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ホノルルクッキーカンパニーの店頭

白壁を直して来店客を増加させよう

1. オーケストレーションとは壁面の集合ディスプレイ

今回はオーケストレーションの話をしましょう。

オーケストレーションとは、壁面の集合ディスプレイのことです。
もともと「オーケストレーション」は、楽隊編成の意味です。
わがオーケストラは、どこにピアノを配置して、どこにバイオリンとクラリネットを配置するか・・・などなど楽隊の指揮者から見たポジションを決めることを言います。

同じように、店内の壁を構成する要素をどのように配置するかが、オーケストレーションという手法なんです。
オーケストレーションは、壁面の集合ディスプレイと言い換えてもけっこうです。
壁面ディスプレイの要素は下記です。

  • 壁そのもの
  • 商品陳列
  • 商品展示
  • POP
  • プロップス(装飾品のこと)

論より証拠。
オーケストレーションの実際を見てみましょう。

これはホノルルクッキーというお菓子店。
通りからお店を覗いた写真です。
店内右側の壁を見てください。
クッキーの箱がたくさん並んでいるのがわかりますよね。
詳しくはわからないけれど、なんか楽しそうなお店。
入ってみようかな~って気になりますよね。

実際に入ってみましょう。
上の写真はドアを開けたところ。
見事な壁面の集合ディスプレイが目に飛び込みます。
いろんなクッキーが壁一面にディスプレイされている~。
ウキウキしちゃう!!って感じになりますよね。

これがオーケストレーションの効果です。
壁面の集合ディスプレイって店頭を歩いている客を店内に引き込む作用があるんです。

ホノルルクッキーカンパニーはハワイのチェーン店です。
そのVMDの魅力はこちらで詳しく解説ています。
●店舗視察のコツ~お菓子店事例

2. どんな店がオーケストレーション効果があるのか?

今度はオーケストレーションが発揮されているいない店舗を見ましょう。
上の写真はセブンイレブン。
会社の帰りに撮影しました。
奥の壁が白くなっているのがわかります。

お店に近づいてみましょう。
奥の壁面に何もないのがわかりますね。
強いて言うと、POPがちょこっと貼ってあるくらい。
このお店の壁面什器は1.8mまであるけれど、そこから上は白なんです。

これはなぜでしょうか。
なぜ、先ほどクッキー店みたいに壁いっぱいにディスプレイしないのでしょうか?
それは二つの理由があるからです。

1つ目の理由として、コストがかかってしまう点です。
コンビニは、客がさっと入ってさっと出る店です。
その時生活に必要なものを売っているライフライン店舗なので、多くは目的買いです。
オーケストレーションの運用には、手間暇がかかります。
・ディスプレイをつくる時間とスキルなどの人件費
・ディスプレイ資材コストと、それを集めるコスト

これはコンビニの低コスト運営に逆行します。

ただでさえ、人がいなくて忙しいのに毎週毎週壁面ディスプレを考えたりつくっている暇はないということです。
オーケストレーションに手間暇かける位だったら、販売の自動化とかレジ周りの効率改善にコストかけたいというのがオーナーの気持ちでしょう。

2つ目の理由としては、コンビニは環境VMDとは縁がない店舗ということです。
環境VMDは別名エンバイロメンタルVMDといい、店内空間にブランドの世界観を与える手法で、菓子店や雑貨店、セレクトショップなどが好んで使っています。
MDはもとより、ショップデザインやMDP(ディスプレイ)を使って店内空間にブランドの世界観をつくりあげます。
例えば下記のような店です。

  • 無印良品
  • スリーコインズ
  • ユニクロ
  • フランフラン
  • アフタヌーンティー
  • ゴディバ
  • 212キッチンストア
  • ディズニーストア
  • ハンズ
  • ルルレモン etc

これらの店は、ただ商品を買う店ではなく、店内回遊してお気に入りの商品を探したり、買って生活を楽しいものにしたい商品が満載です。
コンビニのように間に合わせの商品を買うお店ではないのです。

そのような店は、店内のデザイン環境を気分よいものにしなければいけません。
ただの白い壁で四方を覆うようなお店にしたら、会議室で商品を買うようなさみしい気持ちになります。

スリーコインズを通りから見てみましょう。
壁がディスプレイで埋め尽くされていますよね。
なーんか、掘り出し物がありそうな予感!!ちょっと寄ってみよう。
という気になりませんか。

