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ディスプレイのフォーカルポイント

フォーカルポイントで客目線を釘付けにする

人間は太古の昔から、視界の中に何か異質物があると身構えます。
そうすることによって、最速で敵から逃げたり仲間を助けたり、時には食べ物を見つけることができるのです。
現代人の生活においては、そんなに危険なことはありませんが、人間はその太古の性質を遺伝しているために、何か活動をしている時に視線に異質物が入ると気になってその方向を向くのです。
これがフォーカルポイントの原理です。

VMDの世界では、売場のあるポイントにお客様の目を意図的に誘導する時に、フォーカルポイントを設定します

例えば壁面の売場の場合。
壁面全体が単なる陳列の連続だと、フロアを歩いているお客様は気に留めません。
壁が周りの背景に溶け込んでいるからです。

そんな時に壁面の中にフォーカルポイントを設定すると、お客様はつい壁面に視線を注いでしまいます。
フォーカルポイントが視界に入って目立っているからです。

上の写真を見てください。
Tシャツ売場ですが、
●女性の顔
●中央のハンガーに吊るされている展示

これがフォーカルポイントです。

これがなかったら、壁面にフロア内のお客様の視線が行く頻度は少なくなっていたことでしょう。

さて、フォーカルポイントの作り方は下記の6つです。
ひとつひとつ説明していきます。

1.色がそこだけ違う

上図を見てください。白いところに目が行くと思います。
この白いのがフォーカルポイントです。
人は色が他と違うところに目が行きます

上の写真を見てください。ブルーの列の靴に目が行くと思います。
それがフォーカルポイントです。

2.サイズがそこだけ違う

上図を見てください。大きい四角に目が行くと思います。
この大きい四角がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中の面積の大きいところに目がいきます

上の写真を見てください。
最上段のジーンズに目が行くと思います。

3.顔がある

上図を見てください。顔に目が行くと思います。この顔がフォーカルポイントです。
人は、ディスプレイの中に顔があると、ついつい見てしまいます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

4.角度がそこだけ違う

上図を見てください。ひし形に目が行くと思います。
このひし形がフォーカルポイントです。
人はディスプレイの中に他と違うカタチがあると、それを注視します。

上の写真を見ると、壁面中段のフライパンに目が行きますよね。
フライパンが丸くて、四角い他とカタチが違うからです。

5.そこだけ飛び出ている

上図を見てください。飛び出した四角に目が行くと思います。
この隆起したものがフォーカルポイントです。
人は、群れから突出しているものに目が行きます。
先ほどのTシャツ売場と同じです。

6.そこだけ離れている

上図を見てください。離れた四角に目が行くと思います。
この離れた四角がフォーカルポイントです。
人は、群れから離れているものに目が行きます。

上の写真を見てください。
一番奥のポットに目が行きますよね。
このポットだけ、群れから離れているからです。

まとめ

わかりましたでしょうか。フォーカルポイントの原理。
フォーカルポイントを売場に意識して設置すると、お客様の視線はそこからスタートします。

あとは、リーディングラインを使って売場をまんべんなく見ていただくと、買い上げ率アップに貢献します。
リーディングラインに関しては下記を参考にどうぞ。
●リーディングライン

また、フォーカルポイントについては、センスアップセミナーでも解説してますので、興味ある方はぜひお越しください。(^^)

●センスアップセミナー 商品陳列

(VMDインストラクター協会事務局)

マリンブルーのバッグ展示

ディスプレイの装飾品「プロップス」とは

プロップス(props)とは、演劇の小道具のことです。
ディスプレイの世界では、装飾品と訳しますが、小道具の方がしっくりきます。
というのは、VMDを担当する者にとって、売場は舞台であり、役者は商品だからです。
役者を際立たせるために、舞台の世界観を与えるために、プロップスを使うのです。

上の写真はワイキキ商業施設のウインドウディスプレイです。
バッグが商品なのだが、商品以外はすべてプロップスです。
背景の波の写真、サーフボード、切り株、砂。すべてプロップスです。

