ディスプレイのセンス」タグアーカイブ

メガネのディスプレイ

ガムットでバラバラに整然さを加えよう

今回は、ディスプレイ用語「ガムット」の話をします。

ガムットとは「傾きをおさえること」を言います。
リニアスキームとは、ディスプレイの構造線を考える事ですが、構造線を5つ以内に抑えることを「ガムット」といいます。

ガムットとは

トランプで「ガムット」を実験してみます。

まずはこの写真を見てください。
トランプをパーチクル(小さな装飾品のこと)として使います。
バラバラに机の上に置いてみます。

バラバラに置いたので、トランプはいろんな方向を向いています。

今度は、傾きを4つのみに限定してみます。
下の写真がそうです。

改めて上の写真を比べてみてください。
左よりも右の方がなんだか整然さが感じれられます。

やっぱり右の方が少し整然としていますね。
これがガムットです。

パーチクルを散布する際に、ガムットを使えば、ディスプレイは整います。
なので、「このディスプレイ、なんかバラバラだな少しすっきりさせたいな」という時にガムットを使えばよいです。

自然だけど、少し人工的・・・という美的感覚を養うのに便利なテクです。

ガムットの線を写真に引いてみました。
これでこのテーブルディスプレイは4種類の方向の線しか使用していないことがわかります。
構造線を180゜45゜135゜90゜の角度にしたのでわかりやすいと思います。

ガムットの応用

これは、トランプでなくメガネでも同じ。
下の写真を見比べてみてください。
最初の写真がガムットなし、次の写真がガムットありです。

ガムットあり、の方はなるべく等間隔にも置きました。
ガムットと同時に等間隔陳列もすること、これが鉄則です。
すると、ディスプレイは整って見えます。

例えば、あなたがイタリアンで食事しているとします。
テーブルから見える柱が見えました。
ガムットに意識して見てください。

ポスター、メニュー黒板、ボトルの陳列枠、メニューチラシ、これ全部長方形です。
トランプの代わりだと思ってください。
でもキレイなたたずまいには見えないですよね。
なんか、広告物をバラバラに貼っている感じ。
秩序が感じられません。

確かに長方形の傾きは全部で4。
ガムットとしてはセーフですが、モノとモノの間が等間隔になっていないので雑然と感じるんです。
つくった人の失敗は、ポスターやボトルケースとの距離を考えていないことにありました。

ガムットで楽しいディスプレイ

さて、せっかくだから、トランプ・ディスプレイの続きをつくりましょう。
少し整然としているカードは兵隊さんのように見えます。
そこでフォークを使って、このトランプをお城の門番にしてみました。

次にカップを入れました。
ウサギと帽子屋との茶会にしてみましょうか。

となると、怒ったお城の女王様も必要。
もうわかりましね。
テーマは「不思議の国のアリス」でした。

追加した食器の傾きも4種類以内に収まっています。

ディスプレイって楽しいですね。
ぜひセンスアップセミナーでディスプレイセンス磨いてください。

●センスアップセミナー

お待ちしております。(^^)

(VMDインストラクター協会事務局)

リーディングラインでお客様の目線をコントロールしよう

リーディングラインとは、お客様の目を導く線のことをいいます
直訳するとお客様の目をリードするラインのことで、このテクニックを習得すると、ディスプレイの作り手側の意図どおりに、お客様の視線をコントロールできます。

リーディングラインは、リニアスキームというディスプレイの構造線と連動させることで、お客様の視線をくぎ付けできることは以前下記にて書きました。

●リーディングラインとは

今回は、その続き。
リーディングラインはリニアスキーム以外にも、商品のカタチや向き、そして位置に影響されるんです。
今回は、商品の向きを意図的に変えることによって、お客様の視線をコントロールするテクニックを伝授します。

コップの向きで目線をコントロールする

上の写真を見てください。
3つの色違いのリピテーションです。
カタチとサイズは同じですので、視線は真ん中のコップにまず注がれます。

次に向かうのは左のコップです。
なぜかというと、真ん中のコップが左に傾いているからです。
視線はトライアングルの頂点に行きますから、その近くのオレンジ色のドットのコップの向きに影響され、左のコップに向かうのです。

