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0メイシーズのディスプレイ

壁と天井のディスプレイ演出の仕方

1.はじめに

今回は少し変わったテーマにしました。
壁と天井をどう演出するか?

これを施工会社の仕事だと思わないでください。
VMD担当の役目です。
物販店というハコである店内は、あなたのブランド空間で待たされていなければいけません。
アルマーニが体育館で売っていないように、アルマーニを売るふさわしいハコを作らなければいけないのです。

具体的には、ハコは床・壁・天井でできています。
VMD担当は商品棚だけでなく、これら大道具の演出も抜かりなくやらなければいけません。
そのために、下記のポイントをVMD担当は押さえて店舗デザイナーや施工会社にオリエンするのです。

  • 素材
  • 装飾
  • サイン
  • POP
  • 照明

さて、今回は「演出」をテーマにしているので内装の話はしません。
壁と天井のディスプレイについて話します。
視線より上、170cm以上の壁や天井をどう処理するかにフォーカスします。

2.PPによる演出

1ノードストロームのディスプレイ

視線より上の位置にあるディスプレイ演出で代表的なのはPPです。
PPはポイントプレゼンテーション(会社によってはポイントオブプレゼンテーション)といい、商品の見本展示のことです。
詳しくは下記参照ください。VP,PP,IPセットで覚えてください。

●VP,PP,IPとは

商品の見本展示といっても目線より上のPPは、商品に触れたりできません。
手が届かないし、届いても取りにくく戻しにくいです。
また天井近くのPPにおいて、展示品に商品説明POPを置くことは少ないです。
それは、POP位置がお客様よりも遠いからです。
大きなキャッチフレーズ程度の文字なら読めますが、小さい文字だと読めないからです。

つい最近も水族館の土産店で、高さ2.4m程のPP固定棚に商品説明POPや紹介ビデオ・モニタが設置されていました。
大丈夫、誰も見る人はいません、と売り場担当者に伝えときました。(笑)

PPはどちらかというと、展示商品の詳細を伝えるというよりも、上写真のように遠くのお客様をPPのある壁面に誘導する目的で設置します。
だからPP部分で細かい商品説明はせず、IPの商品陳列部分に置いたPOPを通じてお客様に商品内容を伝える事が多いです。
これなら、商品が手に取れるし、説明もじっくり読むことができます。

アパレル、雑貨、玩具、キャラクター、化粧品などの専門店・専門フロアには、PP固定棚が設けられていて、そこにPPを配置しています。

無印良品、ユニクロ、アフタヌーンティー、フランフランなどの雑貨・アパレル専門店、伊勢丹や大丸、東武百貨店、高島屋など多くの百貨店は各フロアにPP固定棚があります。

これらの企業には専任、兼任のVMD担当がいて常に天井近くのPP固定棚をコントロールしています。
PP設置作業はVMD担当が行う場合もありますが、大半はフロアスタッフが行います。
当然、PPは直下のIPの商品を展示しなければいけないので、それをガイドラインに謳っています。
VMDインストラクターが、IP・PP研修をスタッフ向けに頻繁に行うのもそのためです。

3.インテリアディスプレイによる演出

アパレル・雑貨店の壁面はこうしたPP固定棚方式が一般的ですが、インテリアディスプレイ固定棚方式を採用している店舗も多いです。

インテリアディスプレイとは、下記の定義です。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚
2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚
3.演出POPをディスプレイしている棚
4.造作物を展示している棚

ひとつひとつ説明します。

1.商品以外のインテリア小物をディスプレイしている棚

目的は世界観やテーマの演出です。
ブランドの世界観、季節をテーマにした演出、バレンタインというモチベーションをテーマにした演出などを指します。

ロイズの店舗

例えば、上写真は新千歳空港のロイズの店舗ですが、奥壁面上部はインテリアディスプレイで飾られています。
お城や花、人形のオブジェがリピート展示され、そのはるか下にIPがあります。(下写真)

3.ロイズのディスプレイ拡大

2.商品を含めた、商品に関係するインテリア小物をディスプレイしている棚

商品の世界観を重視したディスプレイ演出です。
商品を使うシーンや環境、対象を強調するディスプレイ展示で、商品自体は強調されるどころか、ディスプレイの小道具と化します。

4.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP

例えば、上写真はワイン売場で壁面最上段は、ワインと食器を使ったインテリアディスプレイになっています。
写真を拡大しましょう。

5.ワイン売場 インテリアディスプレイとPP 

ワイン銘柄はまったく分からず、ただのワイン瓶ですが、お酒を楽しむシーンは感じることができます。

3.演出POPをディスプレイしている棚

このタイプはポスターを掲示している事が多いです。
セール時は「セール」「バーゲン」という告知ポスターを掲示しています。
平常時は商品に関連するイメージ写真を天井近くに掲示しています

ゴディバ

例えば、上写真はゴディバの演出ポスター。
シズルと言って、チョコレートのおいしそうな拡大写真を掲示しています。
チョコレートやジュエリーのような服以外の商品は小さいので、ポスターなら拡大写真を掲示します。

もちろん、服でもモデルや風景の写真は演出POPになります。
バナリパやGAPも天井近くに演出ポスターをフレーム入りで掲示しています。

7.バナリパのポスター

ポスターだけでなく、小物を使った演出POPもあります。
例えば、プラザの天井近くの棚は立体POPの展示スペースとなっており、シーズンに合わせた演出POPを展示しています。

8.プラザのディスプレイ

4.造作物を展示している棚

9.東京駅のディスプレイ

これはほとんど店舗デザインに組み込まれているディスプレイです。

私たちが造作物と呼んでいるのは、社内スタッフでなく、外部のクリエイターがつくるようなディスプレイです。
デコレーターや工芸作家、小道具スタジオ、マネキンメーカーなどが造作物をつくります。
アート的な要素を持つものが多く、空中に浮かんでいるオブジェ、壁から突起しているオブジェなどがそうです。

10.ロフトのマスキング売場

例えば、上写真はロフトのマスキングテープの売り場。
天井近くにマスキングテープを材料にしたオブジェが林立しています。
カラフルで楽しいですね。

11.ロフトのマスキング売場拡大

4.ウオーターフォールによる壁面演出

12.東急プラザのTWG

ウォーターフォールとは、滝のような壁ということです。
無印良品やユニクロでお馴染みの、IPをー天井近くまで積み上げる演出方法です。

例えば、上写真は銀座東急プラザTWGの壁面。
天井まで紅茶の缶が陳列されています。

13.東急プラザのハンカチ売場

こちらは東急プラザのハンカチ売場。
上までハンカチが連なっています。

TWGの壁の缶はこれは売り物ではなくオブジェのようなもの。
ハンカチ売場は下に同じ商品が陳列されているので壁を埋めるための商品と考えてください。
つまりダブル陳列なんです。

