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ディスプレイの演出性は物語から成り立つ

今回は、個性的なディスプレイをつくるための法則、その2演出性です。
個性的なディスプレイをつくる法則は3つあります。

●個性的なディスプレイ制作の3つの法則
1.審美性
2.演出生
3.創造性

その1の「審美性」については下記をクリックして復習してください。
●ディスプレイの審美性は美的形式原理から成り立つ

今回も、カフェテーブルと売場写真を交えてわかりやすくお話しします。
それでは行ってみましょう~。

 

1.ディスプレイの演出は、映画や舞台の演出と同じ

演出家という言葉を知っていると思います。
映画や舞台で言う監督のことです。

「スターウォーズ」の壮大な宇宙の物語を演出しているジョージルーカス。
「酒と涙とジキルとハイド」のクラシカルな研究室を舞台として、物語を演出している、三谷幸喜。
いずれも監督です。

監督は舞台だけでなく、役者はもちろんのこと、大道具・小道具、照明、効果、音楽、脚本などすべてを演出しているプロということになります。

美しい女性

上の写真を見てください。
美しい女性の写真です。
ただ、背景が白く、女性のファッションもわかりません。

これに演出を加えてみましょう。

森の中の女性

しい。まるで森の中の妖精ですね。

美しい田舎娘がシャボン玉を吹かしていて、手にカゴを持っています。
これから木の実を取りにいくのでしょうか?
そこで出会うのは、白馬の王子か、はたまた魔女か?
そんな予感がしてしまいます。

そうなんです。
演出というのはディスプレイに物語を感じさせることなんです。

ディスプレイは静的ですが、演出性を加えると、映画のフィルムの1コマのようなディスプレイになります。
つまり、物語から切り取られたような動的な存在に変わるんです。

2.演出性のあるディスプレイ カフェテーブル

単純なコーヒーシーン

演出性のあるディスプレイとはなにか。
例えば、上写真はコーヒーを飲んでいるシーンです。
リラックスして飲んでいる雰囲気は伝わりますが、演出性はありません。

あの人を想って

こちらはどうですか。
なにか物語性を感じませんか。

そう、可憐な乙女が恋しいあの人を想って、バラの花びらょ一枚一枚ちぎっているような・・・。
そんなストーリーを感じます。
この後、彼女はどうするのでしょう?
思い切って恋を打ち明けるか、それとも勇気がなくそのままなのか?
あるいは、その恋人もう死んでいるかもしれないですね・・・。

もうひとつ行きましょう。
こちらは黒猫ケーキをディスプレイしたカフェテーブル。

黒猫ディスプレイ

これにオカルト映画みたいな演出性を表現してみましょうか。
こんな感じ。

黒猫ディスプレイ八つ裂き

なんか怖いですよね。
蛾は飛んでいるし、芋虫はいるし、ぬるぬるのお化けもいます。

3.演出性のあるディスプレイ 街のディスプレイ

新宿伊勢丹のウインドウディスプレイ

これは新宿伊勢丹のウインドウ。
かなり前の写真で、いいなと思って撮影したものです。
これはもう、「不思議の国のアリス」って感じですね。
うさぎの穴から異世界に落ちしてしまい、バラ園にたどり着くシーンのようです。

ホテルハレクラニのリゾートがテーマのディスプレイ

これはハワイのバカンスで楽しんでいるようなシーン。
ワイキキのデパートのVPです。
ホテル「ハレクラニ」のプルーサイドでバカンスしているご婦人のようです。

こんな感じで、マネキンに服をコーディネートするだけでなく、商品の周りを演出すると、そこは舞台や映画の一コマに昇華します。
それがディスプレイの「演出性」というものです。

4 演出性を取り入れるにはどうすればよいか

ディスプレイに演出性を取り入れるためには、どうしたらよいのでしょうか?
それには下記の4要素が必要です。

●シーン設定
●プロップス
●シーナリー
●演出POP
●しぐさ

ひとつひとつ解説します。

●シーン設定

ディスプレイには、必ずテーマというものが必要です。
ドラマチックな演出をディスプレイに取り入れるには、「シチュエーション」というテーマが必要です。
アパレルでよく使うオケージョンと似ていますが、映画のシーン設定と考えてください。

