと思います。
私も売場塾の授業では、
「売場塾のVMDは、「コンセプト・オリエンテッド」なんです」とよく言っています。
これは「売場塾のVMDはショップコンセプトを土台にしている」という意味です。

詳しくは下記をご覧ください。

●自店の店舗デザインはどうあるべきか

2.アートドリブンとカテゴリードリブンとは

本題に行きます。
下記二つを解説します。

●アートドリブン ・・・アートを基軸とした考え方
●カテゴリードリブン ・・・カテゴリーを基軸とした考え方

これをVMD戦略として置き換えます。

アートドリブンVMD ・・・アートを基軸としたVMD
●カテゴリードリブンVMD ・・・カテゴリーを基軸としたVMD

アートドリブンVMDから説明します。
アートとは芸術のことであり、芸術を基軸としてVMDを考える、つまり、芸術で来店客を楽しませるVMD・・・という意味です。
まるで博物館や美術館に入ったように、アートを感じる・体験できる店舗です。
表参道や銀座にズラリ並んだ欧米ブランドショップがそれです。

銀座のティファニー本店

対してカテゴリードリブンVMDとは、カテゴリーを基軸としてVMDを考えるということです。
カテゴリーとは、フロアを分類する用語で、商品展開分類と考えてください。
スーパーマーケットのカテゴリー分類なら、生鮮・鮮魚・精肉・加工食品の下、つまり、野菜、果物、牛肉、豚肉、麺類、調味料、乳製品ということになります。

スーパー ジュピター

アートドリブンVMDを採用した店舗は、五感に訴える芸術的な買い物空間を提供します。
客が目・耳・鼻・触感・味を堪能できる空間です。

カテゴリードリブンVMDを採用した店舗は、商品分類がわかりやすく、自分に合った売場をすぐに探して求めている商品を選択できる空間です。

日本には88万店舗の小売りがありますが、いずれの店舗もアートドリブン、カテゴリードリブン、そしてその中間の店舗に分けられます。

3.アートドリブンVMDの店舗

アートドリブン店舗は、銀座で行っているわが売場塾の周りに多いです。(^^)
国内外いろんなブランドの旗艦店が密集しています。
銀座で主だったアートドリブンな店舗を紹介します。

  • ・・アートドリブンな海外ブランド店舗・・・
  • ティファニー
  • カルティエ
  • モンブラン
  • アップルストア
  • ジェントルモンスター etc
  • ・・アートドリブンな日本ブランド店舗・・・
  • 茅乃舎
  • JINS
  • 蔦屋書店
  • Maison KOSE
  • Refa  etc

アートとは芸術を意味し、五感で来店客を魅了します。

  • 目でアートを感じる/外観、内観、絵画、写真、彫刻、ディスプレイ、サイネージ 、照明 etc
  • 耳でアートを感じる/BGM、DJ、レコード、効果音、即興ライブ、ピア、雑踏 etc
  • 鼻でアートを感じる/食品のにおい、アロマ、化粧品、ドライアイス、エアコン etc
  • 口でアートを感じる/試飲、試食、グローサラント、バー、カフェ、ノベルティ etc
  • 触れてアートを感じる/内装・外装の質感、アート作品、商品そのもの、試用品(マッサージ器・カメラ・服・車)
銀座シックス ヤノベケンジ作品

事例で解説しましょう。

銀座シックスは「Life At Its Best 最高に満たされた暮らし」というコンセプトの商業施設でラグジュアリーなブランドで満ちています。

その空間は美術館そのもの。
写真のように、著名なアーチストの作品で空間が満たされています。
今年のアートテーマであるイギリスのジュリアンオピーの作品、いいですね。
吹き抜け空間、エンタランスに大きく展開、詳しいパンフレットや絵葉書も無料で入手できます。

銀座シックス ジュリアンオピー1
銀座シックス ジュリアンオピー2

さらに、フロア回廊でもいろいろな作品を展示。
工芸作品ですが、そのままベンチとして提供している作品もあります。

小林リオさんの作品

例えば、これは小林リオさんの作品。
銀座シックスが展開している「A TREE」というアートプロジェクトに参画している作品で商品的には椅子です。
買えるのかな?という客も多いんじゃないかな、と思いますがあくまでプロジェクトの作品展示ということで、アーチストを変えて昨年から展開しているアート展です。

