店舗デザイン」タグアーカイブ

店舗ブランディングとは

店舗ブランディングその1/ 店舗形態を知ろう

1.店舗ブランドとは

小売店の方はどんな人も、どこかのブランドに所属していると思います。
今日は店舗ブランドの話をします。

店舗ブランドとはなんでしょう。
みなさんが思いつくのは、グッチやルイ・ヴィトンといった、百貨店や銀座通りにある、欧米の有名なブランド店舗だと思います。

確かにそうですが、高くて高価なものを売っている店がブランドというわけではありません。
セブンイレブン」もブランドですし、マツキヨもブランドです。
「おかしのまちおか」もブランドだし、「はせがわ酒店」もブランドです。

もっと言うと、私の故郷富士宮市にある「ハトヤ」もブランドだし、「芙蓉堂(ふようどう)」もブランドです。
ハトヤは玩具店で、芙蓉堂は文具店です。
(残念ながら、ハトヤは昨年閉店してしまいました)

店舗ブランドは、店構えが豪華ということでもありません。
倉庫のような雑多な店もありますし、段ボールを積み上げただけの店もあります。
ディーンアンドデルーカでさえ、什器はエレクターのような、物置に使うようなデザインのものを使っている店舗もあります。

店舗ブランドを定義すると、下記になります。

●生活者の心の中に定着した店舗の特定イメージ

「マツモトキヨシ」
「ABCマート」
「伊勢丹」
「セブンイレブン」
「カインズ」

みんなが知っている上記店舗をイメージしてみてください。
心の中に何かが沸き起こったと思います。

店内所せましと並べられた商品群かもしれません。
ウインドウにずらりと並べられたマネキンかもしれません。
靴の調子を見てくれた店員の笑顔かもしれません。

それが店舗ブランドイメージというものです。
特にチェーン展開している店は、詳しい店舗デザインや接客のトーンアンドマナーが確立されているので、基本的には全国津々浦々どこの店舗に行っても、同様のイメージを受けると思います。

北海道のユニクロはいいけど、沖縄はダメ、ということはないと思います。
(VMD専門家としてのミクロの視点では東京のMDPはどこよりもいいとは思いますが)

さらに具体的に言うと、ブランドイメージは店舗コンセプトを土台にしています。
店舗コンセプトとは「どんな店なのか」を表す言葉なのです。
これを話すと長くなるので、別の機会にお教えします。

今回は、店舗ブランド業態を見ていきます。

2.メーカーブランドと小売ブランド

店舗ブランドに関しては、店を構え、いろいろなメーカー・卸から商品を仕入れ、店頭に並べる小売ブランドがあります。
代表的な小売りチェーン店ブランドは下記です。

  • ドラッグストア・・・マツキヨ、スギ薬局、アインズ&トルペ
  • 百貨店・・・三越、伊勢丹、高島屋、阪急
  • ホームセンター・・・カインズ、島忠、DCM、ジョイフル本田
  • 書店・・・蔦屋書店、丸善書店、三省堂、ジュンク堂
  • コンビニ・・・セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート
  • 家電店・・・ヤマダ電機、ビックカメラ、ケーズデンキ、ヨドバシカメラ

しかし、日本には古くからメーカー系列店というものがありました。
これはメーカーが確立した小売店チェーン形態で、直接メーカーが経営していないものの、VMDを含めた、販促支援、販売支援、経営支援、商品ケアを行っていました。
電気店でいうと、下記のような店舗ブランドになります。

  • 松下電器・・・ナショナルショップ
  • 日立・・・日立チェーンストール
  • 東芝・・・東芝ストアー
  • 三洋電機・・・サンヨー薔薇チェーン
  • ソニー・・・ソニーショップ/ソニー特約店

昭和時代から続くこのブランド店舗、サンヨー薔薇チェーン以外は生き残っています。
ものづくり立国の日本のメーカーが小売業界で強い地位を占め、売場づくりまでを主導するという、メーカー系列店方式はまだ健在でした。

