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表紙 マネキン・イルミネーション

ディスプレイの創造性とは異端と最先端から成り立つ

個性的なディスプレイ制作3つの法則は、下記でした。

  1. 審美性
  2. 演出性
  3. 創造性

一言でいうと下記になります。

  1. 審美性 = 美しさ
  2. 演出性 = 物語り
  3. 創造性 = 異最先端

1と2についてはすでに詳細を解説してますのでも下記をクリックしてください。
1.審美性
2.演出性

今回は、3.創造性について語ります。
また例のごとく、カフェテーブルと街のディスプレイを題材に語ります。

1.創造的性あるディスプレイは異端

上記3にある通り、創造性とは「異最先端」であるということ。
私がつくった、異端と最先端の造語です。

異端とは、ディスプレイの常識から離れるということです。
つまり、普通と違うということです。
私たちが思っている概念を外したディスプレイのことです。

サンプルとして、異端なテーブルディスプレイをいくつか作ってみました。
まずは普通のディスプレイ。

普通のカフェテーブルディスプレイ

上写真はフツーにリビングでお茶を飲んでいるディスプレイ。
まあ、プレーンで平凡ですね。
普通のランチョンマット、カップの使い方です。

これを異端にしてみます。

●異端その1
テーマは「白波のうねり」。
ランチョンマットを普通と違い、波立たせてみました。

波立つディスプレイ

海の上でお茶しているみたいでいいですね。(^^)


●異端その2
テーマは「おこりんぼ」。
ランチョンマットやカップアンドソーサーを怒った人の顔にしました。

怒っている人の顔のディスプレイ1
怒っている人の顔のディスプレイ2

公園でデートしていて中たがいしている人の顔のようです。
おもしろくコーヒーを楽しめると思います。

●異端その3
テーマは「筋斗雲」。
ランチョンマットは普通布ですが、紙テープにしてみました。
紙テープで筋斗雲をつくったのち、その上にコーヒーカップを載せました。
く根の上に乗ったように、ふわふわしていいですね。

筋斗雲のようなテーブルディスプレイ

●異端その4
テーマは「コルク遊泳」。
コルクマットが浮かんでいるディスプレイ。
異端その3より安定しています。

コルクマットが浮かんでいるディスプレイ

いかがですか。
カフェテーブルのディスプレイ、普通はこんなことしないですよね。
パラダイムシフトといって、テーブルディスプレイの見方を変えたり、ディスプレイ用品に新しい意味を与えるとこんな感じになります。

パラダイムシフトについては、くわしくは下記をご覧ください。
○顧客目線にパラダイムシフトしよう

2.創造性あるディスプレイは最先端

次に、最先端のディスプレイについて解説します。
最先端とは、常識の先を行くということです。
だれもがやったことのない新しいことをディスプレイに加えるということです。

ではどんなディスプレイが最先端なのか?
またテーブルディスプレイでサンプル作ってみました。

●最先端その1
テーマは「カフェ・デスクトップ」
生活のゴミをプロップスとしてディスプレイに生かしました。
捨てる予定のパソコンのコードをガーランドとして使いました。
そわそわしたカフェタイムになりそうですね。

パソコンコードを使用したテーブルディスプレイ

ゴミを使ったディスプレイはいろいろ作れます。
下記のディスプレイテーマは「台風シーズン」。

カフェテーブルディスプレイ「台風」

ただ、「ゴミを使ったディスプレイ」がフツーになると、もう最先端ではなくなるので注意してください。
SGGsがトレンドになってから、ゴミを使ってディスプレイする人多くなりました。
最先端は常に先を走ったディスプレイでないといけないのです。


●最先端その2
テーマは「筋トレ後のコーヒー」。
生活の一部を使用したディスプレイです。
私の普段使用している鉄アレイを置いてみました。
借景も使っています。

ダンベルを使用したディスプレイ

●最先端その3
テーマは「マンハッタン」。
生活の一部、またはゴミを使った造形物をテーブルに作ってみました。
ネスプレッソの箱やカプセルを、ゴミになる前にディスプレイ用品にしました。

