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カラフルなディスプレイ

ディスプレイ美的センスアップの秘訣

美的センスの三要素

あなたがディスプレイをつくるとします。
ディスプレイをアート作品と思っているあなたには下記の3つの要素が求められます。

  • 審美性esthetics
  • 創造性creativity
  • 演出性expressiveness

審美性について

審美性とは、見た目の美しさのことです。
女性なら八頭身、小顔、色白。
男なら逆三角形ボディの細マッチョみたいな感じでしょうか。

あなたの身の回りの調度品を見てください。
リビングの花瓶も、目覚まし時計も、下着を入れるキャビネットも審美性を感じませんか。

リビングの花瓶は鶴の首のように細くキュッと締まっていますし、目覚まし時計は左右対称の楕円形になっています。
下着入れのキャビネットは湾曲していてかわいいです。

審美性は、下記の美的形式原理がベースになっています。

  1. 調和 ハーモニー harmony
  2. 均衡 バランス balance
  3. 対称 シンメトリー symmetry
  4. 比例 プロポーション proportion
  5. 対比 コントラスト contrast
  6. 律動 リズム rhythm
  7. 階調 グラデーション gradation

詳しくは
●美的形式原理 をクリック。

美的形式原理を取り入れると審美性が増します。
例えば、先ほどの花瓶は調和と対称がよいため、審美性が感じられるのです。

売場塾の生徒作品を例に解説します。
例えば、これはフツーのディスプレイ。

これに美的形式原理のシンメトリーを加えてみます。
すると、下記の様になり、審美性が増しました。

もし、あなたの作ったディスプレイに審美性を加えたいのなら、美式形式原理を応用しましょう。

今度はコップのディスプレイ。
これも売場塾のワークショップの生徒作品。

うーん、なんかずんぐりむっくりで肥満系のディスプレイですね。
これを美しくしてみましょう。

ライザップのようにシェイプアップしました。
ドクターXみたいにきれいな八頭身ですね。
縦に長い三角構成は、りりしくすっきりとしています。

OKですか?審美性の感覚分かったと思います。
ディスプレイのシルエット、色、素材、配置などに審美性を加えると美しくなります。

創造性について

創造性とは、クリエイティブなことです。
それは他に類のない個性的なものを創り出す能力のことです。

他に類を見ない個性的なディスプレイとはなにか。
それは、「ほかで見たような気がする」ディスプレイでなくて、「こんなの、あるんだ」という、唯一無二のディスプレイを言います。

広告で言えば、こんな感じ。
デパートは普通、モデルに服を着せた写真を広告に出しますが、このモデルは服を着ていません。
「こんなの、あるんだ」という唯一無二の広告になっています。

ディスプレイの例を見てみましょう。
例えば、この陳列は遠くから見ると、サンタクロースに見えます。
とても創造的ですね。

こちらは、コップの三角構成ですが、フツーの三角構成とちがい、なんだか動き出しそう。
芋虫がもそもそしている感じがして、とても創造的です。

あなたがもし創造性のあるディスプレイをつくりたいのなら、他人をマネするのではなく、唯一無二のオリジナリティを追求するとよいでしょう。

演出性について

次に演出性なのですが、テーマやシーンの臨場感を出す能力のことです。
臨場感とは、「まるでその場にいるような感覚」を言い、下記の様なことを言います。
・まるで戦場にいるような臨場感のある映画
・遊園地でデートという臨場感があるディスプレイ
・高いビルの屋上に立っているような臨場感あるVR

演出性があるディスプレイとは、まさに「まるでその場にいるような感覚」なんです。
例えば、「遊園地でデートという臨場感があるディスプレイ」にするにはどうすればいいのか。
それには、まずマネキンに着せる服を「遊園地でデート」に合うようなテイストにすることです。

  • ドットや幾何学というカジュアルな柄の服
  • ブライトトーン、ビビッドトーンといったカラフルな色の服
  • ミッキーやキティのようなキャラクターもの
  • スカートはマーメイドスカート、フレアスカート、マキシスカートなどカジュアルなもの

などと「遊園地でデート」に着ていく商品をチョイスします。

それが終わったら、プロップスやPOPのようなディスプレイ用品で演出性を高めます。
・POPは遊園地の写真を背面パネルとして起用。
例えばメリーゴーランドとか、動くコーヒーカップの写真にする。
・プロップスは、遊園地をほうふつとする小道具にする。
例えば、風船、ハートの杖、観覧車のオブジェ、ピエロのお面などなど。