「あなたの街の電気屋さん」なるメーカー系列店において、顧客は以下のメリットがあります。

  • 購入相談
  • 配送
  • 設置
  • 使い方説明
  • 修理
  • 買い替え
  • 住宅設備相談
深沢泰秀電気商会

街の電気屋さんは、ほとんど地域の商店が経営している個店です。
しかし深沢電気店、奥田電気店という個人店のブランド店舗なく、写真のようにほとんどかメーカーブランドに依拠していました。
店の「看板」は文字通りメーカーが握っていたのです。

カメラ店などがわかりやすいと思います。
今でもある街のカメラ屋さんは昭和レトロたっぷりの下記のような店が存在しています。
「イワモトカメラ」と看板は掲げているものの、ほとんどフジカラーのお店ですね。

イワモトカメラ外観

同じように、昭和当時の小売店は、スポーツ店もパン店も個人ブランドではなくて、ブランディングはメーカーに大いに頼っていたのです。
詳しくはスポーツメーカー、ミズノのVMDインストラクターに取材した記事を参考にどうぞ。
●メーカーのブランディング戦略

実は売場塾を受講する生徒は、今でもこうした系列店・特約店向きのVMD指南をしているメーカーの方は多いです。
私が広告代理店に勤務していたころは、このような小売店支援を「ディーラーヘルプ」と言ってました。
メーカーのVMDインストラクターは、下記のディーラーヘルプ業務をしています。

  • 店舗コンセプト設定
  • 店舗デザイン
  • 什器デザイン
  • 展示・陳列指導
  • ゾーニング・導線
  • 店内体験の企画
  • POP等店内ツール作成
  • 広告トーンアンドマナー設定

こうしたメーカーの小売店向けVMD活動は、下記も参考になります。
直接売場塾卒業生に取材しています。

●カシオ計算機VMDの小売店VMD支援と直営店
●シャルマンVMDのメガネ店VMD支援
●クロバーVMDの手芸店支援

いかがですか?
昭和時代のメーカーVMDは系列店に看板やPOPを取り付けるのが主な業務でしたが、令和時代のメーカーVMDの業務は店舗ブランディングまで多岐に渡ることがわかります。
メーカー系列店で有名な店舗ブランドは下記です。
今後はさらに進んで、メーカー・小売り協業型の店舗が増えていくことでしょう。

  • アヴェダ →ヘアサロンは「店名+AVEDA」ブランドに統一
  • 山崎製パン →パン店は「ヤマザキショップ」「ディリーヤマザキ」ブランドに統一
  • アルビオン →化粧品店を「ALBION DRESSER」「ATELIER ALBION」ブランドに統一

3.時代はインショップブランドに

そんなわけで、商店街のイワモトカメラ店も高田化粧品店もメーカーからブランディング支援を受けながら、ともに成長してきたのです。

ところが、現在は専門店・量販店の群雄割拠時代です。
メーカー系列の電気店というよりも、ヤマダ電機、ビックカメラといった家電量販店が、メーカー系列の化粧品店というよりも、マツモトキヨシ、ウエルシアといったドラッグストアが業界を席巻するようになりました。

もちろんメーカーは、そんな量販店に商品を卸していますが、系列店と同じようなアプローチではありません。
ヤマダ電機の袖看板に「パナソニック」と謳うことはできません。
ヨドバシカメラにしても外観にある多数の広告看板の一部としか自らのブランドを謳えないのです。

ヨドバシカメラアキバ店

では現在、メーカはどのように自社ブランディングを店舗で行っているのか?
結果はショップインショップ・ブランディングでした。

ビックカメラやヨドバシカメラに行ってみてください。
ライカ、アップル、BOZE、ReFa、ダイソンの売場は、競合他社と違うことがわかります。
それは店内店、つまりショップインショップとなっていて、家電店フロアの中に自社店舗があるように、売場をブランド化しているんです。

典型的なのが、アップルの売場でしょう。
写真のように、家電フロアの中にアップストアがすっぽりはまっています。

アップルストア インショップ

狭いフロアの売場でも、下記のように什器と背面パネルで、同業他社の売場と差別化しています。

アップルの売場 ノジマ

このような売場表現をグランドプレゼンテーションと名付けています。
差別化できる、メーカー店内店の空間デザインをいいます。
詳しくは下記を参照ください。

●VMDでイベントブース・販促ブースに客を集める


ではなぜ、メーカーは自社売場をインショップ化した方がいいのか?
それは量販店内での他メーカーとのポジションを1ランク上に設定できるからです。

上図を見てください。
あなたはオーバルノートというパソコンメーカーです。
家電フロアには、「パソコン」というゾーンがあり、「ノートパソコン」というカテゴリーがあります。