プロップスがあるおかげで、ディスプレイの主役である商品が引き立ちます。
この場合は、バッグがマリンブルーなので、ハワイの海をイメージした下記のプロップスで満たされています。

  • タペストリーの波
  • サーフボード
  • 海岸に打ち上げられた流木
  • 海岸の砂

青いバッグに関心がない客でも、こんなウインドウを見たら、「マリンブルーのバック、すごくいい」とバッグに興味を持ってしまいます。
プロップスは買い物に影響力を持んです。

プロップスは世界観を創造する

さて、プロップスは4種類あり、それぞれ下記の役目があります。
上図と照らし合わせてみてください。

  • マテリアル  →世界観を包む
  • ガーランド  →世界観をつなぐ
  • パーチクル  →世界観を醸し出す
  • オブジェ  →世界観を象徴する

世界観とは、商品や企業ブランドの世界観、商品を使用するシーン、使用者の心象風景などを指します。
先ほどのマリンバッグの世界観は、マリンリゾートを彷彿とさせる臨場感でした。

このディスプレイに使用されているプロップスは下記の様に分類されます。

  • マテリアル  →床の砂、タペストリー
  • ガーランド  →なし
  • パーチクル  →なし
  • オブジェ  →サーフボード、流木

この4大プロップスについて、[種類][使い方と役割]の順に解説していきます。

マテリアル

マテリアルとは、素材のことです。
下に敷いたり、ディスプレイの背後に吊るして使います。

[マテリアルの種類]
砂、板、布、トタン、芝、紙、アクリル、ターメリック、コルク、画用紙・・・などなんでもよい。

[使い方と役割]
基本的な使い方は、写真の砂のように、ディスプレイの下に敷いたり、タペストリーとして商品の背後に吊るしたりする。
役割としては、ディスプレイ内に大風呂敷のごとく広く使用して世界観を包む。色や素材、使う面積、マテリアル同士の組み合せなどで表現をつくる。

例えば、このディスプレイのテーマは「青い空と春霞」。
和紙とビニルクロスがマテリアルです。
このように2つ以上の素材を掛け合わせるとよいです。
テイストミックスと言います。

上のディスプレイはナチュラル感が増していると思います。
テーマは 「春うらら」。
板と和紙のテイストミックスです。

ガーランド

ガーランドとは、ドイツ語で花輪のことです。
売場では、花輪の他にブドウやツディ、モンステラなど植物のつるを使うことが多いです。
しかし、ディスプレイ用語としては「長物(ながもの)」と捉えてください。
長い物なら何でもよいです。下記のものは大方、手芸店で手に入ります。

[ガーランドの種類]
・植物のつる
・紙テープ
・リボン
・ロープ
・キラキラ
・糸
・くさり

[使い方と役割]
商品のまわりを軽く巻き、ディスプレイの上を這わせる。商品以外にも、オブジェやライザーに巻いてもよい。商品と商品、商品と他のディスプレイ用品をつなげることによって、テーマやブランドの持つ世界観をもつなげる。

例えば、商品を含めたディスプレイ用品を写真のようにリンクさせます。
すると、ディスプレイに一体感が生まれ、ビーチでモーニングコーヒーを楽しんでいる世界観につながります。

パーチクル

パーチクルとは英語で粒子のことです。
ディスプレイ用語としては、小さい装飾品を指します。
オブジェに比べて小さいという意味です。
単体で使わず、複数使うのが条件です。
上の写真ではヒトデや貝殻がパーチクルです。

[パーチクルの種類]
 下記の様に小さい粒ならなんでもよい。
・ビー玉
・貝殻
・花吹雪
・紙吹雪
・もみじ
・雪の玉 など。

 ところが、大きくても散布して使うなら、下記のものでもガーランドになる。

・トランプ
・クリスマスボール
・松ぼっくり
・栗
・ギフト箱
・おかずピック
・ストロー など。

[使い方と役割]
ディスプレイスペースいっぱいに散布することで、商品の置かれている環境を醸し出せる
例えば、貝殻を散布すると、ディスプレイ環境は海岸になる。桜の花吹雪を散布すると、花見のシーンになる。