例えば先ほどの例ですと、

・気が付いたら秘密の花園にいたアリス
・リゾートのプールサイドでカフェしている婦人

というような感じです。
通常のアパレル・オケージョンだと、「通勤」「花見」「アフターファイブ」みたいな言い方になると思いますが、具体的にどんなシチュエーションなのか、深く落とし込みます。

「通勤」→「今日から丸の内通勤ではりきる私」
「花見」→「女子会花見はスイーツ持ち込み会」
「アフターファイブ」→「アフターファイブのジム通い」

このくらい深く設定しないと、シーンに行きつかないからです。
シーン設定は、商品のコーディネートだけでなく、プロップスやPOPといったディスプレイ用品にも深くかかわります。

●プロップス

Propsは元々舞台用語で、小道具のことです。
舞台セットなどの大道具と違い、ランプや本、花瓶や時計など小物を指します。
ただし、舞台では椅子やテーブル、冷蔵庫やキャビネットなどの大きなものも小道具です。
それより大きな神輿や自動車やもすべて小道具と心得てください。

例えば、下の写真を見てください。
マネキンの服とテーブルの上の商品以外はすべて小道具になります。
クリスマスツリーやヒツジ、テーブルや雪(みたいな綿)も小道具です。

アンソロポロジーのVP

プロップの種類は、と言うと下記になります。

・ツリーとひつじ・・・オブジェ
・雪の綿・・・マテリアル

●シーナリー

Sceneryといい、背景美術のことです。
オペラや宝塚の舞台背景と同じです。

前述の「リゾートのプールサイドでカフェしている婦人」のVPをもう一度見てください。
背景はオーキッド模様になっていて、トロピカルな世界観を演出していました。

シーナリーがないとどうなるでしょうか。
試しに、ディスプレイ後ろの壁を取ってみます。

ハレクラニ 背面がないディスプレイ

どうですか。背面あるなしを比べてみてください。
Afterはリゾート感がまったくなくなりました。
それもそのはず、背面にデパートのフロアが広がっているからです。
ハレクラニのプルーサイドの世界観は消滅しました。

改めて図で解説すると下記になります。
シーナリーは背面、つまり壁があってこそ成り立つということがわかります。

閉合の法則の変遷

これを閉合の法則といい、壁が多くなればなるほど閉ざされた空間になり、世界観は広がります。
なぜなら、閉ざされた空間は、お客様の目線360度に世界を訴えることができるからです。

閉合の法則、詳しくは下記をご覧ください。

○閉合の法則

●演出POP

演出POPとは売場における、商品やブランドを演出するPOPのことです。
下記がそうです。

  • モデルやタレントのポスター
  • 自然の風景写真
  • 祭りやパーティなどのオケージョン写真
  • 木やメタル、布などの素材写真
  • まんがやアニメのキャラクター
  • イラスト・アートデザイン

例えば、下記の写真が演出POPです。

原宿ウインドウVP

恰好いいですね~。
3人ともミリタリー柄をまとっているのに、アウトドアっぽくないです。
なぜなら背面POPパネルがリッチなレジデンスを映しているからです。
ワイルドだけど、ノーブルな世界観を醸し出しているのは、演出POPのおかげでした。

ユニクロの演出POP

ユニクロの銀座のウインドウも演出POPバリバリです。
「Life Wear」のコンセプト通り、普段着のウェルビーイングな生活感を醸し出していました。

レスポートサックのウインドウディスプレイ

レスポートサックのウインドウ。
秋のドライブにレスポのバッグ持っていくなんて素敵ですね~。
車から、クラシックテイストが感じられます。

ウインドウVPに、何も予算掛けられない場合は、ぜひ演出POPを背面に設置してください。
タペストリーみたいに垂らすのもいいし、パネル立てを利用してもよいです。
商品の持つ世界観を発信することができます。

●しぐさ

マネキンを使って演出している人は、ぜひマネキンにしぐさをつけてください。
立っているだけのマネキン、手足がないマネキンでもある程度は演出できますが、やはり手足・首が動いている「しぐさ」があれば、情景がわかるというもの。

立っているだけのマネキン

これは立っているだけのマネキンです。
シーンはあまり感じられないです。

ダンスシーンのマネキンディスプレイ

これはダンスをしているシーン。
仲睦まじい二人のデートシーンのような一コマ。
ダンス終わったら、どこにいくのでしょうか。
男性がささやいているようです。

銀座のVP写真

これは昨日撮影した銀座のウインドウ。
ものすごくシュールなディスプレイでした。
右側のしぐさは「忘れ物です」「ちょっとアンタ」「お願い待って」という感じでしょうか。
左側の2体は、噂話、ひそひそ話、ゴシップ話しているみたいな感じ。
明るい会話しているようには見えないですね。(笑)

