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獅子舞ディスプレイ拡大

テーブルウエアで獅子舞つくってみた

ディスプレイを日常生活に取り入れれば心潤うことをブログに書きました。

●ディスプレイすれば生活は潤いになる

コーヒーを飲むときに、売場塾であまったプロップス使って食卓を飾ろうかなと思い立ちました。
2015年10月17日の朝でした。
これが第一号のディスプレイ。

ランチョンマットの端が折れています。(笑)
以来、毎週末コーヒーを飲む時に5分でディスフレイをつくってきました。
コーヒーを飲む時間は高校時代から好きな時間でした。
忙しくあわただしい毎日にホッとつける、ネスカフェのCMみたいなひと時です。

なんで5分でディスプレイ作っているかというと時間かけると面倒だから。
電気ポットでお湯を沸かしペーパードリップに湯を注いでカップに移す、その合間に作るんです。
キッチンにあるランチョンマットやカップ、カトラリーにプロップスを加えて完成です。
そのプロップスも文具や本、フレームといった家にあるものを使っています。

ということで、2025年を明日に迎えた今日は、テーブルウエアのみで獅子舞をつくってみました。
獅子舞ディスプレイ・メイキング始まり、始まり~。

1.布を敷く

オンライン売場塾でクロマキー用に使っている幕を用意します。
人間が入っている獅子のように丸ーい背中にしました。

2.目と鼻をつくる

目はコースター、眉毛はお菓子を載せているお盆。
鼻は花の形をした皿、鼻の穴は日本酒のおちょこです。

3.ほっぺたをつくる

伊勢丹三越オリジナルの丸いランチョンを左右に置きました。

4.たて髪を入れる

金色の刺繍のようなランチョンをおでこに置きました。

5.口をつくる

獅子舞は口が肝心。
あのカタカタ言う歯は懐紙でつくりました。
いつも和菓子を置いているものです。

6.あごひげ入れる

顎髭はお皿に。無印良品とケユカのソーサーを使いました。
くるくるって感じが出ています。

7.耳を入れる

耳どうしようかな~と思いましたが、小さいランチョンを耳型に折って、その上に葉っぱのコースターを置きました。
いい感じです。

8.角を入れる

なんかアタマのあたりが物足りないな、と思い、角を入れました。
これ、ネスプレッソのおまけにもらったコースターです。
よくよく考えると、獅子舞はライオンだから角はなかったです。
でもまあ、芸術には脚色もアリなんで、架空の獅子としました。

9.完成!!

詳しくは、明日の年賀状見てください~。

明日から新年ですね。
インフルエンザやコロナ流行っていますが、お体大事に。
よいお年を~。

(vmd-i協会事務局)

フォルダー中の写真

タイパ!売場写真整理術

1.店舗や売場の写真を撮る機会とは

VMD担当の皆さんは、売場や店舗を撮影する機会がたくさんあると思います。

自社チェーン店の臨店指導や期ごとのリバイス(売場編集)の記録として撮っているケースが多いと思いますが、下記の撮影機会もありますよね。

2のテーマハンティングというのは、ーマを持って街中に事例写真を撮りに行くことを言います。
例えば、下記のような場合です。

  1. 話題の店がオープンしたとき
  2. テーマハンティングをしているとき
  3. あるお店を定点観測しているとき
  4. 海外視察に行ったとき

2のテーマハンティングというのは、テーマを持って街中に事例写真を撮りに行くことを言います。
例えば、下記のような場合です。

●今研究しているテーマ
・ショップインショップ形態の什器レイアウトのタイプ
・ゴールデンデーンにおける商品のローテーション変遷
・カテゴリ別プライスカードのデザインとテキスト表現

●研修に活用できそうなテーマ
・1カセット1テーマの売場と、1カセット2テーマの売場
・ウォールウォッシャーがある売場とない売場
 ※ウオールウオッシャーとは壁面照明のこと
・陳列がヨコくくりになっている売場とタテくくりになっている売場

●ベンチマーキングしている店舗
・リブランディング中の「ファンスタイル」店舗
・「ツタの道書店」の新業態店舗
・リサイクルショップ「ファンファーズ」の大型店
 ※店名は架空です3は競合店などが対象になると思います。

1から4以外でも、今はスマホの時代。
街中歩いていても買い物中でも、気になった売場や店舗はカシャカシャ撮影していると思います。

それに今では、ヨドバシカメラのように店内撮影OKを公に謳っている店舗や、伊勢丹や島忠のようにSNS撮影コーナーを設けている店がたくさん出てきています。
フロアはみんなフツーにスマホで撮影する環境になっており、SNSにはたくさんの店内写真がアップされています。

※ただ注意しておきたいのですが、基本的には店内写真は撮影禁止になっています。

2.写真の整理の仕方

撮影した写真をあなたはどうしていますか。
よくある話が、スマホで写真を撮ってずっとそのままにしているケース。
写真はまったく振り返えられることなく、スマホの中に置き去りになっています。
これではもったいないと思います。