次もリピテーションしているコップです。
今度は二つの連続なので、視線はまず左に注がれます。
すると、下のコップが右に傾いているので、目線は自然と右側に流れます。

上の写真のリーディングラインは少々複雑。
3つのリピテーションですが、まず目線は一番左のコップに行き、そこから右に一気に駆け上がります
そのあとは、下の左に向いているコップに目は捉われ、今度は左に目線が移動していきます。

テーブルディスプレイ応用編

今度はテーブルディスプレイで応用してみます。
上の写真をじっと見てください。
あなたの目線は矢印のように動いていませんか。

まずリニアスキーム(ディスプレイの構造線)は逆Nの字型になっているのがわかりますか。
中央の網が逆Nの字の真ん中で、左右に置いた並みの模様のキルティングマットがNの縦棒になっています。
ですので、この段階でディスプレイ用品は逆Nの字に配置されているんです。

ではなぜあなたの目は逆Nの字に動いていくかというと、食器の向きに左右されているからなんです。
手前のコーヒーカップの取っ手に注目してください。
ポットの方を向いていますよね。
だから、あなたは手前のカップからポットのように目を移動するんです。

次に向かうのは、ミルクピッチャー。
なぜなら、ポットがミルクピッチャーの方を向いているからなんです。

同じ方向を向いている、このミルクピッチャーとポットですが、よく見ると、網のラインに沿って置かれているのがわかります
つまり、この網の位置が、ポット→ミルクピッチャーへの動きを増進させているんです。
しかもマカロンの青と白の皿も、網の流れに沿って二分されていますので、ますますポット→ミルクピッチャーへ目の動きを誘導できています。

さて、皿に載っている青いマカロンですが、この置き方が奥のコーヒーカップに誘っているのがわかりますか。
そう、網の流れに対して直角に二つのマカロンを置くことによって、今度は90度角度を変えて、目線を奥に誘導しているんです。

このようにして、あなたの目線は逆Nの字にコントロールされるのでした。

なお、リニアスキーム、忘れた人は下記をお読みください。
●ディスプレイはなせ三角構成がいい?

まとめ

最後にひとつ注釈を。
そうは言っても、真ん中のマカロンが目立つからお客様の目線は最初はマカロンに行くんじゃないの?
と思う方、それも正解です。

真ん中のマカロン、これはフォーカルポイントと言います。
ぽつんとあって色も濃い青なので、とても目立ちます。
だから、最初に真ん中のマカロンに目が行き、次に逆Nの字に進むというのが正しい解釈でしょう。

まとめましょう。

  • フォーカルポイント
  • リニアスキーム
  • リーディングライン

この3つをセットにして、お客様の視線をどうコントトロールするか、考えてみてください。

リーディングライは、Webセンスアップセミナー「ディスプレイ構成PART3」の題材にもなっています。
次回は、3月予定。機会あったらぜひご視聴ください。(^^)

●センスアップセミナー「ディスプレイ構成PART3」

(VMDインストラクター協会事務局)

群化の法則

「群化の法則」活用の仕方

群化の法則とは

群化の法則というものがあることは以前述べました。

●群化の法則

群れを同族と認識する、人間の心理から成り立つ法です。
商品の陳列がバラバラでも、色や柄、サイズやカタチなど同族商品を同じものとして認識できる人間本来の慣性がベースになってます。

群化の法則は、もともとグラフィックデザインをするときによく使う法則です。
ポスターやパンフレット、新聞や雑誌などの誌面をデザインするときにこの法則を使えば、読者にとって理解しやすく、美しい紙面に変身します。

しかしこの法則は売場づくりにすこぶる役に立ちます。
商品の群れをくくりと捉え、くくりをデザインすることによって個性的なディスプレイになり、売場を美的センスあふれるものにすることができます。

群化の法則は図の7つの法則から成り立っています。
ひとつひとつ解説していきます。

7つの法則とは

①近接

4つのカタマリが認識できます。
4つの各々のカタマリはカタチや色が違いますが、タイトに固まっており、カタマリの周りに余白があります。
だから、4つのグループに分けられていると認識できるんです。

②類同

類同とは同じデザインのモノが近くにあることを言います。
①の近接と違うところは、同じデザインのカタマリの周りに余白がないことです。
しかし、色が同じ仲間がタイトに集まっていることはすぐに認識できます。