もともとウォーターフォール陳列は売場塾が考えた言葉ではなく、アパレルVMDの受講生が考えた言葉でした。
その受講生のブランド売場はワイシャツが天井から下までズラリと陳列されていました。
これが彼の作ったガイドラインにも示されていましたので、まさにそのブランドの売場の顔となっていたわけです。

5.壁が白いとどうなるか

14.セブンイレブンの白い壁

壁に何も演出を施さなかったらどうなるでしょう。
実のところ、壁を演出していない店は多いです。

  • コンビニエンスストア
  • ドラッグストア
  • ホームセンター
  • スーパーマーケット

こういう目的買いの多い、時間かけずに用を済ましたい店の多くは壁は白いままです。

※これに関しては他のブログで詳しく解説しているので下記クリックしてください。
●白壁を直して来店客を増加させよう

15軽井沢銀座のはちみつ店

例えば、これは軽井沢銀座のはちみつ店。
お土産を買いに来たお客様は玄関入ってガッカリしますよね。
白い壁が出迎えているからです。
これではまるで倉庫。
ウキウキ感が半減してしまいます。

壁を埋める努力は、みなさんいろいろ工夫しています。
例えば無印良品は壁を埋めるためにヤーン糸を計画的に使っています。

16.無印良品のヤーン

無印良品は近年、有機綿を使用した服が多いです。
その素材の良さを感じさせるためにこうした演出物を各店に支給しています。

17.ユニクロの圧倒的な陳列

ユニクロのウォーターフォール、いわゆる「圧倒的な陳列」は、天井まで同品番の商品を積み上げていく方式です。
2000年前後のフリース全盛時代に原宿店で開発した手法で、中国店を出した時の現地責任者が大成させた手法です。

6.壁を埋めるための問題点

ただ、コロナ禍後、小売企業は下記の点で店舗運営の合理化・コストダウンを図っています。

1.セルフレジ、ロボット導入による人件費の削減
2.DXによる店舗運営のデジタル化・自動化
3.省スペース、可動式什器による店舗レイアウトの可変化

2.がVMDと密接にかかわっているポイントは、何といってもデジタルサイネージでしょう。
PPやPOPを毎期付け替えるよりも、PP部分をサイネージ化してしまえば、店舗ごとでディスプレイを作る必要はなくなるし、POPを付け替える必要はありません。
動画もオンエアできます。
ABCマート銀座店やマツキヨ池袋店の店舗を見ると、サイネージの活用はハンパないです。

18.ABCマート サイネージ

3.に関してはユニクロ・GU、ライフが可変什器、移動什器を標準装備して店内レイアウトを機動的にできるようにしています。

ユニクロのダミーIP

ユニクロで特に面白いのが、ダミーIPですね。
上写真を見てください。
天井近くのシェルビングしている服はダミーパックです。
在庫を上まで積む必要はなく、パックを棚に積むだけでOK。
これは在庫対策にも、人件費削減にもってこいでしょう。

白ボール紙に生地を巻きつけて7枚を1パックにしているのではないかな、と思います。

20無印良品のオーケストレーション

また、無印良品は前述のヤーンだけでなく、自店の関連商品そのものを壁埋め商品として使用していて、その行為が全店で普通に行われています。
とても素晴らしいです。

例えば、上写真。
紳士服売場の上段PPの中に収納用品(ハコ)がシンメトリーに並んでいます。
先ほどの売場もそうでしたが、店で売っている関連商品を置く分には、プロップスを調達する必要はなく、すべて店で賄えますし、在庫置き場としても一石二鳥になるのではないかと思います。

その点ではカルディもそうですね。
店内上部に在庫商品を置く棚が設置されて、そこに商品を置いています
無印良品と同じで、商品で壁が埋まっている状態になり、とてもボリューミーでよいです。

私たちもこうした在庫で壁を埋める提案はよくしており、在庫の積み方をアート的に積んだり、在庫の箱でオブジェをつくったりしています。

ただ問題は、それを行う時間と人が確保されていなければ、いつかは崩れてしまうということです。

21カルディ 2005

例えば、これは2005年のカルディ店内。
けっこう上まで商品が詰まっていますよね。

カルディ PP

これは最近のカルディの店内。
けっこう上棚の空間、空いてますよね。

23無印良品 拡大

こちらも2018年の無印良品。
やっぱり上棚、空いています。

2013年に撮影した時は、下記写真のように充足していました。

24無印良品

最初はウォーターフォールとして、売場商品の豊富感や宝さがしのような売場演出でスタートしたと思いますが、持続がなかなか難しいようです。(もしかしたら地震対策かもしれませんが)
ひとつは、前述した人件費の削減で、こうしたルーティーンは後回しになっているのでしょう。そういう意味だと、ドン・キホーテの熱帯雨林演出は持続力すごくありますよね。
いまだに壁が空いているドンキ見たことないです。(^^)

先ほどのユニクロのPPパックの例のように、人が割けない場合はこうした施策に切り替えるのも手です。
サイネージや永久的に演出展示できるような工夫をするといいでしょう。
例えば、コンビニのナチュラルローソン、壁や天井は額縁の演出POPやインテリアディスプレイで演出されていて、数年見ているけれど変わっていないです。

25ナチュラルローソン インテリアディスプレイ2

VMDインストラクターの皆さん、ぜひ壁と天井の演出キープしてくださいね。
店舗運営コスト削減の今、工夫とアイデアで店内の佇まい、持続させていきましょう。

ということで、今度の8月20日、銀座のいろいろなお店の壁見学、やりますよ~。
VP,PP,IPもいっしょに見てみましょう。
●銀座VMDフィールドワーク

(VMDインストラクター協会事務局)

ダイソーのゾーニング

什器レイアウトの考え方 PART2;什器配置の型

1.什器レイアウト

先達からお届けしている「什器レイアウトの考え方」3部作のPART2です。
今回は、PART1のゾーニングに続く、什器レイアウトの仕方に話を移します。

PART1に出てきたアウトドア店を再び事例にします。
同店の別店舗ゾーニング図を什器レイアウトに落とし込んだのが下記です。

1.アウトドア用品店の什器レイアウト図

これが什器レイアウトになります。
なんだ、簡単じゃないかと思うかもしれませんが、そんなに甘くはありません。
どのように来店客を動かすか、詳細に導線ストーリーをプランしないといけないからです。

売場塾では、上記のブロックを什器と見立てて、ゾーニングから什器レイアウトのワークショップを行っています。
この場合、ただブロックを平面図に並べていいというものではありません。
ゾーニング・導線・リレーション・来店客の嗜好などを加味してブロックを配置しなければいけません。
しかも20坪のお土産店でも考え方は人それぞれでして、正解はありません。
唯一の正解は「売上が上がる」ということなんです。

