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陳列「ヨコからタテの法則」

商品陳列「ヨコからタテの法則」

1.商品陳列はヨコからタテの動きをもとに設計する

今回は、コンビニやスーパー、ホームセンターなどの一般消費費材をたくさん棚に陳列している量販店のVMDについて語ります。

スーパーマーケットは、図のように逆時計回り、つまり左回りに買い物客が歩いていきます。
矢印のようにお客様は歩いていきます。

お酒売り場に差し掛かりました。
あなたは6パック入りのビールを買おうとしています。
どのような棚割りだったら買いやすいですか。
AとBを比べてください。

そう、Aですよね。

なぜなら、Bだとアイテムが決まっているお客様は買いにくいからです。
6パック入りのビールを買おうとしているのに、5スパン(5つの什器)を横に歩いて探さなければいけないからです。

Aだと、横にスススーと歩いて行って、ビールスパンを見つけ、そこでメーカー銘柄をタテに探せばよいです。(下図)

買う優先順位がメーカー銘柄ではなくて、350mlというサイズでしたら下記の図の棚割りの方がお客様は選びやすくなります。(下図)

ともかく、例外を抜かして棚に何かを陳列する場合は、

●客はヨコに進みながら売場を探し
●立ち止まってタテに商品を探す

ということを思い描いてください。

写真を使って説明します。

例えば、上は外国コンビニのビール売場ですが、タテに銘柄別になっていて、横にサイズ別に展開しているのがわかりますか。

角の目立つところにバドワイザーやコロナビールがタテに陳列しているのがわかります。
で、上はサイズが大きい500ml、下の方は350mlが並んでいます。

これを見れば、お客様はビールの銘柄を探してヨコに歩いてバドワイザーにたどり着き、タテを見て上にある500mlの缶を掴んでかごに入れる、という動作になります。
つまり、メーカー銘柄が優先で次はサイズを探すということになり、先ほどのDの買い方に近くなるわけです。

こんな感じで、量販店の多くはタテからヨコのお客様の目の動きに合わせた棚割り設計になっています。

2.ゴールデンゾーンとは

余談ですが、量販店の棚割りには「ゴールデンゾーン」というものがあり、上図のように、お客様の目に留まりやすく商品を取りやすく戻しやすい棚を指します。
当然、ゴールデンゾーンにある商品は売れ行きがよくなります。

ゴールデンゾーンはメーカーが喉から手が出るほど欲しい棚です。
当然、上や下の棚に行くほどメーカーは不利になります。
理由はゴールデンゾーンでないとお客様の視界に入りにくいから。

お客様がヨコに歩くとき、いちいち1スパンごとに目を上下に動かさないからです。
ゴールデンゾーンをススーッと目で追ってヨコ移動しますので、メーカーとしてはやっぱりお客様の目の先に自社商品があってほしいのです。

3.例外はカセット方式

先ほど、タテからヨコの法則は例外があるといいました。
それはカセット方式を採用した売場の場合です。
Eの図を見てください。

ビール売場が2スパンに拡張されています。
そのビール売場において、各アイテム別のくくりはヨコになっています。

これ、なぜタテくくりにしないかというと、2スパン全体をお客様に見ていただくビール売場設計になっているからです。

カセットは服や雑貨売場でよく採用されている売場のつくり方です。
例えば、このキッチン用品の売場ですが、2スパンになっています。

マグカップやグラス、皿が陳列されていますが、2スパンの棚にそれらがヨコに並んでいるのがわかります。
これが2スパンのカセット方式です。
2スパンで売場全体を見てください、という売場なんです。

もしこの売場で、マグカップやグラス、皿がタテくくりになっていたら、とてもバランスが悪い売場になってしまいます。
カセット方式は、1カセット・1テーマになっていることが多いです。
テーマとはMDテーマのことで、先ほどの例だったら「ビール」、上写真では「食器」というMDテーマになります。

スパンは2から長くて5スパンに及びます。
前述の通りカセット方式の売場はアパレルや雑貨店で顕著です。
ユニクロや無印良品、ラルフローレン、アフタヌーンティーやフランフランなどで普通に見られます。

スーパーやコンビニでカセットにするということは、1テーマで売場を見せたい場合に多いです。
例えば、クラフトビールの特集を酒ゾーンにつくるとか、クリスマスギフトの特集をお菓子ゾーンでつくるとか、お客様を特別コーナーとして強力に誘客したい場合などに使います。

4.デパ地下菓子・惣菜フロアの場合

スーパー・コンビニではなくて、デパ地下の場合はどうでしょうか。
ヨコからタテの法則は通用するのでしょうか。

今はクリスマスシーズン。おいしそうなケーキやお菓子を探しにデパ地下にあなたは訪れているとします。

ここでもあなたは、ススーッとガラスケースの中のお菓子を見ながらヨコに進みます。
ショーケースは高さが1.2m位と低く、お客様は視線を落として「何かいいお菓子しないかな」とススーッとヨコに動いてお菓子を探します。

お菓子店は、A店、B店・・・とブランドごとに分かれていて店舗別にレジ清算するようになっています。
ただ、目を下方向に向けてヨコに移動していくので、店舗ごとにいちいち顔を上げて店名を確認することはしないし、ショーケースのデザインはどの店舗も似ているので、どの店のどのカステラか?なんてお客様は気にしません。

さて、ここで問題です。
A店、B店ともフィナンシェ、マドレーヌ、タルト、パウンドケーキを扱っていました。
各アイテムとも5個入、10個入、20個入などと個数が違う箱がGケース内に陳列されているとします。
FとGの棚割り、どちらがよいと思いますか。

Fでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをヨコに見てどの箱入りを買うか選びます。
Gでは、フィナンシェを買う人は1.5m幅のショーケースをタテに見てどの箱入りを買うか選びます。

答えは~。

この場合は、どっちもアリというのが正しいです。
Fの場合は、棚がそのままアイテムくくりになり、棚1枚=アイテムという棚割りです。
視覚的にくくりはわかりやすいです。
ケースの中央に立てば、左右に目をやることでフィナンシェの箱どれかを選ぶことができます。

Gはタテに目をやってフィナンシェの箱のどれかを探すことになります。
Fよりも左右に目をやったり体を移動せずに済むので、こちらの方が使うエネルギーは少なくて済みそうです。

ただし、それほどFとGではお客様の労力は変わりません。

Gがよいとよるケースば、バレンタインやクリスマスの当日か催事フロアに出店している時でしょう。
ショーケースの前は常に人だかりになります。
その場合、お客様は各アイテムを一堂に見ることはできません。

ショーケースの左右がよく見えないので、どれを選ぶか一苦労します。
そんな時、Gの棚割りになっていれば、買うアイテムさえ決めていれば、人だかりでもタテに目をやって箱を選べばよいので、こちらの棚割りの方が有利なはずです。

ただ、Gの場合はくくりを明確にした方がよいです。
フィナンシェとマドレーヌ、タルトとパウンドケーキの間に隙間を入れて各アイテムのくくりを分かりやすくするのです。
くくりはアメーバにせずになるべく四角にしましょう。
その方がくくりは鮮明になります。

くくりに関し詳しくはこちらをご覧ください。

●陳列の整理整頓は get thigs square

5.リレーションの考え方

ところで、リレーションという言葉をご存じですか。
売場と売場のつながりのことです。

同じようなアイテム、同じようなMDテーマ、同じようなブランドなど、似ている商品を隣通しに置くことによってお客様の買い上げ率を上げるやり方をいいます。

例えば、図HのA店とB店の境に注目してください。
パウンドケーキが隣通しになっていますよね。
これがリレーションです。

●リレーションとは「売場と売場のつながり、商品と商品のつながり」

お客様はケースを見ながらススーッとヨコに歩いていくので、パウンドケーキが好きなら、パウンドケーキが固まっている方がありがたいのです。
お客様は店名を見ずにヨコに進むので、店が違っても違和感はありません。

あなたがデパ地下のお菓子店ならば左右の店舗、向かいの店舗が何を販売しているか観察しましょう。
向かいがチョコを売っていたならあなたのお店もチョコ(売っていれば)、右がクッキーを売っていたら、左側にクッキー売場を持って行きましょう。
リレーションがよくなり、買い上げ率は上がります。

また、リレーションは先ほどのお酒ゾーンにも適用できます。
上図を見てください。
焼酎→ウイスキー→カクテル→ビール→ワインというのもリレーションなんです。
焼酎、ウイスキー、カクテルは「水や炭酸をミックスして楽しめる飲み物」ということでリレーションがよいです。
カクテルはハイボールみたいなものもありますので、ウイスキーと相性いいですし、ビールもビアカクテルという飲み方があるので、カクテルと相性いいです。

リレーションは、ショーケースだけではなく壁面ラック、島ワゴンなど、あらゆる売場に適用できるフレームワークですので、ぜひご活用ください。

6.まとめ

スーパーにしても百貨店にしても、お客様はススーッとヨコに動いて商品を探し、目的の売場に着いたら今度はタテに目を動かして商品を探します。
これが「ヨコからタテの法則」です。

  1. 客はヨコに歩いて該当売場を探す。
  2. その時、ゴールデンゾーンである目の高さから腰の高さの棚を見る。
  3. メーカーはゴールデンゾーンを確保した方が売上は上がりやすい。
  4. 客は該当売場に着いたら、今度はタテに商品を探す。
  5. その場合、「くくり」で商品を探すので、ビール売場なら銘柄でくくるか、サイズでくくるか考えて陳列する。
  6. 銘柄を重視する客が多ければ、一番搾り、ドライなどとメーカー銘柄でくくる。
  7. サイズを重視する客が多ければ、350ml、500mlというサイズでくくる。
  8. リレーションを重視する。なるべく似たような商品、関連商品を隣同士に置く。

「ヨコからタテの法則」「くくり」「リレーション」などわかりましたでしょうか。
毎月恒例のオンラインセミナー「センスアップセミナー」では、これらの法則がさらに理解できます。
機会ありましたら、ぜひご参加下さい。

●センスアップセミナー「商品陳列」5月開催

(VMDインストラクター協会事務局)

スターバックス店舗

VMDをサービス店物販コーナーに生かして売上を上げる方法

0.サービス業のVMDとは

今回はサービス業のVMDについて論じたいと思います。
サービス業とは、下記のようなお店です。

  • カフェ
  • レストラン
  • ヘアサロン
  • 整体院
  • フィットネス
  • 歯科 etc

食事を提供する店もあるし、施術を提供する店などがあります。
病院もサービス業のひとつと考えます。

VMDは物販店だけの技術だと思われがちなんですが、サービスという無形商品を売っているお店にも応用が利くんです。
VMDは店内・院内の物販スペースの売上強化にとっても有効なんです。

事実、上記のお店のVMD担当がたくさん売場塾には来ていまして、そのノウハウを持ち帰って、物販の売上を伸ばしています。

まずはカフェの物販スペースの話をします。

1.スターバックスは物販が20%の売上

みんなが利用しているスターバックス。
スタバはカフェだけでなく、心地よい空間を提供しています。
「第三の場所」というコンセプトだけあって、いつもくつろげますよね。