上の写真は松ぼっくりなので、アウトドア感が出ていると思います。

オブジェ

パーチクルが小さい粒だったら、オブジェは大きな置きものです。
駅前にあるアート作品をオブジェというので、イメージがわくと思います。
ディスプレイの中では、商品の次に目立つ装飾品です。

[オブジェの種類]
パーチクルに比べて大きくて自立するものなら、なんでもよい。
●インテリアディスプレイ用オブジェ
 壺、花瓶と花、プランター、彫刻、デコイ、ボトル、盃、トロフィーなど、インテリアショップ、雑貨店などで手に入る置物。
●コモディティ品
 サングラス、コップ、時計、ノート、手帳、パソコン、タイプライター、電話機など一般的に手に入るもの。
●造作品
 コラージュ、アッサンブラージュ、モビールなどオリジナルでつくったアート作品。

[役割と使い方]
オブジェを置くことにより、ディスプレイのテーマがわかりやすくなる
そして、テーマやシーン、イメージを象徴してくれる。
例えば、ハートのオブジェなら愛を、王冠なら権威を、花なら可憐さを象徴してくれる。

上の写真は公園をイメージしています。
花時計が公園を象徴するオブジェになっているのがわかります。
商品の世界観を象徴するときは、商品の近くに置いてください。
ぴったりと商品にくっつけてもよいです。
商品の臨場感を高めることができます

だいたいわかりましたでしょうか。
プロップスの使い方。
センスアップセミナーでは、「プロップス活用体系」と称して詳しくレクチャーしています。
より深く学んで、プロップスを自分のスキルにしましょう。

●センスアップセミナー「プロップス活用体系」

(VMDインストラクター協会事務局)

メガネのディスプレイ

ガムットでバラバラに整然さを加えよう

今回は、ディスプレイ用語「ガムット」の話をします。

ガムットとは「傾きをおさえること」を言います。
リニアスキームとは、ディスプレイの構造線を考える事ですが、構造線を5つ以内に抑えることを「ガムット」といいます。

ガムットとは

トランプで「ガムット」を実験してみます。

まずはこの写真を見てください。
トランプをパーチクル(小さな装飾品のこと)として使います。
バラバラに机の上に置いてみます。

バラバラに置いたので、トランプはいろんな方向を向いています。

今度は、傾きを4つのみに限定してみます。
下の写真がそうです。

改めて上の写真を比べてみてください。
左よりも右の方がなんだか整然さが感じれられます。

やっぱり右の方が少し整然としていますね。
これがガムットです。

パーチクルを散布する際に、ガムットを使えば、ディスプレイは整います。
なので、「このディスプレイ、なんかバラバラだな少しすっきりさせたいな」という時にガムットを使えばよいです。

自然だけど、少し人工的・・・という美的感覚を養うのに便利なテクです。

ガムットの線を写真に引いてみました。
これでこのテーブルディスプレイは4種類の方向の線しか使用していないことがわかります。
構造線を180゜45゜135゜90゜の角度にしたのでわかりやすいと思います。

ガムットの応用

これは、トランプでなくメガネでも同じ。
下の写真を見比べてみてください。
最初の写真がガムットなし、次の写真がガムットありです。

ガムットあり、の方はなるべく等間隔にも置きました。
ガムットと同時に等間隔陳列もすること、これが鉄則です。
すると、ディスプレイは整って見えます。

例えば、あなたがイタリアンで食事しているとします。
テーブルから見える柱が見えました。
ガムットに意識して見てください。

ポスター、メニュー黒板、ボトルの陳列枠、メニューチラシ、これ全部長方形です。
トランプの代わりだと思ってください。
でもキレイなたたずまいには見えないですよね。
なんか、広告物をバラバラに貼っている感じ。
秩序が感じられません。

確かに長方形の傾きは全部で4。
ガムットとしてはセーフですが、モノとモノの間が等間隔になっていないので雑然と感じるんです。
つくった人の失敗は、ポスターやボトルケースとの距離を考えていないことにありました。