カフェテーブルのディスプレイ「マンハッタン」

●最先端その4
テーマは「金魚祭り」。
竹筒ようかんを涼しい気分で食べたいと思い、iPadやiPhoneを使用してすみだ水族館で撮ってきた金魚水槽の動画を流してみました。
「キンチョーの夏、日本の夏」って感じでよかったです。

金魚をモチーフとしたカフェテーブルディスプレイ

上記の最先端はすべて異端でもあります。
異端な上にさらに新しさを加えているからです。
だれも人がやりそうもない試みをカフェテーブルに加えました。

最先端4は、実はプロジェクションマッピングを使ったテーブルが大阪万博で披露されていました。
こんな感じ。

プロジェクションマッピング

やられた~と思いました。
こちらの方が最先端行っていますね。

このように、みんながやりだすと、もうそのディスプレイは普通になってしまいます。
私たちは常に先に行かないといけないのです。

2.異最先端の条件

異端で最先端のディスプレイには条件があります。
それは下記です。

●文脈の延長戦で考える
●人が見てわかるものでなければいけない
●ディスプレイそのものに価値がある

順を追って話します。

●文脈の延長戦で考える

誰も考えない新しいことであればいい、ただそれだけではダメです。
SNSがその悪い例です。

  • 札束を燃やす
  • おいしそうな料理を頭から浴びる
  • 動物園のサルの山に侵入する

「いいね」をたくさん獲得したい彼らには文脈というものがありません。
やみくもに、とんちんかんなことをやっているだけです。

文脈はコンテキストといい、広告でも重要な要素です。
昔のユニクロは店内でオバさんがいきなり服を抜いて裸になる、というCMを放映して話題になりました。
・昔のユニクロのCM

これは「一度買ったものでも理由を問わず返還OK」をいうサービスを謳ったもので、確かに注目を浴びました。
ユニクロはこのころはいけいけどんどんの時代で、今ほどブランドコンセプトを確立しておらず、文脈を意識せずに広告を作っていたのです。

実はあのアップルでさえも、昭和時代は恐ろしいCMを放映していました。
背広を着た人が崖から海へどんどん飛び込んでいくシュールなCMです。
○昔のAppleのCM

見た目のインパクトだけを追う斬新さだけではもう、異最先端の部類には入らないのです。
文脈とは「流れ」の先にあるものであり、こういう企業だからこういう物事を考える、こういう商品だからこういう発想になる、というものです。
いわゆる「あの人らしい」ということです。

そこから逸脱した広告表現、ディスプレイ表現は「あの人らしくない」になってしまいます。
これはブランドアイデンティティの欠如になります。

だから、先ほどのテーブルカフェも私らしい文脈でつくったつもりです。

  • 見ていて気持ち悪い
  • コーヒーがまずく見える
  • 落ち着いてコーヒーが飲めない

のでしたら、私の文脈から外れることになります。
私らしくないからです。

そういう意味だと、異端その3はコーヒーを置いたらひっくり返りそうなので、私的にやばいです。(笑)
異端その4だけにすれはよかったです。
(実はあえて出したんです)

●人が見てわかるものでなければいけない

VMDのディスプレイは、「(商品)を宣伝するもの」です。
(カッコ)の中にはいろいろなものが入ります。

  • サービス
  • ブランド
  • 企業・団体
  • アドボカシー(公的な訴え)

従いまして、ディスプレイを見て「なんの広告か」わからなければ意味がありません。

美術館に行くと、前衛的なインスタレーションがずらりと並んでいます。
この間もYBA&BEYONDというイギリスの新進気鋭の美術作品を見に行きましたが、難解な作品がたくさんありました。
シガレットが置かれている事務机、生殖器をモチーフにした絵画などがそうです。

YBA&BEYOND 机とシガレット

作品のキャプションを読めばわかった気になるかもしれないのですが、万人受けではないでしょう。
VMDは広告と同じですので、前衛芸術と違い、万人が理解しやすいものにしなければいけません。