売上を上げるには、たくさんのお客様に入店いただき、売場を長ーく回遊していただき、滞在時間も長ーくさせていろいな商品を見ていただかないといけません。
つまり買い上げ率を上げるための什器レイアウトなんです。

2.売場の什器レイアウトのパターン

では什器レイアウはどんな型があるのか見てみましょう。

A.倉庫型什器レイアウト

3.倉庫型什器レイアウト

ホームセンターやコンビニ、ドラッグストアなどでお馴染みのパターンです。
特に量をさばく量販店・専門店にうってつけで、ユニクロのフロアでもこのパターン、よく見ると思います。

下記は都内の駅ビルに入っているユニクロのメンズ売場です。

4.ユニクロ 北千住店什器レイアウト

100円ショップのダイソーやセリアなどもこのパターンが多く、例えばこれはSCに入っているセリアの什器レイアウトです。

5.セリアの什器レイアウト

倉庫型の利点としては下記があります。

  • 面積効率がよい
  • 主通路・副通路が設計しやすい
  • ワゴンエンドから副通路に客を誘導しやすい
  • リレーション(売場の繋がり)をつくりやすい
  • リピートしてリズミカルにレイアウトできる
  • 同じ仕様の什器を使用できる
  • 分類サイン設置で客を誘導しやすい

など。

ただ、レーンをあまり長くすると副通路に入ったお客様は抜け出せなくなります。
必要な食品や探しもの書籍がある目的買いのお客様などにはよいのですが、買う目的がはっきりしていないバラエティショップやおもちゃ店、セレクトショップなどは不向きです。

6.什器配置レーンの違い

あれこれいろいろ見たい、でもあまり長居したくないお客様には適度に売場を抜けて、他の売場にすぐ移れるレーンの「空き」があった方が快適な場合があります。
その場合は上図の短いレーンにシフトするといいでしょう。
ただし、空きである通路を設けた分、什器が減るので商品展開数量は少なくなります。

B.柱展開型什器レイアウト

7.柱展開1

什器の柱展開とは、柱をぐるりと取り囲んだ什器レイアウトになります。
上図は柱にそのまま什器を押し付けた形です。
セルフの売場として見てください。
お客様は柱をぐるっと回って商品を探す形態になります。

柱展開型の利点として下記があります。

  • 柱を売場にできる
  • 柱の上に分類サインを掲示できる
  • 柱の上にPOP掲示やPP掲示もできる
  • ショップインショップに都合がよい
  • 柱をコネクトポイントにできる

などです。

8.ツタヤの柱展開

例えば、上写真は書店の柱展開。
ENJOY ROADBIKE LIFEと掲示されていて、ロードバイクを楽しむための雑誌コーナーになっています。
オブジェとして店長の自転車もディスプレイされていて、雰囲気はよいです。

8.柱展開2

上図は、デパ地下のお菓子フロア、同じく1階の化粧品フロアでよく目にする柱展開です。
柱に背を向けてスタッフが立って接客する店舗形態です。
ブランドのショップインショップとして理想的な什器配置です。
例えば、下記はSCフロアの化粧品ブランドの柱展開です。

10.丸井の化粧品フロア

柱はコネクトポイントにすることもできます。
コネクトポイントとは他のゾーンから別のゾーンに移動させるゾーン切り替えポイントになる売場のことです。

11.無印良品 柱展開1

例えば、上の写真は無印良品の柱展開ですが、見事にコネクトポイントになっています。
柱展開はアパレルで、食品から右のアパレル売場に移るコネクトポイントになっています。

ゾーンからゾーンにお客様を移動させることにより、店内回遊率は高まり、お客様滞在時間は長くなるのが、コネクトポイントの利点です。

C.コーナー型什器レイアウト

12.コーナー展開の什器レイアウト

コーナー展開とは、文字通りフロア角の什器レイアウトです。
什器レイアウトは図のようになります。

基本的には入隅(いりすみ)といい、Lの字型のコーナーになります。
逆L字型は出隅(ですみ)といい、上図3のように突き出した形のコーナーになります。

入隅コーナーの利点としては下記があります。

  • 二方向からお客様が歩いて来るので客だまりができやすく、にぎやかさの演出になる
  • 二方向から歩いて来ると、コーナーが突き当りになり視認性がよく、遠くから売場がよく見える
  • 壁面を抱くので、PPやサイン・POP掲示がしやすく、オーケストレーションも発揮できる
  • コーナーに立つお客様は90度首を振るだけで売場全体を見ることができる

※オーケストレーションとは壁面の集合ディスプレイのことを言います。
詳しくは下記参照ください。
●白壁を直して来店客を増加させよう

入隅コーナーの手前に図2のようにテーブルを置いたり、ワゴンを置いたりするとコーナーは拡張します。
さらに、図4のように入隅同士を組み合わせると、コの字型の大きなコーナーになり、もう一段階上のグループに発展できます。
例えば、ドラッグストアだったら、ボタニストだけのコーナーが自然派ヘアケア用品のグループに拡張できます。

13.無印良品のコーナー什器

具体的なコの字コーナーを見てみましょう。
上写真は無印良品のスナック売場ですがコの字になっており、中央かごには投げ込み陳列されているお菓子が見られます。
コの字になると売場はさらに閉合し、いっそう●●コーナーとわかりやすくなります。

※閉合とは売場を什器で閉じることです。下記参照。
●売場づくりにツカえる、閉合の法則

D.完全閉合型什器レイアウト

14.完全閉合型什器レイアウト

コーナー展開コの字型の進化系が完全閉合型です。
コの字型は三方を閉合された空間でしたが、ロの字にして四方で空間をふさいでしまいます。(上図)

15.未来屋書店のVMD1

上写真は未来屋書店のロの字型売場。
推理小説本で四方が囲まれていて、ミステリアスな空間になっています。
座り読みできるソファや柱もクラシックなデザインで、密室という雰囲気がよく出ています。

16.マツキヨの閉合型什器レイアウト

こちらは、マツモトキヨシの比較的新しいお店。
厳選コスメが楕円型什器配置により、閉合されています。
プリオール、アベンヌ、エリクシールなどが1什器ごとに配置されています。
宇宙ステーションのような未来的な空間になっています。

完全閉合型の利点は下記です。

  • 空間を完全に閉じることで、他の売場と一線を画すことができる
  • 入口と出口が限定されるので、特別な売場という訴求ができる
  • 什器デザインや、プロップス・POPなどのデザインを工夫することにより、空間の持つ世界観を醸し出すことができる

E.通り化型什器レイアウト

17.通り化の什器レイアウト

通り化とは、文字通り●●通りという通りを什器配置で作ることです。
基本は上図1の形です。
通路の左右の什器に同じアイテム・カテゴリ・メーカーブランドなどの商品を置きます。