上記のようなVMDの参考写真のみではなく、レストランの料理、買ったスイーツ、紅葉の景色などもスマホに収まったままでは、そのうち忘れてしまうますよね。

私は、折に触れてスマホやデジカメの写真を整理しています。
その手順は下記です。

  1. スマホまたはデジカメのデータをパソコンに移す
  2. ツカエル写真は残して、ツカえないものはゴミ箱に入れる
  3. ツカエル写真にキャプションを入れる
  4. 写真をフォルダーに突っ込む

順を追って説明します。


1.スマホまたはデジカメのデータをパソコンに移す

スマホの場合は、USBのケーブルを使ってスマホとPCをつなげて写真データをフォルダーごと移しています。
スマホのメモリは2.3枚の写真を残してスッカラカンになります。
デジカメはメモリカードからデータをPCへ抜き取って完全に空にしています。

こうすると本当に気持ちいい!
スッキリしますよ。(^^)


2.ツカエル写真は残して、ツカえないものはゴミ箱に入れる

ぼけている写真、構図がイマイチの写真、たいして必要ない写真はすべてデスクトップ左上のゴミ箱に捨てます。
iPhoneの場合は、自動的に動画がセットで静止画に添付されているので、動画もすべて削除します。


3.ツカエル写真にキャプションを入れる

ここが一番大事なところ。
ツカエル写真にキャプションを入れます。
JPEGのナンバーになっているキャプションを日本語にするんです。

そのキャプションは下記のタグキーワードで構成されています。

  • 撮影した日にち 例)2024.11.16
  • 撮影した場所 例)銀座 上野 広島など
  • 撮影した商業施設 例)伊勢丹 イオン京都店 ルミネ新宿 丸井上野店
  • 撮影した店 例)プラザ キッチン212 セオリー
  • フレームワーク用語 例)オーケストレーション ディスプレイ構成 什器デザイン
  • VMD用語 例)VP PP IP ゾーニング 定数 定量 グリッド ネガティブスペース
  • その他のキーワード 例)みやげ店 家電 雑貨 コンビニ スーパー スペイン

1つの写真に対して、これらのワードを1角スペースを入れて下記のように羅列します。

例)2024.11.18 上野 丸井上野店 プラザ オーケストレーション PP IP 三角構成 雑貨

これでキャプション明記は完成、あとはひとつのフォルダーに放り込むだけです。

3.写真を探す時間が劇的に減る方法

こうして、ひとつのフォルダーに写真を放り込んだらどうなるか。
写真を探す手間が劇的に減るんです。

例えば、VMDの勉強会をあなたが行うことします。

「あしたは、みんなにオーケストレーションのよい例を紹介したいな」
「ハワイで撮ってきた写真にいいのがあったな」

と思ったら、写真を収納したフォルダーを開いて下記のよう検索窓に入力します。

「ハワイ」
「オーケストレーション」

すると、ハワイで参考になったオーケストレーション写真がすべて出てきます。(下写真)

「カラーが絞り込まれた店の写真を見せたい」

と思ったら

「ハワイ」
「カラーライゼーション」

と入力すると下のように写真が出てきます。

これを

「アパレルに絞ろうかな」

と思ったら

「ハワイ」
「カラーライゼーション」
「アパレル」

と入力し検索します。
すると下のようになります。

ここから「いいな」と思った写真を抜き取れば作業終了。
簡単です。

いかがですか。
スマホやデジカメの写真を面倒くさがらずにちゃんと整理していれば、あとあとタイパになるんです。

昨今ほとんどのセミナー講師が、セミナー前日に半日かけて写真を探しているのではないでしょうか。
私だったら1分で済みますよ。(^^)

4.ポイントはVMD用語とフレームワーク用語

写真のキャプションは長くなっても大丈夫。
思いつくまま、どんどん単語を入れましょう。
このやり方は、データにタグを付けるのと同じなんです。

売場塾生は特に、タグとして「フレームワーク用語」を入れるといいです。
フレームワーク用語はいわゆるVMDの型を表す単語です。
55あり、
・ディスプレイテーマ設定
・スペーシング
・フロアレイアウト
など多岐の用語に分かれています。

売場塾のテキスト巻頭にはフレームワーク用語の表があり、どのページでどの用語を解説しているか明記しています。
キャプションに「スペーシング」と書き込むと、スペーシングに長けた売場写真を見つけることができ、それを見ながらテキストの該当ページを紐解くと、効果的な復習になります。

フレームワークにつきましては、売場塾のメソッドになっているので、下記を参考にしてください。
●フレームワーキング(R)

売場塾受講していない人は、単純に VP PP IP とか 三角構成 リピテーションなどを検索語とすればいいんですが、用語の引き出しが少ないと効率は下がります。

例えば、「オーケストレーション」という用語を知らなければ、「壁面のきれいなディスプレイ」または「PPとIPが一緒になっている壁のディスプレイ」などと検索することになります。

これでは写真すぐに出てこないですよね。
専門用語をたくさん知ってボキャブラリーを増やす努力をしてください。

5.写真でショップスタッフを理解させる

キャプションによる写真整理の利点はまだあります。
本部のVMDインストラクターがお店のスタッフに売場づくりを教えるのに一役買います。

本部のインストラクターの方は、店から写真を送ってもらって売場やディスプレイをチェックしています。
その時、下記のようにテキストで、報告シートまたはメールに書き込んでいると思います。