③よい連続

よい連続とは、外形(フィギュア)が繰り返されていることを言います。
③の図は、Lの字と横一線のフィギュアが繰り返されています。
各々の色や形は違うのに、繰り返されているのが認識されます。
それは、Lの字と横一線のフィギュアが一致しているからなんです。

④閉合

わかりやすく言えば、カッコで四角や丸が閉じられているのがわかると思います。
右の図は( )で、左の図は「 」でひとカタマリというのがわかります。
これを「くくり」といいます。
商品がくくられていると、それでひとカタマリというのが認識されます。
なので、商品をグルーピングしたいとき、なにがしかの方法でくくると、商品が視覚的に分類されます

⑤共同運命

個人的には「共同運命」が群化の法則では一番面白いと思っています。
ディスプレイに運命があるなんて、なんと詩的でロマンチックな言葉ではないでしょうか。
図の⑤共同運命を見てみましょう。
左側の緑の四角は、上に行くほど小さくなっていく運命にあります。
右側の肌色の四角と丸は、「隣は必ず違うカタチ」という運命で配置されています。

⑥面積

ランチョンマットの上にコーヒーカップが載っているような図です。
左の四角は円よりもかなり面積は大きいです。
にもかかわらず、丸が主役として目立っています。
なぜかというと、四角い中にぽつんと丸があるからです。
四角は確かに丸より大きいが目立ちません。
丸が四角より前にあるように見え、丸は四角より面積が小さいのにもかかわらず目立ち

これは、人間はフォーカルポイント(注目点)に左右される性質だからです。
ワイシャツの中の大きいシミが目立つように、ぽつんと小さい何かに注目してしまう性質なのです。
⑥面積はうまく人間の慣性を突いている思います。

⑦対称性

商品を左右対称に置くと、ディスプレイは安定して見えます。
ただし、左右だけでなく、上下対称、斜め対称もあるので注意しましょう。
左図は左右対称、右図は斜め対称です。
対称性という定義なので、必ずしも同じ商品が対称に置かれなくてもよいです。
だいたいカタチが同じ、だいたい色が同じ、だいたいサイズが同じでもよいです。

群化の法則はミックスして使う

さて、陳列や展示に「群化の法則」を使ったディスプレイの例を見てみましょう。
大事なことは、ディスプレイづくりにおいては、7つの法則を単独で使うのではなくミックスして使うことです。
あなたは週末、リビングでコーヒーを飲んでいるとします。
「群化の法則」を活用してカフェテーブルをつくってみました。

a

これは③よい連続と④閉合のミックスです。
まず板に注目しましょう。
板が連続していて、「よい連続」です。
 食器が板の上にすべて載っている姿が「閉合」です。
シンプルでナチュラルなテイストのディスプレイ。

b

これは③よい連続と④閉合、⑦対称性のミックス。テーマは四葉のクローバー。

c

これは、②類同、④閉合、⑤共同運命、⑦対称性の複合型
線香花火をモチーフにしたディスプレイだが、火花の周りは丸いものが固まっていて「類同」。
火花においてはピンクのヨコは必ずパープルなので「共同運命」。線香花火やコーヒーカップは「対称性」があります。

d

これは、③よい連続、④閉合、⑦対称性のミックス
ディスプレイテーマはフラワー時計。

e

これは、⑥面積、⑦対称性のミックス。ビリヤードをモチーフにしたディスプレイですが、キューの先のボールがとても目立つ。これが⑥面積の応用です。

f

これは、④閉合、⑤共同運命のミックス。テーブルの木枠でディスプレイを包んでいる、大きな「閉合」だ。
そしてコーヒーカップ以外はすべてテーブルに埋まっているという共同運命です。
テーマはSDGs。

g

これは、④共同運命 ⑦対称性のミックス。
白黒反転する、という共同運命です。
コロナのグラフをモチーフにしました。

h

これは、④閉合 ⑦対称性。テーマはパーティになっています。

まとめ

今回は、デザイナーによく知られている「群化の法則」をディスプレイに応用し解説しました。
「群化の法則」は秩序の法則と行っても過言ではありません。
売場に秩序がなければ、ジャングルになってしまいます。
かといってあまり秩序がありすぎると在庫置き場になってしまいます。