以前私は、デパートの財布売場のディスプレイにしぐさがつけられないか、アームマネキンで演出してみました。

手マネキンデモディスプレイ1
手マネキンデモディスプレイ2

どうですか。おもしろいでしょう。
手だけでこんなしぐさができるんです。

しぐさがあるだけで、映画のシーンのようにディスプレイに物語が生まれるんです。
なお、しぐさは人間だけではなくて、動物でもかまいません。
ライオンでもカブトムシでもいいです。

セイコー銀座 ライオンvp

4.まとめ

演出性の取り入れ方わかりましたでしょうか。
下記の5つのポイントを押さえてディスプレイをつくると、演出性を加えることがてきます。

●シーン設定
●プロップス
●シーナリー
●演出POP
●しぐさ

すると、あなたのディスプレイは、まるで映画の中のワンシーンのように、見る人の心を揺さぶります。

個性的なディスプレイのつくり方、次回は「3.創造性」について語ります。
楽しみにしてください。

●個性的なディスプレイ制作の法則
1.審美性
2.演出生
3.創造性

なお、センスアップセミナーの7月2日は、「商品展示」についてです。
上記3つの法則もレクチャーの中に含まれています。
ディスプレイを個性的にしたい方は、ぜひご参加ください。
ワークショップ付きのオンライン1時間セミナーとなっています。

○センスアップセミナー「商品展示」

どなた様もお気軽にご参加ください。

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マカロンのカフェテーブル ダロワイヨ

ディスプレイの審美性は美的形式原理から成り立つ

以前、ディスプレイの構成は下記3つをベースに考えると、個性的で美しいディスプレイができると簡単に解説しました。

●個性的なディスプレイ制作の法則

  1. 審美性
  2. 演出生
  3. 創造性

●ディスプレイ美的センスアップの秘訣

上記ブログはコップで簡単に説明しましたが、今度はカフェテーブル・ディスプレイと実際の売場写真を使って詳しく説明します。
今回は、1.審美性についてお話しします。

0.審美性とは

審美性のある女性モデル

審美性とは、美しさそのものという解釈です。

つまり、このモデルの顔のように均整の取れている状態と思ってください。
一般的に目、鼻、口などのパーツが左右対称(シンメトリー)に配置され、黄金比と呼ばれるバランスが整っている端正な顔が美しいです。

 

美ボディ ヨガ

美ボディに関しては、八頭身という、頭から足元まで8つに体のパーツが分割できている比率になっていると美しいと言われています。
これをプロポーションがいいと言います。

左右対称にしても、プロポーションにしても下記の美的形式原理に当てはまります。
美的形式原理は7つです。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

この7つの原理を活用すれば、あなたのディスプレイはたちまち美人になります。

以下、カフェテーブルと売場のディスプレイ例を使って解説します。

1.調和 ハーモニー

調和 テーブルディスプレイ アースディ

ハーモニーとは、音楽用語では、2つ以上の音が同時に鳴って美しく響くことをいいます。
ディスプレイ用語では、いくつもの商品でテンポよくきれいに陳列または展示されることをいいます。

例えば、上写真は「アースディ」というテーマでつくったカフェテーブルです。
水に浮いているゴミを模しましたが、美しい風景だと思いませんか?
それは、下記を理由にハーモニーを感じるからです。

・等間隔にゴミが浮いている
・すべてのゴミは斜めに浮かんでいる
・向きがあちこちにまんべんなく向いている
・コーヒーカップとゴミと玉は違和感なく存在している

売場の事例を見てみましょう。

調和 シュガーフィナ

米国のキャンディ屋さん、シュガーフィナの売場です。
キャンディが3つのカタマリでとびとびに並んでいます。
下段の箱も3つ4つ固まっておかれているけれども、バラバラ観はありません。
なぜなら上段のキャンディと同じく、隙間を入れて等間隔に並んでいるからです。