A「壁面カセットのMDテーマが2テーマになっているので1テーマにして下さい」
B「オーケストレーションのキャッピングをシンメトリーにして下さい」

※キャッピングとは

その時に、参考写真を添付してあげると、現場スタッフは理解しやすくなります。
Aの場合ですと、1カセット1テーマの写真と1カセット2テーマの写真を添付するといいです。
Bの場合ですと、キャッピングがシンメトリーになっている写真を添付するとよいです。

Aの場合ですと、検索窓に「カセット」を入力するだけ、
Bの場合ですと、検索窓に「キャッピング」を入力するだけで写真が出てきます。

私の場合はさすがに22年VMDの会社やっているので、写真は1万枚以上保存しています。
キーワード検索すれば、すぐに該当写真は出てきます。

コンサル契約したクライアントにアドバイスするとき、よく参考写真を送っています。
国内よりも海外で撮影した写真が多く、惜しみなく送っています。
分かりやすいと好評です。

6.キャプション整理テクは趣味にもツカえる

実は、こうしたキャプション整理テクニックは、日常のプライベートにも活用できます。

私は、お菓子や飲み物が好きなので、買って食べたお菓子・弁当・パン、飲んだワイン・ビール・コーヒー・紅茶などはすべて写真にキャプションを入れて整理しています。

このことは、下記ブログでも紹介しました。
●買うのにわかりにくい商品をどうVMDでわかりやすくするか

ワインとビールは上記ブログにある通り、ワインブックとビールブックを作って整理しています。
他の飲み物やお菓子は、VMD写真整理と同じで、キャプションを書いてフォルダーに放り込んでいます。
下記の様な感じです。

試しに「クリスマスケーキ」で検索してみましょうか。
こんな感じで、今まで買ったクリスマスケーキが出てきます。

キャプションには、下記のような感想が書かれています。

「味がはちみつやクリームなど幾層にもなっている」
「レーズンがたっぷり入っていて食べ応えあり」

これを参考にすれば、クリスマスケーキを買う時ハズレも少なくなります。

コーヒーに関しても同様です。
コーヒーは見た目よりも味と香り、産地が肝心なので、大いに買う時の参考にしています。
今はいろいな店のマンデリンを飲み比べています。

 

いかがでしょうか、写真整理テク。

面倒くさがらずに習慣化すれば、あなたの貴重な宝になりますよ。
ぜひトライしてみてください。(^^)

なお、キャプション写真を使った店舗スタッフトレーニングや教材制作などは、売場塾「VMD教育指導講座」でみっちり教えています。
興味ある方はぜひお越しください。(^^)
オンライン講座も併設しています。

●VMD教育指導講座

※今回の関連ブログリンク

●テーマハンティング型店舗視察
●日常からVMDの法則をつくる方法

(vmd-i協会事務局)

北千住駅

日常からVMDの法則をつくる方法

1.北千住の商店街のブランドサイン・POP

今日は、我が街、北千住散策です。(^^)
北千住の通りを歩きながらサインの法則を考えました。

このブログを読み終わった後は、日常生活からいかにVMDの法則を作り出すか、わかると思います。

さて最近、人気の街として注目されている北千住。
駅から降りると、魅力的な商店街が縦横無尽に広がっています。
北ロード、宿場町通り、本町商店街などと名前がついています。

商店街は洒落たお店やカフェがたくさん。
近年大学が5つでき、、若者が闊歩しているキレイな街になっています。
駅には大型商業施設も丸井やルミネが隣接、ファッションやグルメのハブになっています。

北千住はもともと江戸時代の宿場町であり、ところどころに歴史が残っていて、名所目当てに散策するのにも適しています。

この間、郵便局にオンライン売場塾の教材を届けてから、ぶらりと街を歩きました。
すると、サインの目立つ通りと目立たない通りがあることに気がつきました。

ここでクエスチョンです。下の写真を見てください。
どちらの商店街が印象に残りますか。

商店街サイン街比較1

今度はどうですか。

商店街サイン比較2

最後に3つ並べてみます。
今度は3つの商店街のフラッグに注視してください。

商店街サイン比較3

これでわかりましたね。
そう、本町商店街→宿場町通り→サンロードの順に、フラッグが景色の中に目立って見えます。
サインの印象度が違うんです。

商店街サイン比較4

そんなわけで、その日は郵便局と昼飯の買出しに行ったのに、商店街サイン比較をしながら40分商店街をぶらついているのでした。

2.サインの見やすさは視認性・誘目性・可読性で決まる

サンロードのサイン

どうしてサンロードのフラッグが見やすいのか?

