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日米のVMD用語

PP,IPと外国で言っても通じない

今回の話は、当社がなぜ「明快な言語でVMDを教える」ことを大事にしているのか、わかると思います。

●フレームワーキング(R)

まず、あるモノやコトと、言葉の結びつきには絶対性がなく、住んでいる地域や国、民族でバラバラということを紹介します。

蝶と蛾の違い

日本語にあってフランス語にない言葉と言えば、「蛾」ですよね。
フランス人は蝶と蛾を区別する言葉がなく、両方とも「papillon パピヨン」といいます。

日本人にはかなり衝撃だと思います。
蝶というと優雅な舞いが想像され、「蝶のように舞い、・・・」みたいに華麗な感じを想像します。

「蛾のように舞い、ハチのように刺す」だと、うーんなんか汚いな・・・という感じ。
でもフランス人にとって、蛾も蝶も同じなんです。

恋と愛の違い

今度は、恋と愛という言葉について。
日本人は、恋と愛を言葉で区別するのに、アメリカ人は恋も愛も「Love ラブ」
同じなんです。

恋と愛は同じじゃん、という認識は日本人には理解できません。
ちなみに「恋人」と「愛人」はすごく違うのに、米国は両方とも「lover」。

実は逆もあるんです。

イギリスはウサギが2種類

それはウサギ。
イギリスでは、「ウサギ」は明確に二つに分けられています。
それは、「Rabbit ラビット」と「Hare ヘア」

ラビットとヘアの違い、わかりますか。
ラビットは穴を掘って集団生活する、おとなしく人に馴れやすい動物。
だからペットにしやすい。
ヘアはラビットより耳が長くて耳の先端が黒い。後足はヘアの方が長い。

うーん、我々にとってウサギはウサギだから、足や耳はいちいち見ないんです。
でも、確かにアリスに出てくるウサギや、ピーターラビットは穴を掘るからやっぱラビットなんでしょうね。

と思ったら、「不思議な国のアリス」に出てくるウサギは、最初に出てきて穴に落ちるウサギはラビットで、お茶会に出てくるウサギはヘアということでした。

わ・わからない・・・・。
どっちもウサギなのに。

確かに、オーストラリアに行ったときに、カンガルーを見たんですが、あっちだと、カンガルーとワラビーを使い分けているようでした。
ワラビーと言うと、靴しか思い浮かばないんですが・・・。

PPとIPの話

と、すごく長い前置きでしたが、VMD用語も同じで、PP,IPを区別しているのは日本人だけなんです。

そう、外国人にVPは通用しても、PP,IPは通用しないんです。
昨年お会いした、イギリスで長年VMDを勤めていた人も言っていました。
「そうなんだよね。イギリスにはPPもIPもないんだよね、ディスプレイは全部VPだもの」とうなづいていました。

実際、VMDの海外マニュアルや英語の文献を読んでも、PPやIPは出て来ないんです。
どうやら、Visual Presentationという英語は全般的なディスプレイを指しますが、PP(Point Presentation)やIP(Item Presentation)に相当する言葉はないようです。

私の感覚では、

PPは「フォーカルポイント focal point」や「アウトフィッティング outfitting」が近いかな、と思います。
フォーカルポイントは「空間の中で目立つところ」、アウトフィッティングは「服をコーディネートして見せること」を言うので、PPの代わりの語だと解釈してもいいかもしれません。

問題はIP。
IPは日本語では陳列という認識ですが、そもそも陳列という言葉が英語にありません
陳列と言う言葉を辞書で引くと、「Display」になってしまいます。

うーん、日本人は陳列とディスプレイは別もんなのですが、外国人に取ってIPもPPもVPもディスプレイになってしまいます。
Displayという言葉はあるので、ディスプレイを外国人が格好よく言う言葉がVisual Presentationなのでしょう。

おっと、ここでまたまた訂正!!
外国ではVMDと言わず、VMと言うんでした。
外国人にVMDと行っても通じないです。
そもそもVMDは和製用語ですから。

日本ではMDという言葉がマーチャンダイジングの短縮語として定着したので、それにV(ビジュアル)をくっつけてVMDにした・・・と言うのが定説になっています。
そもそも、外国ではMDと言うと、「品揃え」でなく「医学博士」になってしまいます。
Doctor of Medicinの意味です。
ややこしいですね。

なぜ、和製VMD用語が多いのか?