お客様は通路を左右を見ながらグジザグに進みます。
量販店は長く通路をつくる傾向もあり、スーパーの「駄菓子通り」とか「冷蔵食品通り」「ワイン通り」などよく見ます。

個人的なことですが、スーパーの冷凍食品通りはピザやおにぎり、ギョーザやスイーツなどたくさんの冷凍食品がひしめいて長いレーンになっているところもあり、とても寒いです。

18.ヨドバシカメラのメルちゃん通り

上写真はヨドバシカメラの「メルちゃん」通りです。
家電店やGMSの玩具売場は、よく玩具ブランドの●●通りという形態をとっています。

19.イトーヨーカドーのプラレールのVMD

通り化の派生形図2のタイプを見てみましょう。
上写真はイトーヨーカドーのプラレールの売場ですが、真ん中が島で、左右を別のレーンが囲っています。
つまり通りが2つある売場です。

大抵の通り化の売場には、メルちゃん通りやプラレール通りのようにゲートがあります。
つまり、通りを通る門がPOPで作られています。。
ゲートPOPがあると、通り感が増しますので、近くを歩いているお客様の興味を掻き立て、通りに誘導することができます

通り化の利点は下記です。

  • 通りを歩くことによって、お客様は左右を見ながら同一ブランド、あるいは関連カテゴリーを探すことができる
  • 左右が同一ブランドあるいは同一カテゴリーを集積した売場なので、ブランドや商品群の世界観を発信することができる
  • 書店や雑貨店などは、目的買いと言うよりも散歩をする感覚で商品を探すことができる

F.アイランド型什器レイアウト

20.アイランド島什器いろいろ

アイランドとは島什器のことです。
壁面にくっつくことなく、フロアに浮いている什器で上図のようなタイプになります。
エンドワゴンとサイドワゴンが四角く合体していて、お客様は島の周りをぐるりと回って買い物してくれます。

ですので、島を長方形と考えると、各4面の商品が関連付けられていなくてはいけません。
スーパーだと、お菓子はお菓子、調味料は調味料で島周りをぐるっと囲めば、お客様はぐるぐる回ってくれるからです。

ただ、島を回ると言っても、図4くらいに長くなるので不向きです。
1周回ってくれるのはせいぜい図2か3くらいと心得ましょう。
図4だと、エンドワゴンで180゜曲がらずにまっすぐ歩いてアイランドから離脱してしまいます。

どうしても図4くらいの島にしたい場合は、先ほどの通り化にした方がよく、ゲートPOPを什器上に付けるべきです。

なお、エンドワゴンは主通路に向けてください。
主通路沿いのエンドで立ち止まったお客様は、サイドワゴンにそのまま行きます。
スーパーマーケットの加工食品ゾーンは、周遊メイン通路からお客様を副通路に誘導するために、エンドを主通路に向けているのです。

アイランド型の利点は下記です。

  • 四角い什器なら組み合わせいかんで、いかようなサイズの売場がつくれる
  • エンドワゴンが主通路のお客様の目に留まるので、売場に誘導しやすい
  • 関連商品を隣通しに置けば、お客様は島をぐるぐる回ってくれる
  • 什器の上に分類サインを付ければ、島全体が●●コーナーと認識してもらえる

なお、アイランド型には、図1’のようなタイプもあります。
これは全ての面がエンドでできているようなものなので、お客様は自動的に1周回ってくれます。

G.そぞろ歩き型什器レイアウト

21.そぞろ歩き型什器レイアウト

今までの什器レイアウトは什器のグリッドに沿って歩くタイプでした。
グリッドとは通路に面した什器のフチが直線にそってビシッと揃っていることを言います。
グリッドがなく、什器がでこぼこに配置されていると、通路がわかりにくくお客様の方向感覚を麻痺させてしまいます。
つまりフロアで迷いやすくなるということです。

あとひとつは防災上の決まりで、什器が通路にデコボコに出てしまうと、災害の時の通路がわかりにくく避難する誘導通路になりえないからです。

なので、あのドン・キホーテでさえも通路に沿って什器は並んでいるのです。(下写真)

22.ドン・キホーテの什器レイアウト

そぞろ歩き型は上図のような什器配置になっています。
1はディズニーストアなどのバラエティショップのお店、2はカルディや銀座ロフトのようなお店と考えてください。

先ほどのアイランド型や通り化は什器グリッドラインがあっていましたが、こちらはあっていません。
アイランド什器には違いないのですが、通路に面した面がすべてエンドになっているのがわかります。

実際に見てみましょう。
下写真はカルディ。

23.カルディの什器レイアウト

スーパーは倉庫型が多く、こんな風になっていないですよね。
前述のようにカルディはすべてがエンドになっているので、売場にサイドワゴンという感覚をお客様に与えません。
売場がすべてオトクなエンドに見え、宝探しをするような間隔でぐるぐる店内を回遊してくれます。

下記写真は銀座ロフトの2階です。

24.ロフト銀座の什器レイアウト

ただ、カルディも銀座ロフトも什器のグリッドは実はあっています。
下記写真を見てください。
カーブしつつも通路はわかりやすいです。
しかも、段ボールはグリッドからほとんどはみ出していません。

25.カルディの通路

今度はディズニーストアを見てみましょう。(下写真)

26.ディズニーストア2

島什器がデコボコに配置されているのがわかります。
上図1のような感じの配置です。
回遊型のバラエティショップならではの什器レイアウトと言えます。

繰り返しになりますが、ディズニーストアもカルディも主通路はあります。
主通路がないと来店客の往来にリズムがなくなり、どこに何があるか迷いやすくなります。
防災上からも非難しにくくなり危険です。

図1のグレーの太い線が主通路です。
ブルーの細い線がお客様の動線と考えてください。

どちらの店もくねくね曲がった副通路ながらも、主通路があるおかげで回遊はしやすくなっています。
入口と出口もわかりやすいです。

3.PART2のまとめ

チャプタ2はとても長くなりましたが、什器レイアウトにはさまざまな型があるということが、分かったと思います。

私の担当する店や売場の什器レイアウトはどうなっているのか、振り返ってみましょう。
街に出て、いろいろな什器レイアウトを見学して研究しましょう。
什器レイアウトの型を知ることは、VMD戦略の重要な要になります。
この時代、ディスプレイをよくしただけでは売上は上がりません。
VMD分類から始めて店独自のオリジナルな什器レイアウトをプランしなければ、売上UPは見込めないでしょう。

次回part3は、今回紹介したAからGの什器レイアウトの型を、どのようにミックスして、単純なフロアレイアウトから個性的なフロアレイアウトに変貌させるか?についてお話しします。

読み進める方は、PART3へ進んでください。
●什器レイアウトの考え方 PART3/什器配置ミックスの仕方

(VMDインストラクター協会事務局)