ノートパソコンを買うお客様は、「ノートパソコン」というカテゴリー売場にきて、AからGのブランドから好みの商品を選びます。
あなたの商品は他社と同じ土俵に置かれていて、ブランド認知、価格、デザイン、機能、用途、あるいは接客を通じて吟味されながら、選ばれます。
つまり、カテゴリー内競争にさらされています。

ところが、一たびカテゴリーから抜け出して、ショップインショップとして売場をつくれば、あなたのブランドはポジションが一気にカテゴリーと同等かそれ以上に抜きん出ます。
それが図の右側です。

図左側では「ノートパソコン」というカテゴリーから「Oval NOTE」というブランドを選択することになっていて、あなたは常に競合にさらされているレッドオーシャン状態です。

しかし図右側では、競合に対して1ランク優位にブルーオーシャン状態になっています。
当然、あなたのブランドがマーケティング戦略において優位なら、「Oval NOTE」インショップがさらに人を集めることができますし、ブランド認知がそれほどなくても、客は興味を引き、売場に近づいてくれます。
インショップブランドになれば、カテゴリーと同等かそれ以上の地位をフロア内で占めているのが、お客様の見た目でわかるからです。
しかも、その売場には、貴社製品しかないのです。

後は、ここに来てくれたお客様をがっかりさせなければOK。
VMDを活用をすれば最大限の買い上げ率を確保してくれます。

同じように、GMSの玩具フロアで有利に立ちたいタカラトミーは、「プラレール」や「トミカ」のショップインショップを立ち上げています。
電車の玩具ブランド、自動車の玩具ブランドとして他社をさらに引き離しています。

プラレール売場
トミカ売場

ということで、街の個店自体をメーカーブランドにする時代から、量販店・専門店内にメーカーブランド店舗をつくる時代に移行してきたのです。

4.商店の店舗ブランドディングのこれから

主戦場が量販店・専門店に移った昨今、地域のお店はどのようにブランド展開をしなければいけないのか?

わかりやすくカメラ店の例でお話しします。
前述したように、カメラ店はカメラやフィルムメーカーのブランディングの代理になっていました。

メーカーにあまり頼らない時代の個店店舗ブランディングは、コンセプトから見直さなければいけません。
つまり「どんな店を目指すか」の問いから始めなければいけません。

参考になるのが、自由が丘のポパイカメラです。
従来の「カメラ店」ではなく「写真を楽しむ店」というポジションになっており、木製什器、写真、フォトフレーム、アルバム、雑貨などを組み合わせ、ライフスタイルショップに近い空間をつくっています。
●ポパイカメラ

街のカメラ店というと、親切丁寧に接してくれて、写真の撮り方やスポットを教えてくれる、いつでも相談にのってくれるイメージがあります。
これをディープにしたのがポパイカメラということでしょう。

以前私がお世話になったコメ兵さんのカメラ部門でも、それに近いようなコンセプトでリモデルを果たしました。
●株式会社コメ兵様VMD導入事例

同様に、釣具チェーン店は上州屋やイシグロなど量販店が跋扈していますが、地域の釣具店は生き残っています。
これも、店が地域の漁場をよく知っていて、スポットに合わせた釣り方や道具の選び方を親身になって教えてくれる、ポパイカメラのような存在になってるからでしょう。
広い品揃えよりも、専門部分をディープに深堀したプロショップみたいな店が生き残っていくのではないかと思います。

手芸店や文具店、酒店なども、商品 + 情報 + 店員の経験 + コミュニティといった具合に、量販店ではできないポジショニングを設定していけば、量販に伍すことができるでしょう。

問題は「快場」
これ、伸びしろがありそうです。
店内の整理整頓から始めた方がいいかな、という店をよく見ます。
予算がなくても、什器移動してのゾーニングや導線の確保、展示や陳列の改善などは予算ゼロでもできますので、すぐに実行した方がよいです。

ぜひ、地域で愛される一番店を維持するために、VMDを学びに来てくださいね。
みっちり地域一番店をキープする「快場づくり」をお教えします。

まずは毎月開催してるオンラインVMDセミナーでお会いしましょう。
今月は、8月27日(木)開催です。
●センスアップセミナー「POP活用体系」

なお、このブログは続きがあります。
「店舗ブランディングその2/ カテゴリードライブとアートドライブ店舗」に続きます。
お楽しみに!!