売っている商品はいろいろな種類があるけれど、バラバラに見えない。
それは調和、ハーモニーが感じられるからです。

2.均衡 バランス

均衡 スマートボール カフェテーブル

バランスとは、気持ち的な重量感が取れているということです。
やじろべえみたいなものです。

例えば、上写真は「スマートボール」というテーマでつくったカフェテーブルです。
ネスプレッソの空き箱でつくりました。
一見、ボールが動いているように見えると思います。
しかし、動いているからといって、左右どちらかに偏っているようには見えないと思います。
全体のバランスがよいからです。
その理由は下記です。

  • テーブル全体に重量感が均一に行くようにモノを配置
  • ボールは動いているように見えるが、方向に偏りなく配置
  • コーヒーカップとケーキ、ミルクピッチャーも偏りなく配置

売場事例で言うと下記です。
デトロイトのブランド「シャイノラ」のノート売場です。
棚が互い違いになっているにも関わらず、壁全体のディスプレイは均衡がとれています。

均衡 シャイノラ

3.対称 シンメトリー

対称性 フラワーパーク カフェテーブル

美心の顔は左右対称です。
目や鼻、口が左右対称に配置されています。
美人なディスプレイも左右対称です。

ただ、美的形式原理の対称は、左右対称でなくても、斜め対象でも、上下対称でも構いません。
重心が中心にあり、見た目にも感覚的にもバランスが取れている状態ならOKです。

例えば、上写真は「公園の花時計」というテーマのディスプレイです。
またもや、ネスプレッソの空箱で作成しました。
花時計を中心に斜め対称になっているのがわかります。

対称性 アラモアナ ブルーミングデール 

上はブルーミングデールスのチョコレート売場ですが、左右対称にギフト箱が並んでいるのがわかります。
重量感も左右で均衡がとれています。

4.比例 プロポーション

プローション 夕日の空 カフェテーブル

比例とは別名マスターパターンのことです。
マスターパターンとは、等分割、黄金分割、ルート2分割、ルート3分割などがあり、ディスプレイを四角く分割した場合のバランスがよいことをいいます。
詳しくは下記ご覧ください。

●マスターパターン

例えば、上写真は「夕日の海原」というテーマのディスプレイです。
ランチョンマットの境に注目してください。
上部分が空で、下部分が海です。

空の高さを1とすると、海の高さは0.618になっています。
つまり、黄金比率になっています。

今度は下記を見てください。
テーマは「入道雲の海原」です。
上部分が空で、下部分が海です。

プローション 入道雲の空 カフェテーブル

空の高さを1とすると、海の高さは1になっています。
つまり、等分割になっています。

このように、マスターパータンをディスプレイに取り入れれば、プロポーションのよいモデルのように美しく見えるのです。

売場事例を見てみましょう。

比率 紳士服VP1

これは紳士服のVPですが、右の小物とマネキン2体の配置を見てみましょう。
ラインを引くと上下・左右に等分割されていて、その範囲内に各々が収まっているのがわかります。
この場合の比率は、上下左右が1:1です。

比率 紳士服VP2

ちなみに身の回りのもの、それがスマホでもドアでもポスターでも、外形はすべてマスターパターン内に収まります。
商品デザイン、建築デザイン、広告デザインの別なく、美しいデザインはすべてマスターパターンを応用しています。

5.対比 コントラスト

コントラスト コルク カフェテーブル

コントラストはモノの強弱がはっきりついていて、メリハリがあることを言います。
メリハリがないと、全体がぼんやりとした霞かがったディスプレイになってしまいます。

上写真は、「コルクタイムズ」というテーマでつくったディスプレイです。
コルクボードの上に、それと似た質感・色のバッチャン焼き陶器を置いています。
全体的に薄茶色のぼやーっとした空気感が漂っています。

一方、下写真を見てください。

コントラストあり カフェテーブル

「ブラックアンドホワイト」というテーマでつくったディスプレイです。
先ほどの「コルクタイムズ」と比べると文字通り白黒はっきりついたコントラストになっています。

対比はこのような「色の対比」の他に下記の要素があります。

  • 大きさの対比・・・大きい・小さい
  • 形の対比・・・四角と丸
  • 質感の対比・・・つるつるとざらざら
  • 密度の対比・・・多い・少ない
  • 光の対比・・・明るい・暗い
コントラスト セーフウェイ