ガムットで楽しいディスプレイ

さて、せっかくだから、トランプ・ディスプレイの続きをつくりましょう。
少し整然としているカードは兵隊さんのように見えます。
そこでフォークを使って、このトランプをお城の門番にしてみました。

次にカップを入れました。
ウサギと帽子屋との茶会にしてみましょうか。

となると、怒ったお城の女王様も必要。
もうわかりましね。
テーマは「不思議の国のアリス」でした。

追加した食器の傾きも4種類以内に収まっています。

ディスプレイって楽しいですね。
ぜひセンスアップセミナーでディスプレイセンス磨いてください。

●センスアップセミナー

お待ちしております。(^^)

(VMDインストラクター協会事務局)

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

ディスプレイはマスターパターンでキレイになる

今までいろいろディスプレイの構造についてお話してきました。
今回は、等分割のマスターパターンを会得しましょう。
マスターパターンとは、基本的な構図の方法と捉えてけっこうです。

あなたはロールケーキを切るときに等分割しますよね。
また、チョコレートも最初からちょうどいい一口サイズに分割されていますよね。
部屋の窓枠やカレンダーのマス目も等分割。
そう、人間は知らず知らずのうちに等分割に慣れていて、それを見ると気持ちいいんです。

マスターパターンは絵画の世界でよく用いられている手法です。
絵を2分割・3分割・4分割・・・と切り分けることにより、安定した構図が得られます。
そのため、絵を見ると「なんだか気持ちいい~」と感じることができます。

マスターパターンは、ディスプレイにも応用が効き、特にショーウインドウで威力を発揮することができます。

まずはこのウインドウディスプレイを見てください。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図1

Jクルーのウインドウです。
これに等分割ラインを引くことによって、どのように分割されているかがわかります。

これに分割ラインを引いてみます。
この等分割マスターパターンは、タテ6分割、ヨコ2分割です。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2

画面は左右に二つに大きく切り分けられています。
右側3つのマネキンのカタマリと左側の写真と、雪の結晶のカタマリです。
二つの間には1/6分のスキマが空いています。

また、上下の切り分けについて、
●上は写真とマネキンのトップス、
●下は雪の結晶とボトムス・靴
に分けられています。

服や写真は、上下二つに切り分けられた上の部分に集中しているのに、大きい雪の結晶は下にあるので、上下のバランスがよいです。

さて、ここに斜めの対角線を引いてみます。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2-2

するとあら不思議。
右のマネキン2つの肩が斜めの線に沿っています。
そして、雪の結晶の下側ラインと重なっています。
さらに、左の写真の女性の肩も斜めの線に沿っています。

このように、マスターパターンの線にリニアスキームを沿えることで、ディスプレイを完璧な構図に近づけています。
※リニアスキーム忘れた人はこちらをお読みください。
●リニアスキームについて

もうひとつ、Jクルー行きますか。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

じっと見てください。
かわいいVPですね。
構図すごくいいです。

マスターパターンを入れてみます。
今度は、上下とも4分割というのがわかります。

スターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店6

真っ二つに分かれた右側はキッズのマネキン3体、左側はツリーのお化けが立っていて、それぞれ、やや中央気味に固まっています。

斜めの線を見てください。
右は女の子の肩、左はツリーお化けの肩にラインが一致しています。
そしてなんと背景の雪山の肩ラインとも合っているんです。

今度は上下のヨコラインに注目しましょう。
このウインドウ、一見真ん中ラインの下側にディスプレイが偏っているではないの?と思いがちですが、違います。
真ん中ラインの上を見てください。
ツリーお化けのスキー帽、雪山の二つの頂上の3つの三角形が、ちょうど真ん中ヨコラインの上、左右タテラインの中央2分割の中に収まっています。
人は、三角形の頂点に注目しますから、ディスプレイのあまりない上の方にも目が行くんです。

この絶妙なマスターパターン。
これをマスターすれば、ウインドウVPにおけるマネキン配置もうまくいきます。
ヨコにズラッと並べたマネキンを、私はよく「三十三間堂になっている」と注意しています。
なんだか、三十三間堂の仏壇みたいで味気ないからです。
マスターパターンは、ワンパタでつまらないディスプレイを変えることができるんです。