(VMDインストラクター協会事務局)

美的形式原理をディスプレイに応用しよう

なぜ、みなさんはこのディスプレイはきれいだ。
このディスプレイは美しい、と思うのでしょうか。

きれいなものには法則がありました。
それが美的原理というものです。

美的形式原理は下記の7つの法則があります。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

どの言葉もなじみがあると思います。
そう、売場塾の授業でよく出てくる言葉だからです。

ハーモニーは、ハーモニゼーションのところで出てくる等間隔陳列、ウエーブ陳列が思い起こされます。

バランスは、オーケストレーション自体がそうです。
壁面の集合ディスプレイのバランス加減でよくも悪くもなります。

プロポーションとは、黄金比、三分割比、ラバットメントパターンなどかあり、絵画でよく使われている法則ですが、ディスプレイでも使えます。

コントラストとグラデーションは、色の授業で出てきました。
リズムに関してはリピテーションがその代表と言えましょう。

美的形式原理はディスプレイだけでなく、店舗デザインやPOPでも使えます。
一度、美術の本を紐解いてこの原理を深く学ぶのもよいですね。
または当社ディスプレイ指導講座でみっちり鍛えています~。

●売場塾 ディスプレイ指導講座

(vmd-i協会事務局)

自店の店舗デザインはどうあるべきか

デザインとは何でしょう。ウィキペディアでは次のように定義しています。
「ある物事について、それを真に理解し、ふさわしい姿を与える。そのとき顕れた美しみを、人々はdesignと称する。」

これを、A店を新装する場合に置き換えてみましょう。
「新装するA店舗において、それを真に理解し、ふさわしい姿を考える。その結果、新しくできたA店舗表現を、人々は店舗designと称する。」
こんな感じだと思います

さて、「A店にふさわしい姿」とは何でしょうか?
ふさわしい店舗の姿というのは、店舗ブランドによって違います。
ユニクロのふさわしい姿は無印良品とは違い、スターバックスのふさわしい姿はドトールコーヒーとは違います。

ユニクロは色とりどりのにぎやかな姿であり、無印良品はシンプルでナチュラルな姿です。
スターバックスはモダンで落ち着く姿ですが、ドトールはさっと入ってさっと出るピットインのような姿です。
だから小売店を営んでいるあなたは、自店のふさわしい姿とは何か?から店舗デザインを考えなければいけないのです。

よく見る有名店舗のデザインを模倣しても仕方がありません。
そのような行為はあなたのお店の顧客を遠ざけるでしょう。
今回は、自店の店舗デザインをどうやって決めるか、お教えします。
それによって、店舗デザインを施工会社に丸投げする常態から脱却できるのです。

さて、VMDとはビジュアルマーチャンダイジングの略で、直訳すると「品揃えを視覚化する」ノウハウです。
実はVMDにおける店舗デザインは、通常思いつく建築デザインよりも定義が広いんです。
店頭・床・壁・天井・什器のデザインだけではない、下記の4分野のデザインを担います。

  1. ショップデザイン分野 →店頭・床・壁・天井・什器・照明など、店の構造物全般
  2. マーチャンダイジング分野 →商品のパッケージデザイン・包装紙・ショッピングバッグ、場合によってはプロダクツデザインそのもの。商品に関わるもの全般
  3. ディスプレイ分野 →マネキンや展示台などのディスプレイ用品、花や壺などの装飾品、ウインドウディスプレイ、商品群の佇まいなど、展示・陳列全般
  4. ロモーション分野 →ポスターや値札などのPOP、ビジョン、テーブルの腰巻・柱巻、バルーンなどの販促ツール全般