アパレルのPPとIP

VP,PP,IPとは

1.VP,PP,IPとは

VP,PP,IPとは、ディスプレイの種類のことです。
ディスプレイの種類は3つあり、種類ごとにタイプ・場所・役割・構成が違います

それぞれ、下記の様に要約します。

●VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 店舗の入り口、ゾーンの入り口、インショップの入り口
役 割/ 通行人もしくは来店客に、店や商品に関心を持たせ、立ち止まらせる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●PP(ポイント・プレゼンテーション)
タイプ/ 展示
場 所/ 商品グループの売場上部、売場手前、売場横
役 割/ 店内を歩いている来店客に、商品に関心を持たせ、引き寄せる。
構 成/ タイト、トライアングル、リピテーション、シンメトリー他

●IP(アイテム・プレゼンテーション)
タイプ/ 陳列
場 所/ 什器の中・上、テーブルの上、冷蔵庫・車など大きな商品は床に直置き
役 割/ 店内にいる来店客に、商品を選択・購入させる
構 成/ 等間隔、タイト、リピート、シンメトリー他

次にVP,PP,IPについて個別に述べるとしましょう。

2.VPについて

一番わかりやすいのが、ショーウインドウです。
すなわち百貨店やアパレルショップのウインドウがVPとなります。

通行人の目を留め立ち止まらせるのに有効な手段と言えるのがこのVPです。
若い女性がウインドウのウエディングドレスに見入ったり、子供が楽器店のトランペットを凝視したりするシーンをイメージできると思います。

VPは、ウインドウでなくてもOKです。
路面店よりもショッピングモールやGMSにテナントとして入居している店は、そもそもドアがなくウインドウもありません。
なので、店頭の展示台にマネキンを置いてVPにしている店はたくさんあります。(下記写真)

アパレルテナントのVP

VPのディスプレイは、店内で販売している商品を展示するのが最低条件です。
なので、単なる花のブーケやクリスマスツリーを置いてもそれはVPになりません。
販売する商品を置かないとVPの意はありません。
また、店内商品をただ置くだけではなく、テーマ性を持って展示するのが原則です。

テーマとは、「お客様が感じること」を言います。
Tシャツ3枚とGパンを置けばよい、というものではありません。
それを見ても、ただTシャツ3枚とGパンがあることがわかるだけです。

  • どこでどんなシーンで着るとよいのか?
  • どんな人が着ると様になるのか?
  • どんなテイストを醸し出してくれるのか?

など、客がVPを見ただけで服を着た情景が浮かぶようにしなければいけません。
例えば、ナチュラルなTシャツとショーパンのデニムをマネキンに着せて、リュックサックを掛けて駆け出すようなしぐさをマネキンに持たせます。
すると、アウトドアというテーマをお客様が感じるのです。

VPは通年計画としてローテーションするのが常で、1週間から1か月単位で変えていきます。商品は時間とともに変わるからです。
通常は、VPに店の打ち出し商品を出すケースが多いです。
アパレルショップなら、店側がその時強力に推し進めたい商品や色、素材、デザイン、シルエットをテーマ設定に基づいてVPとしてディスプレイすることになります。
基本的には、VPは店やゾーン全体を代表するディスプレイと捉えるとよいでしょう。

参考)
●テーマとは

3.PPについて

PPもVPと同じ展示の仲間ですが、VPよりも即興性の強いディスプレイと言えます。
店舗の代表的なディスプレイであるVPに対して、PPは売場の代表的なディスプレイであるため、カセットまたはコーナーと呼ばれる商品グループに連動して決めます。

こちらも展示のため、陳列棚と分けてディスプレイする必要があります。
商品見本展示の意味合いが濃いため、商品グループ直上に置いたり、突き出しテーブルの上に置いたりします。
服の場合はハンガーやマネキンを使うことが多いので分かりやすいと思います。
下記写真の什器上部、壁面上部にあるのがPPです。

PPもVPと同じくテーマ性が必要です。単純に什器の上に商品を一つ置いてもPPとは言えず、「在庫が置いてある」としか見えません。
VP程入念なプランは要りませんが、先ほどの審美性のセンスはほしいものです。
服だったらどんなテイストを発進するか、キッチン用品だったらどんな料理がつくれそうか、おもちゃだったらどんな子供向けにぴったりか、などのテーマを考えてつくります。

なお、PPについてはVPとあいまいな場合が多いので、あなたの店に合った定義が必要です。
それにつきましては下記参照ください。

●ディスプレイの定義をつくろう

4.IPについて

ドラッグストアやコンビニは、店舗デザインやオペレーションの都合上、VPやPPがない場合が多いのですが、最低IPはあります。
IPこそが、客が時間をかけずに

・商品を理解し
・ほしいものを選択でき
・掴んでかごに入れられる

便利なディスプレイです。
下記はスニーカーのIPです。

流通業界では「棚割りをする」という言い方がありますが、これは什器の棚に商品を置く位置決めをするということで、IPもこの働きをするものと考えてください。
ただし、IP=棚割りではありません。
フェイシングと言い、商品がよく映える置き方を考えたり、ハーモニゼーションと言ってリズミカルな並べ方をしたり、と棚割り以上のスキルが求められます。

このIP、難しいのは流動性があることです。
VPやPPはある程度の時間そのまま放っておけますが、IPは忙しい棚のため、欠品や補充が常です。
朝の始業時はきれいな棚だったのに、時間がたつにつれ、崩れていきます
お客様が商品を出し入れ、店側が商品を出し入れするからです。
現場のスタッフのメンテナンスが行き届いている棚はいつもきれいで、歯抜けがありません。
それは棚が乱れたらどのように対処するか、のIPコントロールのスキルが現場にあるからです。無印良品の棚がいつ行ってもはきれいなのは、現場教育がしっかりしているからでしょう。

また、客は商品をひとつひとつ眺めて店内を歩くわけではありません。
商品のカタマリである売場全体をサーッと眺めて歩きます。

売場という大きいくくりは商品で構成されていますが、IPが美しくないと売場全体のたたずまいは汚く見えます
商品を突っ込んただけの棚では、倉庫のようなたたずまいと化すだけです。
美しい売場のたたずまいは、それが壁であれ、島什器であれ、Gケースであれ、IPの総合力がモノを言います。
商品の量、色、置き方、並べ方など、什器1台~5台位を一つの売場単位としてIPを組み立て、たたずまいが美しく見えるようにしましょう。

VP,PP,IPをもっと勉強したいという方のために、毎月ディスプレイセミナーを行っています。
下記で日程とタイトルを確認ください。
●オンライン・センスアップセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

買い物客の手2

VMDとは何か?

