VMD担当」タグアーカイブ

流通ネットワーキングのVMD論文

VMD担当者が身に着けたいリテラシーとは

0.リテラシーとは

リテラシーとは、読み書き能力のことです。
学力と思ってもいいです。世界の国々の国民の教育程度の指標でもあります。
近年の日本は、読解力や数学的リテラシー、科学的リテラシーが低くなっているみたいですね。
ゆとり教育の弊害や、スマホやゲーム、SNSの影響が多分にあるみたいです。

さて、今回はビジネスリテラシーについてお話しします。
特にVMD担当者やVMDインストラクターの方、よく聞いてくださいね。

VMDという仕事はディスプレイがうまければいい、そう思っていませんか。
皆さんは、VMDプロである前に、サラリーマンだったりOLですよね。
つまり会社員としてどこかの企業に所属していると思います。

またフリーランスの方は起業して業務を行っていると思います。
でも、クライアントはどこかの企業の方で、相対する方はやはりサラリーマンかOLです。

(OLって言い方、もうハラスメントになってしまうかもしれないですね、すいません)

ビジネスマン、ビジネスウーマンとして身につけなければいけないリテラシーの話を4つします。
まずはITリテラシーから。

1.ITリテラシー

これはプログラマーやSEレベルのスキルを持て、ということではありません。
下記のことを言います。

  • パワーポイントが使えない
  • エクセルが使えない
  • ワードが書けない

また

・パワーポイントがPCにインストールされていない

こともあります。

実際、「パワーポイントでPOPを書いてみよう」という研修をした時。
社員の方にノートパソコンをセミナールームに持参いただき、POPを書いていただきました。

すると参加者の半分以上の方は、パワーポイントができない・・・。
コピペもできないし、罫線も引けない。
ほとんどその日は、POP作成ではなくパワーポイントの授業になってしまいました。

また、ある看板業社の営業に簡単な企画書をパワーポイントでメールしました。
すると、「パワポ、うちはインストールしてないんですよ」と返事がありました。

あるデコレーターの方に棚割りをパワポで送った時も、パワポソフト自体がない、ということでした。

マウスの資格を取ってくれ、とは言わないまでも、ウインドウズのオフィス主要3つのこれらソフトは使いこなしてほしいです。
企画書も開くことができません。

今日足立区の広報チラシが自宅に入っていて、そこにはたくさんの生涯学習の講座が掲載されていました。
パワポ講座、エクセル講座、イラストレーター講座、フォトショップ講座 etc。

オフィス使えない皆さん~、週末利用してぜひ受講してください~。
たぶんどの市町村でもこんな講座開講していると思います。
1万円と安いで、ぜひよろしくお願いします。

2.企画書リテラシー

オーバルリンクを起業したとき、企画書が書けない人って本当にいるんだな、と思いました。

異業種交流会などいろいろなフリーランスの方と出会う機会がありました。
私はパワポで当社会社案内やサービスメニューなどをつくり、配っていました。

すると、いろいろな方から「非常によくできている」「深沢さんは企画書が書ける」という評価をいただきました。

企画書が書ける???

ビジネスマンだったら企画書書くのが普通だと思っていたし、フリーランスで起業した人ならプレゼンに企画書は必須だと思っていました。

しかしながら、VMDのこの業界、パース画や立面図が書けても企画書が書けない人が多い、ということに気がつきました。

売場塾卒業生でも、ときどきプレゼンの相談をフリーランスの方から受けます。
アドバイスした後、「プレゼント通りました!」と朗報をいただくことがあります。

「どれどれ企画書を見せて」と尋ねて見せてもらうと、あれあれ。
ただの見積書じゃん、ということがありました。
「これでよくプレゼン通ったね~」と感心してしまいました。(^^)

後は、ポートフォリオ。
私は、今まで100人以上のVMDフリーランスの面談を受けました。

「私はこのようなことをしています」

と言って見せてもらうのは、ほぼ100%、ディスプレイの写真が多い。
つまり、プレゼンになっていないんです。

ディスプレイがうまいのはわかったけど、他の方と比べてどう違うのか、わからないんです。
何が得意で、どんなことが頼めるのか。
他のVMDプロと比べてどこが違うのか。

ディスプレイの写真だけだとそれがわからないんです。

例えば、下記の様なプレゼンが必要です。

・私は空中ものが得意です。どんな商品でも空中に浮かせることによって通行客の目を射止めます。
・その効果はこうこうこうで、これだけの集客がありました。

または、

・私はコストを掛けないディスプレイ制作が得意です。
クライアントの商品パッケージを使って、こんな風に造形物をつくってしまうし、造形物自体を動物キャラクターにできるので、お子様連れの客にとても喜ばれています。

みたいな下りが1ページの企画シートでもいいからほしいです。

とはいえ、VMD業界以外でも企画書書けない方がいるのは事実。
私も広告代理店に20年勤務していましたが、実に企画書書けない、書かない方は多かったです。
特に年配の人。
これでよく広告やっているな~と感心していました。(笑)

では、企画書の達人になるコツを教えます。それは簡単!