早い話が、店舗にやってくるお客様が見るものすべて、と考えていただければ。
したがって店員のユニフォーム、店員そのものも店舗デザインの一部であり、ここではプロモーション分野に入ります。
VMDを知ることによって、店舗デザインの監修ができる。自店にふさわしいデザインを決めることができるのです。

次に、店はコンセプトでできていることをお話しします。

店舗をハコです。
お客様はハコに買い物にやってきます。
そのハコのデザインを買い物しながら体感するのです。
床・壁・天井という構造物ひとつひとつに感心するわけではありません。
ハコの中の雰囲気を体感するのです。
きれいなパッケージの商品がたくさん並んでいる佇まい。
手書きPOPが林立している賑わい。
品のある店員の立ち振る舞いとユニフォーム。
これら目に見えるすべてのデザインが、場の雰囲気としてお客様に感動を与えているのです。

では、自店のハコのデザインをどうやって決めればいいか?
ズバリ店舗コンセプトを決めればよいです。
「わが店舗はどんな店舗なのか」という概念を言葉にしたもの、それが店舗コンセプトです。
あなたが店の経営者、バイヤー、SV、店長、店員、販促担当、商品開発担当という店舗に関わりのある方なら、店舗コンセプトを決めるのは必須です。

例えば、スターバックスは「第三の場所」という店舗コンセプトがあります。
家でも職場でもない第三のリラックスできる場所である、という意味です。
だから、店内は落ち着いたたたずまいになっているはずです。
ダークトーンの木のイスとテーブル、照度を落とした照明、漆喰の壁、そこに掲げられている絵画、そしてバリスタの威勢のいい声。目に見えるものすべてが第三の場所としてふさわしいデザインになっています。

このようにコンセプトは店舗デザインを決める考え方のもとになっているのです。
ほとんどのブランドショップにはコンセプトがあります。

例えば下記です。

  • SHIPS DAYSのコンセプト「眺めのいい日々と、居ごこちのいい服」
  • フランフランのコンセプト「好きな「いろ」で生きよう。笑おう。」
  • アフタヌーンティのコンセプト「spice of a day」

このコンセプトをテイスト、そしてトーンアンドマナーに意訳する作業をしましょう。
店舗コンセプトが決まれば、あとはそれをもとに前出の4分野のデザインに落とし込めばよいです。

ですが店舗コンセプトをそのまま業社に言っても伝わりません。
ここでクエスチョン!
例えば、あなたがPOP制作を外注するとします。

どのようにしたらよいか。下記からひとつ選んでみてください。

  1. なるべく優秀なデザイナーにデザインを丸投げする
  2. トーンアンドマナーをしっかりデザイナーに提示し監修する
  3. いつもの施工会社に頼んで店舗デザインに沿ったPOPを作成してもらう

答えは2です。

そう、トーンアンドマナーをデザイナーに提示しなくてはいけないのです。
トーンアンドマナーとはデザインのルールのことです。

「うちのコンセプトは「第三の場所」だからそのようなデザインにしてほしい」とPOPデザイナーに言っても伝わりません。
トーンアンドマナーを伝えないと店にふさわしい姿のPOPにはならないのです。

一番上の図を見てください。
これは店舗(ハコ)の構成要素です。
まずハコの左外の「デザインテイスト」に注目してください。
デザインテイストとは次のようなものです。

お客様は買い物をして出るまで店内で短時間を過ごします。
店内で目にするものはPOPだけでなく、商品だったり什器だったり壁紙だったりします。
スタッフも目にするし、テーブルのディスプレイも目にします。
この時、テイストというお客様の感じ方があり、「自然でナチュラル」「クールでモダン」「元気でにぎやか」「フレッシュでみずみずしい」などお店によっていろいろな感じをお客様は受けています。
これを司っているのがデザインテイストであり、デザインテイストはお客様の目に見えるすべてのものが発している感じや気持ちのことです。
その「感じ」をお客様は五感でハッシ!と受け止めるわけなのです。

チェーン展開しているあなたのブランド店舗もテイストを決めなければいけません。
それが空間ブランディングという行為で、同じ店なのに一方は都会的で一方は田舎っぽいとなると、妙な感じになります。
ブランドの世界観はないに等しいです。
無印良品やユニクロはどこに行っても世界観は一緒であるように、あなたのお店のデザインテイストは規格化しなければいけないのです。