ディスプレイは秩序と自然の中庸に位置させると、個性的で美的感覚に優れたものになります。
このことを常に意識して、既存のVMDメソッドと群化の法則を連動させて使いましょう。

群化の法則を会得したい方は、オンライン「センスアップセミナー」で詳しく教授しました。
興味ある方は次回ぜひご参加ください。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成 PART2

(VMDインストラクター協会事務局)

カラフルなディスプレイ

ディスプレイ美的センスアップの秘訣

美的センスの三要素

あなたがディスプレイをつくるとします。
ディスプレイをアート作品と思っているあなたには下記の3つの要素が求められます。

  • 審美性esthetics
  • 創造性creativity
  • 演出性expressiveness

審美性について

審美性とは、見た目の美しさのことです。
女性なら八頭身、小顔、色白。
男なら逆三角形ボディの細マッチョみたいな感じでしょうか。

あなたの身の回りの調度品を見てください。
リビングの花瓶も、目覚まし時計も、下着を入れるキャビネットも審美性を感じませんか。

リビングの花瓶は鶴の首のように細くキュッと締まっていますし、目覚まし時計は左右対称の楕円形になっています。
下着入れのキャビネットは湾曲していてかわいいです。

審美性は、下記の美的形式原理がベースになっています。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

詳しくは
●美的形式原理 をクリック。

美的形式原理を取り入れると審美性が増します。
例えば、先ほどの花瓶は調和と対称がよいため、審美性が感じられるのです。

売場塾の生徒作品を例に解説します。
例えば、これはフツーのディスプレイ。

これに美的形式原理のシンメトリーを加えてみます。
すると、下記の様になり、審美性が増しました。

もし、あなたの作ったディスプレイに審美性を加えたいのなら、美式形式原理を応用しましょう。

今度はコップのディスプレイ。
これも売場塾のワークショップの生徒作品。

うーん、なんかずんぐりむっくりで肥満系のディスプレイですね。
これを美しくしてみましょう。

ライザップのようにシェイプアップしました。
ドクターXみたいにきれいな八頭身ですね。
縦に長い三角構成は、りりしくすっきりとしています。

OKですか?審美性の感覚分かったと思います。
ディスプレイのシルエット、色、素材、配置などに審美性を加えると美しくなります。

創造性について

創造性とは、クリエイティブなことです。
それは他に類のない個性的なものを創り出す能力のことです。

他に類を見ない個性的なディスプレイとはなにか。
それは、「ほかで見たような気がする」ディスプレイでなくて、「こんなの、あるんだ」という、唯一無二のディスプレイを言います。

広告で言えば、こんな感じ。
デパートは普通、モデルに服を着せた写真を広告に出しますが、このモデルは服を着ていません。
「こんなの、あるんだ」という唯一無二の広告になっています。

ディスプレイの例を見てみましょう。
例えば、この陳列は遠くから見ると、サンタクロースに見えます。
とても創造的ですね。

こちらは、コップの三角構成ですが、フツーの三角構成とちがい、なんだか動き出しそう。
芋虫がもそもそしている感じがして、とても創造的です。

あなたがもし創造性のあるディスプレイをつくりたいのなら、他人をマネするのではなく、唯一無二のオリジナリティを追求するとよいでしょう。

演出性について

次に演出性なのですが、テーマやシーンの臨場感を出す能力のことです。
臨場感とは、「まるでその場にいるような感覚」を言い、下記の様なことを言います。
・まるで戦場にいるような臨場感のある映画
・遊園地でデートという臨場感があるディスプレイ
・高いビルの屋上に立っているような臨場感あるVR

演出性があるディスプレイとは、まさに「まるでその場にいるような感覚」なんです。
例えば、「遊園地でデートという臨場感があるディスプレイ」にするにはどうすればいいのか。
それには、まずマネキンに着せる服を「遊園地でデート」に合うようなテイストにすることです。

  • ドットや幾何学というカジュアルな柄の服
  • ブライトトーン、ビビッドトーンといったカラフルな色の服
  • ミッキーやキティのようなキャラクターもの
  • スカートはマーメイドスカート、フレアスカート、マキシスカートなどカジュアルなもの