そんなスタバの「売場」を見たことがありますか。
下記のような「コーナー」になっています。

スターバックスの物販コーナー

この物販コーナーの売上って、全店舗売上の20%あるんです。
つまり、お茶を飲みに来るだけではなくて、コーヒー豆やタンブラー、マグカップやドリッパーなどのモノを買う人もたくさん来ているんです。

スタバだけでなく、ドトールコーヒーやタリーズも物販コーナーがあって、それなりに売上を上げています。

詳しくはドトールコーヒーの売場塾生を取材した記事を読むとよくわかります。
●郡司由紀さんインタビュー

また、ヘアサロンではカウンターの近くに物販コーナーを設けてヘアケア用品を販売しています。
主にシャンプーやリンスなどですが、これらも店の売上に貢献しているんです。
例えばアヴェダというヘアケア用品メーカーの提携ヘアサロンでは、アヴェダ製品の売上がヘアサロン全体売上の30%ある店もあります。

アヴェダの物販スペース

コーヒーにしてもシャンプーにしても、普段使いの消耗品です。一度気に入っ商品だったら、毎回買い足すことになります。
スタバのコーヒー豆がおいしかったらそのまま買い続けるし、シャンプーやリンスが髪になじんで気に入ったら使い続けるでしょう。

同じように、整体院では枕やクッション、サプリメントやハーブティーを売っていますし、歯科では歯ブラシ、歯間ブラシ、歯磨き粉、デンタルリンスを売っています。
フィットネスジムでは、プロテイン、サポーター、ウエアやバッグなどを売っています。

これらの商品も、ヘアサロンと同じように継続して買う消耗品がメインなので、リピーターが獲得でき、店の売上拡大に貢献します。

 

2.VMDをどのようにサービス店舗は導入すればいいのか

売場塾のフレームワークを使って、あなたの店の物販スペースを高収益にしましょう。
下記のフレームワークが有効です。

●売場をつくる
・GPグランドプレゼンテーション
・什器レイアウト
・什器デザイン
・導線

●ディスプレイをつくる
・PPとIP
・AP

●POPをつくる
・POP編集
・POP制作

それでは3つの項目ごとにお話しします。

3.売場をつくる

「売場をつくる?すごく当たり前じゃん」とあなたは思うでしょう。
「バカにするな!」かもしれません。

しかしほとんどのサービス店・・・それがフィットネスであれヘアサロンであれ・・・売場があると来店客が気づくことは稀です。
こんな風に商品を置いていませんか?

  • 商品を店内の開いているところに分散して置く。
  • とりあえず会議室テーブルの上に置く。
  • 段ボールが積んである在庫置き場にラックを置き、そこに商品を並べる。
  • 待合室から見えない奥の奥にラックを置き、商品を並べる。
  • カウンターの空いているところに商品を山積みする。
  • 飾り棚にPOPもプライスカードも付けずに、造花といっしょに商品を置く。

これだとお客様はただ通り過ぎるか、「在庫置き場があるな」としか思えません。
つまり、売場だと思っていないんです。

それ以外でも、売場の立地の悪さも物販売上に影響します。
私の経験でお話しします。

ある歯科医では、歯ブラシなどの口腔ケア用品がガラスケースにて展示されていました。
しかし、入口の自動ドアの横にそれがあるため、見ようと思っても立ち止まることができません。
自動ドアは開いたままになってしまうからです。
客の出入りがあるため、そこでじっくり商品を見ることができません。

また、ある歯科医では、口腔ケアグッズが支払いカウンターの右にありました。
そのカウンターには二人、受付が立っていました。
20客ほどの待合椅子はそのカウンターの方向に向いています。
そんな状況下、椅子から立ち上がって売場に行き、待合客の目線を浴びながら商品を見る勇気ある人は誰もいませんでした。

試しに私がそれをやってみましたが、カウンターの女性も気になり、とても緊張しました。
とても買い物する気にならなかったです。

こんな問題は下記のフレームワークで解決します。

  • グランドプレゼンテーション
  • 什器レイアウト
  • 什器デザイン
  • 導線

グランドプレゼンテーションとは、「目立つようにコーナーのデザインを一体化させる」ことを言います。
ニトリでカラーボックスを買って待合スペースの空いたところに置くだけでは、やはり在庫置き場にしかなりません。

●グランドプレゼンテーションとは

売場だと一目でわかる目立つコーナーを作るには、待合スペースとカウンターの位置も含めてレイアウトし直す改善が求められます。
そもそもお店を作るときに、施工会社にすぐ丸投げせず、入口から客がどのように入ってカウンターに行き、待合い椅子に座るか、導線ストーリーをプランしなければいけなかったのです。

「いやもう無理。お店出来上がっているからカウンターは動かせない」
のでしたら、下記のように売場の什器レイアウトを施して下さい。

  • コーナー型 ・・・店内の入隅に什器をL字に置く。
  • アイランド型 ・・・テーブル什器を置き、テーブルをぐるり客が回れるようにする。
  • 柱型 ・・・柱を利用して棚をつくり、柱の上に商品展示を設置する。
  • 通り化型 ・・・受付に行く通路の左右に販売棚をつくる。
  • 什器デザインはすべて統一し、ありあわせのカラーボックスでデコボコにしないこと。
  • 待合客や受付の目線が直接届かないところをコーナーとして選ぶ。
  • 必要なら植栽や衝立で売場を半遮蔽する。

なども留意してください。

4.ディスプレイをつくる

これも「当たり前だろ!!」と、ヘアサロンのあなたは思うかもしれないんですがただ商品を置くだけではいけません。
今のままだと、商品が棚に置いてあっても売り物だと客は思わないんです。
単なる「インテリアディスプレイ」としか思わず、売っている商品だと気づきません。
こんな風になっていませんか。