こんな感じで、気持ちをわくわくさせるようなライフスタイル店舗はオーケストレーションを用いて壁面で来店客を魅了させる仕掛けが必要なんです。

逆に、コンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンターのような「生活必需品」をメインとしたライフライン店舗は白壁でもいいかもしれません。

ただし、同じドラッグストアでもテイストを重んじる店は、白壁にデザインを施しています
例えば、アインズアンドトルペです。

写真を見てわかる通り、カテゴリーネームとイラストを施したオシャレなデザイン。
ファッション感度の高い丸井や西武のフロアにも出店しているほど、若い女性に人気のコスメのセレクトショップです。

3. オーケストレーションの3つの区分

オーケストレーションの構成要素は、大道具・小道具・商品です。
壁面を舞台と思ってください。

  • 大道具は、壁面のデザイン、そして什器
  • 小道具は、什器に載せるプロップスや販促物
  • 商品は、陳列や展示に使用する商材一式

ハワイのクイックシルバーの壁面を見てみましょう。
大道具部分は壁面のウッドフェンス。
そして天井のサーフボードのオブジェ。

小道具部分は、写真やポスターのフレームとサーフボード。
商品部分は、PP(商品展示のこと)としてのトルソ、そしてその下のTシャツとショーパンの陳列がそうです。

この3つの構成は、通常なら下記の様に担当が分かれているはすでず。

  • 大道具部分・・・店舗デザイナー
  • 小道具部分・・・デコレーター
  • 商品部分・・・・VMD

上はディズニーランド内のお土産ショップ。こちらも同様です。
壁面は3セクションに分かれていて、壁の上から言うと、下記になります。

  • 大道具部分・・・アーチ型壁面とキャラクターの造作物は店舗デザイン部署が担当。
  • 小道具部分・・・最上段のPPディスプレイ棚は、デコレーター担当。
  • 商品部分・・・その下の商品陳列は、VMD担当。陳列の研修をキャストにしている。

オーケストレーションはまさに部署間の共同作業といっていいでしょう。
無印良品がなぜ完璧までに全国のオーケストレーションを構築できるかは、部署間の共同作業によるルーティーンがなされているからです。

4. オーケストレーションのさまざまなタイプ

先ほど述べたように、大道具・小道具・商品という区分で担当者が分かれているのが、オーソドックスな体制ですが、例外はたくさんあります。

IP(商品部分)を壁面の下部基準とした場合、下記のタイプがあります。

  1. 壁面上部もIPタイプ
  2. 壁面上部はインテリアディスプレイタイプ
  3. 壁面上部は広告スペースタイプ
  4. 壁面上部は質感のある壁タイプ

写真を見ながら説明します。

1. 壁面上部もIPタイプ

これは、天井まで陳列がずっと続いているタイプ。
無印良品やラコステが普通に行っています。
無印良品は天井近くまで布団やレトルトカレーを陳列していますし、壁面を覆っているラコステのポロシャツ売場は色のグラデーションが効いています。
商品のボリューム感が出ている上に、色の帯がきれいなので、来店客はついつい壁面に注目してしまいます。
写真は、ラルフローレンのウオーターフォール。
色の配置はグラデではなくてチェッカー状にしてメリハリをつけています。

2.壁面上部はインテリアディスプレイタイプ

商品の世界観を象徴するオブジェやフレームなどをディスプレイするタイプ。
単純に造花や壺を展示している例(上の写真)もありますが、商品を絡ませて生活スタイルを表現したり、風景写真を掲示して生活のシーンなどを表現する方法などがあります。
下記はポスターを使用した、アパレルショップのインテリアディスプレイの例です。

ポスターは必ずしも商品と直接結びついてはいませんが、生活のシーンやテイストを売場に与えています。

3. 壁面上部は広告スペースタイプ

大きなPOPを壁面上に掲示して、遠くの客を引き付けるタイプです。
例えば、上の写真は年賀状の広告になっています。
これはプリントショップのオーケストレーション。
また、駅や空港の土産店のようにお菓子の広告を電照広告形式で掲示している例もあります。