などと「遊園地でデート」に着ていく商品をチョイスします。

それが終わったら、プロップスやPOPのようなディスプレイ用品で演出性を高めます。
・POPは遊園地の写真を背面パネルとして起用。
例えばメリーゴーランドとか、動くコーヒーカップの写真にする。
・プロップスは、遊園地をほうふつとする小道具にする。
例えば、風船、ハートの杖、観覧車のオブジェ、ピエロのお面などなど。

下記の缶ジュースに演出性を加えてみます。

演出的なディスプレイになりました。

お花畑を演出してみました。
香りのよさそうなジュースになりました。
これがディスプレイの演出性です。

ディスプレイに美的センスを加える要素、わかりましたでしょうか。
それが

  • 審美性esthetics
  • 創造性creativity
  • 演出性expressivenes

なんです。

当社では3か月に一度ディスプレイセミナーを行っています。
●ディスプレイセミナー
美的センスあるディスプレイを実際につくってみましょう。
日本橋の売場塾会場にてお待ちしております。(^^)

(VMDインストラクター協会事務局)

ディスプレイをしっかり見せるためのコツ

ディスプレイのセンスがないとお嘆きの皆さん、大丈夫です。
ディスプレイのセンスはスキームを勉強することで向上します。
スキームとはなんでしょうか。
一言で言うとコツなんです。

今回も写真を使って解説します。

この間は、リニアスキームを使ってのディスプレイ構成のうまい作り方をお教えしたので、今度はリーディングラインというスキームを使ってディスプレイをきちんとお客様に見せるコツを会得します。

まずは上のAとBのディスプレイを見てください。

紅茶のディスプレイです。
A,Bどちらのディスプレイの方がよいと思いますか。

答えはB。

Bの方が小売店にとっても紅茶メーカーにとってもいいんです。
Bがいい理由は、3種類の紅茶すべてが目に留まるからです。

写真を使って解説します。
まずAから。

青い線をお客様の視線だと思ってください。
これをリーディングラインと言います。

このディスプレイの第一のフォーカルポイントは中央の缶です。
真ん中にあって目立つからです。

一方、左右の紅茶缶は斜めを向いていて、中央の缶ほどは目立ちません。
それどころか、左右の缶の向きは中央の缶を向いているので、お客様の視線も缶に向いてしまいます。

これはどういうことでしょうか。
リーディングラインは、モノの向いている向きに影響されます。
両方の缶を人間だとすると、両方の人物は中央の缶をじっと見ている構図になります。
人の視線は他人が見ている方向を追う性質があるので、自然と両方の缶が向いている方を見てしまいます。

すると、お客様のすべての視線は中央の缶に向いてしまいますので、中央以外の缶は目だたなくなるんです。

これがBだと、リーディングラインはこうなります。

リーディングラインはやっぱり中央が強いのですが、左右の缶はまっすぐ前を見つめているため、サブリーディングラインになるんです。
そのため、3種類の缶がいっしょに目だつんです。

改めて比べてみましょう。

リーディングラインの使い方、わかりましたか。

さあ、今度は復習です。
AとB、どちらが優れたディスプレイですか。

答えはB。

リーディングラインはこうですね。

Aだと、せっかく左右に振れた視線が結局は中央の紅茶に戻ってしまうんです。
左右のコーヒーが中央の紅茶を見てね!!と言っているのかのように視線からどいているようにみえますよね。
中央は王様のおでまし~という感じ。
左右のコーヒーは家来になっています。

これではコーヒーがかわいそう。
なんで、コーヒーも正面向きにして、お客様の視線を中央に行くのをなるべく防いでいるんです。

わかりましたでしょうか、リーディングライン。
いくつかの百貨店が、Aを禁止しているのはこのためなんです。

VMDインストラクターの皆さん、商品は真正面に置きましょう。
「上からも三角形」を意識してしまうと、左右の商品が目立たなくなるので注意しまょう。

なお、今回のリーディングライン、オンラインセミナーで詳しく教えています。
実際にディスプレイをつくってみる実技もあるので、ぜひ参加してみてください。
年2回やっています。
●センスアップセミナー ディスプレイ構成PART3

(VMDインスタラクター協会事務局)