下記の缶ジュースに演出性を加えてみます。

演出的なディスプレイになりました。

お花畑を演出してみました。
香りのよさそうなジュースになりました。
これがディスプレイの演出性です。

ディスプレイに美的センスを加える要素、わかりましたでしょうか。
それが

  • 審美性esthetics
  • 創造性creativity
  • 演出性expressivenes

なんです。

当社では3か月に一度ディスプレイセミナーを行っています。
●ディスプレイセミナー
美的センスあるディスプレイを実際につくってみましょう。
日本橋の売場塾会場にてお待ちしております。(^^)

(VMDインストラクター協会事務局)

POP文体がブランドの個性をつくる

POPの文体について話ししますが、星のやが格好の材料になります。

まず、テラスBARのPOPを見てみましょう。

「夕日に沈んだ軽井沢の夜、テラスで過ごしてみてはいかがでしょうか。
お供にハーブティーとウイスキーを用意しました。
温かなハーブティーカクテルを片手に、涼しい夜風をお楽しみください。」

星野や軽井沢に滞在中、夕方部屋に戻ると、さりげなくこんなPOP(しおり)が、リビングに置いてありました。
その近くには、シーバスリーガル12年物とハーブが。

面白いのは、しおりの文体でした。
「夕日に沈んだ軽井沢の夜、テラスで過ごしてみてはいかがでしょうか」
なんだか洒落ています。
おせっかいだよ!!と言いたくなるような文章ですが、それでいいんです。
実に星のやらしい。
(実際飲みませんでした・・・)

次はこれを見てみましょう。
部屋の防虫スプレーの脇にあるPOPなんですが、こう書かれています。

「自然豊かな谷の集落では、四季を通じて様々な虫たちが暮らしています。
その環境ゆえに、時折彼らも客室にお邪魔してしまう場合がございます。
長時間の扉、網戸の解放にはお気をつけください。
万が一お部屋でお見かけの際には、集落の虫を知り尽くしたスタッフが伺いますので、フロント【7番】までご連絡をお願いいたします。」

これも、粋な文体。
ベランダにオオミズアオが飛んできていたので、その虫博士に蛾のこと伺ってみたかったです。
なんだか、キンチョールで虫を殺す前に、うんちくを聞きたい気持ちです。
(もちろんオオミズアオは殺しませんでした)

さて、

    • 売店のPOP
    • 部屋の案内ファイル
    • レストランのメニュー

星のや軽井沢の中のPOPの文体はどこも上記のような感じです。

文体がエッセーみたいな感じなので、カジュアルに読めて心が和みます。
たかが防虫スプレーの案内書きでも、それに添えられているPOPにぬくもりがあります。

普通のキャンプ場では、キンチョールが置いてあって、そこに「虫刺されにご注意ください」みたいなPOPが、赤字で貼り付いているだけでしょう。
でもここのPOPは、アイデンティティがあるので、なるほど星のやだ、という感慨を受けます。

売場塾のPOP指導講座では、書体の他に文体や言い回しのことも講義していますが、文体とは、まさにお店やブランドのアイデンティティから来るもの。
その人となり、そのブランドとなりが表現されていなくてはいけません。

私が好きな文体は、MUJIや中川政七商店のPOP。
ここのPOPコピーは単なる機能説明に終わっていないんです。
です・ます調であり、形容詞が豊富。感情的なんです。

まあ、なんといっても人気のある表現は、ヴィレッジヴァンガードのPOPでしょう。
あの人を食ったような書き方は、ヴィレヴァン独自の文化というか社風にもなっています。
商業界で読んだのですが、サリンジャー「ライ麦畑で捕まえて」という本のPOPは、「ジョンレノンを殺った男の必読書でした」という衝撃的な文句があったそうです!!
うーん、これは読んでみたい・・・となるかもしれません。

ちなみに私は、文体で好きなのは、週刊アエラの「現代の肖像」で、これは十何年も毎週読んでいました。
「現代の肖像」は同誌のシリーズで、毎回取材先と筆者が違います。
ただしアエラ編集者は毎回うまく文体をコントロールして、いつも言い回しはいっしょなんです。
このシリーズは、現代のがんばっている人を取材するドキュメンタリールポなのですが、その文体から取材された方の、生きるのに一生懸命な息遣いが聞こえてくるんです。
人の生き様を読むのが好きなので、いつもこれを読んでは感動しています。

実はこれに影響されすぎて、私の「VMDインストラクターのお仕事取材」の書き方も「現代の肖像」風になっています。(笑)

●VMDインストラクターのお仕事取材

ともあれ、POPはお店やブランドの個性を表すもの。
VMD担当の皆さん、POP文体や言い回し、研究してみましょう。

(vmd-i協会事務局)