アメリカのスーパー、セイフウエイの生鮮売場です。
中央のパブリカを見てください。
下記3つのコントラストがあります。

色・・・そこだけ鮮やか
形・・・そこだけ棚がカーブしている
密度・・そこだけモノが密集している

コントラストが効いている売場は、お客様の注目度が高く、「おやっ」ということで売場に立ち寄る可能性を大にしてくれます。

6.律動 リズム

リズミカルなマカロン カフェテーブル

朝起きてすがすがしいのは、外で鳴く鳥の音がリズミカルだからです。
工事現場の雑音とは違います。

同じように、リズミカルな陳列は売場を見る人に心地よさを感じさせます。
商品がバラバラに陳列されていると、廃品置き場と化してしまうでしょう。

上写真を見てください。
テーマは「踊るマカロン」ということで、CD上に色とりどりのマカロンを、まるでダンスしているように置きました。

リズミカルに感じる理由は下記の4点です。

・CDの配置がクネクネしていること
・クネクネのラインが二つ平行して走っていること
・マカロンを立ててディスプレイしていること
・マカロンの向きをあちこち向けていること

それでいて、他の食器は一様に左下を向いています。
マカロン、アンドゥトロワみたいにワルツ踊っていますね。(^^)

リズム アラモアナ レゴブロック

売場事例を見てみましょう。
上はアメリカのレゴブロックの売場です。

まずは棚を見てください。
棚が横一線ではなくて、上下に揺れていますね。
まるでゆらゆら波に揺れているようです。

そして、商品である箱を見てください。
平置きしたものと縦置きした商品が交互に並んでいます。
商品が「寝ている」シェルビング、「起きている」フェイスアウトを繰り返しています。

そのくせ、最上段の商品の高さは真横一線に整っています。
壁の上部分は白くきれいに保たれていて、その下の商品群はゆらゆらしています。

この寄せては返す波のようなリズミカルな壁面ディスプレイは、アクティブに遊ぶ玩具、レゴブロックにピッタリでした。

7.階調 グラデーション

グラデーション カフェテーブル

沈む夕日、雨が止んだ後の虹、近づいて来る黒雲、自然界にはグラデーションがいっぱいです。

ディスプレイもこのようになっていると、自然界で見慣れている状態なので、なんだか心が落ち着きます。

上写真は、中央のオブジェに向かって水色から濃紺へとグラデーションしていくディスプレですイ。
テーマは「深海の生物」です。
海の底の生物を探査するようなブルーグラデにしました。

グラデーションはこのように色を使うことが多いのですが、下記もグラデになります。

  • 大きさ・・・小さい→大きい
  • 光・・・暗い→明るい
  • 数量・・・少ない→多い
  • 形・・・丸→楕円→長円

売場例を見てみましょう。
下は紳士の売場ですが、ネクタイが虹色にグラデーションしています。
気持ちいいですね。

グラデーション ネクタイ売場

今度はワイシャツに注目してください。
こちらも虹色配色しています。
なんだかワクワクしますね。(^^)

グラデーション ワイシャツ売り場

8.まとめ

美的形式原理、だいたい分かったと思います。
この原理、ドイツのバウハウスが体型化したのが始まりのようです。
よくできています。

ただ、7つの項目ひとつひとつで独立して使うものではなく、複数組み合わせて使います。

ブラックアンドホワイトの置き物 カフェテーブル

例えば、このディスプレイは下記の要素を使っています。
テーマは「ブラックアンドホワイトの置き物」。

  • 調和 ハーモニー harmony
  • 均衡 バランス balance
  • 対称 シンメトリー symmetry
  • 比例 プロポーション proportion
  • 対比 コントラスト contrast
花見の団子

このディスプレイは下記です。
テーマは「花見の団子」。

  • 調和 ハーモニー harmony
  • 均衡 バランス balance
  • 対称 シンメトリー symmetry
  • 階調 グラデーション gradation
ジャズテーマのディスプレイ

このディスプレイは下記です。
テーマは「ジャズ」。

  • 均衡 バランス balance
  • 対称 シンメトリー symmetry
  • 比例 プロポーション proportion
  • 対比 コントラスト contrast

ディスプレイにいそしんでいる皆さん、ぜひ美的形式原理を活用して、審美性を追及して「美人なディスプレイ」つくってくださいね。

 

そして次回のブログは、「個性的なディスプレイ制作の法則」その2.演出性に進みます。
お楽しみに!!