  • 店主はバリ島の置物やアタ小物が好きなのでしょうか、そのディスプレイの中に売り物のシャンプーが混じっている。
  • 子供が学校の習字で花丸取れたので、それを美容室のウインドウにディスプレイする。その下にはヘアケア用品が置いてある。
  • カウンター後ろにシャンプーとリンスを等間隔で並べただけで、何のPOPもない。しかも、商品が小さすぎて商品ラベルも読めない。
  • カウンターの隅に商品を積んでおく。

このように商品を陳列している、展示しているとは思えない佇まいになっていませんか。
売場は「在庫置き場」と化しているんです。

ディスプレイはPPとIPという種類を知りましょう。
PPはポイントプレゼンテーションと言って、展示のこと。
IPはアイテムプレゼンテーションと言って、陳列のことです。

●VP,PP,IPとは

PPは、商品をそのまま棚に置くのではなく、下記のように置いてください。

  1. 展示台を用意
  2. 展示台に商品を載せる
  3. 展示台に商品説明POPを載せる、または展示台と一体化したPOPを作る

イメージ的には下記写真のような感じです。
このように、展示台・商品・POPが一体化した展示物をAPアーティクルプレゼンテーションと言います。

ビックカメラのディスプレイ

そのまま商品とPOPを置かずに、展示台を用意しPOPと一体化して商品を見せないといけません。

なぜなら口腔ケアもヘアケアもサプリメントも説明POPが必要です。
ただ商品を置いただけでは、商品の持つ効果・効能がわかりません。
しかし、POPを商品の横に置いただけだと、どのPOPがどの商品を指しているか分からなくなります。
また、展示物とわかるように置かないと、客は商品を持って行ってしまいます。
すると残ったのはPOPだけになってしまいます。

APの横に陳列商品をたくさん置くことによって、陳列と展示を視覚的に区別させるのです。
例えば、下の手帳を見てください。

ロルバルーンのディスプレイ

「旅するロルバーン」は展示台・POP・と商品が一体化されたAPになっているが分かります。
展示台の下に陳列商品があります。
展示と陳列が段差で明確になっているので、客は展示台の商品は取らずに下の陳列物の中から好きな手帳を取ってレジに行くことになります。

あなたの店で物販している商品も、このように展示と陳列を区別して置くと、お客様は買いやすくなるのです。

●APとは

5.POPをつくる

POPを置く。これも当たり前なんですが。(笑)
しかし前述のように、POPなしで商品を素置きにしているお店は多いです。

フィットネスにしても、ヘアサロンにしても、売るアイテムはドラッグストアやスポーツ用品店に置いてある商品とあまり変わりません。
それら店舗は、メーカーのPOPがたくさんついています。
テレビCMでお馴染みのタレントの推奨や、商品の効果・効能を謳っています。

これら化粧品やサプリメントは、スイーツや服と違って「見た目で買わない商品」なんです。
いくらパッケージデザインがきれいでも、自分の髪に合うのか、摂取して健康にどんな効果があるのか分からないと買わないですよね。

なので、絶対説明POPが必要なんです。
先ほど言ったように、展示品と展示台と一体化させたPOPを作りましょう。

またメーカー持ち込みのPOPもよいのですが、自分の店の言い回しに変えることをおススメします。

ある時、肩が凝ってしょうがない私は整体院に行きました。
待合室に座っていると、テーブルの上に黒いイガイガがありました。
POPには、それを肩やアタマに使うとすごくラクになると書いてありました。
さらに、寝る前にこれで肩をマッサージするとよく眠れる、と院長の推奨がありました。
そのコピーは、寝つきが悪い私の琴線に触れました。
そしてそれを買ったのです。

タイミングもあると思いますが、整体院の先生が手書きでつくったその商品POPは説得力ありました。
このように、POP制作の際は貴店の言葉で綴ったオリジナルなものにすることをおススメします。

次に行うのは、POP編集。
売場コーナーだとわかるように什器レイアウトし、商品を展示・陳列したら、POPでコーナーパネルをつくってください。
●●コーナーという名称でも、●●カウンターという名称でも構いません。
つまり、コーナー名を大きく掲示するんです。

できれば、単に言葉だけではなく、演出パネルもつくった方が魅力的に見えます。
サプリメントコーナーだったら、女性がジュースを飲んでいる運動後のシーン、
口腔ケアだったら、白い歯の女性顔写真などをパネルにして、コーナー名の下に掲示するんです。
すると、遠目からコーナーが目立ち、来店客や待合客を売場に誘導できます。

POPは商品を説明する他に、コーナーデザインとしての役割も発揮できるので、ぜひPOPで売場を編集してみてください。

6.まとめ

だいたい分かりましたでしょうか。
VMDによるサービス店舗の物販活性化。

売場塾にサービス店舗のVMD担当がたくさん来る理由はこれでした。
VMDを習って店内に物販スペースを正しくつくり、売上を35倍にした例もありますよ。

また、卒業生の福島翔平さんは歯科物販卸のVMDインストラクターになって、数々のお得意先歯科医の物販業績を上げています。
詳しくはYOU TUBEで歯科医向けVMDチャンネル持っているのでご覧ください。

●福島 翔平さんのYOU TUBE

自店の物販の売上を上げたい方、商品を提供しているメーカーや卸の方、興味ありましたら、ぜひセミナー、説明会にお越しください。
セミナーは毎月、売場塾説明会は無料で毎週行っています。(^^)