書くしかない。

この一言に尽きます。
書いて書いて書きまくって、覚えること。
これしかないと思っています。

オススメは、高橋憲行さんの本。
私も広告代理店ビギナーのころは、高橋憲行さんの本で勉強しました。
今でも人気の高橋さんの本、100冊は出ていると思いますので、本屋かアマゾンで買って読みましょう~。
とてもためになります。

3.日本語リテラシー

これは、ITリテラシー、企画書リテラシー以前の問題だと思ってください。
ズバリ言うと下記です。

日本語を書けない人が多い。

これを特に感じるのは、テストをした時。
売場塾のテストって記述式が多いです。

売場の写真を見て、どのように改善すればいいのか、コメントを書いていただいています。
そこで感じるのは、下記です。

  • 何を言っているのかわからない
  • てにおはがおかしい
  • 漢字が間違っている
  • 句読点がない

企業のVMD担当やフリーランスは、相手があって仕事をしています。
相手に下記の媒体を使ってコミュニケーションしていますよね。

  • メール
  • 企画書
  • 報告書
  • 会議資料

などなど、テスト以外でも文章を書くことが多いです。
みんなSNSで文章を書くのは慣れているのに不思議。

特に、POP制作担当者は、文章を書かなければいけません。
なのに出来上がったポスターの文章は・・・日本語になっていない!!
そういう例が多いです。

そこでおススメするのが下記の本。

「言葉ダイエット」 宣伝会議刊

電通コピーライター、橋口幸生さんが書いた本です。
ぜひ本屋かアマゾンで買って、文章の正しい書き方を会得してください~。
とてもためになりますよ。(^^)

4.流通リテラシー

これは、VMD担当、またはフリーランスの方に必要なリテラシーです。
その業界の流通構造や商習慣がどうなっているか知らないと、仕事がうまく進みません。

例えば、ケータイ業界。

ドコモショップにはたくさんのNTTドコモの社員が働いている。

このように思うなあなたはかなり危険です。
どこのドコモショップにも、NTTドコモの社員はいません。働いていません。

ドコモショップはNTTドコモというキャリアの代理店だからです。
なので、NTTドコモにいる方は、ITX、コスモネット、兼松コミュニケーションズという代理店のスタッフです。
もっと詳しく言うと、ドコモショップの受付にいる人は代理店の社員ではありません。
人材派遣会社ドコモCSから派遣されている派遣スタッフかもしれません。

例えば、家電業界。

ヤマダ電機で接客している人はすべてヤマダ電機の社員ではありません。
家電メーカーや販社から派遣されているヘルパーと呼ばれているスタッフが行っていることが多いです。
ヤマダ電機の社員よりヘルパーの数が多いフロアもあります。

  • スターバックスはほとんど直営だけど、ドトールコーヒーはほとんどフランチャイズ
  • ミスドはダスキンがフランチャイザーとして運営しているドーナッツ店。
  • BOOK OFFとHARD OFFは全く違う会社の運営。

などなど、業界では常識になっていることは知っていた方がよいです。

皆さん~、新聞やビジネス誌を読みましょう。
特に「日経MJ」を定期購読すると、流通の常識がわかります。

私の執筆している「流通ネットワーキング」もぜひ読んでください~。(^^)

(vmd-i協会事務局)

VMD初心者が覚えたい13の課目

VMD初心者が覚えたい13の課目についてお話します。
これを覚えれば、自分のお店や他店を見ると、どこがよくて悪いのかがわかるようになります。

================
ゾーニング
================
それではゾーニングから。
ゾーニングとは、店内レイアウトのことです。

  • リレーション

売場と売場のつながりのことです。
例えば、キッチン用品では茶碗の横は箸が合います。
これをリレーションがいいといいます。
服店でエレガンステイストの売場横にロックテイストの売場は合わないです。
これをリレーションが悪いといいます。
売場と売場のつながりがよくないと、お客様の店内回遊率が減ります。

