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マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

ディスプレイはマスターパターンでキレイになる

今までいろいろディスプレイの構造についてお話してきました。
今回は、等分割のマスターパターンを会得しましょう。
マスターパターンとは、基本的な構図の方法と捉えてけっこうです。

あなたはロールケーキを切るときに等分割しますよね。
また、チョコレートも最初からちょうどいい一口サイズに分割されていますよね。
部屋の窓枠やカレンダーのマス目も等分割。
そう、人間は知らず知らずのうちに等分割に慣れていて、それを見ると気持ちいいんです。

マスターパターンは絵画の世界でよく用いられている手法です。
絵を2分割・3分割・4分割・・・と切り分けることにより、安定した構図が得られます。
そのため、絵を見ると「なんだか気持ちいい~」と感じることができます。

マスターパターンは、ディスプレイにも応用が効き、特にショーウインドウで威力を発揮することができます。

まずはこのウインドウディスプレイを見てください。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図1

Jクルーのウインドウです。
これに等分割ラインを引くことによって、どのように分割されているかがわかります。

これに分割ラインを引いてみます。
この等分割マスターパターンは、タテ6分割、ヨコ2分割です。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2

画面は左右に二つに大きく切り分けられています。
右側3つのマネキンのカタマリと左側の写真と、雪の結晶のカタマリです。
二つの間には1/6分のスキマが空いています。

また、上下の切り分けについて、
●上は写真とマネキンのトップス、
●下は雪の結晶とボトムス・靴
に分けられています。

服や写真は、上下二つに切り分けられた上の部分に集中しているのに、大きい雪の結晶は下にあるので、上下のバランスがよいです。

さて、ここに斜めの対角線を引いてみます。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図2-2

するとあら不思議。
右のマネキン2つの肩が斜めの線に沿っています。
そして、雪の結晶の下側ラインと重なっています。
さらに、左の写真の女性の肩も斜めの線に沿っています。

このように、マスターパターンの線にリニアスキームを沿えることで、ディスプレイを完璧な構図に近づけています。
※リニアスキーム忘れた人はこちらをお読みください。
●リニアスキームについて

もうひとつ、Jクルー行きますか。

マスターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店5

じっと見てください。
かわいいVPですね。
構図すごくいいです。

マスターパターンを入れてみます。
今度は、上下とも4分割というのがわかります。

スターパターン ウインドウディスプレイの構図 専門店6

真っ二つに分かれた右側はキッズのマネキン3体、左側はツリーのお化けが立っていて、それぞれ、やや中央気味に固まっています。

斜めの線を見てください。
右は女の子の肩、左はツリーお化けの肩にラインが一致しています。
そしてなんと背景の雪山の肩ラインとも合っているんです。

今度は上下のヨコラインに注目しましょう。
このウインドウ、一見真ん中ラインの下側にディスプレイが偏っているではないの?と思いがちですが、違います。
真ん中ラインの上を見てください。
ツリーお化けのスキー帽、雪山の二つの頂上の3つの三角形が、ちょうど真ん中ヨコラインの上、左右タテラインの中央2分割の中に収まっています。
人は、三角形の頂点に注目しますから、ディスプレイのあまりない上の方にも目が行くんです。

この絶妙なマスターパターン。
これをマスターすれば、ウインドウVPにおけるマネキン配置もうまくいきます。
ヨコにズラッと並べたマネキンを、私はよく「三十三間堂になっている」と注意しています。
なんだか、三十三間堂の仏壇みたいで味気ないからです。
マスターパターンは、ワンパタでつまらないディスプレイを変えることができるんです。

マスターパターンは、ウインドウだけでなく日常のディスプレイにも応用できます。
テーブルディスプレイを見ていきましょう。
朝のコーヒータイムに「ミッキーとミニー」をテーマにしたテーブルプレゼンテーションをつくりました。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図9