●毎月開催 売場塾説明会&セミナー

(VMDインストラクター協会事務局)

キレイキレイ

スタイリングで店頭品質を守ろう

1.店頭品質の3つの課目

今日は、店頭品質についての第2弾「スタイリング」について話します。
店頭品質とは、そのブランドらしい心地よさをを保つ上で必要なルールです。
店舗スタッフがその要で、常に店頭品質をキープする役割を担っています。

ちなみに、店頭品質は、

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ

の3つの課題と8つの細則に分かれています。
2.クリンリネスについては、年末にアップしたブログを読んでください。

●クリンリネス

それではスタイリングについてお話しします。

2.スタイリング「整然さ」

スタイリングの細則「整然さ」とは店内のインテリアである什器や家具、照明やオブジェが、ブランド空間に支障をきたしていないか?ということです。
下記のようなケースが考えられます。

●余分なものが見えている

代表格が段ボール箱。
入荷したままの段ボール箱がそのままカウンター前や通路に置きっぱなし。
これは店を倉庫と化してしまう要因になります。
確かに売場、特に棚の足元に段ボールを置けば商品補充は楽ですし、いちいちバックヤードに行く手間も省けます。
しかし、それは店舗の都合でお客様と関係ありません。。
お客様にとっての段ボールは見苦しい以外の何物でもありません。
歩く邪魔になるし、せっかくラグジュアリーなブランド商品が棚に並べられても、その下に段ボールが転がっていてはガッカリしてしまいます。

段ボールの他にも、脚立、掃除用具、使わないのぼりなどのPOP類、ティッシュなどのノベルティ類などが売場に露出していませんか。
これらも段ボール箱同様、お客様にとって余分なものなんです。

スタッフは楽かもしれないけど、お客様にとって迷惑。
すぐにお客様の目に触れないところに収納します。


●ものが倒れていないか、傾いていないか、よれていないか

このタイトルの要素が売場にあると、お客様は不安になります。
なぜかというと危ない、または見苦しいからです。

  • のぼりが倒れている
  • モニタ台が傾いている
  • キャビネットの引き出しのしまりが悪く飛び出ている
  • ライトが切れている
  • ジャバラの窓シェードの2.3本が曲がっている

などなど、店内に配置されている小道具がグラグラ・ガタガタでは、お客様の心理もグラグラ・ガタガタになってしまいます。

店内備品は整然と配置し、老朽化しているものは修理するか新品に換えましょう。

3.スタイリング「ブランドテイスト」

チェーン店というものは、本部が決めたショップ・ブランドコンセプトによって佇まいに規律を与えています。

ルイ・ヴィトンはルイ・ブィトンらしさ、ユニクロはユニクロらしさ、レクサスはレクサスらしさが、ブランドガイドラインを通して守られています。

ところがブランドガイドラインにも落とし穴があります。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)といって、サイン看板やロゴの設置について細かく規定はしていますが、店内備品・消耗品に関しては規定していない例が多いです。

例えば、あなたの勤めるラグジュアリーなブランドショップは下記になっていませんか?

●カウンターのペンは、100円ショップのペン
商品購入が決まるとお客様が宅配を頼むこともあります。
そんな時にカウンターであなたが差し出すペンは100円のボールペンになっていませんか?
3万円の高級皿を買ったのに、カウンターに置いてあるのは100円のペン。
せめて1,000円の見栄えのよいボールペンに換えましょう。
ペン立ても忘れないで揃えましょう。

●なぜか招き猫や七福神がいる
これは自動車ディーラーに多いんですが、ショールームのカウンターに招き猫がいたり、七福神がいたりします。
インテリアオブジェとして飾っているのですが、社長の趣味なんでしょうか。
トレンディなRVや高級セダンを展示しているのになんだか場違いですね。
店のテイストにあったオブジェに換えましょう。

●ゴルフコンペの立てが置かれている
営業所も兼用している不動産屋のような店に行くと、ゴルフコンペの立てが置かれ、「優勝・葛城営業所」などと書かれていたりします。
これは取りましょう~。
お客様に見せるものでもないです!

●信用金庫からもらったカレンダーが置かれている
店のカウンターや商談コーナーに置かれているカレンダーには○○信用金庫と書かれています。
明らかにノベルティとわかるカレンダー。
これも厳禁です。
カレンダーは無印良品やフランフラン、ハンズやロフトなどでデザインがよいものを買ってください。
会社名が書かれていない、お店のテイストに合ったものを選びましょう。

●消毒液が「キレイキレイ」になっている
これはたとえです。キレイキレイにするな、というわけではありません。
私もオフィスでキレイキレイ使っています。(^^)

ラグジュアリー専門店のトイレを拝借したときのこと。
なんとキレイキレイのパッケージそのままが置かれていました。
その横には「クリネッシュティシュ」そのものの箱が・・・。

これでは高級ブランドを買ったお客様はげんなりしてしまいます。
液体ソープは無地のボトルに入れ替え、ティッシュ箱も雑貨店でよいものを購入し入れ替えましょう。
リッツカールトンがトイレでこんなこと、しないですよね。

4.スタイリングってどうやって考えればいいの?