日本の流通はアメリカをお手本にして、VMDを輸入してきましたが、繊細な日本人はさらにVMD用語をつくって、細かく売場づくりを規制した・・・と言えます。
和製VMD用語を見てみましょう。

・リモデル remodel
 →お店をコンセプトから変えること。
 →アメリカでは、「改築」という意味でVMD用語ではない。
・リバイス revise
 →売場を短時間で編集すること。
 →アメリカでは、「本を修正する」という意味でVMD用語ではない。
・オーケストレーション orchestration
 →壁面の全体ディスプレイ
 →アメリカでは、「楽隊の配置計画」という意味でVMD用語ではない。
ハーモニゼーション harminization
 →棚の陳列に調子を加えること。
 →アメリカでは、「曲の旋律に和音を加える」という意味でVMD用語ではない。

美術用語から来ているVMD用語も多い

本来は絵画の用語ですが、それをVMDに応用している用語も多く、下記が代表格です。

・三角構成 triangle
 →絵の中で、人やモノ・風景の配置を三角形にすること
 →VMDでは、展示物や陳列物を三角形にすること。
・ネガティブスペース negative space
 →絵の中で、人物やモノが置かれていない空間。
 →VMDでは、何も置かない空間のこと。
・つなぎ rinking
 →絵の中で、人やモノを何かでつないで一体感をつくること。
 →VMDでは、ガーランド等で商品と商品をつなぐこと。
・群化 tight
 →絵の中で、人やモノを固めること。
 →VMDでは、商品を集めてタイトに陳列、またはタイトに展示すること。

これらを見ると、やっぱVMDって美術とリンクしているんだなと言うのがわかります。

そもそも用語って、あるモノ・コトを恣意的に言葉と結び付けて他と区別し、わかりやすくしているものなんです。
これは言語学者のソシュールが言った言葉なんですが。

なので、日本人にとってはVP・PP・IPという言葉をつくって、ディスプレイを恣意的に区別していると言えましょう。

ただし、これはアパレル店舗の話。
コンビニやドラッグストア、家電店でVP・PP・IPをつくることは難しいと思います。
だって、IPしかありませんからね。(笑)
その場合、IPを「陳列」、PP,VPを「展示」と言い換えるとよいです。
IP中心なのに無理にVP,PPを設置しなくてもよいです。

ちなみに当社のVMD用語辞典は下記をクリック。
全国のVMD担当者の皆さん、ぜひVMD用語、身に着けてください。~

(vmd-i協会事務局)

瞬殺!!VMD5秒トレーニング で売場づくりを鍛える

瞬殺!!VMD5秒トレーニングについてお話します。
これ、VMDのゲームみたいなもので、去年からわが社で
取り入れている研修コンテンツです。

瞬殺というのは、サッカーに例えるとサドンデスみたいなものです。
点が入るとゲームセット!!っていうやつですね。

同じように、5秒で売場のどこが悪いか言えないと失格!!
というやつです。

これ、受講生にけっこうウケていて、楽しいっていう人も多いです。
VMDインストラクターの方はぜひやってくださいね。

ご存知の通り、VMDインストラクターは、55のフレームワーク
という引き出しがあって、売場づくりを指導する際に、
それをいかんなく発揮しています。
つまり、売場づくりの欠点を瞬時に見抜き、頭の中の引き出しに
収納しているフレームワーク用語を使って、売場スタッフに
指導します。

フレームワーク用語があると、抽象的な言葉ではなく、詳細で正確な
指導ができるというわけで、VMDインストラクターの武器になっています。

例えば、壁面の陳列状態を見て、
●IPとPPのメリハリ
●フェイシング
●くくり
●カラーライゼーション
などの用語がポンポン頭の中の引き出しから飛び出て来る・・・
というわけです。

それを現場スタッフに伝えればいいのです。

もちろん、売場スタッフにVMD習熟度がない場合は、やさしい言葉に
置き換えて指導しますが、ある程度VMD教育がなされている売場は
これら専門用語で十分通用します。

これを写真でやるのが、瞬殺!!VMDトレーニングなんです。
やり方は下記です。

  1. 直しがいのある売場の写真をひとつスライドに出す。
  2. 「どこを直せばいい? 5秒見てから、なるべくフレームワーク用語で言って」
    と講師は言う。
  3. 講師は5秒、声に出してカウントする。
  4. 受講生はまずフレームワーク用語を言ってから、直し方の詳細を言う。
  5. 講師はそれを聞いて正す。

こんな感じ。
特に4がおもしろいです。
受講生は、「ええっと」とか言いながら、
「くくりが不鮮明ですね」と言い、
「紅茶売場のくくりがわからないので、どこがアッサムでダージリンなのか
カタマリをつくって、カタマリとカタマリの間に
ネガティブスペース10cmほど空けるといいですね」
などと言えば、瞬殺は勝利!!