マスターパターンは、ウインドウだけでなく日常のディスプレイにも応用できます。
テーブルディスプレイを見ていきましょう。
朝のコーヒータイムに「ミッキーとミニー」をテーマにしたテーブルプレゼンテーションをつくりました。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図9

一見ランダムに見えるこのディスプレイも、マスターパータンに則っています。
線を入れてみましょう。
タテ6分割、ヨコ4分割の技法です。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図10

中央のタテラインに注目してください。
赤と黒のランチョンマットがペアになって、キレイに左右に分割されているのがわかります。
そして、各々のランチョンのタテラインは1/6分割線に沿っているのがわかります。
食器類は、左右から2つ目のライン以内に集中して置かれており、バランスを取るため、中央ラインよりに一つカップを置いています。

今度は上下のヨコラインに注目してください。
中央ヨコラインの上側は、二つのカップとミルクポット、下側は急須とチーズケーキ皿があります。
つまり、真ん中の線を境に上下に食器を分散させているんです。

マスターパターン、だいたいわかったら次のテーブルディスプレイを見てみましょう。
「今日から海開き」をテーマにつくりました。
あなたなら、どのように分割しますか。

スターパターン テーブルディスプレイの構図11

もうわかりますよね。
今度は上下2分割、左右3分割です。
これは説明する必要ないほど簡単。
6分割にきれいに「絵」が分かれているのが実感できたと思います。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図12

このように、一見適当につくったようなディスプレイでも、実はマスターパターンの法則が使われているんです。
百貨店や専門店のウインドウをつくるような方は、マスターパターンを駆使してつくるとよいでしょう。

ただ、家でちょっとしたディスプレイをつくるときにいちいちマスターパターンを気にしてつくるとストレスになりそう!!と思う方。
そんな時はこうしてください。

●ざっとディスプレイをつくってみて、俯瞰で眺めてみる。
●なにかおかしいなと思ったらマスターパータンを調整してみる。

というようにしてください。
すると、ほんの少し食器を動かすだけでも、きれいなディスプレイに仕上がります。

今日は、マスターパターンについてでした。
ディスプレイ実地で勉強したい方は、ディスプレイセミナーを行いますので、お気軽にお越しください。
5月は20日に行います。

●ディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイ構図

構図に優れたディスプレイは気持ちいい

ディスプレイの構図の話をします。
この間は構造線の話をしたので、今回は全体構図の話です。

構造線、忘れた人は下記を振り返ってみてください。
●構造線(リニアスキーム)の話

■ ■ ■ 売場塾生の作品を見てみよう ■ ■ ■

まずはこのディスプレイを見てください。
売場塾生徒がVMD基本講座でつくったディスプレイです。

ディスプレイ制作作品1

恋人がパリの旅情を語るような雰囲気のするディスプレイ。
素敵ですね。

次はどうでしょう。
下記は子供の楽しいピックニックの雰囲気がするカラフルなディスプレイ。

ディスプレイ制作作品2

今度は夏のビーチでバカンスという感じ。

ディスプレイ制作作品3

下記はハロウインの夜長にシャンパン!!てな感じですね。

ディスプレイ制作作品4

4つのディスプレイは、いずれも売場塾のワークショップで20分くらいでつくってもらいました。
受講生の皆さん、いつもお上手です。(^^)

■ ■ ■ ディスプレイ構図の4つの種類 ■ ■ ■

さて、本題です。
この4つのディスプレイ、ディスプレイテーブルにピタッときれいに収まってますよね。
つまり構図がうまいんです。
これら4つのディスプレイは、下記のいずれかの構図に当てはまるんです。

  • 黄金矩形—– 縦横の比率が1:1.618
  • 等分割矩形— 縦横の比率が1:1、1:2、1:3など
  • √2矩形—— 縦横の比率が1:1.414
  • √3矩形—— 縦横の比率が1:1.732