上記のように、店内備品やインテリア小物は店舗のデザインテイストに合わないものは換えるか、排除します。
では、我が店のデザインテイストはどうあるべきか、どうやって考えたらいいの?ということですが、答えは簡単。
あなたがおうちのリビングルームのデザインを考えるのと同じようにすればいいんです。

例えば、あなたが「うちのリビング、ハワイのホテルみたいにしたいなー」とテイストを考えるとします。
テイストとは、住居人であるあなたの感じる感じ方を言います。
そしてテイストは人によって違います。
「ナチュラルで北欧調」とか「ガーリーなカジュアル」とか「シンプルでクール」とかテイストの表現はいろいろです。
例えば、我が家のリビングは「ナチュラルでシンプル」です。
だから、時計やフレーム、家具や家電に至るまで「ナチュラルでシンプル」なものを選んで設置しています。

 

我が家のスタイリング

家具屋や雑貨屋に行ったとき、ネットで何かを買う時、まずこのテイストが頭の中にあるので、数種類いいのがあって迷ったときは「テイストに合うかどうか」で選んでいます。
これをトーンアンドマナーといいます。

トーンアンドマナーとは文字通り、家具や備品を置く時のマナー(ガイドラインみたいなもの)なんです。
だから、我が家では、赤や黄色のべたべたのインテリアや、刺繍模様や幾何学模様の華美な備品は買わないんです。

同じようにあなたの所属するブランドショップは、本部で決めたテイストとトーンアンドマナーがあるかもしれません。
店の備品を買う時にまずそれを確認しましょう。

これはフランフランのトーンアンドマナーのガイドライン。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/

例えば、フランフラン店内に写真をPOPとして設置するにも、このようなガイドラインを守らなければいけません。
https://francfranc.io/design-system-guidelines/design-system/essence-of-basic-design/image

なるほど、これだと招き猫は完全にペケですね。(^^)
バラの花が好きだから~と言ってバラの写真を飾ってもいけません。

VMDは文字通り、視覚的にブランドらしさを感じさせるしくみです。
にわかインテリアコーディネーターになったつもりで、備品やインテリア小物を選んでください。
テイストやトーンアンドマナーについては下記で詳しく解説していますので参考にしてください。

●トーンアンドマナーのフィルターで売場デザインを決めよう

5.スタイリングはクリンリネスと快適性とリンクする

ということで、スタイリングの細則「整然さ」「ブランドテイスト」をお話ししてきました。
スタイリングの考え方と活かし方、わかったと思います。

さて、このスタイリングは「クリンリネス」と「快適性」にリンクしているのです。
冒頭で言った様に「店頭品質」は下記の3つの課題で構成されているからです。

1.スタイリング・・・整然さ、ブランドテイスト
2.クリンリネス・・・清潔さ、新鮮さ、身だしなみ
3.快適性・・・・・・明るさ、プライバシー程、広さ


スタイリング能力がスタッフに備わってくると、いっしょにクリンリネスと快適性もキープしようとする姿勢が芽生えます。
理想の店舗や売場に近づけるために、自分で率先してクリンリネスも快適性も守るようになるんです。

これも、我が家と同じと考えていいでしょう。
私の家は先ほど言ったように、「シンプルでナチュラル」というトンマナを大切にしているんですが、自然とクリンリネスを気を付けるようになっています。

  • 洗面ルームは雫ひとつ落とさない
  • ティッシュは惜しまず使って、常に机や棚の汚れをふき取る
  • 食器類を置いたテーブルは、食器の跡がつかないようにランチョンマットを敷く
  • テーブルや机の上は最低限のモノしか置かない
  • 衣類や文具など使ったものはすぐ片付ける

などなどして、ショールームのように佇まいをキープしています。
たまーに来る人が「これ本当に人が住んでいるの?」というほど、シンプルになっているんです。

同じように、あなたの店はクリンリネスを保つことによって、いつものブランドテイストの空間を作ることができるんです。
そう、チリ一つ落ちていないディズニーランドのように。

クリンリネスはスタッフの心がけそのものと言えるでしょう。

ということで、ブランドショップに勤務している皆さん、VMDの皆さん、お店のスタイリングぜひキープしてくださいね。
まだスタイリング決まっていないという店は早急にコンセプトづくりから始めてください。
詳しくは下記に書かれています。

●店舗コンセプトのつくり方

(vmd-i協会事務局)

POPの法則「オンスクの法則」

POPで売場に客を集める「オンスクの法則」

1.オンスクの法則 プロローグ

今回は「オンスクの法則」についてお話しします。

POPを使って自社売場に来店客を導く法則と言っていいでしょう。
特にショップインショップを作っているメーカーコーナーにうってつけの法則です。

では、どんな状況でこの法則が使えるか解説しましょう。
あなたが駅ビルのフロア内通路を歩いているとします。
スリーコインズという雑貨屋さんにさしかかりました。

スリーコインズ 3-coins

遠くの壁に何か書いてあります。(上写真)
12m先だからよくわかりません。

スリーコインズ 3-coins

でも8mくらいに近づいたら、「FASHION」の字が見えます。(上写真)

スリーコインズ 3-coinsの売場

もう少し近づいてみます。
2m手前に来ました。(上写真)
すると、「FASHION」のPOPの下に「SPRING COLLECTION 2024」の文字が見えました。

スリーコインズ 3-coinsのポーチ

30cm手前。(上写真)
もう棚の商品の手前です。
「ファッショナブルなポーチがたくさんあるわね」と思うあなたはパッグのタグを手に取って商品説明を読みます。

オンスクの法則、なんとなくイメージはわきましたか?
そう、あなたが興味を持った売場に近づくにつれ、その売場の情報がPOPを伝わって分かってくるんです。

POPとは最初は「FASHION」、次は「SPRING COLLECTION 2024」、そして最後はポーチのタグでした。

2.オンスクの法則とは

オンスクの法則のイメージがわかったら、今度は図でわかりやすく説明します。
今度は、スーパーマーケット店内の壁「HAWAIIAN CAFE」のコーナーと仮定します。

あなたはスーパーフロア内通路を歩いています。

 