ドーバーストリートマーケットVP

あと、アートドリブンVMDが手っ取り早くてわかりやすいのが、「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」
コム デ ギャルソンが運営しているセレクトショップの集まりですが、1階から7階まであります。
●ドーバー ストリート マーケット ギンザ

コム デ ギャルソンだけでなく、Louis Vuitton、Prada、Loewe、Maison Margiela、Rick Owens、Supreme、sacai、Nikeなど、価格帯もテイストも異なるブランドが一つの建物に共存しています。
百貨店や銀座シックスと違い、ひとつひとつのテナントは面積が小さいのですが、デザインが異なったポップアップショップが集まっている感じです。

  • 公園の滑り台がある店
  • ドーリア式の柱が林立する店
  • 大きな木がどっしり構えている店舗

などアートと一体化した店が来店客を出迎えてくれます。

上写真は1階のVP。
マネキンはなにもなく、像の彫刻一体。
アート作品そのものですよね。

この像、いろいろなフロアにリンクしていました。
黄色いバッグも上層階で売っていました。
最上階は開放的なカフェになっています。

4.アートを取り入れるメリット

なぜ銀座はブランドの旗艦店が多く、アートドリブンを取り入れているケースが多いのでしょうか。

理由の一つにブランディングがあります。
銀座というと、東京都内の中で高級ブランドが集まっている街というイメージが強いです。
国内外のブランドが軒を並べているので、その中の1軒になるということは、ブランド店舗の仲間入り、というポジションをアピールできます。

ルイ・ヴィトンやグッチの並びに自店舗があるということです。
丸井やルミネが、銀座に店を出すのが悲願だった過去の例もうなづけます。
また、都道府県のアンテナショップが多数あるのはやっぱり、県の産物をブランド品として訴求したいからです。
下記は福井県のアンテナショップ、食の國291という店舗です。
地元のデザイン集団TSUGIが店舗全体のブランド表現・アートディレクションを担っています。

福井県のアンテナショップ291

しかしながらブランディングというよりも、社内向けに「銀座に初出店した」というインターナルマーケティングを主として銀座を活用するブランドも多いです。
かつてのユニクロに始まりワークマン、セリア、ダイソーなどはそうでしょう。
他のチェーン店と佇まいは変わりません。

JINS銀座

今年の夏、銀座中央通りにオープンした、JINSはブランディング目的でしょう。

JINSは外観が膨らんだような店を出し、銀座店だけのオリジナルな高級フレームを入り口に展開しています。
店内はゆったり、地下1階には大型のオブジェもあり、そこはメガネ制作の待合フロアになっています。

建築家の藤本壮介氏はJINS銀座店のコンセプトを「やわらかな和」と定めたそうです。
確かに外は白くて、窓から注ぐ外光は室内を明るくし、地下にある巨大な白鹿を照らしています。
光の取り入れ方がいいですね。
ちょっとした美術館に入ったような印象です。

茅乃舎銀座店外観

茅乃舎銀座店も外観は隈研吾氏がデザインしたもので、とてもシック。
隈研吾はこの店を「日本の森を五感で体験できる」空間として設計し、木だけでなく、和紙・石など日本の自然素材を内装に使用しています。

店内に入ると2階建てになっていて、2階はミュージアムスペースになっており、主な展開は下記です。

  • 日本の食にまつわる美しい「道具」
  • 職人による伝統工芸品
  • 器など、食文化と結びついた工芸
  • 美術品
  • それらと調和する銀座店限定の上質なギフト

2階に上がった時、店員さんが案内してくれて商品説明も丁寧にしてくれました。
確かに通販でも同じ買い物ができますが、銀座の店舗で買い物をすることはそれだけで体験になり、アートが加わるといっそう体験の質が高まります。

このことは下記ブログを読むと分かります。(^^)
●エルメスのコーヒーカップ

アルマーニの服、業社の即売会で体育館で買える時期もありました。
しかし、銀座の本店で買うアルマーニは、質的意味的において雲泥の差があることはいうまでもありません。

アートドリブンVMD、だいたいわかりましたか?
次回はカテゴリードリブンVMDについて見ていきます。

●カテゴリードリブンVMDとは

(VMDインストラクター協会事務局)