ディスプレイ構図

「えー、構図って絵画に使うものではないの?」と思うかもしれませんが、NON。
ディスプレイにも使えるんです。
実際に先ほどの写真に比較寸法を入れてみます。
まず最初のディスプレイ。

ディスプレイ構図1

シンメトリーになっている中央のカタマリAの矩形(四角のこと)は√2矩形に近いことがわかります。
全体の構図Bは、√3矩形に近いです。

今度はピクニックがテーマのディスプレイを見てみます。

ディスプレイ構図

皿とジュースがリピテーションになって3つ連なっています。
このうち1つのディスプレイAに尺度を入れてみます。
√2矩形に近い構図になっているのがわかります。
全体ディスプレイの構図Bはぴたりと1:2の等分割矩形になっています。

今度は夏のビーチのディスプレイ。
こちらは黄金矩形に近いですね。
いわゆる黄金分割といって皆さんがよく知っている構図です。
庭の木の葉っぱも、リビングにおいてあるツボも黄金分割になっているんですよ。

ディスプレイ制作構図

最後のハロウインシャンパンは、シンメトリー中央のAが√2矩形。
全体構図Bも√2矩形です。
√2矩形は日本人が好きな構図で、白銀比、大和比とも言われています。
法隆寺や東京スカイツリーが√2矩形でできています。

ディスプレイ制作構図4

こうやってディスプレイを見ると、気持ちいい~と思うディスプレイは、黄金矩形、等分割矩形、√2矩形、√3矩形のどれかに属しているんです。
もちろん、√4や√5なども絵画の構図で使われているんですが、今回の例は√2が多かったです。

だから銀座を歩いて、「あ、このディスプレイ、素敵だな」と思ったウインドウのVPは、いずれの構図に属していると思ってよいでしょう。
優れた構図って心地いいんです。

そして、VMDインストラクターの方は生徒のディスプレイを直すときは、数メーターディスプレイから離れて、構図をチェックしてみてください。
「この構図の方が気持ちいいかな」というところまで直してOKを出してみてください。
ただし、物差しで測るなんてマネをしないてくださいね。
そこまでやる必要はまったくないです。
たぶん、あなたが見て気持ちいいと思ったディスプレイは、いずれの矩形に当てはまっているからご安心ください。

と、ここまで書いてただし、です!!
ディスプレイは絵画と違います。

●絵画=平面
●ディスプレイ=立体

ですので、「どの角度から見るか」がディスプレイは重要なんです。

絵画は普通まっすぐ正面を見ます。
視線に対して直角ですね。
だから構図はほとんど変わりません。

でもディスプレイって正面からだけでなく、ヨコからもナナメから下からも上からも見ます。
そのため、お客様がディスプレイを見る角度によって、構図はみるみる変わります。

「このディスプレイは正面から見てください」なんて注意は掲示できないですよね。
美術館ならそれでいいかもしれませんが、ここはお店。
お客様はどこからも来ます。

なので、ディスプレイをつくる人は
●お客様はどこから来るのか?
を考えなければいけません。

簡単に言えば、お客様がディスプレイに気が付いて立ち止まった、その角度がディスプレイのベストアングル。
ディスプレイの向きと構図を考えるときは、そのフロアでお客様が一番来る方向かどうかを見極めることです。

だから、お客様が極端に斜めから来るお店は、店頭のテーブルディスプレイを通路に対して斜めに置かなければだめなんです。
駐車場からの入り口からのお客様の流入が多ければ、そちらの方にVPを向けましょう。

最後にもうひとつ。
ディスプレイをつくるときは、お客様目線でつくってください。
上記の場合なら、駐車場から来るお客様の目を意識してつくるということです。
そして出来上がったら、文字通り駐車場の入り口に立ってみて、だんだんディスプレイに近づいてみてください。

そして「これなら気持ちよくみられる」と思ったところでOKを出してください。
あなただけでなく、来店客もきっと気持ちいいはずです。

今日は、ディスプレイの構図についてでした。
ディスプレイに興味ある方は、ぜひディスプレイセミナーにお越しください。
3か月に1回やっています。

●売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)