それは、視認性、誘目性、可読性に優れているからです。
3つのフラッグデザインを比較してみましょう。

商店街フラッグデザイン比較

●視認性

視認性とは、風景の中でサインやPOPが目に入るか?ということです。
サンロードを見ると、黄色い旗がリピートしているのがわかります。
宿場町通りを見ると、赤い旗がリピートしているのがわかります。

一方、本町商店街はまったく旗がわかりません。
風景の中に溶け込んでいます。
なぜかというと、同じデザインがリピートしていないからです。
もうひとつは、デザインが細かいからです。

本町商店街のフラッグは黄色い矢印の先にあります。
これでも文字は読めないし、絵もわからないですよね。

千住本町商店街のフラッグ遠景

●可読性

可読性とは、文字が読みやすいということです。
本町商店街のフラッグの絵を拡大してみました。
住民参加型のこのデザイン、とても意義はあると思います。
でも実用的かというとそうではありません。
絵が細かすぎて遠目にはわからないです。

特に左の富士山の下の「千住本町商店街」近くに来ても全く読めないです。
つまり可読性が著しく低い。

一方、サンロードはフラッグの上に「サンロード」のサインが別建てで付いています。
文字も濃い緑に白抜き文字になっていてバッチリ読みやすいです。
黄色い旗で通行人の目を引き、その上の文字が目に入るようにしています。

宿場町通りのフラッグは近くで見ると読みやすいのですが、遠くから見ると漢字が読みにくいです。
これは勘亭流という太いフォントを使っている上に、白抜きの袋文字になっているからです。

●誘目性

誘目性とは文字通り目を誘う色のことで、黄色や赤がそうです。
踏切が黄色と黒だったり、信号が赤だったりするのは、通行者に注目させるためです。
サンロードのフラッグがどうして目立つかというと黄色だからです。
補足すると、黄色は有彩色の中で最も明るい色であり、暗い背景とコントラストがつきます。
写真を見ると、フラッグの背景は電柱や店のひさしが多いです。
それらはグレーや茶色のダークトーンなので、明るい黄色がより目立つということです。

一方、千住本町商店街のフラッグデザインは、いろいろな色を使っていて、遠くから見ると「濁色」になっています。
その背景も店の看板、電柱、ひさしなどがゴチャゴチャひしめいているので濁色になっています。
つまり濁色の背景に濁色のフラッグが配置されているので、ますますその存在は皆無になっています。

●同じデザインがリピートしている

実はもう一つ付け加えたいのがリピートです。
サンロードと宿場町通りのフラッグは同じデザインのリピート(繰り返し)でした。

ところが、千住本町商店街のフラッグは下写真のように、ひとつひとつ違うデザインでした。
違うデザインが等間隔に繰り返し並んでいても、デザインが違うのでリピートしているように見えないのが難点でした。

千住本町商店街のフラッグ

3.事象をどう自分の理論にするか

どうですか。
私が郵便局に行った帰りに見つけたサインの法則。
「そんなことは、看板屋さん知っているよ」とあなたは言うかもしれませんが、それは暗黙知(言語化されていない知識)として知っているということ。
コンサルタントはきちんと理論化し証明された形式知にしなければいけないのです。

私たちVMDのコンサルタントは、売場づくりの型がアタマの中に入っているので、なにげなく見た商店街の風景でも、型を使って法則を発見することができるんです。

で、VMDインストラクターのやることは、日常出くわした事象をVMD理論に昇華させるということです。

「商店街のサインの視認性、誘目性、可読性のフラッグの違いはわかった。
これは我が店舗のPOPに応用できるな」

とか

「この3つの法則は、店の看板を有効に設置するのに役立ちそうだ」

とピンとくるでしょう。

そして今度は「目立つPOPをテーマハンティングしよう」ということで、カメラ片手に次なる事例を撮ってみるんです。

北千住マルイの告知POP

「丸井のレジ、赤い誘目性あるPOPは目立つなあ」とか

イオンマリンピアPOP

「マリンピアのクリスマス告知POPは左は目立たないけど、右は目立つ」とか

グランドオープンの誘目性ないデザイン

「グランドオープンの告知POP、まったく目立たない。視認性、誘目性、可読性がないからだ」

などと眺めて写真を撮ってケーススタディを積み上げていきます。

そうしてケーススタディで蓄積した写真を眺めて、POPの法則に進化させるんです。
例えば下記です。

●セールやキャンペーンの告知POPは以下を守ると通行人によく目立つ。

POPの配置は、

  1. 同じデザイン
  2. 同じサイズ
  3. 同じ高さ
  4. 同じ間隔

で最低3回はリピート配置し、

POPの制作は

  1. 視認性
  2. 可読性
  3. 誘目性

を意識してデザインすればよい。


という理論をつくってみます。


一旦つくった理論は、あなたの店で試すとよいです。
セールやキャンペーンの時に、上記理論を守ってPOPを制作してみるんです。

すると、今までサイズの違う告知POPをレジ下や壁の空いているところに貼るなどしていた欠点が払しょくされ、「あれ、なんだかセール告知がわかりやすくなった」と実感するでしょう。

そして、自社チェーン店を臨店指導したときなどは、上記の理論をスタッフに言って聞かせ、やって見せるんです。
その結果、店舗スタッフに法則の効果を実感させることができます。

4.セレンディピティを発見しよう

フレームワーキングとは、VMDの型をつくって型を使うことを言います。
それは当社VMDコンサルのメソッドにもなっています。

●フレームワーキング(R)

当社が普段クライアントや売場塾受講生に教えているVMDの型の原点は、こんな風景から出来上がってくることが多いです。
それは、何気ない風景をひとつの事象と捉えるセレンディピティに他なりません。

セレンディピティとは「偶然の発見」という意味で、外国の寓話に出てくる言葉です。
ある国の王子が道の片側の草だけ減っていることに気がつきます。
そして「先を歩いているロバは片目である」と結論付けました。
実際に片目しか見えないロバは、見える方の目で草をはんで歩いていたのでした。