メガネやスマホなど商品が小さい場合、最上段は広告スペースにした方がよいでしょう。
例えば、メガネを一つ二つ最上段にPPとしてディスプレイしてもほとんど遠目でわかりません
その場合メガネのフレームを大写しにしたブランド名入りのポスターを掲示した方がインパクトがあり、遠目でもわかります。

4. 壁面上部は質感のある壁タイプ

壁の質感を出すために、壁をそのままにしておくタイプです。
壁をわざと見せます。
単なる白壁ではなくて、テラコッタや板張りの壁は、壁そのものの質感(マテリアル)が来店客に伝わり、商品ブランドやショップブランドのテイストを助長させます。
例えば、上の写真は米国アンソロポロジー。ライススタイルショップです。
キッチン用品の売場ですが、凹凸のある土壁がボヘミアンなブランドテイストを助長させています。

5. 白壁を改善して入店客を増やす

私たちはお店のリバイスをするときに、「白壁」をどうやって魅力的にするか、よくプランします。
壁自体をディスプレイとみるオーケストレーションは、今話した方法で店の前を歩いているお客様を入店させることができるからです。

いままで数々の店舗にオーケストレーションを導入して、入店率や売上をアップさせてきました。
30%の入店率アップ、売上20%アップなど、具体的な数字結果をもたらした店舗は多いです。

オーケストレーションは、下記のセミナーで詳しくお話ししています。
●商品陳列の仕方

このセミナー、来年(2023年)になりますが4月と7月開催予定です。
白い壁面を直したいと思っている方、ぜひお越しください。

(VMDインストラクター協会事務局)

メガネ店のVMD

メガネ店の売場づくりのコツ

メガネ店、あるいはメガネメーカー・卸の方向けに、今日はメガネ売場のVMDフレームワーキングしたいと思います。
メガネ売場を改善するフレームワークは主に下記です。

  • VMD分類
  • ゾーニング
  • リレーション
  • くくり
  • フェイシング
  • 定量
  • ディスプレイ構成
  • ディスプレイ用品
  • サイン編集
  • POP編集

それではフレーム項目に沿って解説していきます。

VMD分類・ゾーニング・リレーション

メガネ店は、特売、メンズ、レディス、ユニセックス、サングラス、キッズなどでフロアが区分されています。
この区分をゾーンと言い、それを考えることをゾーニングといいます。

それぞれのゾーンは、、PB(プライベート)ブランド、ナショナルブランド、海外ブランドなどのグループに分けられます。
グループはさらに、セルフレーム・メタルフレームなど素材別、またはオーバル、ボストンなどフレームのシルエット別に分けられます。

このゾーンやグループに分けるもとになるのがVMD分類
それをまとめると下記になります。

  • ブランド
  • 国内・海外
  • PB・仕入れ
  • 値段
  • 性別
  • エイジ(年齢)
  • フレームの色
  • 素材(メタル・セル・ツーポイント)

そのほかの分類としては、

  • オケージョン(つけるシーン、釣り・読書・スポーツetc)
  • テイスト(服と同じでクラシックとかモダンとか)
  • シーズン(春・夏・冬)
  • トレンド(アドバンス、コンサバなど)

などがあります。

VMD分類項目のどれを優先にするかで、ゾーニングやリレーションが変わってきます。
メンズ・レディス→ブランド→価格→フレームの素材 がいいのか、
メンズ・レディス→価格→ブランド→フレームの素材 がいいのか
メンズ・レディス→フレームの素材→ブランド→価格 がいいのか、
来店客の買い方によりかなり違ってきます。

例えば、レディスゾーンでも価格に敏感な女性が多ければ価格帯優先にゾーンを組むべきですし、ブランドに敏感な女性が多ければブランド優先にゾーンを決める必要があります。

よくあるのが、仕入れ先別ブランドにゾーニングしてしまうこと。
エイジやテイストが優先なのに、コーチ、ハナエモリ、ラルフローレン、カルバンクラインなどと仕入れ先別に売場を分割し、メーカー持ち込み什器で売場が混とんとしてしまうという例があります。

エイジが優先なら

  • ティーン(13-15歳)
  • ハイティーン(16-19歳)
  • ヤング(19-24歳)
  • ヤングアダルト(25-34歳)
  • アダルト(35-44歳)
  • ミドル(45-54歳)
  • マチュア(55歳~)