●個性的なディスプレイ制作の法則
1.審美性
2.演出性
3.創造性

審美性の勉強の役に立つセンスアップセミナーにも、ぜひお越しください。
毎月開催しています。
次回は3/26(木)です。

●オンライン センスアップセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

カフェテーブルのディスプレイ

客の目を引く4次元ディスプレイとは

今回は次元ディスプレイの話をします。
ディスプレイは次元で捉えることができ、店の商品を陳列したり展示したりするときの表現方法として活用できます。
すなわち、お客様から見たディスプレイ空間の感じ方を変化させることができます。

わかりやすくお教えするために、リビングのカフェテーブルを題材にお話しします。
まずは1次元から初めて、2次元→3次元→4次元と続けていきます。
それではいってみましょう。

1. 点は1次元のディスプレイ

1.1次元のイラスト

1次元は点です。
広い空間にぽつーん、と1点あるディスフレイです。
上のイラストだと、白い空間にぽつーんと黄色い点がる状態です。

点だけなので、表現としてはカフェテーブルにぼつーんと1客のコーヒーカップを置いただけの状態です。

食器棚の中のカップたち。これも1次元なんです。
私は毎朝、ここから好きなカップを選んでいます。
順番待ちのカップというわけですね。
この状態は、店のバックヤードに置いてある在庫商品と同じです。
店の棚に置かれる前の商品のディスプレイというわけです。

見ると、カップが棚ごと横一線に並んでいます。
線のように見えますが、点であるカップが横にズラッと並んでいるので線に見えるんです。

線は点の集合。線も同じく1次元のディスプレイです。

2. 絵は2次元のディスプレイ

3.2次元のイラスト

上のイラストは2次元を表しています。
赤い線は、あなたが立って見ている、水平視野角35度の線です。
まるで絵を見ている様ですね。
1次元の点が板の上にちりばめられた表現です。
黄色い点がエアブラシで噴かれたように四角い板を埋めています。

このように、2次元のディスプレイは絵のようなものです。
油絵絵や水彩画、写真と同じです。
これらは正面から見てこそ価値があります。

例えば、美術本や写真本は斜めに撮影した絵の写真を掲示してないですね。
どの本も正面から見た絵や写真を掲示しています。
モナリザは正面から見ることにより、よさがわかるものです。

上の写真を見てください。
先ほどの食器棚のカップをいくつか使って、「絵」をつくってみました。
ランチョンマットやプロップスも使用しています。
テーマは「パンデミックファミリー」。

この「絵」を見ると、感じるものがあるはずです。
そう、驚いている人の顔が感じられます。
テーブル上に広がっている不安で不気味な世界は、実は真正面からでないと恩恵を受けないんです。

試しに斜めから見てみましょう。

正面から見たものと違って、「パンデミックファミリー」というテーマがわかりにくいですよね。
30秒くらい見てやっと人の顔だと分かると思います。

やっぱり正面から見ないと、大きい二つの丸はマスクをかけた両親で、小さい二つの丸は子供ということも感じられないと思います。
これはコロナ禍で動物園に行った家族が、動物がコロナで死んでいるのに驚いている「絵」だったんです。

これが2次元のディスプレイの特徴です。
2次元のディスプレイは立体的でないので、正面から見た時しか本領は発揮できないんです。

3. 展示は3次元のディスプレイ

6.3次元のイラスト

3次元のイラストは展示物そのもの。
上のイラストを見てください。
四角いオブジェが置かれています。

奥行きが感じられると思います。
四角いオブジェを真正面から見た図は先ほどの2次元のイラストですが、斜めに見ると、パース線が左右に終点に向かって伸びています。
建築用語でいうと2点透視の状態です。

2次元のパースラインはどこまで行っても平行のままで、終点で交わることはないのですが、3次元のディスプレイは2点または1点で交わるのです。
奥行きがあるのでモノは立体的に見えます。

これは美術館で彫刻を見ているようなものです。
絵は壁に掲示されていますが、彫刻は壁から離れて置かれています。

これはどの位置からも彫刻を観賞できるようにしているからです。
正面→斜め→横→後・・・と位置を変えて彫刻を眺めると、像の表情や情報が変わり楽しいですよね。
発見もあると思います。

そこが3次元のいいところです。

7.クリスマスの絵のようなディスプレイ 正面

カフェテーブルで「クリスマス」というテーマで2次元のディスプレイをつくってみました。
やっぱり平面的。絵の様です。
下の写真のように、斜めから見ると気持ち、クリスマスのテーマは薄れてしまいます。