一見ランダムに見えるこのディスプレイも、マスターパータンに則っています。
線を入れてみましょう。
タテ6分割、ヨコ4分割の技法です。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図10

中央のタテラインに注目してください。
赤と黒のランチョンマットがペアになって、キレイに左右に分割されているのがわかります。
そして、各々のランチョンのタテラインは1/6分割線に沿っているのがわかります。
食器類は、左右から2つ目のライン以内に集中して置かれており、バランスを取るため、中央ラインよりに一つカップを置いています。

今度は上下のヨコラインに注目してください。
中央ヨコラインの上側は、二つのカップとミルクポット、下側は急須とチーズケーキ皿があります。
つまり、真ん中の線を境に上下に食器を分散させているんです。

マスターパターン、だいたいわかったら次のテーブルディスプレイを見てみましょう。
「今日から海開き」をテーマにつくりました。
あなたなら、どのように分割しますか。

スターパターン テーブルディスプレイの構図11

もうわかりますよね。
今度は上下2分割、左右3分割です。
これは説明する必要ないほど簡単。
6分割にきれいに「絵」が分かれているのが実感できたと思います。

マスターパターン テーブルディスプレイの構図12

このように、一見適当につくったようなディスプレイでも、実はマスターパターンの法則が使われているんです。
百貨店や専門店のウインドウをつくるような方は、マスターパターンを駆使してつくるとよいでしょう。

ただ、家でちょっとしたディスプレイをつくるときにいちいちマスターパターンを気にしてつくるとストレスになりそう!!と思う方。
そんな時はこうしてください。

●ざっとディスプレイをつくってみて、俯瞰で眺めてみる。
●なにかおかしいなと思ったらマスターパータンを調整してみる。

というようにしてください。
すると、ほんの少し食器を動かすだけでも、きれいなディスプレイに仕上がります。

今日は、マスターパターンについてでした。
ディスプレイ実地で勉強したい方は、ディスプレイセミナーを行いますので、お気軽にお越しください。
5月は20日に行います。

●ディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイ構図

構図に優れたディスプレイは気持ちいい

ディスプレイの構図の話をします。
この間は構造線の話をしたので、今回は全体構図の話です。

構造線、忘れた人は下記を振り返ってみてください。
●構造線(リニアスキーム)の話

■ ■ ■ 売場塾生の作品を見てみよう ■ ■ ■

まずはこのディスプレイを見てください。
売場塾生徒がVMD基本講座でつくったディスプレイです。

ディスプレイ制作作品1

恋人がパリの旅情を語るような雰囲気のするディスプレイ。
素敵ですね。

次はどうでしょう。
下記は子供の楽しいピックニックの雰囲気がするカラフルなディスプレイ。

ディスプレイ制作作品2

今度は夏のビーチでバカンスという感じ。

ディスプレイ制作作品3

下記はハロウインの夜長にシャンパン!!てな感じですね。

ディスプレイ制作作品4

4つのディスプレイは、いずれも売場塾のワークショップで20分くらいでつくってもらいました。
受講生の皆さん、いつもお上手です。(^^)

■ ■ ■ ディスプレイ構図の4つの種類 ■ ■ ■

さて、本題です。
この4つのディスプレイ、ディスプレイテーブルにピタッときれいに収まってますよね。
つまり構図がうまいんです。
これら4つのディスプレイは、下記のいずれかの構図に当てはまるんです。

  • 黄金矩形—– 縦横の比率が1:1.618
  • 等分割矩形— 縦横の比率が1:1、1:2、1:3など
  • √2矩形—— 縦横の比率が1:1.414
  • √3矩形—— 縦横の比率が1:1.732

ディスプレイ構図

「えー、構図って絵画に使うものではないの?」と思うかもしれませんが、NON。
ディスプレイにも使えるんです。
実際に先ほどの写真に比較寸法を入れてみます。
まず最初のディスプレイ。