などと、エイジ別に分け、それにふさわしいブランドを配置すべきです。

その時の隣同士の売場は、必ず年齢が近いブランドを配置するなど考慮しなければいけません。
これをリレーションといいます。

くくり

売場の棚割りレベルの「くくり」に関してもゾーン同様、優先順位というものがあります。
先ほどVMD分類の項目で述べたとおり、

  • カラー
  • 素材
  • シルエット
  • トレンド
  • テイスト

などと分類項目が考えられます。

これもゾーン同様、お客様の購買優先順位を考えてくくります。
素材が優先なのに、フレームのシルエットを大くくりにしてしまい、次にメタル・セルとくくっても後の祭りです。
お客様が買いにくいこと、この上ありません。
本来は、売上データと顧客データを分析し、きちんと優先順位を決めるとベストです。
ただ、それができない場合は推測でもいいのでゾーンごとの優先順位を決めてください。
さらに優先順位は、男性と女性とで違うケースがあるので注意してください。

さて、くくりの仕方ですが、下記に留意してください。

・グリッドライン
シルエット別でも色別でもそれがわかるように、分類と分類の間を空けて、フレームを折りたたんだ場合は、「智」(ヒンジ部分)が一直線に揃うように置いてください。
これをグリッドラインといいます。

・ネガティブスペース
くくりが素材→シルエットでしたら、素材同士のくくりは8cm空けてシルエット同士のくくりは5cm開けるなど、最新の注意を払って陳列させてください。
この5cmとか8cmとかの隙間をネガティブスペースといいます。

定量

多くの一般メガネ店が、いろいろなブランドのメガネを仕入れており、店内に陳列しているその数は200種類を下らないでしょう。
ABC分析やC-C分析もせずに、卸やメーカーが持ってくるものをすべて並べていたら、棚はいろいろなブランドであふれかえってしまいます。

しかも、3万円のブランドも5,000円のブランドも同じようにぎゅうぎゅうに棚に詰めている様は、よろずメガネ店としかいいようがありません。
しかも、4万円のオリバーピープルズのフレームの横に6,000円のMr.JUNCOを置くなどリレーション(隣同士の関連性)も乱れていると言う始末です。

これを解決するために、定量と言って、プライスラインごとに置く数を決めることをお勧めします。

例えば、3万円以上のフレームは6cm間隔でフレームを並べ、1万円以下は3cm間隔で並べるなど、価格帯ごとに並べるスペースを決めます。
すると、価格帯により売場のたたずまいは変わりますので、お客様も「このブランドは高級そうだな」とブライスカードを見ずとも、すぐに認識できるのです。
高級ならブランドの世界観を逸することもなくなります。

フェイシング

メガネが他の商品と違うのは、商品が透明ということです。
これはレンズのことを言っています。
ほとんどのフレームには展示用のレンズがついており、天井のライトを反射してキラッと光っています。

実は透明というのはやっかいで、後の景色を拾ってしまいます。
つまり、フレームの後ろの他のフレーム、壁紙、POP、メガネケースなどあらゆるものが、レンズごしに見えてしまうのです。

するとどうなるか?
それら透過物はフレームのシルエットのノイズとなり、商品がきれいに見えなくなるのです。
特にプロップスの透過にも気をつけましょう。
プラダやグッチなど高級メガネには、こことばかりにみんな装飾を施します。
造花やスカーフ、壺にクリスマスツリーなど、メガネの後に配置しています。
するとそれらがレンズを通してノイズとなり、グッチのフレームシルエットがわからなくなるのです。

モデルのポスターも注意してください。
メーカー供給のポスターやPOPをそのままメガネの背後に置くと、やっぱりフレームのシルエットはわからなくなるのです。
「メガネの後には何も置かない」
このひとことを念頭に入れておいてください。

ディスプレイ構成・ディスプレイ用品

VPやPPなど、売場のフォーカルポイントとなる展示物は、美しいプロポーションが求められます。
そもそもメガネ自体、ノーブルでインテリジェントな感じのする商品なので、ディスプレイも品よく構成するのが望ましいです。

低価格帯のメガネは、一方向に等間隔でズラッと並べていますが、プラダとかバーバリーなどのハイブランドは展示のように置かれています。
ただし、メガネが通常のVP,PPと違うのは、それは見本ではなく売り物だということです
メガネ店ではディスプレイしているメガネはすべて現品です。
そのため、展示する商品は、取りやすく戻しやすくする必要があります