あなたの売場を見てください。
何か発見するものがあるはず。

他のお店も見てください。
何かピンとくるものがあるはず。

それはお店でなくてもよいです。
デート中の遊園地、動物園。
週末の映画館や美術館。
朝読む新聞の中、好きなマンガの中。
どんなところにもセレンディピティは潜んでいます。

そしていつでもセレンディピティは発見することができます。
あなたが感覚を研ぎ澄ませば、です。

VMDインストラクターの方は、ぜひ日常から売場づくりの法則を発掘してほしいです。
売場塾の法則は55ですが、それが70にも100にもなりますよ。(^^)
ぜひあなたのお店の役に立つ法則を構築してください。
期待しております!!


なお、関連記事はこちらをお読みください。

●VMD理論のつくり方と活用の仕方

●店舗視察の仕方

●アバレルVMDはセレンディピティ

(vmd-i協会事務局)

VMDインストラクターの書いた本

VMDインストラクターの書いた本

VMDインストラクターを輩出している売場塾では今まで1000名以上の卒業生がいます。
卒業生の書いた本を紹介します。
すべて読んでみました。いずれも肩ひじ張らずに読める本です。

最近出版したばかりの本「通行客を来店客に変える「店頭集客」」をまずは紹介し、以下今まで読んだ本の内容をお知らせします。

●通行客を来店客に変える「店頭集客」
著者/ 村越和子 出版社/ 同文館出版
ここまで書くか~というほど、入店にトコトンこだわった逸作。
VMDとは売場づくりの技術とはいえ、お客様が店に入らなければ話にならない。
ショッピングモールのテナントや路面店を営む小売店の方、ショップインショップをフロア内で展開しているメーカーの方にグサリと刺さる。
写真がとても多く、Before Afterで事例を解説しているところが親切でわかりやすい。

●売場づくりの法則
著者/ 佐藤玲子 出版社/ 同文館出版
名古屋で活躍中の佐藤さんの本。
自分でリバイスしたさまざまな売場のケーススタディが掲載されている。
その経験と実績をもとにVMDの法則をまとめている。

●いる接客、いらない接客
著者/ 齋藤孝太 出版社/クロスメディア・パブリッシング
接客のポイントは共感・共振・共有という独自の考え方で、わかりやすくまとめた接客指南書。
CRMの参考にもなる本で、自分のクライアント業務の実例も豊富に語っている。
他3冊読みましたが、これが一番わかりやすい。

●頑張らなくても1日3200万売れました
著者/ 坂本玖美子 出版社/ 秀和システム
シングルマザーでいながら接客未経験で大塚家具に入社し、トップセールスになった坂本さんの実話をもとにしている。
「こころの営業」でいかに顧客の心をつかみ、売上を上げていけばいいのかが楽しくわかる指南書。

●買わせる極意
著者/ 吉田美紀 出版社/ 講談社
「真夏にカシミヤコートを売る!」スゴ腕販売員の実戦術!!というタイトルがついている本。
もとスーツのAOKIで販売4冠王に輝く、敏腕セールスレディ。
いままでの接客本と違った、鋭い切り口でノウハウを教えている。

●お客様が本当に喜ぶ 「客単価アップ」販売のススメ
著者/ 久保田正恵 出版社/同文館出版
「目の前のお客様をただ大切にすること」で客単価がアップし、お客様の満足度が高まる方法。「おすすめトーク」「セット販売・コーディネート販売」の極意を解説!
コスギのGolden Bearの店長で担当VMDの経験が生きている。

●リサーチ&リニューアルの策定と実践
著者/ 長谷川 安希子  出版社/ かんき出版
リサーチ&リニューアル(R&R)が集客施設の経営を変える。集客施設のマーケティングの考え方、リニューアルのための各種リサーチ手法、リニューアルの戦略策定の方法と手順などで構成。
商業施設の集客のための調査の基本を知ることができる本。

●集客・販促術大全
著者/ 豊増さくら 出版社/ 明日香出版
小売店だけでなく、VMDで起業している方・副業している方にもためになる本。
集客とリテンション(顧客保持)のテクニックが55+5入っている。
もちろんVMDテクもバッチリ入っている。

これは私が知って読んだ本なので、まだまだ出版している人はいると思います。
卒業生の方は、こんなふうにして自分独自の理論を展開してしています。
接客本が多いのも特徴で、普段から現場スタッフとして活躍していた経験と実践をまとめています。売場塾生の本を読んで知性を高めましょう~。(^^)

もちろん新刊もありますが、中には絶版も。
ただし、中古本市場で販売していますので、アマゾンなどで検索してください。

最後ですがオーバルリンクの本もお忘れなく!!