「次はPOP編集が違うかな・・・」
「というのは、プライスカードと商品説明POPが混ざり合って、
どの商品を指しているのか、わからないので」
「プライスカードは商品のカタマリの真ん中に設置、
商品説明POPは、カタマリの左側に立てます」

などと言えば、瞬殺は受講生の勝利!!です。
(ここまで言えると一級モノです)

これ、最近のVMD初心者研修でもやり始めていて、
自分たちの売場の写真を瞬殺!!トレーニングに使うと、
「あー、やられたなー」みたいに現場スタッフは納得してくれます。

そして、研修終わった後も、受講生が
「ネガティブスペース!!」
「PPとIP!!」
「リピテーション!!」
と口ずさみながら暗唱している風景を見ます。

こういう初めての用語を自在に使えると言うことは、
受講生にとっておもしろいんです。
用語は専門用語なので、研修のやった~!!感も醸成できます。

確かに、「専門用語覚えても、意味はない」とおっしゃる方も
いると思います。

しかし、専門用語を覚えると、生徒はわかった気になり、
専門用語を現場で口ずさむことによって、いつまでもフレームワークを
覚えてくれます。
さらに、本部やスタッフ同士のいつもの会話の中に入れていただくと
効果が増し、売場はVMDがキープされた状態を続けることができます。

たかが専門用語、されど専門用語。
そもそも専門用語がないと、VMDだけでなく釣りもヨガも上達しません。

VMDインストラクターの皆さん、ぜひVMD研修で
瞬殺!!VMD5秒トレーニング やってくださいね。(^^)

ちなみに、瞬殺は当社のメソッド「フレームワーキング」が
ベースとなっています。

●フレームワーキング

(vmd-i協会事務局)

専門性を高めるためには、VMD用語を使おう

業界には、さまざまな専門用語が飛び交います。
マーケティング用語や広告用語などから、医学用語、法律用語、金融用語などの専門分野に至るまでさまざまです。

趣味の分野でも、ワインやフランス料理、ルアーフィッシングや園芸まで多種多様に専門用語は使われています。

専門用語の利点は、グループ内で正確に短時間で意思の疎通がしやすいということが上げられます。

医療ドラマの手術シーンで医師が何か難しいことを言っていますが、視聴者にとっては意味が分からなくても、手術スタッフたちには正確に意味が伝わっています。
専門用語はその道に傾倒している人たち、つまりプロにはとても便利なコミュニケーションツールになっているのです。

ただし、プロはグループ外の第三者に何かを伝えるときは、用語をかみ砕いて伝えなくてはいけません。
例えば、患者の家族に術後を伝えるにしても、用語をそのまま用いてはチンプンカンプンです。
そこで、誰でもわかる優しい言葉に訳して伝えるという作業が入ります。
グループとは、ここでは医療チームを指しますが、それが社内、部内、業界内、学校内というように、立ち位置は変わります。

あなたが1時間VMDセミナーをするとします。
それが一般初心者向けセミナーの場合は、なるべくVMD用語は優しい言葉に置き換えた方がよいです。
用語使用は最小限にしないと、それを解説するのに時間がかかるからです。

売場塾のように継続的に授業を受ける場合や、社内にVMDチームをつくりプロを育てていく場合は、
用語を使っていった方が、早く正確に業務をこなすことができ、グループもプロ化します。

現場コンサルの場合も同様で、店舗スタッフがVMDを知らない場合は、優しい言葉に置き換えます。
ただし、店舗スタッフをプロ化していく場合は、徐々に用語使用頻度を上げていきます。

さて、この正月三が日私はフランス料理の本を読んでいますが、けっこうフランス料理用語、難しいです。
例えば、「下ごしらえした後、フォン・ブランで煮出し、バターでモンテする」ってなんだかわかりますか?

(vmd-i協会事務局)