三角構成にする際は、本や辞書のようなプロップスやメガネスタンドを使った方が安定します。
針金やワイングラスを使ったワフティング(宙に浮かせること)も面白いですが、そこにフレームを置いたら不安定になります。
そういう展示はウインドウの中だけにしましょう。

サイン編集・POP編集

この場合のサインとは分類サインのことです。
メガネはその性質上、どれも同じに見えるし、メンズとレディスとを見間違えることもあります。
ブランドの他に、読書用・釣り用・スポーツ用・PCメガネ用など用途を絞ったメガも多数販売しています。

そんなみんな同じに見えるメガネをわかりやすくするために、分類サインや分類POPがあるのです。
分類サインとは、プラカードのようなものを什器上や天井近くに展開するもので、スーパーの「ふりかけ」「コーヒー」のようなプラカードと同じようなものです。

ところが、この分類サインが下記の理由でわからないケースが多いです。

  • サインとPOPの位置関係が逆転している。
  • サインがPOPや商品に隠れて見えない。
  • サインの位置がバラバラ。
  • サインのデザインがバラバラ。

例えば、一つの什器に「レイバン」「サングラス」「ポリス」というサインやPOPがあったとします。
レイバンの大きいPOPが什器の一番上にあって、その下に「サングラス」のサインと「ポリス」のPOPがあったりします。

これでは、サングラスの売場というのはわかるけど、どれがレイバンで、どれがポリスか、わからなくなります。
分類サイン展開の仕方は、天井近くが大分類のサイン、その下が中分類サインと心得ましょう。

POPに関しては、メーカー提供のPOPの扱い方に特に注意します。
POPを適当に置いている売場はどうなっているかというと、「メガネがPOPに埋まった状態」になっています。
スタンド型POPにしろ、プライスカードにしろ、棚でのPOPの位置を決めないと、POPが商品より主役になってしまいます。

ましてやタグ処理を怠っていて、フレームのブリッジやリムにタグが引っかかっていたり、ヨロイに糸がぐるぐる巻きついていたりと、タグがフレームのノイズになっている状態をよく見ます。
これでは、メガネのシルエットがよく見えません
タグは最小限にとどめ、つけたとしてもどの位置にどのようにつけるか決めなければいけません。
こうしたタグ処理とPOPの適正数量、POPの位置と取り付け器具をコントロールして、商品が主役になる売場づくりを心がけます。

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メガネVMD関係者の皆さん、わかりましたでしょうか、
メガネを心地よくショッピングできる快場つくってくださいね。
ちなみにホームページで私がかけているメガネは、シャルマンのラインアートです。
●オーバルリンク代表 深沢泰秀
さわやか~な感じを醸し出しています。(^^)

メガネのVMDもっと覚えたい、というあなたは、毎月開催している日本橋のセミナーにお越しください。
●VMDセミナー
またはオンラインでもやっています。
●オンラインVMDセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

陳列の整理整頓は get thigs square

整理整頓とは、ものを四角くすること

英語でget thigs squareとは整理整頓するという意味です。
これ、直訳するとものを四角くするという意味です。
とても理にかなっている言葉だと思いました。

例えば、子供がメイプルマニアのバタークッキーを食べていたとします。
(上の写真)
外国人のあなたは子供にこう言うでしょう。
「Get thigs square!」(テーブルの上を整理しろ!)
慌てて子供は下の写真のように直しました。

写真を比べてみてください。
机の上のものが四角になっています。
下の写真を見てください。線を引きました。こんな感じです。
要はバラバラの方向を向いていたものを四角く固めたということです。

ディスプレイを整理整頓しよう

これはVMDのIP(商品陳列)に当てはめることができます。
上図を見てください。
あなたはインテリアショップの店長です。
テーブルの上の小物を見て嘆いています。
「なんだか商品がバラバラだな」。

何とかしたいですよね。
そこで、get thigs squareを応用します。
そこで、まずは商品をタイトにします
タイトとは、「寄せる」という意味です。
下図のように商品を寄せて商品のカタマリをつくります。

商品のカタマリの周りは隙間をつくってください。
この隙間のことをVMD用語でネガティブスペースといいます。
ネガティブスペースがあると、カタマリがわかりやすくなります