VMDとは、当社ホームページに定義してありますが、今回はさらに掘り下げて解説します。
●VMDとは
それでは行ってみましょう~。

1.売場づくりには手法がある

VMDとはビジュアル・マーチャンダイジングの略で、売場づくりのノウハウを言います。
一般の人にとっては、売場づくりには手法がある、というと何それ?という人も多いと思います。

お店のこと?それとも商品が棚に収まっている陳列のこと?
いろいろな解釈があるでしょう。

端的に言うと、売場は「売る場」です。
だから店員さんがいる空間で、店員さんがモノを売っている空間、と解釈できます。

売場に手法なんているの?
仕入れた商品をただ棚に置けばいいんじゃないの?
そんな風に思っている人も多いと思います。
事実、流通業以外にいる方に「VMDって知ってる?」と聞くと、ほとんど「知らない」と言います。
自分たちが普段行くコンビニやドラッグストアは、仕入れた商品を単純に棚に置いている、と思っています。

私は、以前広告会社にいました。
モノを売る前段階の、モノをPRする側にいました。
20年いた広告会社をやめて、オーバルリンクというVMD会社をつくろうとしていました。
「売場づくりの広告会社つくるんですよ」と同僚に行ったところ、「何それ」「売場づくりなんてどうでもいいんじゃないの」と返してきました。不信そうな顔です。

モノを売る、というのはマーケティングといってとても大事な経済活動です。
モノを売る行為があるから広告会社が存在する、と言っても過言ではありません。
広告はマーテケィングの重要なツールです。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌はもとより、SNSなども大事な広告です。

しかし、VMDという新しいマーケティングもあるんです。
売場で商品をPRする、それこそがVMDだと思って起業しました。

でも、皆さんはこう思うでしょう。
マーケティングなのに、なんでマーチャンダイジングなの?

マーケティングとは、モノやサービスを売るための企業・団体や個人の販売活動を言います。
マーチャンダイジングは、品揃えのことを言い、仕入れてモノを売る企業・団体や個人の商業活動をいいます。
マーチャンダイジングは、マーケティングの部分集合と考えてよいでしょう。

2.ビジュアル・マーチャンダイジングとは

なので、広義のビジュアル・マーチャンダイジングは、「どんなモノを売っているのか、目で見てわかるようにしろ」ということになります。
ところが売りモノというのは、季節や場所、売る対象者、トレンドなどによって目まぐるしく変わります。
通常の売場というのは、1年中ずっと同じものを置いているわけではありません。
MDの5適とは、1.その時期に、2.その場所で、3.そのお客様にふさわしい商品を、4.適正量と 5.適正価格で売る ことを言います。
ビジュアルマーチャンダイジングは、この5適を目で見てわかるようにしなければいけないのです。

VMDの最大のメリットは、目的買いでなく衝動的に買わせること。
例えば、タバコはほとんどの方が目的買いです。
衝動的にタバコを買うというよりも、切れたら買う、というものです。

  • 買うつもりがなかったのに買っちゃった。
  • 入るつもりがないのに、お店に入っちゃった。

これが、流通業者が一番求めていることかもしれません。
もともと買うつもりのなかった客に、自社の商品を即買わせるということは、自社の売上に貢献すること大です。
特に食品や化粧品・服を含めた日用品などは価格は比較的安いので、その場その時が勝負です。

高価な時計・家電品・インテリア・自動車・住宅なども同様。
今は買うつもりがないけど将来的に買うといいかも、を演出できるでしょう。
価格の安い日用品と違い、熟考に掛ける時間が必要ですので、その場で買うということはあり得ません。

  • 今の自分、将来の自分にプラスになりそう。
  • いつか買うといいかも。

と、ビジュアル・マーチャンダイジングできっかけを与えることはできます。

こう考えると、VMDは人々の生活を瞬間的にも、将来的にも豊かにできる売場づくりのノウハウと言えます。
生活を快くできる機会を与えてくれる売場、それが「快場」へつながる一歩になります。
本来、快場は「心地よくショッピングできる売場」を意味しましたが、これに加えて上記の意味も含まれるんです。

3.VMDの4大要素

VMDをもう少し掘り下げていきましょう。
VMDには下記の4つの要素があり、それが快場をつくる源になっています。

  1. ショップ空間
  2. 品揃えと展開
  3. ディスプレイ
  4. 体験販促

個々に解説します。

1.ショップ空間

商品は店というハコの中で売られています。
コンビニというハコ、スーパーというハコ、百貨店というハコ。
ハコとは、床・壁・天井で囲まれた空間です。
大概の商品はハコの中に収まっています。

この空間には、ブランドの世界観というものがあり、それぞれ店名というブランドネームがついています。
無印良品、伊勢丹、マツモトキヨシ、カインズなどなど。
ハコの中はショップブランドの世界観で充満しています。

※空間のブランドの考え方は下記を読んでみてください。
●VMDとは空間のブランディング

例えば、無印良品に入ると、白い床に木材でできた背の高い什器、商品が整然とボリューミーに並んだ棚、廃材でできたカウンター、などなどシンプルで自然を重んじる無印良品の世界観が広がっています。
銀座や梅田にあるような旗艦店ほどブランドの世界観を強く打だしています。
インターネットでも同じ商品は買えますが、ブランドの世界観を感受することは、お店に行かなければ得ることはできません。

2.品揃えと展開

品揃えとは、先ほどお話ししたマーチャンダイジングそのものです。
品揃えは売れればなんでもいいかというとそうではありません。
流行っていてみんな買っているから自店の品揃えに追加する、というものでもありません。
商品はショップ空間の中にありますので、ショップの世界観に沿った品揃えが基本です。
先ほどの例ですと、無印良品はハコがナチュラルでシンプルにできていますので、そこで売られてい商品もまたシンプルでナチュラルなんです。
ユニクロのように派手な色のTシャツやパーカーなどないですよね。

さて、「展開」というのは、入荷した商品をどこに置くか?ということです。
商品は段ボール箱に入って店に入荷されます。
そしてあなたは商品を段ボール箱から出して棚に並べるはずです。
これを「展開」と言います。
展開は、ゾーニングというフロアの区分、展開分類というお客様目線の仕分け、棚に置く数量を調整する定量、などが作業内容になってきます。

回遊しやすくて、どこに何があるのかすぐわかり、商品が比較検討しやすい、歩いて苦にならない。
そういうお店は展開がうまいです。

3.ディスプレイ

ディスプレイとは、商品を展示したり陳列したりすることを指します。
大昔の店は、陳列自体ありませんでした。
客が来ると注文を聞いて奥から商品を持ってきて売りました。
つまり店とは、商品は言わないと出さない、という空間でした。
何年か経ち、人前に商品をズラーと並べて売るようになったのは、イスタンブールのバザールが最初だったそうです。
トルコ旅行の時に学びました。
今でいう青空市のような感じです。什器はほとんどありません。
しかし、自分の買いたいものが目で見ることができる、これこそがディスプレイの効能です。