わかりやすい表現とはなんなのか、下記ブログも参考になります。
○大阪万博で見る、わかりやすい表現とは

●ディスプレイそのものに価値がある

これは、「SNSで他の人に伝えたくなるくらい、おもしろいディスプレイか?」ということです。
これはディスプレイに使用されている商品ではなくて、ディスプレイそのものを指します。

私のフォローしているSNSには街のディスプレイがたくさん出てきます。
ウインドウだけでなく、家電店やドラッグストアのちょっとしたディスプレイも出てきます。
それらは、クスッと笑えるものもあり、「なんだこれ?」みたいなものもあります。
街中には実におもしろいディスプレイが潜んでいます。
これぞ、クリエイティブな作品と言えるのではないでしょうか。

ヨドバシカメラ シュレッダー売場

例えば、これ。
ヨドバシカメラのシュレッダー売場。
空中に浮かんでいるゴミは、書類の切れ方を展示しています。
家電店はこういう実用的にわかりやすいディスプレイが得意です。

ユニクロ池袋のウインドウディスプレイ1
ユニクロ池袋のウインドウディスプレイ

池袋ユニクロのウインドウ。
空中をマネキンが飛んでいます。
フリースの垂直バナーをブチ破っている、アクションディスプレイ。
スーパーマンみたいでいいですね。楽しいです。


こんな感じで、私たちが思わず写真に撮りたくなるディスプレイというのも異最先端の最低条件です。

3.街中の創造性あるディスプレイ

それでは、最後に街中の創造的なディスプレイを見ていきましょう。
いままでワイキキと銀座で撮り溜めた写真をメインに抜粋します。
どれも、当時は異端で最先端ではないでしょうか。
海外ブランド旗艦店はどれも、ウインドウにクリエイティブな作品が並んでいます。

ルイ・ヴィトン サーカスをモチーフにしたディスプレイ

これはサーカスをモチーフとしたルイ・ヴィトンのウインドウ。
ルイ・ヴィトンはいつも芸術作品のようにインスタレーションしてくれます。

ケイトスペード 時計モチーフディスプレイ

ケイトスペードの時計風展示。
これ、ポシェット部分が時計回りに回っているんです。
クラッチとポシェットをTPOに合わせて自分流にコーデして、とディスプレイが言っています。

モンブラン銀座本店のディスプレイ

モンブラン銀座本店における「ハッピーホリデーウインドウ」の華麗な演出。
クリエイティブなところはペーパーワーク。
動物の毛並みのひとつひとつが細かく作られていて、すぐにでも動きだしそう。

ルイヴィトンディスプレイ トイ

これは最近撮ったルイ・ヴィトン松屋銀座店のウインドウ。
昔の玩具が好きな私にとって、今年の夏のテーマ「Travel Toys”(トラベル・トイズ)」はいいです。
1935年にガストン・ルイ・ヴィトンが開設した玩具専門売場(Toy Department)のアーカイブに着想を得たコレクションということです。
ルイ・ヴィトン、創業当時は玩具もつくってたんですね。
このディスプレイにはそんな文脈がありました。

エルメス ハワイ店ディスプレイ

これはエルメスのディスプレイ。
わっかをハンガーにしてスカーフを展示。
わっかだけで、こんな表情ができるとは。
スカーフ以外にも使えそうですね。

5.まとめ

いかがでしたか?
最後はウインドウ中心にまとめましたが、創造性は何もウインドウでなくてもいいんです。
いつものディスプレイから少し工夫して新しいものを取り入れる・・・
それだけでおもしろくて楽しいディスプレイができるんです。
ディスプレイってやっぱりクリエイティブがものをいいますね。

ということで、3回連続で「個性的なディスプレイ3つの法則」を語ってきました。
あなたのつくるディスプレイは個性的ですか?
いつもクリエイティブな自分でいる方は、3つの法則は特に意識する必要はありません。
それでない方は、ぜひこの法則を参考にしてくださいね。

売場塾生やオーバルリンクのつくるディスプレイは、いつも個性的ですよ~。
事例を見たい方は、ぜひ銀座セミナーに足を運んでください。
セミナーが終わったら、銀座のディスプレイ見学に繰り出しましょう~。
みなさんのお越しをお待ちしております。(^^)