でもまだこのままでは、整理整頓は道半ば。
これを四角くしないといけません。
下図のように各々のカタマリを四角くしました。
これをくくりと言います。

陳列は四角く商品をかためることにより、整然としてきます。
線を入れると下図のようになります。

これはただ四角く固めただけではありません。
グリッドラインが合っているんです。
赤い点線がグリッドラインです。

グリッドとはタテヨコの線を揃えることを言います。
グリッドラインを揃えることにより、よりカタマリは整理整頓されます。
グリッドライン①は各カタマリの頭が揃っています。
グリッドライン②は各カタマリのタテ中央が揃っています。

まとめです。
改めてBefore Afterを見てみましょう。
整理整頓の仕方は次の順序。

  1. タイトに商品を固める。
  2. ネガティブスペースを各カタマリの間につくる。
  3. カタマリを四角くする。
  4. グリッドラインを揃える。

棚の陳列を整理整頓しよう

今度は実戦です。
コンビニのオーラルケアの売場を見てみます。(上の写真)

きれいな整理整頓ですね。
商品が四角くくくられているのがわかります。
しかもグリッドラインがピターーーーとあっています。
下の写真を見てください。
これが本当の整理整頓ですね。(^^)

アメーバは厳禁

今度はダメな例を見てみましょう。
一見、きれいな四角になっているように思います。

線を引いてみます。
あれれ、なんか気になるところが・・・。
そう、右のパイナップのトレーがアメーバになっているんです。(下の写真)

くくりが四角くなく、アメーバになってしまうと陳列は乱れてしまいます。
せっかくの壁面陳列が台無しですよね。
この場合は、アメーバの元凶になっているパイナップル1台をサーフボードに変えるだけでいいんです。
すると、壁面ディスプレイはきれいになるし、お客様も選びやすくなります。

アパレルショップの応用

あなたがアパレル店スタッフだとします。
4段ある棚に3色あるTシャツを畳み置きするとします。
サイズ別に上段からS,M,Lと並べていきました。
色でタテくくりになりました。
きれいな四角ですよね。

でも途中で本部からもう1色黄色の追加が来ました。
すると、「青はあまり売れないから黄色をいれちゃえ」と、あなたは無理矢理1色を追加して下図のようにしてしまいます。

あらら、見事なアメーバ。

これではきれいに見えないばかりか、お客様が選びにくくなってしまいました。
「青のLはどこにあるの?」
「黄色はSはないの?」
お客様はすぐに選べないので、あなたは質問攻めに。
ますます忙しくなってしまいました。

このように陳列をアメーバにしてしまいますと、デメリットの方が多くなります
この場合、あなたがやるべきことは、青を全部下げて黄色と変えること。
週ごとに様子を見て、色をローテーションしていけばいいのです。
つまり、いつも3色を保つということです。

それでも、どうしても4色出したいという場合は、他の什器や棚と調整がつかないか、試してみることです。
リレーション(隣に違う商品を入れてみること)、定数(什器の棚数を変えること)、VMD分類(各棚にサイズ別でなく色別に並べ替えるなど)などを駆使すれば、陳列は調整でき、すべてが丸く(四角く)収まります。

わかりましたか。
get thigs square!!
売場のたたずまいを美しくするには、get thigs square。
これを覚えてくださいね。

陳列もっと覚えたーーい、というあなたは、ぜひ「商品陳列」セミナーにお越しください。
7/28にオンラインで開催します。
●センスアップセミナー「商品陳列」

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイのフォーカルポイント

フォーカルポイントで客目線を釘付けにする

人間は太古の昔から、視界の中に何か異質物があると身構えます。
そうすることによって、最速で敵から逃げたり仲間を助けたり、時には食べ物を見つけることができるのです。
現代人の生活においては、そんなに危険なことはありませんが、人間はその太古の性質を遺伝しているために、何か活動をしている時に視線に異質物が入ると気になってその方向を向くのです。
これがフォーカルポイントの原理です。