●オーバルリンクの本

あと、これ売場塾卒業生から出版ご報告いただいた本なので、他にも出版されている方、大勢いると思います。
本を出している売場塾卒業生はぜひお知らせください。(^^)

(vmd-i協会事務局)

ワインのエンド売場

買うのにわかりにくい商品をどうVMDでわかりやすくするか

1.ワインやコーヒーの自分の「定番」を探してみた

ワインにしてもコーヒーにしても専門店にはズラリ商品が並んでいます。
10どころではなく、20も30も同じように見える商品が並んだ中から、いつも選んで買っていると思います。
売場を目の前にして何を買おうかとまどっている人は多いと思います。

ただ、こんなことはありませんか。

  • とりあえず、お店のおススメというPOPのついた商品を買う。
  • 店員さんがススメる商品を買う。
  • 「特売」の商品を買う。
  • エンドやテーブルに同フェイスがたくさん並んでいるものを買う。

通でもない限り、じっくり探すというよりも目についたものを選ぶ感じで買っていると思います。
特に上の写真のようなエンドや特売売場で買う人が多いですよね。

そんな買い方をしていた私はある日、買い方を工夫してみよう!と思い立ちました。
毎回、意思なくワインを買うのに疑問を感じたからです。

ワインやコーヒー、クラフトビールといった、ひとつひとつ選ぶのに難しい商品を、買いながら記録をとることによって、どの商品を買えば自分にとってよいのか、研究してみました。
そして数年間、記録を取り今も続けています。

20も30もあるような種類のワイン、クラフトビール、コーヒーを違う商品を買いながら、ひとつひとつ写真に撮り、下記の項目を記録しています。

ワインブック
  • 産地または国
  • 商品名
  • 店名
  • 購入日
  • 価格
  • 数量(グラムやリットルなど)
  • 味や香りの感想

ワインは下記が加わります。

  • 国名
  • 地域名
  • メーカー名
  • 卸会社名

ワインとクラフトビールはアルバムを作り、五つ星~一つ星にページを分類しました。

記録していたら、ワインは424本、クラフトビールは272本になりました。我ながらよく飲みました。(笑)
コーヒーはいろいろなメーカーや産地、販売店のコーヒー95種類に。

すると分かったことは、下記でした。

●おいしいと思った商品は必ずしも、店舗のおススメやエンドの大量陳列と一致するとは限らない。
●おいしいと思った品種や銘柄はほぼ3か月に一度は繰り返し買うようになる。
その数は、コーヒーで10銘柄、ワインで50銘柄、クラフトビールで30銘柄。
それが自分にとっての定番である。
その中でさらにハズせない銘柄を数種類に絞り込むことができる。
●おいしいと思った商品はいつも買えるとは限らない。


品切れまたは販売中止になっていることも多い。ワインに関しては1000円台~3000円くらいのまでのワインで、ほぼ3つの店で買っています。ワインとクラフトビールはアルバムを作り、五つ星~一つ星にページを分類しました。
それは柳屋、成城石井、ヴィノス山崎、信濃屋です。
下記で店舗を紹介しているのでご覧ください。

●顧客戦略「インテリジェント・コンシューマー」

各銘柄の記録は、ワインを例にすると次のような感じ。

  • NINE STONES シャルドネ オーストラリア アデレードヒルズ 成城石井 2500円 13.5%
  • Three Thieves ピノグリ 米国 カリフォルニア 柳屋 2500円 13.5%
  • アッサンブラージュ フランス コート・ドガスコーニュ 成城石井 2000円 12%
  • ストーンヘッジ ゲベルツトラミネール 米国 カリフォルニア ヴィノス山崎 3000円 14%
  • キューン フランス アルザス ピノグリ 信濃屋 13.5%
  • KONO ソーヴィニオンブラン ニュージーランド マルボロ トフ 成城石井 2000円 12%

という感じで5つ星で50くらい銘柄はあるんですが、だいたいよく買うのはさらに半分に絞られます。
ワインについての定番は、ざっくり書くと、下記になります。

  • 国はフランス イタリア ニュージーランド 米国 日本がメイン
  • 地区はフランスはラングドッグ、イタリアはソアーベ、ニュージーランドはマルボロ、米国はナパ、日本は甲州
  • 品種はシャルドネ ピノグリ ゲベルツトラミエール ソーピニオンブラン リースニング
  • 度数は10%~14%
  • 価格は2000円台

こんな感じで、買ったワインはほぼすべて記録しているので、我が家の定番、私の定番というのができてきました。
ある理由で買うワインは白に偏っていますが。(笑)

そもそも「何が自分の定番か」が、購買者にとってはぼんやりしていると思います
一般客は、いちいち買ったワインを記録していないので、買ったワインの情報はすぐに忘れてしまうかもしれません。
しかも、よほどのことがない限り、商品名をすらすら言える方は少ないでしょう。
なので、先ほど言ったように

  • とりあえず、「お店のおススメ」「特売」というPOPのついた商品を買う。
  • 店員さんがススメる商品を買う。
  • エンドやテーブルに同フェイスがたくさん並んでいるものを買う。

という循環に陥ってしまい、永遠に私や我が家の定番のワインとはどのようなものかわからないままになってしまいます。
「たかがワインだから、安くてうまければいい」という向きもありますが、せっかく専門店・専門売場で購入しているので、それではもったいないと思います。
店側にしても、顧客をナーチャリングして、自分にとっての定番を毎回買ってくれるロイヤリティ高い客にしたいはずです。
ナーチャリングとは、ワインの買い方や飲み方を教えるという意味です。