  • 売場の見通し

店頭から、店内奥まで見渡せるか確認してください。
奥の壁まで見えるのが正解。
手前の什器が林立していると奥は見えなくなります。
奥が見えないと、お客様は奥まで行こうという気がなくなってしまいます。

================
IP
================
次はIP。陳列のことです。

  • くくり

陳列をパッと見て、商品分類がわかりやすいか、確認してください。
色別、サイス別、柄別、香り別、値段別など、商品くくりがわかりやすい状態を、くくりがよい、といいます。
くくりとは、目で簡単に認識できる商品のカタマリのことをいいます。
アメーバのようなくくりはご法度です。
くくりが悪いと、商品を選びにくくなるので、不親切な売場といえるでしょう。

  • オーケストレーション

壁面の集合陳列のことです。
店は四方が壁でできていて、これがお客様に目立ちます。
そのため、お客様は店内に入るとき、自然と壁を見ます。
この壁の集合陳列がきれいでないと、店内全体が汚く見えてしまいます。
まさに、オーケストレーションはお店の鏡というわけです。
棚の並び方、PPとIP、商品のくくりなどがバランスよく配置されている状態を、オーケストレーションがよい、と言います。

  • フェイシング

特徴が一目瞭然にわかるように、商品を置くことをいいます。
お客様が商品を見てすぐ、商品の形、柄、機能などがわかるようにすること、これがフェイシングです。
文字通り、商品の顔をわかりやすくします。
パッと売場を見て商品が分かりにくかった場合、わざわざ商品を持って確かめる人はいません。
商品を見たら、魅力的な部分がすぐお客様にわかるように、商品は置かないといけません。

  • 商品同品番のアレンジメント

商品をわかりやすくきれいに陳列することをいいます。
色・柄・サイズ・重さなど種類がたくさんある商品の、わかりやすくきれいな並べ方です。
コツは、自然ぽく陳列することです。
重たいもの、大きいものは下に、軽いもの、小さいものは上に置くと自然です。
色についても同じ。
傘をグラデーションに並べたり、Tシャツを虹色順に陳列したりすると、きれいな売場に様変わりします。

  • 定量の設定

1つの棚やパイプに何枚・何個商品を並べるか、量を設定することをいいます。
特に、高額なブランドは比較的少なく置き、廉価なブランドは多めに置きます。
定量はお店の佇まいに影響を与えます。
伊勢丹サローネとユニクロの、お店の佇まいに差があるのは、こういう理由からなのです。

  • 色の絞り込み

売場の色や展開する商品の色を絞り込むことをいいます。
春先はセーターや食器の色を暖色に絞り込む。7月はブルー系のアクセしか出さない、などのことです。
ショッピングモールを歩いていて「きれいなお店だな」と思う店は大抵、商品の色を絞って展開しています。
ZARAやH&Mなど外国のファストファッションなどもそうです。

  • カラー商品展開

色の順番を決めて商品を並べることを言います。
シャツを虹色順に並べる。マカロンを対照色相でコントラストをつけて並べるなど、色の順番を決めます。
虹色順は色相配色といい、カラー展開の基本です。
コントラスト配色は、お菓子やくだものなどにオススメです。
おいしそうに見えること、間違いなしです。

================
ディスプレイ配置
================
最後は、効果的なディスプレイ配置の仕方です。

  • PP・IPの配置方法

展示と陳列がわかるように、メリハリをつけて商品を並べることをいいます。
PP(展示物)を棚のトップに置き、IP(陳列物)はその下にきれいに置く、などします。
雑貨店は壁にPP用の専門棚を作る傾向があります。
高さ170cm以上のところにPP棚を置き、下部のIPと区別しています。

  • PP・VPの配置方法

お客様を立ち止まらせ、店内で回遊させる展示物の置き方のプランです。
VPは店頭や店内ゾーンの入口に置き、PPはコーナーや突き当りに置くのが通常です。
80坪以上の大型店は、店内の各ゾーンの入口にもVPを置いていくとよいです。

  • マグネット売場

目立つ売場、マグネット売場をつくって、店内回遊を促進させましょう。
ディスプレイがキレイ、人気のブランドがある、什器のデザインが目を引く、など、マグネット売場のつくり方はさまざまです。
試飲・試食コーナーをつくるなどもマグネット売場の一例です。
マグネット売場がないと、単調な売場の連続になります。
目的買いのお客様には問題ないのですが、店内をブラつくお客様にとってはマグネットがあった方が、歩きまわる理由ができるので、店内滞在時間が長くなります。

(vmd-i協会事務局)