VMDの世界では、売場のあるポイントにお客様の目を意図的に誘導する時に、フォーカルポイントを設定します

例えば壁面の売場の場合。
壁面全体が単なる陳列の連続だと、フロアを歩いているお客様は気に留めません。
壁が周りの背景に溶け込んでいるからです。

そんな時に壁面の中にフォーカルポイントを設定すると、お客様はつい壁面に視線を注いでしまいます。
フォーカルポイントが視界に入って目立っているからです。

上の写真を見てください。
Tシャツ売場ですが、
●女性の顔
●中央のハンガーに吊るされている展示

これがフォーカルポイントです。

これがなかったら、壁面にフロア内のお客様の視線が行く頻度は少なくなっていたことでしょう。

さて、フォーカルポイントの作り方は下記の6つです。
ひとつひとつ説明していきます。

1.色がそこだけ違う

上図を見てください。白いところに目が行くと思います。
この白いのがフォーカルポイントです。
人は色が他と違うところに目が行きます

上の写真を見てください。ブルーの列の靴に目が行くと思います。
それがフォーカルポイントです。

2.サイズがそこだけ違う

上図を見てください。大きい四角に目が行くと思います。
この大きい四角がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中の面積の大きいところに目がいきます

上の写真を見てください。
最上段のジーンズに目が行くと思います。

3.顔がある

上図を見てください。顔に目が行くと思います。この顔がフォーカルポイントです。
人は、ディスプレイの中に顔があると、ついつい見てしまいます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

4.角度がそこだけ違う

上図を見てください。ひし形に目が行くと思います。
このひし形がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中に他と違うカタチがあると、それを注視します。

上の写真を見ると、壁面中段のフライパンに目が行きますよね。
フライパンが丸くて、四角い他とカタチが違うからです。

5.そこだけ飛び出ている

上図を見てください。飛び出した四角に目が行くと思います。
この隆起したものがフォーカルポイントです。
人は、群れから突出しているものに目が行きます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

6.そこだけ離れている

上図を見てください。離れた四角に目が行くと思います。
この離れた四角がフォーカルポイントです。
人は、群れから離れているものに目が行きます。

上の写真を見てください。
一番奥のポットに目が行きますよね。
このポットだけ、群れから離れているからです。

まとめ

わかりましたでしょうか。フォーカルポイントの原理。
フォーカルポイントを売場に意識して設置すると、お客様の視線はそこからスタートします。

あとは、リーディングラインを使って売場をまんべんなく見ていただくと、買い上げ率アップに貢献します。
リーディングラインに関しては下記を参考にどうぞ。
●リーディングライン

また、フォーカルポイントについては、センスアップセミナーでも解説してますので、興味ある方はぜひお越しください。(^^)

●センスアップセミナー 商品陳列

(VMDインストラクター協会事務局)

マリンブルーのバッグ展示

ディスプレイの装飾品「プロップス」とは

プロップス(props)とは、演劇の小道具のことです。
ディスプレイの世界では、装飾品と訳しますが、小道具の方がしっくりきます。
というのは、VMDを担当する者にとって、売場は舞台であり、役者は商品だからです。
役者を際立たせるために、舞台の世界観を与えるために、プロップスを使うのです。

上の写真はワイキキ商業施設のウインドウディスプレイです。
バッグが商品なのだが、商品以外はすべてプロップスです。
背景の波の写真、サーフボード、切り株、砂。すべてプロップスです。

プロップスがあるおかげで、ディスプレイの主役である商品が引き立ちます。
この場合は、バッグがマリンブルーなので、ハワイの海をイメージした下記のプロップスで満たされています。

  • タペストリーの波
  • サーフボード
  • 海岸に打ち上げられた流木
  • 海岸の砂

青いバッグに関心がない客でも、こんなウインドウを見たら、「マリンブルーのバック、すごくいい」とバッグに興味を持ってしまいます。
プロップスは買い物に影響力を持んです。

プロップスは世界観を創造する

さて、プロップスは4種類あり、それぞれ下記の役目があります。
上図と照らし合わせてみてください。

  • マテリアル  →世界観を包む
  • ガーランド  →世界観をつなぐ
  • パーチクル  →世界観を醸し出す
  • オブジェ  →世界観を象徴する

世界観とは、商品や企業ブランドの世界観、商品を使用するシーン、使用者の心象風景などを指します。
先ほどのマリンバッグの世界観は、マリンリゾートを彷彿とさせる臨場感でした。