そこで、個人的な趣味も兼ねて、顧客がワインやコーヒー売場に通い、自分の好きな商品に出会え、自分の定番をつくることができないか、VMDの観点から考えてみました。

2.お客様の「定番」をつくる仕掛けとは

ワイン売場

まずは顧客の行動をおさらいしてみましょう。
上の写真を見てください。
ワインがズラーり、並んでいますね。
「たまにはワインを飲んでみようかな」と思ったあなたはワインを1本買うとします。

すると、VMD分類サインは下記のようになっていました。
下記はよくある売場分類パターンです。

・大分類/ 国別
・中分類/ 赤・白・ロゼ別
・小分類/ 価格別

ただ、店の入り口には「おススメワイン」売場があります。
時間がもったいないあなたは、この「おススメワイン」で値ごろなワインを感覚で買い、レジに行くでしょう。
メイン売場は見向きもしませんでした。

これが通常のパターンでしょう。
それはそれでいいのですが、店側としては特売だけではなく、お客様の「定番」をつくる仕掛けをVMDでつくります。

そこで方法としては

1.来店頻度が高くなっていくにつれて客の「定番」が浮かび上がっていく工夫
2.定番がわかるにつれて店頭の特集売場からメイン売場へ客を行かせる工夫
3.メイン売場ですぐに客が自分の定番を検知できる工夫

とったVMD施策となります。

 

3.客の「定番」が浮かび上がる「おくすり手帳」方式

ヴィノス山崎

私のようにいちいち記録をつけていられない顧客は、どうやっておいしいと思ったワインを記録し、思い出すか。

そのヒントが「ヴィノス山崎」さんにありました。
ヴィノスさんのワイン売場はPOPがそのままワインカードになっていて、私が先ほど記録していたうち、下記の情報が持ち帰れます。

  • 赤・白・ロゼ
  • 産地または国
  • 商品名
  • 品種
  • 味や香りの店の感想
ヴィノス山崎のワインカード
アルバムの中のワインカード

「おいしかったなー、このワイン」。
と思ったあなたは、そのワインカードをそのままキッチンや机の引き出しに保管するだけでいいんです。
次買う時は、そのワインを買うか、それと似た味のワインを買えばいいんです。

・同じメーカー
・同じ国
・同じ品種 を買えばいい

という自分なりの工夫をするようになっていきます。
逆においしくなかったワインは、ワインカードにバッテンをして保管します。

工夫をするのも面倒な人は、とにかくいつも買ったワインのカードを机の中に入れておいて、たくさん溜っていて、バッテンのないカードのワインを買えば、失敗がなくなります。
しばらくすると、自分の「定番」を定着させることができます。

要は、調剤薬局の発行する「おくすり手帳」と同じと考えるとよいです。
「おくすり手帳」があれば、次に薬を買う時に失敗することがなくなります。

一番いいのが、調剤薬局の薬剤師のようなソムリエが売場にいてアドバイスできるのがいいのですが、スーパーのワイン売場にはそうそうソムリエはいません。
セルフ買いのワイン売場を運営しているスーパーや専門店は、簡単に記録できる方法を、ヴィノス山崎さんみたいに売場に設ければいいんです。

「プライスカードにQRコードを付けて、それをスマホで撮ってもらうといいよね」
とあなたは思うかもしれませんが、意外とそれ面倒なんです。
スマホで撮るのも面倒だし、あとから画像を探すのも面倒なんです。

下の写真を見てください。
私がよく買うコーヒー店のQRコードですが、これ一度も写真を撮ったことないんです。
意外とスマホを向けて写真を撮り、後でネットで見てみる人は少ないのではないかと思います。

ヤナカ珈琲のPOP


以前、取材した売場塾卒業生の運営するワイン売場では、ヴィノス山崎さんのような感じでワインカードを配布していました。
下記を見てください。キレイなカードですね。
思わず持ち帰ってしまいます。
店舗スタッフは、顧客が買ったワインカードにそっとこのようなカードを忍ばせればいいんです。

ワインカード

このお店、wine@EBISUというんです。
詳しくはこちらをお読みください。
ワイン売場づくりの今がわかります。

●wine@EBISUのバーチャル・マーチャンダイジング

4.来店客はPOPを読むのか

ワイン売場のIPは

・大分類/ 国別
・中分類/ 赤・白・ロゼ
・小分類/ 価格

または

・大分類/ 赤・白・ロゼ
・中分類/ 国別
・小分類/ 価格

になっているのがよくあるパターンです。
ですが、自分にとっての定番とは、国や地域よりもやはり味が優先なのではないでしょうか。
国や商品ブランドがいくらよくても味が自分に合わないと話になりません。
ワインやコーヒー、クラフトビールは、香りもあります。

味や香りの情報をPOPに書いてある店はPOPを読めば、商品のだいたいの感じは掴めます。
しかし商品名と国や品種だけで、味と香りが書いていない店もあります。

根本的に、いちいちPOPの文言を読むのは面倒でしょう。
この売場のPOPを全部読む人は少ないです。
マトゥアというワインはよく買うんですが、最初から一度もPOPを読んだことがありません。
マルボロが好きでボトルのデザインと価格で買った商品だからです。
POPの本文が小さいし、読む気にならないというのが本音です。