現代のディスプレイは大きく分けて展示と陳列があります。
展示というのは、商品の見本展示のことです。
アパレルショップのウインドウや壁の上部分に飾られているディスプレイが展示です。
ドラッグストアやスーパーなど陳列主体で棚にぎっしり商品を置いている店舗でも、棚のわずかなスペースに展示をつくり訴求するケースがあります。
例えば、雪肌精やSKⅡ、モエエシャンドンやメルシャンの棚などが展示をしています。

このディスプレイ、テーマというものがあります。
単に商品を置いて見せるだけでなく、どんな時に使用するのか、どんな気分になれるのか、どんな効果があるのかなどが、テーマでわかるようになっています。
それが前述の衝動買いを促進させる力になっています。

陳列に関しては、商品を整理整頓して、わかりやすく選びやすいようにする力があります。
同じ商品でも、メーカー別、味の違い、色の違い、価格の違いなどいろいろあります。
それらが一目でわかり、選択比較でき購入しやすいようにディスプレイしなくてはいけません。
お客様にとってはほしいものがすぐに見つけられますので、時間の節約この上ありません。

4.体験販促

いまは昔と違い、ネットで当たり前に買い物をする時代になりました。
今年は「タイパ」が流行語になりました。
映画鑑賞や読書だけでなく、買い物もタイムパフォーマンスが当たり前になり、ネットでモノを買う「買い物タイパ」が当たり前になりました。
そしてリアルの売場は、客がわざわざ来てくれる場所になりました。
売場は今以上に、客に体験をしていただく場になっています。

商品が試せることはいうまでもなく、店員がアドバイスしてくれる、学習できる、人と集えるなど、リアルだからこそできる体験販促が店にとって必要になりました。

体験販促で古くからあるのは、試飲・試食・試乗・試着などがそう。
イセタンミラーのような誰でも相談できるカウンセリングカウンター、高島屋家具売り場のような、バーチャル3D間取り体験など体験販促の進化は著しいです。

特に今は「売らない売場」が百貨店では流行っていて、モノを試す、店員と話すなどショールーミング化しているのも体験販促の表れです。

今年は、当社も人がいないセルフワインバーでイベントを行いました。
ゲーム感覚でワインが飲めるワイパーは、買い物そのものを楽しむ体験の場になっています。
●wine@EBISU

4.VMDで売場を快場にしよう

売場づくりには手法があると、ということ、分かったと思います。

日本にVMDの考えが伝わったのは1970年代。
前後、マネキンメーカーが米欧に刺激を受け、マネキンとともに日本にやってきたのがVMDです。
その歴史的背景もあって、VMDは百貨店やブティックのウインドウづくりの技術という考え方が長い間席巻していました。
でも今は違います。
日用品を扱っているコンビニ・ドラッグストアはもとより、家電量販店やホームセンターもVMDを導入しています。
そして、カーディーラーやバイクディーラー、住宅展示場などと言ったショールーム型店舗もVMDを活用しています。
さらに、不動産、保険、レストラン、カフェと言った物販ではなく、サービスを提供する店舗もVMDを導入するに至ります。

そして今、VMDはバーチャルVMDの時代へ。
ネットで店舗や商品空間を体験できる、メタバースの時代が到来しました。
VMDをバーチャルに生かす技術をこれからも考えていきたいと思っています。

●バーチャル・マーチャンダイジングとは

VMDを詳しく知りたい方は、当社セミナーへお越しください。
毎月オンラインで開催しています。

●オンラインVMDセミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

ホノルルクッキーカンパニーの店頭

白壁を直して来店客を増加させよう

1. オーケストレーションとは壁面の集合ディスプレイ

今回はオーケストレーションの話をしましょう。

オーケストレーションとは、壁面の集合ディスプレイのことです。
もともと「オーケストレーション」は、楽隊編成の意味です。
わがオーケストラは、どこにピアノを配置して、どこにバイオリンとクラリネットを配置するか・・・などなど楽隊の指揮者から見たポジションを決めることを言います。

同じように、店内の壁を構成する要素をどのように配置するかが、オーケストレーションという手法なんです。
オーケストレーションは、壁面の集合ディスプレイと言い換えてもけっこうです。
壁面ディスプレイの要素は下記です。

  • 壁そのもの
  • 商品陳列
  • 商品展示
  • POP
  • プロップス(装飾品のこと)

論より証拠。
オーケストレーションの実際を見てみましょう。

これはホノルルクッキーというお菓子店。
通りからお店を覗いた写真です。
店内右側の壁を見てください。
クッキーの箱がたくさん並んでいるのがわかりますよね。
詳しくはわからないけれど、なんか楽しそうなお店。
入ってみようかな~って気になりますよね。

実際に入ってみましょう。
上の写真はドアを開けたところ。
見事な壁面の集合ディスプレイが目に飛び込みます。
いろんなクッキーが壁一面にディスプレイされている~。
ウキウキしちゃう!!って感じになりますよね。

これがオーケストレーションの効果です。
壁面の集合ディスプレイって店頭を歩いている客を店内に引き込む作用があるんです。

ホノルルクッキーカンパニーはハワイのチェーン店です。
そのVMDの魅力はこちらで詳しく解説ています。
●店舗視察のコツ~お菓子店事例

2. どんな店がオーケストレーション効果があるのか?

今度はオーケストレーションが発揮されているいない店舗を見ましょう。
上の写真はセブンイレブン。
会社の帰りに撮影しました。
奥の壁が白くなっているのがわかります。

お店に近づいてみましょう。
奥の壁面に何もないのがわかりますね。
強いて言うと、POPがちょこっと貼ってあるくらい。
このお店の壁面什器は1.8mまであるけれど、そこから上は白なんです。

これはなぜでしょうか。
なぜ、先ほどクッキー店みたいに壁いっぱいにディスプレイしないのでしょうか?
それは二つの理由があるからです。

1つ目の理由として、コストがかかってしまう点です。
コンビニは、客がさっと入ってさっと出る店です。
その時生活に必要なものを売っているライフライン店舗なので、多くは目的買いです。
オーケストレーションの運用には、手間暇がかかります。
・ディスプレイをつくる時間とスキルなどの人件費
・ディスプレイ資材コストと、それを集めるコスト

これはコンビニの低コスト運営に逆行します。

ただでさえ、人がいなくて忙しいのに毎週毎週壁面ディスプレを考えたりつくっている暇はないということです。
オーケストレーションに手間暇かける位だったら、販売の自動化とかレジ周りの効率改善にコストかけたいというのがオーナーの気持ちでしょう。