このディスプレイに使用されているプロップスは下記の様に分類されます。

  • マテリアル  →床の砂、タペストリー
  • ガーランド  →なし
  • パーチクル  →なし
  • オブジェ  →サーフボード、流木

この4大プロップスについて、[種類][使い方と役割]の順に解説していきます。

マテリアル

マテリアルとは、素材のことです。
下に敷いたり、ディスプレイの背後に吊るして使います。

[マテリアルの種類]
砂、板、布、トタン、芝、紙、アクリル、ターメリック、コルク、画用紙・・・などなんでもよい。

[使い方と役割]
基本的な使い方は、写真の砂のように、ディスプレイの下に敷いたり、タペストリーとして商品の背後に吊るしたりする。
役割としては、ディスプレイ内に大風呂敷のごとく広く使用して世界観を包む。色や素材、使う面積、マテリアル同士の組み合せなどで表現をつくる。

例えば、このディスプレイのテーマは「青い空と春霞」。
和紙とビニルクロスがマテリアルです。
このように2つ以上の素材を掛け合わせるとよいです。
テイストミックスと言います。

上のディスプレイはナチュラル感が増していると思います。
テーマは 「春うらら」。
板と和紙のテイストミックスです。

ガーランド

ガーランドとは、ドイツ語で花輪のことです。
売場では、花輪の他にブドウやツディ、モンステラなど植物のつるを使うことが多いです。
しかし、ディスプレイ用語としては「長物(ながもの)」と捉えてください。
長い物なら何でもよいです。下記のものは大方、手芸店で手に入ります。

[ガーランドの種類]
・植物のつる
・紙テープ
・リボン
・ロープ
・キラキラ
・糸
・くさり

[使い方と役割]
商品のまわりを軽く巻き、ディスプレイの上を這わせる。商品以外にも、オブジェやライザーに巻いてもよい。商品と商品、商品と他のディスプレイ用品をつなげることによって、テーマやブランドの持つ世界観をもつなげる。

例えば、商品を含めたディスプレイ用品を写真のようにリンクさせます。
すると、ディスプレイに一体感が生まれ、ビーチでモーニングコーヒーを楽しんでいる世界観につながります。

パーチクル

パーチクルとは英語で粒子のことです。
ディスプレイ用語としては、小さい装飾品を指します。
オブジェに比べて小さいという意味です。
単体で使わず、複数使うのが条件です。
上の写真ではヒトデや貝殻がパーチクルです。

[パーチクルの種類]
 下記の様に小さい粒ならなんでもよい。
・ビー玉
・貝殻
・花吹雪
・紙吹雪
・もみじ
・雪の玉 など。

 ところが、大きくても散布して使うなら、下記のものでもガーランドになる。

・トランプ
・クリスマスボール
・松ぼっくり
・栗
・ギフト箱
・おかずピック
・ストロー など。

[使い方と役割]
ディスプレイスペースいっぱいに散布することで、商品の置かれている環境を醸し出せる
例えば、貝殻を散布すると、ディスプレイ環境は海岸になる。桜の花吹雪を散布すると、花見のシーンになる。

上の写真は松ぼっくりなので、アウトドア感が出ていると思います。

オブジェ

パーチクルが小さい粒だったら、オブジェは大きな置きものです。
駅前にあるアート作品をオブジェというので、イメージがわくと思います。
ディスプレイの中では、商品の次に目立つ装飾品です。

[オブジェの種類]
パーチクルに比べて大きくて自立するものなら、なんでもよい。
●インテリアディスプレイ用オブジェ
 壺、花瓶と花、プランター、彫刻、デコイ、ボトル、盃、トロフィーなど、インテリアショップ、雑貨店などで手に入る置物。
●コモディティ品
 サングラス、コップ、時計、ノート、手帳、パソコン、タイプライター、電話機など一般的に手に入るもの。
●造作品
 コラージュ、アッサンブラージュ、モビールなどオリジナルでつくったアート作品。

[役割と使い方]
オブジェを置くことにより、ディスプレイのテーマがわかりやすくなる
そして、テーマやシーン、イメージを象徴してくれる。
例えば、ハートのオブジェなら愛を、王冠なら権威を、花なら可憐さを象徴してくれる。

上の写真は公園をイメージしています。
花時計が公園を象徴するオブジェになっているのがわかります。
商品の世界観を象徴するときは、商品の近くに置いてください。
ぴったりと商品にくっつけてもよいです。
商品の臨場感を高めることができます

だいたいわかりましたでしょうか。
プロップスの使い方。
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