とすると、メイン売場に来てPOPを読まない客はもう「セレンディピティ」に身を任せてワインを探すしかありません。
セレンディピティとは、「偶然の出会い」という意味です。

●VMDとセレンディピティ

しかし、なんとかPOPを読ませる工夫はできると思います。
一番いいのが、読ませるのではなくパッと見て視覚的にわかることです。

文字よりもレーダーチャート
渋味・酸味・果実味・辛口・甘味などをレーダーチャートか横棒グラフにする。
文字よりもアイコン
イチゴ・カシス・マンゴー・オレンジなどと香りや味を表すアイコンを表記する。
●文字よりも色
ライトからフルボディに至るまで、POP自体の色の濃度を変えていく。

この上で、パンチのあるキャッチコピーをPOPに添えれば、ある程度はイメージは付くと思います。
例えば、私がワインカードに書いているフレーズはこんな感じ。

  • 洋ナシ・パインが甘く香る辛口ワイン
  • パイナップルの味がバツグン、中庸な味
  • リンゴ、ライムのまろやかな辛口ワイン
  • ミネラル感豊富で塩っぽいウイスキー味のワイン
  • パインとはちみつのフルボディワイン

と、だいたいフルーツの味をキャッチにもっていっています。
これと似た感覚でPOPをつくっているのが、カルディ。
短いキャッチコピーとイメージ写真、そしてカラフルな色づかいのデザインが印象的です。

カルディのワインPOP1
カルディのワインPOP

エノテカのような高級ワインを扱う専門店は、このような派手な書き方は、特売売場かエンドおススメ商品のPOPに施しているくらいでしょう。
メイン売場のPOPはエンドと違う落ち着いたデザインになっていて、3行×13文字の商品案内を客にじっくりゆっくり選んでもらうようになっていると思います。

エノテカと対照的に、カルディのワイン売場はエンドやメイン売場という区別がしにくく、ワイン棚が入り組んでいて、一様に探すことができない宝探し店舗になっています。
ただし、赤・白・ロゼ・発砲に加え、国別価格別にグルーピングはアメーバだけれどある程度くくりはできています。
この店はセレンディピティに期待して探す店であり、1000円台の価格帯メインで安くておいしいものが多いので、失敗しても損は少ないのがいいところ。

カルディのように、大衆向き店舗として店全体が特売しているところは、客がセルフでセレンディピティ的に買う店、と割り切った方がいいかもしれません。

5.「エンド」ユーザーに標準を合わせるのも手

と、ここまでいかに店内にお客様を誘導して、自分の定番を見つけさせるかについて述べてきました。

ただ、メイン売場に行ってワインを買い、その経験値を蓄積し、その中から定番を見つけ出す、というお客様は少ないかもしれません。
「定番はエンドの商品だ」という方が多いと思います。
メイン売場で探すよりも、エンドやテーブルに置いている「お得商品」「おススメ商品」をいつも買う方が楽でしょう。

モノがありあまり多品種が同時に展開している売場は、化粧品にしてもワインにしても買い物が面倒くさい一因になっています。
現に、先週の番組「ニュースキャスター」では、「商品が探しやすいのは6種類まで。それ以上だと何を買っていいのか迷う」という買い物の定説を紹介していました。
毎日着る服をコーディネートごと貸し出したり、はては日曜日の過ごし方まで指南するアプリも登場しているとか。
それだけ、買い物や日曜の過ごし方まで考えるのが面倒になっている人が多いのが事実みたいです。

以前、ワインソムリエの方が言った言葉で印象深いものがありました。

「ワインショップはライトユーザーからヘビーユーザーに顧客を育成して客単価を上げていく、という戦略は必ずしも有効ではない。
むしろ、ライトユーザーはずっとライトユーザーでいてもよい」

これは一理ありました。
「定番はエンドの商品だ」というお客様がいても悪くはないと思いました。

これは先ほどの「インテリジェントコンシューマー」理論と違う考え方です。

●「インテリジェントコンシューマー」理論

ライトユーザーをヘビーユーザーに無理に育成するよりも、不特定多数のライトユーザーのままをキープするという考えもおもしろい。
このようなお客様は永遠に店の奥に行ってワインを選ぶ行為はしないでしょう。
いつもエンドの特売やオススメを買う「エンドユーザー」でい続けます。

顧客にはいろいろなクラスターがあって、無理にアップユーザーに引き上げない「エンドユーザー戦略」も有効。
この考え方は、あらゆる嗜好品にあてはまるのではないでしょうか。

・釣り
・楽器
・CD
・ゲーム
・映画
・スポーツ
・旅行

などなど。

よく思えば、私もJAZZは聴くけど、いちいちうんちくなどかまってられない。
ミュージシャンがどうとか、歴史はどうとうかはいいんです。
ただ音楽がおもしろければ。

こういう人でもレコード1000枚、コンサート100回は行く人もいるでしょう。
ライトユーザーだからと言って、お金を出さないということではないんです。
むしろライトユーザーの比率を大きくして、お店のロイヤリティを高くし他店へ行くのを阻止する戦略にするとよいでしょう。

エンドの商品をライトユーザーにいつも買っていただく、「エンドユーザー戦略」、ぜひ考えてみましょう~。

(vmd-i協会事務局)