ディスプレイ構図1

シンメトリーになっている中央のカタマリAの矩形(四角のこと)は√2矩形に近いことがわかります。
全体の構図Bは、√3矩形に近いです。

今度はピクニックがテーマのディスプレイを見てみます。

ディスプレイ構図

皿とジュースがリピテーションになって3つ連なっています。
このうち1つのディスプレイAに尺度を入れてみます。
√2矩形に近い構図になっているのがわかります。
全体ディスプレイの構図Bはぴたりと1:2の等分割矩形になっています。

今度は夏のビーチのディスプレイ。
こちらは黄金矩形に近いですね。
いわゆる黄金分割といって皆さんがよく知っている構図です。
庭の木の葉っぱも、リビングにおいてあるツボも黄金分割になっているんですよ。

ディスプレイ制作構図

最後のハロウインシャンパンは、シンメトリー中央のAが√2矩形。
全体構図Bも√2矩形です。
√2矩形は日本人が好きな構図で、白銀比、大和比とも言われています。
法隆寺や東京スカイツリーが√2矩形でできています。

ディスプレイ制作構図4

こうやってディスプレイを見ると、気持ちいい~と思うディスプレイは、黄金矩形、等分割矩形、√2矩形、√3矩形のどれかに属しているんです。
もちろん、√4や√5なども絵画の構図で使われているんですが、今回の例は√2が多かったです。

だから銀座を歩いて、「あ、このディスプレイ、素敵だな」と思ったウインドウのVPは、いずれの構図に属していると思ってよいでしょう。
優れた構図って心地いいんです。

そして、VMDインストラクターの方は生徒のディスプレイを直すときは、数メーターディスプレイから離れて、構図をチェックしてみてください。
「この構図の方が気持ちいいかな」というところまで直してOKを出してみてください。
ただし、物差しで測るなんてマネをしないてくださいね。
そこまでやる必要はまったくないです。
たぶん、あなたが見て気持ちいいと思ったディスプレイは、いずれの矩形に当てはまっているからご安心ください。

と、ここまで書いてただし、です!!
ディスプレイは絵画と違います。

●絵画=平面
●ディスプレイ=立体

ですので、「どの角度から見るか」がディスプレイは重要なんです。

絵画は普通まっすぐ正面を見ます。
視線に対して直角ですね。
だから構図はほとんど変わりません。

でもディスプレイって正面からだけでなく、ヨコからもナナメから下からも上からも見ます。
そのため、お客様がディスプレイを見る角度によって、構図はみるみる変わります。

「このディスプレイは正面から見てください」なんて注意は掲示できないですよね。
美術館ならそれでいいかもしれませんが、ここはお店。
お客様はどこからも来ます。

なので、ディスプレイをつくる人は
●お客様はどこから来るのか?
を考えなければいけません。

簡単に言えば、お客様がディスプレイに気が付いて立ち止まった、その角度がディスプレイのベストアングル。
ディスプレイの向きと構図を考えるときは、そのフロアでお客様が一番来る方向かどうかを見極めることです。

だから、お客様が極端に斜めから来るお店は、店頭のテーブルディスプレイを通路に対して斜めに置かなければだめなんです。
駐車場からの入り口からのお客様の流入が多ければ、そちらの方にVPを向けましょう。

最後にもうひとつ。
ディスプレイをつくるときは、お客様目線でつくってください。
上記の場合なら、駐車場から来るお客様の目を意識してつくるということです。
そして出来上がったら、文字通り駐車場の入り口に立ってみて、だんだんディスプレイに近づいてみてください。

そして「これなら気持ちよくみられる」と思ったところでOKを出してください。
あなただけでなく、来店客もきっと気持ちいいはずです。

今日は、ディスプレイの構図についてでした。
ディスプレイに興味ある方は、ぜひディスプレイセミナーにお越しください。
3か月に1回やっています。

●売場づくりのディスプレイセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)