●売場づくりの基礎セミナー
●銀座VMDフィールドワーク

(VMDインストラクター協会事務局)

美的センスを取り入れよう

美意識を鍛えよう、という動きがビジネス界で唱えられています。
元来、ビジネスとアートは交わることがありませんでしたが、それを取り入れるようとしている会社が多くなっています。
代表的なのがアップル社でしょう。
言うまでもなく創業者のスティーブジョブスは究極なまでにアートを追求し、製品や広告、店舗だけでなく、建物や社風にもそれを表現しました。

片やウインドウズはどうでしょうか。
青い透明なiMacが話題になった時、同社は青く塗った自社製品でそれを揶揄しました。
「パソコンを青くしただけ」という評価でした。
その後アップルは時価総額でウインドウズを追い越しました。
今になっては、ウインドウズはアップルストアに似たデザインの店舗を展開しています。

現在、世界の優秀な企業の経営陣は美的センスを社内に取り入れることに余念がありません
日本で言うと、(株)良品生活がそうです。
「無印良品」を経営してる同社はアドバイザリーボードという各業界のデザイナーからなる委員会を設置し、そこから製品デザインや店舗デザインの方向性を見出し、時には軌道修正もしていきます。
(株)スープストックトーキョーはスープ店「Soup Stock Tokyo」を経営している会社ですが、会長は商社出身だがアートに造詣があることで有名です。
仮想ペルソナ「秋野つゆ」の好むお店になっているか?というユニークなデザインルールが商品にも店舗デザインも敷かれ、スタッフの共通言語にもなっています。

VMDインストラクターは、チェーン店舗のブランディングや店舗スタッフの教育をしています。
VMDと言う言葉は直訳すると、売場における総合的視覚演出体系です。
たくさんの商品を販売している店舗に美的センスを与えるのがVMDインストラクターの使命だと言えます
なんだか、カッコいいですね。
今回は、一般の人がVMDインストラクターのように、いかにして自分や自分の会社に美的センスを取り入れるかについて教授します。

センスのあるなしは「基準」で決まる

●センスのありなし

センスがない、センスがある。

この線引きはどうやって決められるのでしょうか。
上図を見てください。
「私はセンスがない」という人は、その人の中に基準というものがないということです
基準を0ゼロと仮定すると、プラスはいい方向、マイナスは悪い方向になります。
当然、センスがあるというのはプラス、センスがないというのはマイナスです

だから歌のセンスがないというのは、歌を歌う基準に到達していません。
少なくともマイナスということになります。
料理のセンスがないというのは、料理をおいしく作る基準に達していません。
少なくともマイナスということになります。

私の仕事で言うと、「ディスプレイのセンスがない」というのは、上手なディスプレイをつくる基準に達していない。
少なくともマイナスということになります。

例えば、子供に「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」というテーマでディスプレイをつくらせたとします。
家にある雑貨で食卓につくらせてみるのです。
男の子は喜んでディスプレイをつくるでしょう。
でも出来上がったディスプレイはこんな感じになったとしたら。
うーん、センスがいいとは言えません。

●センスのない「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのいい子供なら、「できた!!」と言ってこんな感じに作るでしょう。
コーヒーカップ軍艦から、一斉砲撃している感じがとてもダイナミックです。
そう、この子供はセンスがあるんです。

●センスのある「ワナにかかったゴジラを一斉砲撃」

センスのある人は型を知っている

この、センスある「ゴジラを一斉砲撃」とセンスのない「ゴジラを一斉砲撃」の差はなんでしょうか。
それは、センスのある子供は「上手なディスプレイとは何か。その基準を知っていた」ということです。
その基準とは下記です。

●等分割のマスターパターンというディスプレイ構図を知っていた
→だから、ゴジラを中心にテーブルを3つに分けた
●放射状のリニアスキームというディスプレイ構造線を知っていた
→だから、「食器の軍艦」と「丸い砲弾」を放射状にゴジラに向けて置いた。

もうわかったと思います。
この子供は「マスターパターン」と「リニアスキーム」というディスプレイの型を知っていたのです。
型を実行すれば基準以上に到達することがわかっていたのでした。