VMDインストラクターはブランド空間の監修役なので、チェーン店全体のデザインテイストを統一して保つ役目を担っています。
チェーン店においては、POPはPOPデザイナー、商品はプロダクツデザイナー、床・壁・天井は店舗デザイナーなどと役割分担されています。
ところがデザインにルールがなくて、各デザイナーが好きなようにそれぞれ作ってしまったら、店内はいろいろなデザインでごった煮になるのです。
そうなると、お客様にとってどの店に行ってもテイストが違うため、店のブランド感はなくなり、よろず屋で買い物している感覚になってしまいます。
そうならないために、VMDの専門家はデザイナーにきちんとオリエンしなければいけないし、監修しなければいけません。
まずはあなたの店舗のデザインテイストを設定し、トーンアンドマナーを決めましょう。

最後に、トーンアンドマナー事例についておはなしします。
「屋根裏部屋のような秘密基地」とか「離島の人のいない自然観」とか「重厚で伝統的だがモダン」のような表現と模写でストーリーボードをつくり、デザインテイストをデザイナーに提示できるようにすします。
その上で、下記をチェックする。

「離島の人のいない自然観」の場合では、

  • 「離島の人のいない自然観」テイストが什器デザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがPOPデザインに表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストが定数・定量に表れているか。
  • 「離島の人のいない自然観」テイストがディスプレイに表れているかどうか。

POPひとつとっても、「離島の人のいない自然観」テイストの下、書体はどうあるべきか、レイアウトはどうあるべきか、POP用具はどんなものがよいのか、考える必要があります。

POPデザイナーにデザイン発注してできたデザインを校正する場合は、デザインがトーンアンドマナーに沿っているかチェックします。

施工会社の設計士と改装について打ち合わせするときは、壁紙の柄、照明の明るさ、什器のデザイン、床のパターンがトーンアンドマナーに即しているのか監修しなければいけません。
これを「トーンアンドマナーのフィルターを通してデザインを見る」といい、店内デザイン物を精査する際、このフィルターを通します。

だいたいわかりましたでしょうか、あなたの店のデザインの決め方。
「どんなお店にするか」明確化するコンセプトが決まらないと、デザインテイストも決まらず、トーンアンドマナーもつくることができないのです。

もしあなたの店舗にコンセプトがなかったら、まずはとりあえずでいいのでコンセプトを決めましょう。
でないと、「私はモダンなデザインが好きだから、こんな什器にする」みたいに経営者の好みで決めることになりかねません。

もしあなたの会社にVMD担当がいないのならば、担当を育成しましょう。
店のデザインの指南役をつくるのです。
担当はVMD知識に加えてデザインセンスを身につけ、設計図面を読めたり、コピーを書けたり、色のコーディネート術を身に着けたりと、デザインについての知識やスキルは磨いた方がよいです。
でないとデザイナーや設計者と会話できないどころか、デザイン丸投げになってしまうからです。
またそのような人材育成の余裕がない場合は、VMDインストラクターという職業人がいるので利用してほしいです。
文字通り、あなたのお店のデザインを教えてくれます。

(vmd-i協会事務局)

ブランド店舗の世界観演出の仕方

お店や売場でのブランドの世界観演出についてお話しします。

世界観とは、ブランドイメージを下記の空間要素で表現するものです。
佇まいは鉛直面が大きくないと訴求するのが難しいのですが、メーカーや卸などコーナー展開やエンド展開 しか許容されていない流通業者もあります。
その場合は、什器やPOP、装飾用品などのディスプレイ用品を駆使して世界観をつくるしかありません。

まずはお店のハード面から。
大道具による世界観演出から見ていきます。
ポイントは下記です。

 

  • 天井
  • 什器

 

ひとつひとつ解説していきます。

●床
全体照明が直接反射する面ですので、壁と天井と共に世界観を表現する重要な3大要素のひとつです。
パネルやタイル、カーペットなど様々な製品が建築メーカーから出てますし、既製品を加工してオリジナルなデザインにすることも可能です。
また、床シートも一般的になり、POPや床の模様として重宝されています。