遠くの売場が見える

●おや (上図)
「おや、あそこになにか茶色の売場があるな、なんだろう」
壁の10m手前なので「、色がまとまった壁だな」としか思えません。
でも少し興味を引きます。

 

少し近づいた売場

●ほう (上図)
8m手前に来ます。
すると、壁の上に大きく「HAWAIIAN CAFE」の文字が見えてきます。
「ほう、ハワイコーヒーの売場かあるのか」
とコーヒー好きなあなたきとても気になります。

 

だいぶ近づいた売場

●なるほど (上図)
5m手前に来ました。
「HAWAIIAN CAFE」のPOPの下に
「ビターエスプレッソ」
「バター風味」
「チョコレート風味」
「赤ワイン風味」
というPOPがあるのが分かりました。

「なるほど、いろいろな味のハワイコーヒーが売っているんだな」
と感心します。

 

すぐ手前の売場

●そーか (上図)
2m手前に来ました。
ここまでくると、先ほどの味別のPOPの下に

「ボトルタイプ」
「顆粒タイプ」
「粉末ステックタイプ」
と書かれているPOPがあるのがわかります。

「そーか、コーヒー豆が液体や粉末などで売っているんだな」
とかなり商品を理解してくれています。

 

30cm手前の売場

●買おう!(上図)
もう壁に30cm手前です。
商品もプライスカードもよく見えます。
赤ワイン風味のコナ地区の顆粒タイプの商品を手に持ったあなたはこう言います。

「買おう!こりゃ週末飲むのにいい」


これがオンスクの法則なんです。
図にまとめるとこうなります。

オンスクの法則

ということで、遠くからお客様が来る視点で売場を描いてみました。
「ハワイアン カフェ」売場にお客様がだんだん近づいてくる様子が分かったと思います。
お客様の動向をオンスクの視点で解説します。

●おや →ハワイアンカフェの壁面全体に気がつく (壁面全体)

●ほう →ハワイアンカフェの売場だと気づく (大見出しPOP)

●なるほど →味別のコーヒー売場になっていることに気づく (中見出しPOP)

●そーか →飲み方別パッケージになっていることに気づく (小見出しPOP)

●買おう! →コナ地区のワイン味のコーヒーパッケージをつかむ (プライスショーカード)

これを壁面だけの図にするとこうなります。

 

オンスクの法則

3.オンスクの法則は新聞の編集と同じ

大谷翔平の記事

オンスクの法則を生かしたPOPによる売場集客の組み立て方がわかったと思います。
それは新聞の表紙の編集の仕方と同じなんです。

上の写真は12月15日(火)の夕刊の表紙です。大谷翔平がドジャーズ入団が決まった日の夕刊です。
これをオンスクの法則と同じように説明します。

●「朝日新聞」題字は店名と同じ

●大見出し「ドジャーズ大谷 勝つために」は大見出しPOPと同じ

●大谷の写真は店のショーウインドウと同じ、つまりVP

●中見出し「この10年成功と思っていない」は中見出しPOPと同じ

●小見出し「入団会見」は小見出しPOPと同じ

●本文はプライスショーカードと同じ

●愛犬デコピンの写真は店内ディスプレイと同じ、つまりPP

どうですか。
改めて両者を見比べてください。

売場と大谷翔平の記事

オンスクの法則と新聞って構造的に同じことがわかります。
「売場づくりは編集と同じ」と、私たちVMDインストラクターがよく言うことがよくわかったと思います。

そんな法則で売場を見ると、オンスク法則があちこちにあることがわかります。
例えばこれ。

スリーコインズ

「KITCHEN」が大見出しで、「食べる」が中見出しということがわかります。

そんな目でオンスクの法則を使って売場をいろいろ見てください。
すると、ああユニクロはオンスクの法則がしっかり生きているな、とか
ヨドバシカメラもPOPがある程度大見出しや小見出しが固定されているな、とか
セリアはPOPが見やすいな、と感じるはずです。

ヨドバシカメラの洗濯機売場

あなたはPOPを店内に適当に貼っていませんか。
そしてデザインもバラバラに組んでいませんか。

オンスクの法則を使ってPOPをデザインし設置しましょう。
すると、あなたの集客したいショップインショップやコーナーにお客様は集まってきてくれます。

POPについて詳しく学習したい方は、ぜひセンスアップセミナー「POP活用体系」にお越しください。
7月開催です。

●センスアップセミナー「POP活用体系」

また、セミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」の12章でも詳しくPOPの活用の仕方を教えています。
この機会にぜひ勉強してください。

●VMDセミナーテキスト本「商空間ディスプレイ」

今回は、オンスクの法則でした。

(VMDインストラクター協会事務局)

窓を拭く手

VMDの前前提「クリンリネス」

1.クリンリネスの定義

年末の今日は「クリンリネス」についてお話しします。
cleanlinessといい、要は売場をキレイにするということです。

クレンリネスとどう違うかというと、違わないです。
クリンリネスは日本言葉で、英語で正しく発音すると「クレンリネス」になるんです。

クリンリネスは、店頭品質、つまり店内空間をブランド化するのに必要な最低限の常識といえます。
つまりクリンリネスは当たり前なんです。

クリンリネスは下記の3つの細則から成り立っています。

1.清潔さ
2.新鮮さ
3.身だしなみ

ひとつひとつ見ていきましょう。

 

1.清潔さ

店内や売場に、ほこり・汚れ・ゴミ等はないか確認しましょう。

・カーペットにゴミが白く浮いている。
・床に髪の毛が落ちている。
・テーブルが汚れている。
・窓のさんにほこりがついている。
・ガラスが汚い。

などなど。
毎日・毎時間チェックしてください。
そして気がついたらすかさず掃除しまょう。
ディズニーランドのキャスト並みにささっと。

意外と見落としなのがトイレ。
せっかく店内はきれいでも、トイレに入ったらガッカリされないように気を付けましょう。

 