型はいろいろな分野に存在します。
料理の型、ヨガの型、歩く型、プレゼンの型等々。
例えば「今までウォーキングしてきたけど、なんか歩き方センスないなあ」と嘆くあなたは、本を読んでもいいし、ウォーキングの先生についてもいいでしょう。
とにかく歩く型を学ぶことが先決です。

型がわかって、毎日型に沿った歩き方をまじめに重ねていくと、3か月経てば上手に歩くことができます。
そこで、他人からも「なんか最近カッコよくなったね、スタイルもよくなったよ」と言われるはず。
あなたは、歩く型を身に着けることで、歩くセンス以上のものを得たのです。

うわべだけのマネはいけない

VMDの世界でも、ビジネスの世界でも、今までは「私のようになりなさい」という指導がはびこってきました。
すし店の店主は「私の後についてこい」と言うだけで数年助手をやらせるし、あなたの上司は時あるごとに武勇伝を語って「俺のマネをしろ」と言うでしょう。

残念ながら「本質」がわからないで、ただマネをするだけでは部下はいつまで経っても上達しません。

以前「もちクリーム」という大福を販売しているチェーン店があり、三越デパ地下で毎週100万円売るほどの優良店でした。
ガラスケースに展示された色とりどりの大福はファッション感覚抜群で、フルーティな味を食べ比べられる和菓子でした。

これをマネする会社がいて、ある日私の住居近くのデパ地下に売場を設けました。
確かにもちクリームと同じような商品でしたが、売場に賑わいはなく半年で消えました。

このようにうわべだけマネするだけではビジネスはうまくいきません。
もちクリームの下記の本質はマネされていないからです。

●大福の中身は特殊なゼリーと生クリームがミックスされている。このクリームは同社の特許製法でつくられている。
●職人の手でなく工場で大量生産されており、冷凍保存でき冷凍のまま販売している。日持ちがよいため、催事でも販売可能。
●価格は1個150円で種類は24種類あり1個から選べる。バナナ・オレンジ・りんごなどの柑橘系、カフェオレ・チーズ・赤ワインなどの嗜好系に分けられ、食べ比べできるのが楽しい。

このように、内装やディスプレイをマネて、単にあんこにいちごジャムをまぜて販売しても売れないのです。
上記の本質を見抜いて取り入れないと、スタート地点にも立てません。
ただし、製法も売り方も独自のものがあるため、本質をマネしようとしてもできないのがオチでしょう。

原理原則を知って社内に広めよう

当社は売場塾というVMDの学校を開催しています。
文字通り、売場づくりの型を教えている学校です。

卒業生は900名以上(21年5月現在)ですが、日本の企業のみならず欧米の有名ブランドのVMD担当も多数受講しています。
きっちりVMDを会得しているはずなのに、どうして売場塾に来るのか?彼ら彼女たちはこう言いいます。
「本部からは、どうしてこのディスプレイになるのか、理由を教えてくれないんです」。

ディスプレイ指示書というものがあります。
欧米本部から日本のVMD担当に送られてくる売場づくりの指示書です。
商品のフェイスのつくり方や陳列の仕方が細かく書かれています。
しかし、「このようにやれ」とはあるものの、「なぜそのようにするのか」理由が書かれていないのだ。なんとなく売場をつくっているものの、腑に落ちないことが多く、売場塾に学びに来るのでした。

売場塾では、55の売場づくりの型を教えて、型の店舗スタッフへの教え方も教えています。
図6のように、売場塾卒業生はVMDインストラクターとなって、頭の中の引き出しに入っている型を引っ張り出して、明確な言語で指導するスキルが備わっています。

店舗スタッフでさえ、「この売場はなんとなくいい」「なんとなく悪い」と肌でわかっていても、どこがよくてどう悪いのか、知る術はないのでした。
55の型を知ることによって、VMDインストラクター・店員ともに売場づくりが腑に落ち、ディスプレイのセンスもよくなっていくのが売場塾なのです。