8.クリスマスの絵のようなディスプレイ 斜め

今度は立体的な3次元のクリスマスにしました。
オーッて感じ。
高々そびえたっています。

正面上斜めから見ると、その恩恵を受けます。

9.クリスマスの立体ディスプレイ 斜め正面

でも、真上から見た「絵」にすると、ツリーとわかりません。
平面的で味気ないと思うでしょう。

9.クリスマスの立体ディスプレイ 正面

あなたが店で商品展示を行っている時、遠くから奥行きが感じられるか、客目線で見て確認してください。
平面的にべたっと見えたら、それは「絵」と変わらないです。

4. ワフティングは4次元のディスプレイ

10.ワフティングしている4次元のディスプレイ

4次元のディスプレイは、展示物が空中に浮かんでいるような感じになります。
上のイラストを見てください。

赤い線はあなたが立って展示物を見ている水平の視線です。
展示物が視線の上に下に配置されています。

上にある展示物は見上げる。
下にある展示物は見下ろす。
先ほどの3次元は左右の奥行きを感じたのですが、今度は上下の奥行きも感じます。

11.銀座シックスのパンのディスプレイ

上の写真を見てください。
ギンザシックスのパン屋です。
グワーッとパンがワフティング(ライザーや棚で商品を空中に浮かすこと)されています。
最上段の棚はすごく高い位置にあるので、見上げなければいけません。
インパクトがありますね!!
ボリューミーでもあります。

12.銀座シックスのケーキのディスプレイ

他方、このケーキ屋さんは先ほどのパンみたいにドサッとディスプレイされていませんが、Gケースの中でケーキが浮いているように見えます。

このように、空中に浮いているディスプレイはオドロキを与えてくれます。
地球上に住んでいると、引力の関係で殆どのものは地面に佇んでいますが、それが空中に浮いているのはオドロキです。

美術館にある彫像でさえも真下から見ることはできません。
なぜなら床にピッタリと足が張り付いているからです。

彫刻を宙に浮かせれば、4次元のディスプレイは可能です。
そのためには、彫像の足の裏さえもしっかり表現を刻まなくてはいけません。

オカルト映画「エクソシスト」で何がオドロキかというと、ベッドで寝ているはずのリンダブレアが宙に浮かぶところです。
アワワワッて感じですよね。

このように、4次元のディスプレイは宙に浮いて人にオドロキを与えてくれます。

13.浮いているカフェテーブル

上の写真は、4次元のカフェテーブルです。
この写真をある時、LINEにポストしました。
すると、これを見た人は「不思議ーっ」と次々にコメントしてくれました。

なんてことない、ライザーがランチョンマットの下に置かれているだけです。
しかし、一瞬見ると浮いている気がするので思わず見入ってしまいます。
これが4次元ディスプレイの効果です。
これが店の中にできていると、お客様は思わず立ち止まって見入ってくれます。

実験してみましょう。
下の写真を見てください。

14.浮いていない菓子箱のディスプレイ

家の中の菓子箱をディスプレイしてみました。
まあ、普通の3次元のディスプレイですね。

これを4次元にしてみましょう。

15.浮いている菓子箱のディスプレイ

オワーッ、浮いている!!
思わず目を止めてしまいますよすね。

どうやって作ったんだろう?
とあなたは思い、まじまじと見てしまうでしょう。

しかし何のことはない、これもやっぱりライザーで浮いているように見せているだけなんです。

下の写真を見てください。
チョコレートを浮かしたディスプレイをつくってみました。
やっばり4次元のディスフレイはパワーがありますね。

カファレルのディスプレイ

5. まとめ

17.まとめのスライド

話をまとめます。
上のスライドを見てください。
ディスプレイは2次元、3次元、4次元の順に注目度が増します。
ディスプレイをつくるときは、なるべくパースライン(奥行き)とワフティング(ふわりと浮いた感じ)を意識すること。
これが大事です。

ぜひ、日ごろのディスプレイづくりで4次元のディスプレイに挑戦してください。
ディスプレイを宙に浮かせることにより、フロアを歩いているお客様の足を止めることができます。

なお、ワフティングに関しては下記を参考にしてください。
●ディスプレイをふわっと浮かせる2つのテクニック

そして、次元ディスプレイの実習に参加してみたい!という方は、1月29日のオンラインセミナーに参加してみよう。
●センスアップセミナー「ディスプレイ構成 PART3」


(VMDインストラクター協会事務局)