●壁
壁は鉛直面なので、来店客の視線に自然と入ります。
最強の世界観表現要素といっていいでしょう。
壁面用照明、ウォールウオッシャーをつければ、遠くからも目立ちます。
カウンター後ろでは屋号を付けることが多く、ブランド観を決定づけます。
壁紙やパネル、タイル、シートなど様々な製品が各メーカーから出ており、加工もできますので、世界観に最適なものを選びましょう。

●天井
天井方向の目線は、サイン、POPの他に照明や天井のデザインを捉えます。
空間の解放感は、天井と什器の高さのバランス、照度、POP類の数量によって左右されます。
ダウンライト・ペンダントライトなどの照明、オープン天井・ 幕天井などの形態、廻縁や野縁の意匠性、壁紙やパネルなどのデザインパターンや素材によって、世界観は七変化します。

●柱
平場は壁がない場合も多いので、柱ほど貴重なものはありません。
壁と同じく、PPだけでなく、サインやPOPを設置することができます。
壁紙が禁止の柱でもPOPを使用し柱ぐるりを意匠化することもできます。
また、小さい柱の場合は、柱自体を床・壁・天井に次ぐショップデザインの一部にする方法もあります。

●什器
什器メーカーの既製品は、ほとんどがオリジナルデザインに加工できます。
素材もスチール、アクリル、 木材、合成樹脂など多彩です。
意匠にこだわる場合は、図面を引いて色・形・サイズ・ 素材・機能などをブランドのトーンアンドマナーに合わせるとよいでしょう。

以上です。
(vmd-i協会事務局長)

施工会社への店舗デザイン発注方式

あなたが、商業施設に入居しているテナントの本部VMD担当だとしましょう。
あなたのショップデザイン能力で、3つの発注スタイルが存在します。

それは、

  • ゼネコン方式
  • コストオン方式
  • 分別発注方式

この3つです。

必凸一つ解説します。

■ゼネコン方式
ゼネコン会社とは、施工会社、建築メーカー、内装業社、マネキンメーカー等いろいろ存在します。
設計から施工まで丸投げでき、一括決済できますが、コストが高くなります。設計・施工会社の担当者(営業) に依るところが多くなるので、担当者の出来・不出来で仕上がりに差が出ます。
販促・備品のような細かい対応ができないところも あります。

■コストオン方式
発注者が直接設計者と専門業者に発注するスタイル。
設計者とは監理契約を結び、設計の他に、業社の選定、素材、デザイン、仕上がりのクオリティ、安全性、商業施設への図面提供などをしていただきます。そのため、監理料が派生します。
専門業社とも直接やりとりする機会が多くなるので、こだわりのある方や業界知識に長けている方に向いています。
決済も直接やりとりするので、ゼネコン方式より安くなります。
ただ、打ち合わせが多くなるので、時間がかかります。

■分別発注方式
発注者が直接専門業者に発注するスタイル。
発注者自体に店舗デザイン能力がある方向きです。
発注者は、まず設計や意匠といったソフトの部分を重視して、設計者を選びます。
設計者からは実施設計図買取の形で、直接各種専門業者に発注します。
もちろん、設計者は建築素材・部材・デザイン・什器・備品の指定はします。
ただ、設計者は助言や書類提出のみなので、発注者は各専門業者と打ち合わせから監理までやらなければいけません。
コストはかかりませんが、時間がかかります。

わかりましたでしょうか、3つの発注方式。
ショップデザインは、店舗をつくる際に必要な能力です。
VMDインストラクターの方は、少なくとも図面は読めた方がいいです。
床・壁・天井のデザインや什器の仕様、素材やデザイン、安全性など、いろいろ監修するのが役目です。
施工会社に丸投げしたらダメですよ。
店舗デザインにこだわらないと、いいお店はできないですし、プランドの世界観演出に支障をきたします。

打ち合わせする業社は、設計会社、施工会社、内装会社、什器メーカー、電機・配線業社、サイン業社、マネキンメーカー、展示業社、販促・備品会社など。
これだけの人と渡り合わなければいけません。

VMDはショップデザイン、ディスプレイ、店頭販促、MD。
これら4つの基本構成で成り立っています。
VMD担当の皆さん、お店のデザイン監理がんばって下さいね。

(vmd-i協会事務局長)