型は更新し、新しくしていく

センスは、基準や型を身に着けるだけではいけません。
センスに独創性を加える必要があります
センスのよい人は、オリジナルな型をいくつも持って、常時更新または新たにつくっています。
センスはあなたやあなたの会社オリジナルの基準になってこそ、真のブランドとなりえるからです。

「型を知る」→「型を実行する」→「型を自分らしくする」

これが大事です。
この概念は、守破離やPLAN DO SEEといっしょです。
当社で言えば、「フレームワーキング」ですね。

●フレームワーキング

型はいつでも知ることができますが、そこから「型を実行する」「型を自分らしくする」に進まないと、センスも上向かないし、自分らしくなれないのです。
例えば、ファッショナブルになりたいあなたは、今までは妻のアドバイス、ファッション本、You Tubeでなんとか型を学習してセンスをよくしてきました。
今度は、あなたオリジナルの型をつくる段階です。
それには本やYou Tubeだけでなく視野を広げるとよいです。

●百貨店に行ってみる
●話題のカフェに入ってみる
●美術館に行ってみる
●野球観戦に行ってみる
●映画を見る etc

こういう何気ないことにもアンテナを張ると、ファッションセンスを上げるヒントがピピッと来ます。
それは第六感、あるいはセレンディピティというやつです。
そんな出会いがあったらすかさず、メモをとりましょう。スマホで写真を撮りましょう。パンフレットをもらいましょう。店員さんと会話しましょう。

すると、ムクムクと自分の型が出来上がってきます。
「今度はこんなスタイルで会社に行ってみるかな」「これは冒険だけど、一度この色合いの服でプレゼンしてみるかな」
というように。
自分の型を創り出して実行してみるのです。

しばらくして、周りの人が「なんか●●さん変わったね」「格好よくなったね」と言い始めたら、しめたもの。
あなたの作った型は当たっているのです。

私は、気に入ったディスプレイをスマホやデジカメで撮影して、常時キーワードを写真のキャプションに入れて保存しています。
キーワードとは、三角構成、コントラスト配色、什器レイアウトなど、型を表す用語です。
こうしておくと、「三角構成の新しい型をつくりたい」場合は、ホルダーの検索に「三角構成」と打つと瞬時にして三角構成が素敵な写真がピックアップできます。

こんな風にして、売場塾で教える107のディスプレイの型は生まれたのです。
107の1/3以上は私の生み出したオリジナルの型です。
スマホが必需品の今日、写真を撮って型のヒントを創り出すことをお勧めします。

ゴジラディスプレイの続き

こんな記事を書いていたら、前日ゴジラディスプレイ写真を親戚の男の子に送ったことを思い出しました。
実はこのディスプレイ、なにか腑に落ちなかったのです。
テーマは「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」だったが、写真を見返してみるとセンスがないのがわかりました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」Before

ただ単にゴジラの上に毛糸を垂らしたからです。
これではゴミがゴジラの上に乗っているだけです。
ディスプレイを作り直しました。

●「モスラの吐く糸にやられたゴジラ」After

マンハッタンのビルが倒壊して、ゴジラがモスラの糸にぐるぐる巻きにしているのがわかると思います。
つまりAfterの写真は下記の型を足したのです。

●フェイシングという型を使って、ゴジラのシェイプをわかりやすくした
→ごみのような毛糸がゴジラに載っているだけなのでゴジラの輪郭がわからなかった。だから、毛糸でゴジラをぐるぐる巻きにして輪郭をはっきり出した
●リニアスキームという型を使って、クモの糸のようにした
●リニアスキームという型を使って、マンハッタンのビルを放射状に倒した

独創性はこんなところです。
●マンハッタンのビルを木の枝と見立てて、蜘蛛の巣状に毛糸を配置した
→モスラは蛾だが、クモの糸に置き換えることにより、ゴジラがいけにえにされている表現ができた。

このように、センスは日常の遊びでも鍛えることができます。
あなたのセンスがよくなることを祈っています。

型を覚えたい方、ぜひ日本橋のVMDセミナーに来てください。~
今度のセミナーはVMDの型を教えています。
●VMDセミナー

(vmd-i協会事務局)