これは高級コーヒー店のトイレですが、洗面台に雫ひとつなかったです。

・洗面台の周りに雫が飛び散っている。
・洗面台の鏡にしずくがついて白くなっている。
・洗面台の下が湿っている。

こんな感じで気がついたスタッフはトイレの紙や洗面台のティッシュでもいいので、ササッと拭きましょう。

ディスプレイも清潔さはもちろん必要。
ライザーやプロップスが汚れていたりしていませんか。

・サンタクロースの顔が黒ずんでいる。
・クリスマスツリーの周りにほこりが浮いている。
・テーブルクロスがよれよれで汚くなっている。

遠くからキレイなディスプレイに見えても、近くに来たらなんだか汚い・・・。
こんな風にならないようにしましょう。

床・壁・什器・照明といったショップを構成している大道具も清潔さが大切。
壁や什器にセロテープ痕がたくさん残っていませんか。
有名なチェーン店でも棚のサンにたくさんのテープ痕が残っています。
これはプライスカードを貼ったりはがしたりしているから起きることです。

ある時、マネキンメーカーにお伺いしたときに役員の方は言いました。

「レンタル什器って戻って来た時がすごいんです。シールやテープ、接着剤ですごく汚くなって戻って来ます」
とラックやGケースで大渋滞の倉庫を見せていただきました。
なるほど、思ったより什器は汚かったです。
これでバレンタインチョコレートを販売していたのか?と驚きました。

「これこちらで磨いて再生してまたレンタルするんです」

お疲れさまです。

什器の棚が汚いのは、プライスカードをセロテープで固定することが一因にあります。
以前VMD指導していたお店で、プライスカードを棚に固定するときにセロテープ使用を辞めるようにお願いしました。
代わりにこの住友3Mのポスターテープを差し上げました。

 

このテープ、強力なくせにはがしやすく、棚に跡が残らないので昔から重宝しています。
プライスカードホルダーだけでなく、ライザーや仕切り板、商品そのものもガッチリ棚に固定でき、楽に取れます。
傷も汚れもまったく残りません。

リバイスに行くときは常にこれを携帯していて、お土産にお店に渡してから帰ることもしばしばです。

2.新鮮さ

店内や売場に色あせ、はがれ、老朽したところはないか振り返ってみましょう。

・レジカウンターの天板が剥げてざらざらになっていませんか。
・白い壁紙がうっすら黒くなっていませんか。
・お客様用ソファの端が切れていませんか。
・のれん上部のパイプが曲がっていませんか。

色々チェックしてみましょう。

こんなことがありました。
売場塾卒業生と駅前のホテルで待ち合わせしました。
会って少し会話した後、卒業生のMさんは言いました。

「実はこのホテルでずっと気になっているところがあって」

と示す先に比較的大きな造花がありました。

「あの造花ずっと草花が下に向いたままになっているのよ」

よいディスプレイ構成を知っている我々にとって、確かに花瓶と造花のバランスが悪く、一部は花瓶から飛び出ているように見えました。
草花が元気なく垂れているんですね。
彼女、結婚式場のフラワーコーディネーターもやっているんですが、彼女でなくてもじっとその造花を見れば、誰でもヘタっているがわかりました。

あのままの状態で3年経っているといっていました。
すごいですね・・・。

店のサインに関しては、3年ではすまされないところもたくさんあります。
以前関わりがあった店で、カルプ文字の屋号がサビているインテリアショップや、電照看板のカラーコルトン部分が色褪せして店名ロゴがかすれているクリニックもありました。

どんなに店内でいいものを売っていても、イメージダウンは免れません。
看板は一度作って終わりではなく、定期的に作り変えるものと心得ましょう。

 

3.身だしなみ

スタッフの身だしなみは適正かチェックしましょう。
服の汚れやしわ、服のコーディネート、髪、メイク等々。

最近は店もオフィスも服装は緩和する傾向にありますが、それでも

・髪色
・ピアス
・ネイル
・カラーコンタクト

などは規制しているお店は多いです。
つまり服装のガイドラインがあるのです。

ガイドラインがない店は、文章化し規定を数値などで厳密に表すことをおススメします。
例えば、メガネショップのZoffさんは、

・ピアスは左右1個ずつ3cm以内
・髪色は11トーン以下のナチュラルな色
などと決めています。

カウンセリングを行う美容師さんや銀行の金融コンサルの方などは、個室やコーナーで長い時間お客様と相対することがあるので、特に服装には気を付けたいです。

ある日のこと、金融コンサルと個室でカウンセリングを受けました。
初対面だったのですが、コンサルの方の服にすごく大きいシミがついていました。

大丈夫かな?と思うほど大きく目立っていました。
喫茶店でコーヒーを上からひっくり返されたのかな、と気になってしまいチラチラ見てしまいました。
こんな時、金融コンサルの方が「実はこのシミ、さっきのランチでアクシンデントがありまして着いてしまったんですよ」とでも気軽に言ってくれたら、商談に集中できたんですが・・・。

これが本当に朝最初から意識して着ているものだとしたら、銀行か本人のセンスを疑うしかありません。
いずれにしろ、こうした不慮の事態に対してのガイドラインもつくっておいた方がよいでしょう。


今日はクリンリネスでした。
VMD担当の皆さん、クリンリネスはVMD以前の常識です。

ぜひお見せをキレイに保って快場を継続してくださいね。(^^)

(vmd-i協会事務局)