2つ目の理由としては、コンビニは環境VMDとは縁がない店舗ということです。
環境VMDは別名エンバイロメンタルVMDといい、店内空間にブランドの世界観を与える手法で、菓子店や雑貨店、セレクトショップなどが好んで使っています。
MDはもとより、ショップデザインやMDP(ディスプレイ)を使って店内空間にブランドの世界観をつくりあげます。
例えば下記のような店です。

  • 無印良品
  • スリーコインズ
  • ユニクロ
  • フランフラン
  • アフタヌーンティー
  • ゴディバ
  • 212キッチンストア
  • ディズニーストア
  • ハンズ
  • ルルレモン etc

これらの店は、ただ商品を買う店ではなく、店内回遊してお気に入りの商品を探したり、買って生活を楽しいものにしたい商品が満載です。
コンビニのように間に合わせの商品を買うお店ではないのです。

そのような店は、店内のデザイン環境を気分よいものにしなければいけません。
ただの白い壁で四方を覆うようなお店にしたら、会議室で商品を買うようなさみしい気持ちになります。

スリーコインズを通りから見てみましょう。
壁がディスプレイで埋め尽くされていますよね。
なーんか、掘り出し物がありそうな予感!!ちょっと寄ってみよう。
という気になりませんか。

こんな感じで、気持ちをわくわくさせるようなライフスタイル店舗はオーケストレーションを用いて壁面で来店客を魅了させる仕掛けが必要なんです。

逆に、コンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンターのような「生活必需品」をメインとしたライフライン店舗は白壁でもいいかもしれません。

ただし、同じドラッグストアでもテイストを重んじる店は、白壁にデザインを施しています
例えば、アインズアンドトルペです。

写真を見てわかる通り、カテゴリーネームとイラストを施したオシャレなデザイン。
ファッション感度の高い丸井や西武のフロアにも出店しているほど、若い女性に人気のコスメのセレクトショップです。

3. オーケストレーションの3つの区分

オーケストレーションの構成要素は、大道具・小道具・商品です。
壁面を舞台と思ってください。

  • 大道具は、壁面のデザイン、そして什器
  • 小道具は、什器に載せるプロップスや販促物
  • 商品は、陳列や展示に使用する商材一式

ハワイのクイックシルバーの壁面を見てみましょう。
大道具部分は壁面のウッドフェンス。
そして天井のサーフボードのオブジェ。

小道具部分は、写真やポスターのフレームとサーフボード。
商品部分は、PP(商品展示のこと)としてのトルソ、そしてその下のTシャツとショーパンの陳列がそうです。

この3つの構成は、通常なら下記の様に担当が分かれているはすでず。

  • 大道具部分・・・店舗デザイナー
  • 小道具部分・・・デコレーター
  • 商品部分・・・・VMD

上はディズニーランド内のお土産ショップ。こちらも同様です。
壁面は3セクションに分かれていて、壁の上から言うと、下記になります。

  • 大道具部分・・・アーチ型壁面とキャラクターの造作物は店舗デザイン部署が担当。
  • 小道具部分・・・最上段のPPディスプレイ棚は、デコレーター担当。
  • 商品部分・・・その下の商品陳列は、VMD担当。陳列の研修をキャストにしている。

オーケストレーションはまさに部署間の共同作業といっていいでしょう。
無印良品がなぜ完璧までに全国のオーケストレーションを構築できるかは、部署間の共同作業によるルーティーンがなされているからです。

4. オーケストレーションのさまざまなタイプ

先ほど述べたように、大道具・小道具・商品という区分で担当者が分かれているのが、オーソドックスな体制ですが、例外はたくさんあります。

IP(商品部分)を壁面の下部基準とした場合、下記のタイプがあります。

  1. 壁面上部もIPタイプ
  2. 壁面上部はインテリアディスプレイタイプ
  3. 壁面上部は広告スペースタイプ
  4. 壁面上部は質感のある壁タイプ

写真を見ながら説明します。

1. 壁面上部もIPタイプ

これは、天井まで陳列がずっと続いているタイプ。
無印良品やラコステが普通に行っています。
無印良品は天井近くまで布団やレトルトカレーを陳列していますし、壁面を覆っているラコステのポロシャツ売場は色のグラデーションが効いています。
商品のボリューム感が出ている上に、色の帯がきれいなので、来店客はついつい壁面に注目してしまいます。
写真は、ラルフローレンのウオーターフォール。
色の配置はグラデではなくてチェッカー状にしてメリハリをつけています。

2.壁面上部はインテリアディスプレイタイプ

商品の世界観を象徴するオブジェやフレームなどをディスプレイするタイプ。
単純に造花や壺を展示している例(上の写真)もありますが、商品を絡ませて生活スタイルを表現したり、風景写真を掲示して生活のシーンなどを表現する方法などがあります。
下記はポスターを使用した、アパレルショップのインテリアディスプレイの例です。

ポスターは必ずしも商品と直接結びついてはいませんが、生活のシーンやテイストを売場に与えています。

3. 壁面上部は広告スペースタイプ

大きなPOPを壁面上に掲示して、遠くの客を引き付けるタイプです。
例えば、上の写真は年賀状の広告になっています。
これはプリントショップのオーケストレーション。
また、駅や空港の土産店のようにお菓子の広告を電照広告形式で掲示している例もあります。

メガネやスマホなど商品が小さい場合、最上段は広告スペースにした方がよいでしょう。
例えば、メガネを一つ二つ最上段にPPとしてディスプレイしてもほとんど遠目でわかりません
その場合メガネのフレームを大写しにしたブランド名入りのポスターを掲示した方がインパクトがあり、遠目でもわかります。

4. 壁面上部は質感のある壁タイプ

壁の質感を出すために、壁をそのままにしておくタイプです。
壁をわざと見せます。
単なる白壁ではなくて、テラコッタや板張りの壁は、壁そのものの質感(マテリアル)が来店客に伝わり、商品ブランドやショップブランドのテイストを助長させます。
例えば、上の写真は米国アンソロポロジー。ライススタイルショップです。
キッチン用品の売場ですが、凹凸のある土壁がボヘミアンなブランドテイストを助長させています。

5. 白壁を改善して入店客を増やす

私たちはお店のリバイスをするときに、「白壁」をどうやって魅力的にするか、よくプランします。
壁自体をディスプレイとみるオーケストレーションは、今話した方法で店の前を歩いているお客様を入店させることができるからです。

いままで数々の店舗にオーケストレーションを導入して、入店率や売上をアップさせてきました。
30%の入店率アップ、売上20%アップなど、具体的な数字結果をもたらした店舗は多いです。

オーケストレーションは、下記のセミナーで詳しくお話ししています。
●商品陳列の仕方

このセミナー、来年(2023年)になりますが4月と7月開催予定です。
白い壁面を直したいと思っている方、ぜひお越しください。

(VMDインストラクター協会事務局)